世界の車窓へ(2004年1月分)

2004/02/01 (Sun) 189

.「1月31日(土)」.
■DCAから、『IRIS』秋冬ツアーの日程が決定した、というメールが届く。それによると、今年の11月中旬からパリ公演が始まり、05年2月中旬までフランス各地での公演が続く。帰国はそれ以降ということになる。というわけで、『トーキョー/不在/ハムレット』本公演中は、僕自身が東京に不在なので、全く出演出来ないことになった。そこで、考えた。生電話出演なら可能だ。それにどんな効果があるのか分からないが。


■六本木ヒルズのイベントは、実は、一筋縄ではいかない形態なので、いろいろ考えを巡らす中、ふと思いついたことがある。桜井さんが「『コドモ身体』ということ」で触れてくれた路線の発展系。いろいろアイディアが膨らみ、早く下見に行かなければと思うが、時間が取れなく、困り果ててはいる。

「『コドモ身体』ということ」
http://www.t3.rim.or.jp/~sakurah/kodomobody.html



2004/02/01 (Sun) 188

.「1月30日(金)」.
■3月の六本木ヒルズのイベントは、3月28日(日)に決定。出演者も旬なメンバーが勢ぞろいします。ので、これから、どんどん煽って参ります。


■宮沢さんに報告した個人的なことは(宮沢さんが富士日記で書いたので)、反響が凄く、たくさんの人からお祝いメールを貰う。ありがとうございますと思うものの、こうなったら、「必勝!ブライダル大作戦」と名付けて、当日までの様子を報告しようか、と思わないのは、ネチケット上良くないからというだけが理由じゃなく、こっちは煽ったところでどうしようもなく、ひっそりとしたいからです。すいません。親戚も来ますので。あ、誤解してる人が多いので、ひとつ書かせてもらえれば、ボクデス・JRが出来たわけじゃないです。というわけで、今日も、用事で西へ東へ。


2004/02/01 (Sun) 187

.「1月29日(木)」.
■初台の宮沢さん宅で打ち合わせ。遊園地再生事業団の新作『トーキョー/不在/ハムレット』は、2005年1月に行われるのだが、それに先がけて、リーディングなどの様々なプレ公演が今年、何回かある。僕は6月の『IRIS』スペイン〜ルクセンブルグ〜モンペリエツアーのほか 、秋にもヨーロッパツアーがあって、どのような形で出演できるか分からないが、何らかの方法で参加するための打ち合わせ。打ち合わせでは、舞台にヤギを出したい宮沢さんの意向があるが、その世話が大変そうなので、それの代替案(たとえば、おじいちゃん等)や、移動する新都庁といったバカな話ばかりしてた。まあ、そういった話だけでなく、確認しておきたいことは、ちゃんと聞いたけど。新作も『トーキョー・ボディ』路線というか、<テキスト>と<パフォーマンス>と<映像>のミックスされた舞台になる感じで、僕の役割も<パフォーマンス>をどうやるかが、大いに占めるはずなので、「どうして、パフォーマンスをやるんですか?」という素朴な質問をしてみた。帰ってきた答えに、興奮し、尚且つ、イメージがばーっと湧いた。「・・・ドラマから逃れたいんだよな。」そうか、ダンスをしたいわけじゃないのか!とか、何でもアリじゃん!といった高揚感が体を支配した。「ドラマから逃げる方法」の具体案はこれからだが、これまた、楽しめそうな作業の予感がする。あと、宮沢さんは、大学では、「先生」だが、遊園地再生事業団では、「劇作家」「演出」であって、「先生」ではない。そう思えるように、10年かけて、やっとなれた。

■あと、個人的なことも報告。



2004/01/29 (Thu) 186

.「1月28日(水)」.
■何日か前に、PRIDEとK1は、早く仲直りしてほしいと書いたが、ある文を読んで、考えが少し広がった。その文とは、(祝)ぴあコラム大賞をとった井苅智幸の「みちのくじょんがらFight!」では、もちろんなく、ある格闘技サイトにあった文。そこには、昨年末の大晦日格闘技興業戦争について、「一定の数しかない現有の格闘技ファンを奪いあう競争にしかならないのであれば、意味のない競争だが、全体として新たなファン層を獲得する結果に結びつけば、市場はさらに潤い、業界の発展に結びついていく」と。つまり、対世間という発想であり、他者とのランコントル(出会い)という発想ならば、対立構造もやむなしという考えである。また、お正月映画興業戦争で、『ファインディング・ニモ』と『ラスト・サムライ』がそれぞれヒットしたのは、お互いが客を呼び合うという相乗効果の結果らしい。こういった考えを、自分のいる「世界」に置き換えてみるならば、って僕はトレンド・ウォッチャーじゃないし、考えなきゃいけないことが山のようにあるので、しない。


■先日は、吉野家の新メニューを味見してみたが、今日は松屋の豚めしを試してみる。味の話はともかく、先日の吉野家で生じた感涙という感覚にはならなかった。思うに、これは、松屋に従来からある食券システムが問題ではないか、と。食券という、ディスコミケーション制度がもたらした弊害。つまり、簡単な言葉で言うところの、人と人とのつながりが、って考えなきゃいけないことはこんなことじゃない。


2004/01/28 (Wed) 185

.「1月27日(火)」.
■三軒茶屋のエンターブレイン社・会議室で、編集者Kさんと「忍者ビデオ」フランス編の映像素材チェック&打ち合わせ。


■Kさんは、今度、タクシー・ゲームの記事を書くらしく、タクシーにまつわる面白エピソードを集めている。僕もパリのタクシーのことを話したが、普通なので、ドライバーから聞いた中で一番驚いた話をする。その話とは、「乗るときは生きてたけど、降りるときには死んでた人」の話。Kさんも驚いてくれた。



