世界の車窓へ(2003年9月分)

2003/10/01 (Wed) 62

.「9月30日(火)」.
■今日も休み。なので、VERY BEST OF ごっつのDVDを見る。初期「ゴレンジャイ」で見られる叱られた中学生みたいなのが、大好きなのだが、こういったものの微細なニュアンスは日本人じゃないと分からないんだろうなと、つい考えてしまう。



■夜、宮沢さんの大学の教え子である松倉さんのライブのリハーサルを、桜井さんと見に行く。最初の数曲は英語の歌だった。本人が緊張してたせいもあると思うけど、あまりピンと来なかったが、三曲目の日本語の歌を聞いて「良いな」と思った。英語の歌という、穿った見方をすれば雰囲気でカバーできる歌とは、全然違う印象を持った。何かが確かに届く。聞けば子供の頃から歌ってる歌だと言う。歌の専門的なことは分からないが、魅力的な人物であることは確かだ。人に聞かせるというより、歌うことが好き、というのが十分に伝わってくる。もしかしたら、人に聞かせるということを全く考えてないかもしれなく、それは会話の端々からも見受けられた。「ショウちゃんがね」とか「やっさんが」とか知らない人のエピソードが、説明ナシに話される。聞かせたい、伝えたいというより、話したいという思いがつよい感じ。良いことなのか悪いことなのか全く分からないけど、ショウちゃんが誰なのかを説明し始めたとき、松倉さんの中の何かが変わる。
ひさしぶりに、宮沢さんや桜井さん、伊勢☆たちと会って、バカな話が出来るのも楽しかった。くだらない日本語が伝わる安心感を感じる。

「松倉如子東京大作戦」詳細
http://www.u-ench.com/fuji/matsukura_live.html


2003/10/01 (Wed) 60

.「9月29日(月)」.
■東京。未明から朝にかけて、「トーキョー・ボディ」で共演した鈴木から送ってもらったPRIDE-GPとタイソンが登場したK-1のビデオをやっと見る。PRIDEの試合を見てて、これまでに感じたことの無い違和感に襲われた。「ひー!からだを壊しあっている!」という感覚。以前までは屈強な外人男達が繰りひろげる異次元の出来事として見てたのだが、今日は違った。身近な恐怖に思えた。この変化は、ここ何ヶ月かステファンやクリストフといったガタイの良いフランス男達と肌を合わせていたのが大きいと思う。また、ダンスのコンタクトでは、相手のからだをよく聞き、けして無理な方向の動きにはさせない。フル・コンタクトで殴り、怪我さす目的とは間逆の位置にある。知らないうちに、からだに芽生えていたことだった。

■夕方、返してもらった原チャリに乗る。シートに座ると、やけに目線が低く感じる。一瞬、パンクかとタイヤを確認したが違った。2ヶ月毎日、自転車に乗っていたので、その目線がからだに染み付いていたのだった。これも、気づかぬうちにからだが覚えたことのひとつ。原チャリだから、まだ良かったものの、僕がパイロットだったら乗客数百名の命に関わることだったと胸をなでおろす、って何を言ってんだか、俺は。

■で、原チャリで「座頭市」を見に新宿へ。
上映前、楽しみにしていたタランティーノの新作「KILL BILL」の予告編があった。「ジャッキー・ブラウン」の二の舞を感じさせるやな予感のテンポだった。あと、「ジェイソン対フレディ」の予告編も見た。大好きだったデスマッチ・プロレス団体、W☆INGの世界。で、「座頭市」。えーと、見てて、以前、田口トモロヲさんのライブのオープニングで勝新監督の「座頭市」が延々何十分も流されたことを思い出す。ライブ後、トモロヲさんにその意図を聞くと、「流したかったから」という答え。得てしてそういうものだ。で、北野版「座頭市」ですが、えーと、また今度。僕の中で何かが見えたとき、また書きます。「座頭市」だけにね。って、こういう落語家みたいなサゲをしなくなる自分に早くなりたい。


2003/09/29 (Mon) 59

.「9月28日(日)」.
■東京に帰る日。舞台スタッフは撤去作業。フランス&中国チームはオフ。日本人ダンサーは東京に戻る。

■パッキング、部屋の掃除を済ませ、最後だからと思い「翠山の湯」に行く。以前、極楽を味わった露天風呂がある温泉。前回は夕方だったが、今日は真昼間。太陽の光を浴びて、温泉に入るのも、また別の赴き。お客も僕以外いなく、思わず叫ぶ。「俺が王様だー!裸のー!」

