6月7日
昨年の秋葉を落とさずに年を越したケヤキは、春の到来とともに何事もなかったよう
にお芽吹きを迎えて今は濃い夏葉となっている。早朝の散歩の折公園のケヤキの
垂れ下がった枝を何気なく見たときに、葉の表面に多数の突起がついているのを
見つけた。その周辺の樹にも大部分がついている。
垂れ下がった枝の先端、この春から伸びた柔らか な新芽を中心に葉の表面に、イボ状の突起が無数 に見える。他の樹は如何にと見回すと他の樹にも 見られる。公園に続く殆どの街路樹にも見られる。 |
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葉の表面に突出したいぼ状の突起はポリープの ようで、先端が膨らみ葉との付け根は細く絞られ ている。長さ1cm、幅は膨れた頭部で5mm程 である。 |
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このポリープを割ってみると、中は空洞になっていて 白い小さな虫が入っていた。白い綿状のものも見え る。虫はやわらかくちょっと触っただけでも潰れそう、 注意深くかき出してみると、大きさ1.5〜2.0cm位の虫 が20匹位入っていた。 (虫の生態)この虫えいは、ケヤキヒトスジワタム シ(アブラムシの一種、タマワタムシ科)の仕業で 前年の秋幹に産み付けられていた卵が孵化して葉の 裏面から吸汁して表面に虫えいを形づくったものだと いう。この虫えい内で産まれた第2世代は翅をもって 脱出し、第2次寄生主のササやタケ類に移動する。 そして秋になって第2次寄生主上で生まれた虫は、 ケヤキの幹に再び集まり有性世代を産みつける。 (生態は、長野県林業総合センター育林部の資料に よる) |
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樹齢30年を超えるケヤキの独立木も虫えいの密 度多いためか、枝先が重く垂れて表情はさえない。 余分なものが身体に居ついてケヤキも気分が冴え ないのかもしれない。 晩秋の頃によく見かけたワタムシ、雪虫、シロッコな どと呼んだ小さな虫は有翅虫となって移動中の姿 だったようだ。 しかしこの公園内には、寄生主となるようなササや タケ類は見当たらない。近くの建物の敷地内に僅か 20本余の真竹と黒竹が5u程度が見られるだけな のにこれがその役を果たしているのだろうか。 |
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