2004/01/27 (Tue) 184

.「1月26日(月)」.
■用事で福島へ。東北新幹線やまびこは、90分で白河の関越え。地面の上にすぐ夜空。寒空に星100万ボルト。


2004/01/26 (Mon) 183

.「1月25日(日)」.
■渋谷で『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』を見た。死ぬこと(生きること)の大変さと、腹痛の大変さが等価なのがイイ。あと、一緒に見た人から「今日のといい、『ゼブラーマン』といい、宮藤さんはいつも蟹を悪として描くけど、蟹に何か恨みでもあるのかな?」と言われるが、僕の知る由はありません。


■夜、テレビでPRIDEの怪人・百瀬博教とK1プロデューサー・谷川貞治の対談を見る。早く仲直りしてもらいたい。お父さんとお母さんの仲が悪い子供のような気分で、ほんとうにそう思ってる。


2004/01/25 (Sun) 182

.「1月24日(土)」.
■桜木町の駅を出て、赤レンガ方面に行かなく、関内方面に歩いて5分くらいのところに、1929年(昭和4年)に建てられた旧第一銀行横浜支店と旧富士銀行横浜支店がある。現在は銀行として機能していないその歴史的建築物を、演劇&ダンスのパフォーマンス、現代美術作品の展示、インスタレーションの場として、運営していくプロジェクトがあるらしく、「ここで何かやりませんか?」とメールをもらったのが、先日のこと。で、今日、説明を聞きがてら見学に行ってきた。
■(只今、見学中)
■見学し終わって、プロデューサーのOさん(前・STスポット横浜館長)と話しながら、色々考える。これまで、ボクデスでステージ作品をやる場合、なるべくフラットな舞台空間でやってきた。イベントなどに呼ばれた場合は、そこで可能なネタをチョイスして持っていった。河童次郎という空間を選ばない、「どこでも出来る」というものは、その逆の考えから生まれたのだけど。で、この旧銀行施設は、劇場のようなフラットな空間ではない。営業室があり、金庫室があり、建築物を支える大きな柱、階段がある。それらは、邪魔とも言えるが、それは、ここをいわゆる劇場と思ってるから邪魔なのではないか?反対に、「ここ」でしか成り立たないものがあるのではないか?と思えてきた。『BOKUDEX』は、色々な場所で公演可能なように構成したが、それとは、真逆の発想。『フライング・ソーサーマン』初演も、STスポットに足繁く通って、構成を練った。幸いにも、この施設も、いろいろ試しが出来るし、時間もある。具体的なことは、これからだが、「何か」やろうと思ってます。テーマはやっぱ「マネー」かなー。あ、ついに魔界ネクタイの登場か?『ヒミズ』には「金!この世に唯一存在する魔法!」というセリフもあったし。
■あと、聞いて驚いたのだけど、旧第一銀行横浜支店が付属するアイランドタワーの建物は、以前、別の場所のあり、毎日すこしずつ移動して、今の場所に来た、と。ハウルじゃん。そんなことが出来るなんて知らなかった。「新宿の新都庁と同じ技術です」って言われ、また驚く。都庁も動くの?建築物が動くのだったら、地図とか意味ナイね。カーナビつけとかなきゃ。



■みなとみらい線の開通により、東横線桜木町駅は1月30日でなくなるらしく、駅ホームには、写真を撮る鉄道マニアが大勢いた。まだ、こんなにドデスカな人たちがいるとは思わなかった。良いことだと思う。


2004/01/24 (Sat) 181

.「1月23日(金)」.
■また泣く。
■近所の吉野家。前を通るたびに、「まだ大丈夫かな?」と覗いていたが、新メニューを味見してみたく、今日は中に入る。店内は、通常通りに賑わっていて、中国からの留学生らしきバイトの女の子が忙しそうに働く。牛丼以外のメニューは、カレー丼、マーボー丼、豚キムチ丼。店舗によっては、いくら鮭丼もあるらしいが、僕は豚キムチ丼を注文。中華丼みたいなトロミ感のあるソレを食し(←町田康的)ていると、隣のオジサンが勘定を払いながら、バイトの女の子に「頑張ってね」と声をかける。それを聞いて、涙が出てきた俺。おそらく日本中が心配している吉野家の今後。愛され、愛する関係を目の当たりにして、涙していた。おじいちゃんか、俺は。で、頑張ってもらいたいと思ってる矢先、今度は鳥インフルエンザ!?



2004/01/23 (Fri) 180

.「1月22日(木)」.
■「妄想ごっこ」シリーズ・その2。
影絵ドラマ「ザ・ワールド・イズ・マイン」


■一人の男が、熊のキグルミを被る。「熊」になった男は、町行く人を脅かす。調子に乗る男。そこへ、一人のハンターがやって来て、彼に猟銃を向ける。慌てる男。キグルミを脱ごうとするが脱げない。ジリジリ、距離を縮めるハンター。叫ぶ男。「俺だ!玉川だ!」その声は、ハンターに届かない。逃げる男。そのとき、ヘルメットを被った別の男がやってくる。ヘルメットの男に助けを乞う、熊の男。ヘルメットの男は、持っていたプラカードを熊の男に見せる。それを見て、ずっこける男。プラカードには「ドッキリカメラ」の文字。以上、全部を影絵で。どうでしょう?