■16時25分に山口宇部空港を離陸し、18時には東京・羽田に着いていた。あっという間に自宅のある神楽坂にいる。

■11月に公演のため戻るけど「世界の車窓へ」山口編も、とりあえず今日で最後。悲喜こもごもの山口ライフでした。数日後、横浜ライフが始まります。というのも県民ホールでの舞台設営のため、出演者は今日から数日間オフ。10月からドトーの日々がまたスタートすると思うから、今は何も考えないことにする。


2003/09/28 (Sun) 58

.「9月27日(土)」.

■非公開だが今日もランスルーがあった。その前に昨日のランスルーを見たフィリップの感想語録。「ある野望を抱いているが到達点にはまだまだ行ってない」「いろいろな国の人が参加してるのに混じり合ってない。それぞれの空がただあるだけ」「全体的に内向的になっている。たくさんの孤独がたくさんある。視点を変えてほしい」「周りで何が起きてるかをよく聞き、よく見る」「問題点が無いふりはしない」というわけで、昨日の構成を全破壊。舞台裏にダンサーが待機し、フィリップのインスピレーションに基づく口頭での指示で、50ピースの構成を作り直す。即興演出で、昨日の構成とは全く違うものになった。

■夕食休憩後、ランスルー。出来たのはミックス&クラッシュ&サーチ&デストロイな構成。まだまだ変わると思うが、フィリップ曰く「昨日より数段良い」と。今日は俺、あんまし出番無かったけど、山口での稽古は今日で終わり。10月からは横浜での稽古が始まる。


2003/09/27 (Sat) 57

.「9月26日(金)」.
■YCAM関係者を招いて公開ランスルー。開始ぎりぎりまでやってた、とりあえずの構成。2時間弱。僕は平常心で無我夢中(Ⓒ松竹生)。京劇の伝統的な技と現在的な音楽の融合されたルーのソロが、個人的には琴線に触れる。通し後、フィリップ曰く「全体的に『ダンス』がない。個々のピースの問題じゃなく構成に問題がある・・・」と。まだまだミックスされる予定。

■終わって、YCAM主催の送別レセプション。そのあと、日本人舞台スタッフの呑み会に参加。Aさん(昨日は実名出したけど)の毒舌を聞く。俺に言われてもなー、って思うが日本人的で面白い。帰り道、やけに星が輝いていた。

■深夜なのに駐車場でステファンやアレックス、何人かがビールを飲んでいる。オリオンをゆっくり見たかったので同席。地べただけど。僕のパリ公演用のプロフィールには、やらしいことに「北野武が司会を務めるTVプログラムに数回、出演」と書いてある。そんなことからタケシ・キタノの話に。ステフもアレックスもみんな大好きらしい。3−4xな10月になると良いな。


2003/09/26 (Fri) 56

.「9月25日(木)」.
■今日は、昨日、一昨日にやらなかった幾つかシーンの構成。「トーキョー・ライフ」改め「町」を中心にいろいろなシーンをミックス。

■そのあと、夕食休憩を含む異例の2時間自由時間があった。というのも、昨日、あるダンサーが「毎日全体稽古で個人の練習時間が無い」と異議申し立てしたからだ。国柄の違いか、ダンスの現場とはそういうものなのかは良く分からないが新鮮な意見だった。訳すことが出来ないと言われる「コレオグラフ」とは何かを考えようかと思ったが、やめた。

■自習時間後、先ほどの稽古を撮ったビデオを皆で見る。更にミックス。「一芸大会」でやったショート・ショート・ピースも重ねていく。フィリップのアイディアは毎秒変わっていく。その瞬間、瞬間で反応しなきゃいけない。自習時間で考えてたプランはやらずじまい。

■そのあとは、昨日もやった照明効果を使ったシーンの稽古。僕とステファンにも「年内中には演出されたいね」と言ってた10秒くらいの勝手なシーンがあるのだが、フィリップや照明の足立さんがのってきて、いろいろな照明マシーンを駆使して凄いシーンになった。のれる素材、のれない素材ってあるが、これはのれる素材だったらしい。皆でワイワイやる集団作業の醍醐味を感じる。


