(4月25日)
ここ2ヶ月以上のブランクの間に、4月も下旬、例年森林火災の多発する時期であるが、今年はこれまでのところ大規模な山火事被害は報じられていない。 わが国では、山火事の被害は森林資源の喪失や生活環境への悪影響など社会的なマイナスの効果が大きいがオーストラリアに広く分布するユーカリや一部の植物は山火事の熱にあうことによって種子が発芽しやすい状態に処理され、森林火災が植生の更新に有効に作用するという事を聞いた。 もう4年ほど前になるが、オーストラリアでシドニーから約100km程西方向の内陸部に入ったブルーマウンテン国立公園を訪れたときのことである。 |
平成14年10月下旬、2000年オリンピックが開催された、シドニーからブルーマウンテン国立公園へ向かうハイウェーを走行してしばらくすると車窓から見え隠れに森林火災の煙が立ち上っているのが望見された。 公園へ向かうハイウエーと並行する大陸横断鉄道の向こうに見える煙は至近距離に見えるが道路からはだいぶ離れているという。例年は、山火事は12月頃から多発する傾向というが、10月のこの時期で多発するのは異常だという。 森林火災が発生すると州の法律により入山禁止となりハイキングやキャンプも禁止となる。観光だけでなく住民の生活にも支障が出る。 |
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公園内の展望台より眺めると、火災は何箇所にも飛んで、位置は10km以上離れているが谷全体に煙が充満している。これまでの焼失面積は500ha以上ではないかという。 この公園はユーカリの種類が多いのが特徴でもある。この樹種は葉にユーカリ油を含んで燃えやすく、雨の少ない時期で火災の発生しやすい条件が重なって大規模な火災となっているらしい。 森林火災の原因は、落雷、タバコの投げ捨て、失火、放火等多々あるがこの火災は、放火によるものと発表されていた。 |
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ユーカリはフトモモ科に属する常緑高木でオーストラリア南東部とタスマニア島に分布する。ユーカリは、500種類もあるといわれる。 硬い種子で通常は発芽が困難であるが、山火事で加熱されると外皮に割れ目が入り種子が落下して、発芽しやすくなるという。 この樹種は成長が早く大木になるので日本の企業がオーストラリア国内の各地で製紙原料等のため植林をすすめているという。 ブルーマウンテン国立公園は、ユーカリの種の保存と原住民のアボリジニィの文化の保存を目的に世界文化遺産に登録されている。 ユーカリの葉は芳香があり、風呂に浮かべ爽やかな香りを楽しんだり、精油の香りが花粉症をやわらげると利用する人もいる。 |
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当公園内の歩道の傍らに見られたバンクシャの花、ヤマモガシ科の常緑木本で、オーストラリア国内に80種程生育しておりそのうち公園内に5種類が生育する。乾燥地に生育する植物である。花には蜜がつき鳥や虫が集まり媒介するが、種子は外皮がまもっている。この種子も山火事により落種して更新される。 再び種子ができるには7年の年月を要するという。 わが国では、森林を山林火災 から守りましょう |