2004/01/22 (Thu) 179

.「1月21日(水)」.
■ありがたいことに、「ランコントル(訂正したけど、頭文字はRだった)必勝大作戦!編」が終わって、「東京編」を始めたばかりと思いきや、いろいろなオファーをいただく。ありがたいことですが、まだまだ受付中です。大丈夫です。


■それらとは別の次元で、とてつもない事態が進行しているのだが、「書くこと」と「書かないこと」があるのなら、「書かないこと」の方なので、書かない。いつか書きます。


■今から、『シガテラ』、読むから、今夜はサイナラ。


2004/01/21 (Wed) 178

.「1月20日(火)東京編スタート」.
■[HOME]でも、少し触れたけど、次回のボクデス出没は3月末、六本木ヒルズの予定。森美術館で開催される『六本木クロッシング:日本美術の新しい展望2004』展と絡んだ企画で「何か」やります。詳しいことが決まり次第、また報告しますが、乞うご期待くださいまし。


■↓こんなの出るんだね。おこづかい貯めなきゃ。
 
「DIRECTORS LABEL」
http://d-label.jp/summary.html



2004/01/20 (Tue) 177

.「1月19日(月)」.
■イギリスでメディア・アートを専攻している金林から、またメールが届く。大学院は今年卒業らしいが、卒業後の予定はまだ未定で、もし『IRIS』ロンドン公演があるのなら、それまで滞在するので、一緒に食事でもしましょう、と書いてくれた。そのことは大歓迎だが、「イギリスの食事は、噂に漏れず本当にマズイです」って、なんだ、それ。あと、僕のことを「He is simply marvelous!」「brilliant performance!」と誉めてくれたフランス人の友人は、「彼のオシリが素敵!」とも言っているらしく、どうやらゲイの人だった。なぜか、フランスのゲイに気に入られる俺。こうなったら、パレードにでも参加してみるか。


■別件の用事もあったので、事務局に電話して、アレのことを聞いてみる。すると、プラットフォーム(推薦会)は世界中で開催され、その全部が終わる2月末以降にならないと、正式に決まらない、という答え。やるだけのことはもうやった。あとは待つだけである。RHDSも何もない。と言う訳で、短期集中「ランコントル必勝大作戦!編」は今日で終わり。結果はまた報告しますが、ひとまず、ご愛読&応援アリガトウございました。なんだか尻すぼみ感は免れないけど、俺の尻に免じて許してほしい。


2004/01/19 (Mon) 176

.「1月18日(日)」.
■おい、金沢、アレまだか?

■午前中、上野でドイツ人写真家・アーノルド氏と会い、先日のアレの舞台写真を見せてもらった。打点の高いドロップキック(本番では低空ドロップキックだったけど)の決定的瞬間を捉えた写真など、いくつか購入。フリーの仕事人の姿も垣間見た。

■午後、運転免許の更新。長い行列で待っている間、新井英樹の『キーチ!!』を夢中になって読んでいたが、視力検査に影響が出ないかと動揺したのは、感涙してしまっていたからだ。運転免許試験場の列で漫画を読んで泣く男。講習では、ヒヤリとしてハッとする「ヒヤリ・ハット」という言葉を学ぶ。ダジャレでなく、安全用語のひとつとして、現実に存在する。また、事故の衝突の際、衝撃の度合いは体重の30倍の重さがかかる、という説明において、「30kgの子供には、900kg重の衝撃。ちなみに、ボブ・サップさんの体重は171kg。サップさん、5人以上です」だって。

■夜、事態はまだ混乱している。



2004/01/18 (Sun) 175

.「1月17日(土)」.
■アレ、まだです。

■1995年の遊園地再生事業団「知覚の庭」公演前に行われた長期ワークショップで知り合ったKという友人がいる。最近は疎遠になっていたが、CGの仕事をしていた彼が、イギリスに留学に行っていると、人づてに聞いたのは、昨年の秋頃のことだ。そんなKからメールが来た。メールによると、大学院在籍中のKのクラスメイトのフランス人が、パリに帰省した際、『IRIS』を見たらしく、「この日本人が最高だった!」(原文ママ)と言いながら、公演パンフレットをKに見せた。で、おもむろにそれを手にとって見たら、僕の名前が載っていた。最近の僕を知らないKが、検索してボクデスのサイトを発見し、メールをくれたというのは、後からの話で、フランスで放送された「風雲たけし城」の中で僕を見たと主張する、そのフランス人の友人は、どうやら、僕のことをたけし軍団の一員だと思っているらしく、Kも思わず「そうだよ。」と言ってしまった。って、なんだそれ。金林の虚言癖は相変わらずだった。日本にいても、イギリスにいても、金林はそのまんま金林であることは嬉しいが。あと、金林は、イギリスのケーブルTVで、ダイナマイト・キッド&デイビーボーイ・スミスのブリティッシュ・ブルドッグス特集をやっている、とも教えてくれたが、それは嘘じゃないと思いたい。



2004/01/17 (Sat) 174

.「1月16日(金)」.
■いろいろ決断しなければならないことがあるが、アレとアレが決まらないと、身動き出来ないという事情があって、そういうときは妄想ごっこをする。今日したのはボクデスの新作『BOKUDON〜ボクデスのド−ンとやってみよう!』について。TV表現において、先駆的役割をした欽ちゃんをモチーフにした作品。■動きで言うと、欽ちゃんジャンプ、欽ちゃん走りなどがあるが、二郎さんに出したドロップキックが僕には忘れられない。スティーヴ・ライヒをバックにして、執拗に二郎さんに「トビマス、トビマス」を反復させる欽ちゃん。で、ドロップキック。二郎さん役は関寛之とか適任かもしれない。欽ちゃんバターン倒れも凄かったが、難しそう。■ほかに使いたい音楽は「仮装大賞のテーマ」。あれ、何かかき立てられるものがある。ボクデスのネタでも「それ、仮装大賞っぽいなー」と駄目だしをもらうことがあるのだが、それは、どんなに面白くても、イメージの収斂でしかないという仮装の根源的な指摘というよりも、施工の稚拙さが多くを占めている気がする。下にリンクした過去の受賞作「バスケットボールの影」「ピンポン」とか実際、凄いのだけど、ビジュアルは手作り感覚だ。あと、「お弁当箱の唄」の魅力も捨てがたいものがあるが、何より、それらはダンスじゃない。あ、それが根本か。■ならば、良いダンス、悪いダンス、普通のダンスという手もあるが、その構造にはあまり興味ナイ。「ハイスクール・ララバイ」のドラムのマネというのは、アリかもしれないけど。あと、「ノゾミ・カナエ・タマエ」というネーミングね。■ボクデスの作業は、こういったことを55個以上考え、様々と組み合わせ、最終的に「ゴー」を出す。もちろん、「バンザイ、ナシよ」が圧倒的に多い。