2003/09/25 (Thu) 55

.「9月24日(水)」.
■今日の稽古は、主に照明効果やビデオ映像と絡むダンスのシーンを詰めたり、繋げたり。あるシーンの練習中、土佐正道明和電機前社長から言われたあることを思い出した。「ウルトラセブンの最終回にモロボシ・ダンが『セブンの正体はボク・・デス』と言うシーンがあるので、今度ボクデスの舞台で使ってみるのはどうか?」と言うあること。今回の舞台で使いはしないが何故思い出したかも、また今度。

■「心臓の大使」も展開。昨日の「臓器のダンス」だとスムーズには流れるが固く冷たい感じがするとのことで再構成。僕の喋りも復活。今日はあることないこと、ずーっと喋り続けてみた。以前と全く違うのは、気張らずにフラットな感覚で出来るということ。どうしてリラックスしてるのか考えたのだけど、あきらかに姿勢が違った。以前までは舞台に仁王立ちに近い姿勢で居たのだが、今はダラ〜ンって居る。この姿勢の違いは大きい。

■夜、フィリップ、ステファンと居残りで「心臓の大使」の部分稽古。映像を絡めたり遊びを足す。ステファンは、「ただ説明すること」を省きたく、いろいろ脱線アイディアを出す。脱線し過ぎで混沌する傾向もステファンの持ち味。とりあえずのやり方は見つけたが、まだ何か出来はする。

■稽古後、フィリップ、千枝、僕の3人で遅い夕飯。演出サイドも問題いろいろ山詰みらしい。で、その帰り道、僕の前を自転車で行くフィリップの後ろ姿を見て、小1のとき、空き地で自転車の練習したことを思い出した。あのとき、練習をしなかったら自転車には乗れてない。そんなことを思ったツール・ド・ヤマグチ。


2003/09/24 (Wed) 54

.「9月23日(火)」.
■このサイトのINDEXでもお知らせしましたが、「イリス」の公式サイトが出来たそうです。

「イリス」公式サイト
http://www.kanagawa-kenminhall.com/Decufle/index.html
ボクデス on the web
http://www6.plala.or.jp/BOKUDEATH/

■「心臓の大使」は新展開。朝のクラスが終わり、フィリップから「液晶テレビを使うのはやめようと思う」と言われた。そして「けしてマサを自殺させようというわけじゃないけど、喋るのも一切ナシにしようと思う。で、その代わり、マサにはこれをやって欲しい」とノートを見せる。そこにはフィリップが書いた「紫外線マン」というキャラクターの絵があった。

■「12の経絡」は10個の臓器と「心臓の大使」「3つのからだを温めるもの」で構成されている。「心臓の大使(心包)」は「心臓の補佐的器官」または「体中の血管」という説がある。「3つのからだを温めるもの(三温)」は今で言う「自律神経」または「紫外線」と言う説があり、紫外線マンとは、この紫外線のことだ。

■で、やってみた、紫外線マン。こういう方が向いてはいる気がする。なにしろ頑張らなくていい。フィリップからも「この紫外線マンでいろいろ遊んでみてくれ。楽しめなかったらまた変えよう」というプランも、より気張りを忘れさせてくれる。

■今日の主な稽古は、その紫外線マンが加入した「臓器のダンス」を含む、幾つのピースを繋げての稽古。順番を入れ替え何度か試す。良いか悪いか分からないが、気張りが完全に抜けて、別のピースでも「無理しないこと」が出来るようになった。

■夜は本番で使うビデオ映像を撮る。ヘッドフォンの音楽に合わせながら一人づつ撮影。


2003/09/23 (Tue) 53

.「9月22日(月)」.
■各自アップした体で午後2時集合。まずは、久しぶりの「一芸大会」。今日のテーマは「SEX」。性別か?性行為か?解釈の分かれるところだが、行為そのものを選択した者の方が上回る。さすがはフランス、官能的な表現が多く見られた。僕も原点に帰り「段ボール箱劇」。自分的には及第点。

■続いては、音楽、衣裳など、未決定なことがまだまだあるが、個人的にも懸案中の「臓器のダンス」。先週書いたテキストを基に。前回のようにパニックにはならなかったが、ただ喋るだけになってしまった。つまり、土台だけで終始してしまった状態。まだまだヤマ。

■先日の「脚立」が功を奏してか本番採用になった。嬉。が、ステファン&ルーとのシーンはメンバー・チェンジ。構成上の流れ的とも理解できなくないが、哀。常在戦場なので、幕が開くまでチェンジし続けるんだろう。

