永久凍土帯を行く−2 (11月10日)
ゴルムドを7時5分に出発して3時間余り列車は青海チベット高原のココシリ国家自然保護区のど真ん中を走っている。ココシリとはモンゴル語で「美しい少女」を意味するという。区域は総面積8万3千平方kmに及び世界的にも貴重な自然と野生動物が生息する保護区であるいう。青海チベット高原は平均海抜高4500千mを超える高冷地。この地域を通過するゴルムド、拉薩間の鉄路距離は1142km、そのうち84%にあたる960kmが4000m以上の地を通り、この区域のうち珠玉峰駅付近からチベット自治区の玄関、アムド駅付近に到る550km程は永久凍土帯であると言われる。そのため鉄道の開設にあたっては、自然生態系などの環境保護、工事従事者の高山病対策等へ細心の注意を払いながら完成することが出来たということであった。
ココシリの平原には樹木らしき物は一本も見えず単調な風景ではありましたが、いつ現れるか分からない動物への期待や、崑崙山脈、タングラ山脈、念チンタングラ山脈など車窓に次々と現れる雄大な風景を眺めながらの13時間だあったが飽きることないラサへの旅でした。高山病も航空技術の導入で車内の気密が保たれており快適な車内であった。
列車の窓際に居た中国人の乗客が筆談で「藏羚羊」がいると教えてくれた。国家一級の保護獣で世界で数少ない貴重種であると説明してくれた。広大な緑色に広がる草原の中である。日本名では「チベットカモシカ」全身の毛色は草原の色に溶け込むような保護色となっているように見える。
列車からの距離が離れていたこともあり時速100kmで走る列車からの撮影でカメラに捕らえられたか気懸りであったが拡大したら姿が見えてきた。
ゴルムドから2時間半程走った地点であった。
更に30分程走った地点だが列車の接近に驚いたか遠ざかる方向に逃げ去っていくチベットカモシカの群れ、身軽に走る後ろ姿は尻の白い毛色が目立つ。危機が迫って一目散に逃げる際に仲間の目印となる。弱い動物が身を守るため身についたものだろう。「日本ジカ」も同じように尻毛の白さが群れを守る役割を担っているように。 チベットカモシカは最高級のショールの「シャトウシュ」の原料とするため密猟され数が激減したというが、ワシントン条約により国際取引は禁止され、中国でも「ココシリ国家一級自然保護区」に指定して取り締まりと保護に努めた結果最近は増殖しつつあると聞いた。
更に10分後ヤクの群れが草を食んでいる光景見える、飼育のヤクにしては数が少ないと見えたが、野生のヤクだと教えてくれた。数は10頭前後で多くはなかったが、列車を気にする様子はなくゆったりと携帯電話の中継塔の近くに群れている。 トゥトゥ河の流れ、海抜
4500付近を流れる。タン
グラ山脈の主峰グラタン
ドンの西南に源を発して
いる。揚子江の源流である
。見渡す限りの草原の中
をいっぱ いに流路をとっ
て悠々と 流れる大河の流
の様子。他にも黄河や東南
アジアへのタイ国へ流れるメコン川の上流は瀾滄江でともに青
蔵高原に源を発している。
タングラ山脈は青藏高
原の中部に位置し青
海省とチベット自治区
の境界となっている。
東西600km平均海抜
高は5400m、最高峰
はグラタンドン峰の
6621km、麓のタングラ
山駅は海抜5072mで
列車の駅では世界の
念チンタングラ山脈はラ
サの北100kmの位置にあ
り、最高峰は念チンタング
ラ峰の7162mである。山頂
に氷雪を湛えて氷河が流
下する厳しい山容が沿線
に次々と現われて飽きさ
せない。ラサに近くなりこの
付近より1時間20分で到着した。最高地点にある。駅近くには最高地点の碑があると聞いたが高速で走り去る列車からは撮影できなかった。 前ページへ 次ページへ