「全日本仮装大賞・最近の名作」
http://www.ntv.co.jp/kasoh/past_movie/index.html



2004/01/15 (Thu) 173

.「1月14日(水)」.
■凪な一日、と言っても喧嘩薀蓄のことではない。


■いろいろ後始末の中、リスペクトするある人が今度映画化する、羽生生純の『恋の門』を読み始める。遅ればせながら読んでいるが、やべえ、止まらない。


2004/01/14 (Wed) 172

.「1月12日(月)」.
■昼間、シベリア少女鉄道『ウオッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』を見に下北沢へ行く。初めて見たけど全面支持。伏線があり、それが壮大な「オチ」に繋がるというこれまでのパターンとは違うらしいが、刺激的だった。「笑い」を求めている人には不満も残ると思うが、僕が見たいのはそういうのではないし。感動して泣きそうになった。勇気ももらった。最近の小劇場演劇を見ても、あまりこうはならなかったが、出たいとすら思った。俺、踊らされてる?

■夜、ある人に「壁男」のロング・バージョンのビデオを見てもらうために、天王洲で待ち合わせ。ビデオを見ながら、ボクデスの作品は、いつも2〜3分の小作品から構成されていることを教えると、「HAIKUだね」と言われる。これ以上はまだ書けないが、RHDSは終わってない。


2004/01/14 (Wed) 171

.「1月11日(日)」.
■横浜プラットフォーム2日目。今日も赤レンガへ行く。道すがら、『群像』を探すが、無かったので、パン屋の話の本を買う。やっと、本が読める環境にはなれた。で、本日の「ランコントル」。アンサンブル・ゾネの作品は初めて見た。どういうわけか奇抜なパフォーマンス・グループだと思っていたので、開演直前に客席に座った盲目の人も出演者の一人だと思い、最初の音楽中、その人のことをずっと見ていたが、誤解だった。2組目は郁女とミヤの作品。パリ・ライフでも、お互いの出品作品の情報交換はしなかったので、郁女がこんなことを考えていたのかという意味では面白かった。終演後、「でも、『IRIS』のパクリだよね」と本人に言うと、驚いた顔をし、本人にその気は全く無かったことが逆に僕を驚かせた。また、映像に使われていたホテルの部屋は、僕らが泊まっていたホテルで、10日前までいたのだが、その景色も懐かしく思えるほど、帰国後は目まぐるしかった。3組目は、ボクデスと同じ路線にあると言われている康本。実を言うと、去年8月の『脱心講座〜昆虫編』再演に際して、出演を依頼されていたのだが、山口ライフがあったのでお断りしていた。そういう意味でも、見ていたのだが、三浦宏之さんというダンサーを選んだ康本は、悔しいが大正解だと思った。

■終演後、昨日&今日の7組作品の中から、「ランコントル」本戦出場とは関係ないが、ナショナル協議員賞が発表される。まず、三浦雅士氏が全体の講評を言う。(→)。そして、「最終的に2組が受賞ということになりました」発言で、(↑)となる。僕個人は、ルーデンス or ボクデスと思っていたからだ。でも、すぐに、「奇しくも、本日上演した作品の」発言で、(?)となり、郁女&康本、両名の名前が告げられ、(↓)。続けての、「いろいろご意見もおありと思いますが、彼女らには可能性がある、ということを期待しての授賞です」発言に、僕の隣にいた大人計画の宮崎吐夢は、「小浜さんには、可能性がない、と言うことですね」だって。

■ナショナル協議員賞は決まったが、先述のように、それがすぐにバニョレ本戦出場というわけではなく、それは後日決まる。で、とりあえず、その推薦委員であるバニョレ国際振付作品センターのA女史に挨拶を兼ねながら、感想を聞きにいくと、驚くべき発言が待っていた!(↑↑↑)。つづく!


2004/01/14 (Wed) 170

.「1月10日(土)」.
■朝、開店と同時に「魚の館」に行くも、店頭に手頃な蟹はなく、まだ店員が仕入れの箱から、届き立てのを取り出し、並べている。焦っちゃよくないと思い、店外でタバコを吸って待つ。2本吸って、再び店内へ。まだ陳列の最中だったが、良い感じのものがあった、今度は。「今、そこにある蟹」を、手にとって大きさ&重さ&足は全部そろっているか等、フォルムをチェック。店員は「こっちの方が、身が詰まってますよ〜」と言うが、逆にそういうのは困る。で、1杯2000円のを、2杯買って、即行で家に戻る。

■家に着き、札幌の市場で教わった保存方法で、蟹を梱包していると、鈴木の運転する車が迎えに来たので、直接会場入りする松本を除く、チームRHDS(ランコントル必勝大作戦)の4人で、赤レンガに向かう。車内では、使用音楽をかけてキュー出しの特訓、転換時に取り出す缶コーヒーCMのラップの勉強(「踊りに行くぜ!」のスポンサーはアサヒビールだったので、そのときはWONDA。今日は、キリンビールがスポンサーなのでFIRE、と抜け目の無い我々だ)や、カーテンコール時で、評議員を勘違いさせるサクラ拍手のやり方を練習したり・、バカみたいなテンションだ。あと、「ダン、ダン、ダダン!」と、PRIDEのテーマ曲をつい口ずさんでしまう高揚感。