■急に冷えてきた。Tシャツ&短パンだけじゃ自転車もツライ。


2003/09/22 (Mon) 52

.「9月21日(日)」.
■稽古は休み。

■夕方、山口駅の方まで自転車で行って買い物。カフェでビールとピラフ。

■夜、テレビでK1JAPANを見る。お膳立ての整いすぎたカードのときのJAPANは、蓋を開けるといつも退屈。モンターニャもサップも。

■見終わって、駐車場に行くとダフネが来日していた。今回の作品には出ないがDCA作品「トリトン」で足の上にコーヒーカップを載せて踊った女性ダンサー。シャトーバロン以来の再会。

■どうでもいいが、山口の人は「と」を「ちょ」と発音する。「やっちょいて」とか「ありがちょう」とか。そんな山口ライフもあちょ一週間。


2003/09/21 (Sun) 51

.「9月20日(土)」.
■きっかけは脚立。

■楽しんで舞台に立てない。体がこわばり立ちすくんでしまう。ステファンや皆がアドバイスをくれるが、おそらく自分の気持ちの持ち様次第なんだと思う。如何に楽しめるか。多分、凄い単純なことなのだと思うが、今はうまく出来ない。その持ち様のチェンジに努める。

■いつの間にか「脚立バレエ」はやらないことになっていた。けど、今日の夕方、ケーブルテレビの取材があるのでその収録用にやろう、ということになる。本番用ではないが、中身を大幅にカットし、リズムの変化を考えながら再構成する。フェイボーも収録用だけということで、そんなに乗り気ではないが、ある意味、僕は賭けに出ていた。

■で、夕方。「脚立」だけでなく、いくつかのシーンを繋げての仮通し稽古。全体の5分の1くらいの部分。それの最後に「脚立」をやった。フェイボーの好演もあり、皆から好評を博す。フィリップ曰く「先々週とは大違いだ」と。単純に嬉しい。宮沢さんの「喜びの記憶」という言葉を思い出す。脚立を本番でやるかどうかは、まだ分からないが、僕は褒められると伸びるタイプ。復調の兆しが見えてきた。楽しんで舞台に立つきっかけが脚「立」とは、これ如何に。今日の最終気分、凸。


2003/09/20 (Sat) 50

.「9月19日(金)」.
■毎日、凸ったり凹んだり。ジレッタ以上に上に行ったり下に行ったりだ。

■朝のクラス後、昼飯をとる皆を横目に黙々とテキストを書く。まず、僕が日本語版を書き、そのあとフランス語訳を作ってもらうので一秒でも早く書き上げたい。午後、なんとか書き上げ、凸に。千枝のチェックもクリア。少し落ち着く。だが、あまりにも多い分量になったので訳すには相当時間がかかりそうだ。全部訳すより、あくまで土台なので、通訳のIさんを交え、丁寧にステファンに内容を説明することにした。ただ、Iさんには別の急務があったので、二人で待つことに。簡単な会話なら英語でなんとな〜くしてるが、細かいニュアンスを伝えたいので待つ。よく知ってる人が隣にいるのに話が出来ない不幸を感じる。「臓器のダンス」のビデオを見ながら待つ。で、夕方。意思確認しながらテキストを細かく説明する。このテキストはあくまで土台、昨日の方法をやるなら、ここから弄っていけたらと思う。現段階ではステファンも唯一、この「心臓の大使」の方向性が分からない。昨日の方法でいくとも、まだ誰も分からない、と言う。短期間で解決できるテーマでもないかもしれない、と。同じ悩みを抱える人がいることに安心はするが、それじゃマズイ。得てして、ことは最終回に丸く収まるが全てそう上手くいくわけじゃない。分かっちゃいるけど。

■夕食後の稽古は、少人数をフィリップが演出する日々。これまでビデオや照明を使ったシーンの稽古をやっていたので、僕には直接関係無かったが、今日は違った。ステファン&ルー&僕のシーン。今日の凸凹ポイントはここ。最初、「ドデスカデン・ウォーク」というステップを発見し、喜んでいたのだが、段々からだが強張っていった。反面、ルーは羨ましいほどノビノビやっている。それを尻目に急下降。気がつくと、ステファン&ルー&僕&千枝のシーンになっていた。他のシーンでもそういう直しはあるが、他人事じゃない場合、自分の表現力の無さを恥じる結果になる。自分の存在意義までも疑う。今日の最終気分、凹。