■で、思った以上以上に早く、赤レンガに着いた。ルーデンスのリハ後、ボクデス用プロジェクターの高さを変更する事によって変わる、立ち位置の確認を特別にやらせてもらう。思った以上以上にスンナリいき、低い位置からの投影が可能になった。

■15時開演。ボクデスの出番は4番目、17:05開始予定なので、2時間ある。頭の中で2時間の使い方を考えながら、アップ。楽屋にはTVモニターがあり、舞台の様子が分かるのだが、それを見ていた鈴木が聞く。「皆、ダンスしてますよ。ホントにこの後に、小浜さん出るんですか?」と。

■17時15分。予定より少し遅れて、3番目の岡本さんが終わった。幕の中、急いで慌てず、プロジェクターの設営と、「壁男」アニメの立ち位置、再チェック。思った以上以上以上にスンナリいき、思った以上以上以上以上に落ち着いている。白いボードに頭を突っ込み、後ろ向きに立ち、17時25分スタート。紹介ナレーションの後、暗転の中、カラカラと名物のカーテン開く音が聞こえる。自分でもビックリするくらい冷静な自分がいた。緊張も気負いも全くない。こんな精神状態で舞台に立つのは初めてに近い。カーテンが全開すると、曲がかかる。智香のキューだ。曲のボーカル入りで照明が入る。鈴木のキューだ。ボードを回転させると、ビデオ映像が投影される。太野垣の仕事だ。皆、きちんと自分の仕事をしてくれている。映像終わりで、一端はけて、時計を背負い、暗転板付き。曲カットアウトと同時に明転。正面からの明かりがとてつもなく強く、前方が何も見えない。お客さんがいるのかどうかも分からないほど、周りは真っ暗で見えなく、宇宙空間に漂うライカ犬のような感覚だった。この「Watch-man」終わりで、クスクスと声が聞こえたので、客がいることを初めて認識する。次の「ゲラーダンス」の曲入りで、照明&立ち位置を変えるが、照明が0・5秒遅れた。0.5秒待って移動。で、最後にスプーン曲げなのだが、曲がらないという緊急事態が起こった。「松本め〜」と0・1秒思い、0・2秒でコウベを垂れて曲げる事を思いつき、難を逃れた。その後、「よっこいしょういち」で弾みをつけて、「なにかが道をやってくる」。「位置について。ヨーイ、コテッ」で大丈夫だ、イケルと思った。思ったものの、呂律が回らなくなるのが、予想以上に早く来た。ホントは溜める箇所もあったのが、バレル前にぶった切って行く。バレタと思うけど。で、「お座んなさい!」3回で照明フェードアウト。もう足はフラフラで、意識は朦朧としている。暗転の中、誰かが介助してくれる。松本だ。松本に抱きかかえられ、袖中に。舞台では「shortcake」の映像。その間に、蟹の準備。バブルも素晴らしい出来。欲張り過ぎて、いつもより多く、口に含んでしまったが、直ちに、客席の後ろを通って、客席階段通路に行く。明転。左の袋から蟹の足が覗いてるのが見えるが、今から直すことは出来なく、そのまま階段を横歩きで降り、舞台に向かう。で、「蟹ダンサー多喜二」。スタミナ不足に加え、思ったより蟹の重さは重く、勢い良くシェイク出来ない。また、体内からの蟹汁量は予想以上で、前方の客、後方のスクリーンにはかけてならなく、横方向にシェイクするが、降りかかる、降りかかる、自分に。その水分量は過去最大で、蟹シャワーを浴びた時のような感覚と言えば、分かってもらえるだろうか。で、そろそろJBからABBAへの切り替えだ、と思っていたら、口からのバブルを忘れていて、徐々に出すつもりが、「ブハァー!」とやってしまった泡沫候補。何か俺、非常に汚い姿だなあ、引いてるかなあと思いながら、オーラスのバンザイ&シルエットで暗転。「ヒュー」と身内スタッフの声じゃない掛け声、拍手が聞こえ、少し安心する。そんなこんなで17時45分、なんとか遂行。

■終演後、推薦委員の一人であるIさんは「気にしないで好きなこと、やりゃあ良いんだよ」と言ってくれるが、別の意味にも聞こえた。榎本了壱さんは「底抜けてましたね」と。ニブロールの矢内原美邦からは「何で、普通に立ってるのよ!気持悪い」と、案の定、怒られるも、「一番面白かったけど、賞は無理だな」と、問題的、且つ核心的なことを言われる。また、信頼出来る、数少ない男性振付家・白井剛君(発条ト)とは、映像ネタの話が出来て、嬉しかった。ランコントル=出会い、という意味においては色々、出会えた。大人計画の池津祥子や、「トーキョー・ボディ」メンバーという懐かしい面々も含めて。この後の、搬出して車で東京に戻る予定を、笑顔の桜井さんや久しぶりに会った押切伸一さんらに告げると、「じゃあ、神楽坂で飲もう」という事になり、そうなる。

■道具をまとめて、車で東京へ戻るチームRHDS。正月早々、呼び出して、稽古に付き合ってもらったが、皆、いい仕事をしてくれた。ありがたい。不思議なもので、気がつくと「タ〜タ〜タタ〜」と、PRIDEの試合が終わった時の曲を口ずさんでいた。というわけで、結果はまだだが、とりあえず年を越せた元旦のような気分ではある。


2004/01/10 (Sat) 169

.「1月9日(金)」.
■朝、鈴木の運転するワゴン車に道具を積んで、横浜・赤レンガ倉庫へ。思った以上に早く着いたので、劇場へ搬入後、海を見ながら、皆でいなり寿司を食べるも、カモメやトンビが狙って来たので、逃げる。

■14時から、舞台でリハーサル。まずは、「壁男」のアニメ映像に使うプロジェクターの位置決めだが、予想以上にスンナリいった。逆に、予想以上に時間がかかったのが、この後の照明作りで、と言うのも、劇場入りし、ステージの大きさを見たら、当初のプランから変更したくなった箇所が多々あったからだ。で、そのあと、いきなりランスルー。ボクデス側で用意したスタッフ(太野垣、智香、鈴木、松本)は、キッカケを把握しているが、オペレーターの方は初見なので、キッカケ毎に止める場当たりからやる、と思いきや、舞台監督のAさんの判断で、端から通した。で、通し後、細かい直しを入れる。

■僕は出てるので全部を見れない。通しの様子をビデオに撮って、後から確認作業をしようと思っていたが、不手際か撮れてなかった。怒ってもいい事だが、怒っても事は解決しないので、見ていてくれたスタッフの言葉を信じるしかない。やはり、稽古場で実寸の取れなかった「何かが道をやってくる」のスペーシングがユルイ。本番までステージはもう踏めないので、急いで、車で中野の稽古場へ向かう。

■で、中野に19時半到着。今日の稽古場は実寸が取れる広さなので、実寸で何度か動く。空間の大きさは、徐々に把握してきたが、疲れか呂律は回らなく、過去最大の滑舌の悪さだ。何を言ってるのか全く分からず、普通に考えれば、俳優生命に関わるほどで、まさに、俳優or DIE or 振付家!何かを手に入れるには、何かを捨てなくてはならないのか?時は来た!?

■稽古後、家の近所の銭湯に向かう。LAQUAとは全く客層の違うそこは、全身刺青の男、ぶつぶつ何か呟いている男、抱っこして子供の歯を磨くお父さん、デブ、おじいちゃん、等がいた。裸で。そんな中、サウナ→水風呂→高麗人参配合漢方薬湯の黄金コースでリフレッシュ。「振付家の中の振付家、出て来いや」決戦も、ついに明日が本番。ただいま、PRIDEのテーマ曲が、頭に鳴り響いてますが、あとはもう楽しむしかなく、自分の畑を耕すしかないわけで、これが終わらないと年を越せた気がしない。曙になれるか?いや、違った。幸子になれるか?これも違った。


2004/01/09 (Fri) 168

.「1月8日(木)」.
■朝、いつも蟹を調達している上野の「魚の館」に行き、仕入れチェック。今日もいいのが入っていたが、鮮度を保ちたいから、購入は本番当日。

■ダンスのコンペジションとかで、面白いと思った振付家の作品が、ことごとく落選するという目利きの薄い評論家がいるのですが、ボクデスの「ランコントル」出場に関して、その人が批判的なことを言っていると聞いて、少し安心した。

■で、東中野の稽古場へ。昼は、美術のボク松本が来てくれ、道具類の手直し。蟹のバブルの良く泡立つやり方も見つけた。夜は、衣裳のスーツを着て稽古。眼鏡を新調したのだが、なんか顔に大きく、モニカっぽくて変。スーツもモニカっぽくしたほうが良いのか?帰ってきて、プロジェクターの実験中、ちょっと困ったことがあったので、ニブロールの映像ディレクター・高橋啓祐に相談&解決。

■明日は、横浜・赤レンガ倉庫に行き、テクニカル・リハーサル&ゲネプロ。一人2時間という限られた時間の中で全てをしなくてはならない。それが終わったら、本番まで舞台は使えなく、まずは、時間との勝負だが、ホントの決戦まで、あと2日。


2004/01/08 (Thu) 167

.「1月7日(水)」.
■世の中には、稽古が好きで好きでたまらなく、いっそ本番なんか来なくてずっと稽古していたいと思う人もいるらしく、そういう人が多くいるからワークショップというものが流行ってるとは思うが、実を言うと、僕は稽古が苦手で、本番さえ無ければ、家の中にいたいタイプだ。これまでのボクデスでも、(この「車窓」を見てもらえてれば分かるかもしれないが、)脳内でアイディアを築き上げることの方が好きで、稽古場での作業にあまり時間を割いてなかった。実際、あまり大きい動きはしないので、稽古は一人で自室でやっていたし、アニメーション製作の現場に立ち会ったり、小道具を作ったりすることに時間を費やしていた。でも、今回はそうも言ってられなく、太野垣に稽古場を準備してもらっていた。

■で、中野へ。別に誰かに言われたわけじゃないのに、今日は昼&夜稽古。一昨年の「踊りに行くぜ!」において、繰り返しやらせてもらえたことで、見つけられたものがあった故、稽古を繰り返すが、自分の中の新鮮味が薄れて来ていることも事実だ。稽古には、『トーキョー・ボディ』で共演した鈴木将一郎にも付き合ってもらってるのだが、鈴木が「飽きてからが勝負ですよ」と言うものの、稽古場の隣からはヒーリング教室の変な音楽や「イチとニーと、イチとニーと、クイッククイック、スロー」という社交ダンスの掛け声が聞こえてくるので、なかなか勝負しづらい。また、同じく稽古に付き合ってもらってる佐川智香は、「何かが道をやってくる」を見て、「何を伝えたいの?」と聞くが、すぐには答えられなく、少し時間が経ってから、「言いたいことは何も無く、無から何かが立ち上がる様を作りたい」と気づく。

■あと、毎日のクラスが、体に変化をもたらしたと先述したが、この「車窓」を毎日書くことも、少なからず僕に影響を与えているように感じる。詳しくは、また書くが、脳の中に液晶画面があって、常に言葉を変換している。ぷよぷよをやり過ぎた時みたいに、その画面は動いている。そんなこんなで決戦まで、あと3日。昨日の温泉効果か体はすこぶる軽い(小浜基準で)。