2003/09/20 (Sat) 49

.「9月18日(木)」.
■午前10時からのミュリエルのクラスの後、ダンサー陣はダンスの練習。僕とステファンは、東京からこづえさんが作ってきたコスチュームのフィッティング。午後から、フィリップの個室で「心臓の大使」のやり方について、フィリップ、ステファン、僕、通訳のIさんの四人で話す。「臓器のダンス」という心臓や肺などの器官をテーマにしたソロのダンスがある。「心臓の大使」はそれのMC的役割。僕とステファンでいろいろ試してきたがその方法が定まらない。フィリップからは各ダンスに比べて練習が見れないことにエクスキューズが入るが。で、その話し合いで出たアイディアを元に、コスチュームを着たダンサーと合わせてやってみる。段取りをよく分かってなかったが、やってみた。タイミング、話す内容、見せ方など凄く難しい。終わったあと、ステファンと二人凹んだ。初めてステファンが「ディフィカルト〜」ってぼやいた。凄く難しいが、この方法でいくなら明らかに準備不足。まず、僕が土台になるテキストを書くことにした。からだに関する本を大量に揃えテキストを書く。午後10時の退館時間になっても終わらなかったので、宿題にしようと資料を持ち帰るが、疲れて寝。

■あと、中国からスーパーボディとハイテンション・エナジーを持つヤンが来日。シャトーバロン以来の再会。これで出演者全員が揃った。おそらくヤンは一番踊れるダンサーなので、色々なパートで地殻変動が起きるだろう。


2003/09/18 (Thu) 48

.「9月17日(水)」.
■午前10時集合、アレックスのクラスの予定だった。10時にスタジオに入ると僕を含め5人しかいなかった。少し待っても人数は増えない。予定を変更して各自ストレッチをすることになった。

■ミーティングの始まる11時半には全員集合していた。50個以上ある小さなモチーフを一つづつ、フィリップが読み上げ、方向性を確認しながら「やる」「やらない」「?」に分類していく。構成を近日中に決めなければならないからだ。僕が原案の「やらない」ものもあるが、全体の構成上、納得できるものは同意した。ただ、「やらない」ものとして提案された「脚立バレエ」は思い入れもあり、考えさせてくれ、と答えた。フィリップ曰く「僕も好きだが、全体から見ると余りにストレンジ過ぎる。現在の段階では、『脚立』をやる意味付けみたいのが見えない。」と。う〜ん。考える。

■昼食はNHK山口の社員食堂で食べることが多いのだが、食堂の壁に1枚のポスターが貼ってある。「やりたいことだった。やらねばならぬことだった。失敗もあった。打ちひしがれる思いもした。ただ、何故かやれないとは感じていなかった。プロジェクトX」誰もが打ちひしがれる思いをしてるのだな、黒部の大マムシでさえも。

■午後は自習。一人で「心臓の大使」用に臓器の勉強をしていた。改めて、人体の神秘に魅せられる。凄いよ、からだ。そのシステムには無駄が無い。何でそうなるの?良いからだ、悪いからだ、普通のからだ。すべて意味がある。


2003/09/17 (Wed) 47

.「9月16日(火)」.
■午前中、アレックスのクラス&「時間の歪み」のインプロ。つい日本人同士かたまってしまうので、なるべくフランス人や中国人と絡むように意識する。

■午後、各自の作業。僕は「口上」のテキスト書き&ステファンと液晶テレビ実験。ステファンが新しいアイディアを考えてきたので、それをやってみる。フィリップが近くを通ったので、ランダムにいろいろ披露。今日持ってきたステファンのアイディアも良かった。何もないとこから「とりあえず、何かやってみよう」という方法もあるが、そこから面白いものが出来るには、どうしても時間が必要だ。どちらかが準備して、そこに何かを乗せていく。そうしないと、何にしてもうまく回らないことを思い出す。「とりあえず、動いてみよう」というやり方は、向いてない、僕には。

■夕方、リフトの練習中、アクシデントがあって一人のダンサーが首を痛めた。やはり疲れが溜まってきている。後の予定を変更して緊急のミーティング。出演者全員で「現在の問題点」を話し合う。ここに書けないような深刻なこともあるが、根本はコミュニケーションの格差。時間が迫ってる。