2004/01/07 (Wed) 166

.「1月6日(火)」.
■ホントは稽古場も押さえてあって、今日から昼夜稽古の予定だったが、体に溜まった疲れがどうにも取れなく、このままでは逆に良くないので、心を鬼にして休むことにし、小道具チェックの日にする。が、どうせ鬼にするならと、近所の東京ドーム天然温泉LAQUAに行く。泊まっていたパリのホテルの部屋にバスタブはなく、1ヶ月半シャワーのみの生活だった。帰国してから家の風呂に入ったとはいえ、山口ライフで温泉を満喫していた者には、満たされないものがあった。で、LAQUA快適だったよ。朝から行ったからかもしれないが、人もまだ少なく、隣のジェットコースターから「きゃ〜」という声が聞こえる露天風呂も気持ち良かった。ここの温泉は、化石海水というもので、つまりは塩水で、しょっぱい。顔とかは少しひりひりする。化石海水が何かというと、約3万年前の氷河期に地中に閉じ込められた海水で、それが熱くなって湧き出ている。だから、熱帯魚も泳いでいる、って嘘だけど、熱帯魚の意味が分かってないほど疲れていた。サウナは普通のサウナ、低温、超高温と3部屋あった。低温サウナは、涼しく汗もかかない。使い方がよく分からない裸の待合室みたいなそれは、サウナと呼べるのか。反対に、超高温サウナは熱すぎて、厚手のサウナマットを敷かないと座れなく、最初、そのマットに気づかなかった僕は立っていた。普通のサウナの入口には、なぜか、松井らのサイン入りバットが展示されている。あと、本郷だからか、浴槽の中で文庫本を読んでる人を何人か見た。今度来るときは、僕も本を持ってこよう。バロウズの本とかね。そのココロは、もう言わない。そんなこんなで、ゆっくり体を休ませることが出来た。鬼にして良かった。疲れてる人は、早起きしてでも、行ったほうが良いよ。

■帰って来て、道具類のチェックをしていると、年末に巨大大仏を見に行ったダンス批評家のSさん(まあ、あの人のことだが)から電話があり、少し話す。下馬評を聞くが、今回の「ランコントル」はコントンとしていて、本命無きらしい。ミラクルも起こるかも?


2004/01/06 (Tue) 165

.「1月5日(月)」.
■昼間、家内安全と必勝祈願を兼ねて、明治神宮へ初詣。

■夜、中野で稽古。『BOKUDEX』という作品は、「何かが道をやってくる」や「蟹ダンサー多喜二」(英文表記では、WWEのTAJIRIにあやかって、TAKIJIにした。TAKIZIじゃなくて。)など、6個のショート・ピースで構成されているのだが、その中のひとつに「Watch−man」というのがある。無粋を承知で作品解説めいたことを書くと、ダンスと呼ばれるものを見に行ったときに、よく感じる「どうして、この人はこういう動きを、今したのだろう?」というハテナ、たとえば、「どうして、この人は右手を上げたのだろう?」「どうして、顔はあっちを向いて、体はこっちを向いているのだろう?」とか、そういう当たり前のハテナから生まれた。「Watch−man」では、そういう「どうして」に必然性を与え、つまり、「こうするしかなかった」に思わせる手立ての一つを提示している。で、その「Watch−man」の稽古中、なんか調子が変だ。1年前と同じ動きをしているのだが、どうも、しなやかに動いている。(小浜基準で。)窓ガラスに映った自分を見て、ちょっと驚いた。そこには、普通の体が立っていたからだ。1年前の僕は、片足重心の猫背でいかり肩、まっすぐ立てなく、立つと常に曲がっていた。うすうす気付いてはいたが、毎日のクラスが、普通の体を養成していた。普通の体で、1年前と同じ動きをしても、コンセプトだけは伝わると思うが、そういうことは、あそこのあの人たちに任せておけばいいので、僕のしたいこととは違う。「いまの私のからだ」で出来ることは何かと探す。糸口が無いわけではない。



2004/01/05 (Mon) 164

.「1月4日(日)」.
■「ランコントル」で上演する『BOKUDEX』の初演は、02年11月。JCDN(ジャパン・コンテンポラリー・ダンス・ネットワーク)が企画する「踊りに行くぜ!VOL.3」札幌会場だった。冬の北海道だから、たやすく蟹が手に入るだろうと思っていたら、市場は毛蟹ばっかりで困った。奮発してタラバを買ったが、多くのズワイガニはロシアから輸入していることを初めて知る。で、札幌公演の2週間後に名古屋・七ツ寺共同スタジオで上演。その1週間後に仙台エルパークで上演。内容自体は、ほぼいつも同じで、変わりはしないが、繰り返し上演したことにより、見えてきたものが多々あり、作品の質は大きく変わっていった。最後の地、仙台では集大成が出せたと思う。恐怖で子供は泣き叫んでいたが。で、それ以降、『BOKUDEX』を上演してない。最低限、あの仙台の熱い夜までに戻さなくてはならない。


■で、夜、中野で稽古。軽い肩慣らし程度のつもりが、大量の汗をかく。1時間半の『IRIS』のステージでもこんなに汗はかかない。ボクデスの人は、基本的に動かないのが売りだが、この『BOKUDEX』では、新たな試みとして、動き続けるというショート・ピースをやってみた。動き続ける、という行為はダンスでは当たり前の話だが。で、ただ動き続けるのでなく、喋り続けながら、動き続ける。前述の3会場を巡回して、大きく変わって行ったのは、この「何かが道をやってくる」というピース。ある程度の「下書き」はあるが、舞台上でどんどん書き加えていくフリー・トーク。今日の稽古でびっくりしたのは、すぐに日本語の言葉が出てこないこと。フランス語が出てくるのかというと、そうではなく、「しゃー」とか「ぴー」とか言ってる。リズムも良くない。本番までには万全にするが、早目にそれに気づけたのは良かった。ハッスル行かずに良かった。


2004/01/04 (Sun) 163

.「1月3日(土)ランコントル必勝大作戦!編 スタート」.
■日本に着いたのは、予定より早く午後2時少し前だった。これは日本時間のことで、パリなら3日の朝6時だ。思うに、これは日付変更線を越えてないからで、大西洋を越えて、アメリカ大陸の上を飛んで帰ってきたら、まだ1月2日なのか?搭乗時間も計算しなくてはならないから、よく分からないが、そんなことを気にするのは、僕には時間がないからで、気づけば、来週の土曜が「ランコントル」の本番だ。というわけで、どれだけ更新出来るか分からないが、今日からは、短期集中「ランコントル 必勝大作戦!編」正式スタート。

■同じく「ランコントル」にノミネートされてる郁女、(郁女の作品に出る)ミヤと、空港でお互いの健闘を誓い別れる。別れしなに靴に画鋲を入れる、って嘘。正々堂々行く。■京成で上野に着いたのだが、パリでは日本人の姿は少なかったので、町行く人が、皆、中国人に見える。■12月の技術打ち合わせにも出てもらったC子と少し話すが、本格的なリハーサルは明日からの予定。ホントは、景気付けに「ハッスル1」に行くかどうか迷っていたのだが、日本に戻って来て、来週の今日が本番であることを思い知り、焦り始めていたのだった。焦り始めてはいるが、眠い。


2004/01/04 (Sun) 162

.「1月2日(金)」.
■正午までにホテルのチェック・アウトをしなければならないのだが、起きたら13時を過ぎていた。慌ててフロントに交渉し、パッキングをつづける。で、チェックアウト後、スーツーケースをフロントに預け、集合時間まで近所を最後のウロウロ。15時過ぎ、別便のヤン&フェイ・ボー、ドミニクらと別れの挨拶。日本組&見送りフィリップは、タクシーで空港へ向かう。■空港でチェック・イン。また窮屈で長い憂鬱な時間が訪れるのかと、思いきや、思わぬサプライズ。航空会社の余剰ミスで、ビジネス・クラスで帰れることになった。初めて乗る、ビジネス・クラス。最後にお年玉をもらった気分。■で、凄いよ、ビジネス。座席は180度くらい水平になって、体がまっすぐ伸ばせる。機内食のサービスも、エコノミーの給食みたいのとは違い、前菜が出されて、メインが来る。飛行機の醍醐味はビジネス・クラスにあると思ったね。「快適な空の旅をお楽しみください」なんて絵空事だと思っていたが違った。レスラーとか(海)外タレ(ント)とか、飛行機によく長時間乗れるなーと思っていたが、これなら大丈夫だ。映画も、DVDらしきものが各シートに備えられていて、見たいものが見たいときに見られる。■で、『パイラン』という韓国映画にやられた。号泣&慟哭。こんなに泣いたの、2年前の大晦日安田劇場以来。前半は韓国人ヤクザのしがない生活。後半、この男と顔も見たこともないのに、偽装結婚した中国人の女の子の死から、ドラマはうねる。「感謝」という気持が、パリ公演を終えた、今の僕の大半を占めているのだが、これに嵌まり過ぎ。泣いた泣いた。いつの間にか、中国人の女の子に、感情移入していて、韓国語を覚えるという何でもないシーンでも泣く。「毎日が怖い」という独白は、パリ・ライフ当初の12月頭、あまり書けなかった僕の暗黒面の葛藤に近く、そこでも泣く。毛布で顔を隠し泣く。終わってから、原作が浅田次郎と知り、悔しい気分になったが、気にしない。
■食べて泣いて泣いて泣いて泣いて寝て起きたら日本に着いた。そういうわけで、この窓、初の海外レポート「パリ編」も本日で終わり。近いうちにpastlogに、写真入りでアップしたいが、僕には他にもやらねばならないことがあった。


2004/01/04 (Sun) 161

.「2004年1月1日(木)」.
■新年明けましておめでとうございます。

■何年か前に、「Bonne Annee!」と書かれた年賀状をもらったが、意味が分からなかった。今は分かる。「謹賀新年」だ。■まだ、パリ。天気も悪く、部屋で寝正月してます。テレビでは「新春サーカス合戦」みたいのが流れている。面白かったのは、「馬のサーカス」。最初、白い馬が4頭、円を作るように走る。つづいて、黒い馬が4頭、走ってきて、白い馬の円の外を並走して、同じく円を作る。で、その後、白い馬と黒い馬が交互に並び、ひとつの円を作る。白・黒・白・黒、と。ちょっと驚いた。逆の意味で驚いたのは、「牛のサーカス」。何やるんだろうと思ったら、案の定、あんまりできなかった。4頭のホルスタインが、のそのそ出て来、客の方に乗り出し、止まる。また、のそのそ歩いては止まる。それはサーカスなのか。頑張れ、牛。■夜、パリに来て2日目の朝に入った日本料理屋へ「穴子寿司」を食べに行く。値段は少し高めだが、ここでの親切が、その後の僕に影響を与えたと言っても過言ではなく、店のチャイニーズのオジサンは、僕を覚えていてくれたみたいで、今日も暖かく迎えてくれた。


■そう言えば、僕の「幽霊」を見たある方から嬉しい言葉をいただいていた。手前味噌になるが、新年ということで許していただきたい。その方は、僕の手だけのダンス、「幽霊」を見て、ある人の手のかたち、動きにそっくりだなあと思ったらしい。指の長さもそうらしい。で、誰の手に似てるかと言うと、大野一雄先生だって!あわわわ。そんな小浜の「幽霊」じゃない、手だけのダンスも見られる『BOKUDEX』は1月10日、横浜・赤レンガ倉庫にて。チケットは絶賛発売中、って宣伝かよ。



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