2003/09/16 (Tue) 46

.「9月15日(月)」.
■世の中は「敬老の日」で休みだそうだが、稽古はある。そういえば、以前、自衛隊出身で33歳のプロレスラーが「中年の星」と紹介されていたが、世の中で33歳は中年なのか。俺、いま35歳なのだけど、自分のことを中年って思ったこと一度もなかった。気分的には27ぐらい。

■午前中、いつものクラス。その後、山口ライフの最初の頃やってたが、いつの間にかやらなくなり、通しでもやらなかった「部族のダンス」が復活、で稽古。シャトーバロンでもやったので体が幾らか覚えている。その後は、「時間の歪み」の動きのインプロ。重心の移動が重要だが、訓練された体でないと、やっぱり難しい。これから毎日15分やることになった。がんばりマッスル。

■昼休憩を挟み、午後からは各自の作業。僕は液晶テレビを使った「心臓の大使」をステファンと試す。いろいろアイディアは出るが、見てチェックしてくれる人がいないと、未整理のままだ。

■夕方から今日の一発芸大会。テーマは「戦争」。僕がやったのは「ふえるワカメ」で侵略を表したものだが、皆、いつもとは違い、真摯で詩的だった。自分の子供の写真を持って立ち尽くす体。運ばれて山のように重なる死体。キノコ雲の映像の前で踊る裸の体。見たあと、いろいろ心が揺れ動いた。

■休み明けは体がきつい。その後、舞台上で「部族のダンス」を照明入れて稽古。まだ自主練習してる人もいたが早々と帰宅して寝。


2003/09/15 (Mon) 45

.「9月14日(日)」.
■稽古は休み。一日中、PCに向かっていろいろ原稿書き。どこにも行かなかった。隣室のルーは「♪ナハツノ〜オ〜ハリ〜」って歌ってる。

■夜、マンションの駐車場でバーべキュー。全20室の住人が集まるのは初めてのこと。山口ライフもあと2週間。ほんと、あっという間だった。

■深夜、テレビで日本で唯一というサーカス学校のドキュメントを見る。芸そのもより、喩えが分かりづらいかもしれないが、生徒の顔はある種の演劇を信じる人たちの顔に似ていることが気になった。何に向かっての表現かという意識が希薄なのが理由か?ただ若いからか?今は引退してしまったブランコ芸のおじさんの顔は、やはり彼らとは違い格好良かった。


2003/09/14 (Sun) 44

.「9月13日(土)」.
■何週間か前から比べると、幾段か気分は落ち着いてるが、それも個人的なこと。けして全体が万端に進んでいるわけではない。本来、毎週末は通し稽古の予定だが、予定を変更して先週から変わったパートだけを構成し直しての仮通し稽古。

■スタッフ陣の準備があるので出演者は午後1時ステージ集合予定。だが、時間になっても集まりは悪い。おもむろにフィリップがCDをかける。「ダースベイダ−のテーマ」だ。館内に響き渡る「ダーダダダーン、ダダ、ダーダダダーン!」という音楽。ぞろぞろ皆、集まってくる。あの曲がいつの間にか呼び出しミュージックなっている不思議な光景。

■昨夜、今日の香盤表が渡されたのだが、それから変わったと言う。構成はフィリップの頭の中にしかない。で、午後7時の通し開始までシーン&繋ぎを作りながらの稽古。僕の「心臓の大使」も液晶テレビを使うソロでの構成になってる。以前、各器官の自習をしてた時期があったが、そのとき覚えたことをとりあえず活用。無駄にならなかった。昨日、ステフとやったやつは今日はナシ。でも「ジャパニーズ・ゴースト・ダンス」が採用された。

■7時半から通し。全パートをやった分けではないので90分で終わる。セヴィアンな良い出来だったらしく、フィリップの機嫌も良い。アンバランスな面もハッキリしたらしい。今後は、その辺りを調整していく作業。ステファンとの「心臓の大使」会議は月曜に持ち越された。

■女の子だけによる(セクシー)ダンスがあるのだが、唇を尖らせたアレックスの踊りにやれれた。呂律も回らないほどだ。

■通し後、ミュリエルからパリ公演の説明。11/15パリ入り。11/26初日。12/31楽日。そのまま、エッフェル塔の下で打ち上げ&カウントダウン。1/2帰国。そのあと、6月に欧州ツアー。ほんとうは、まだ何にも始まってないことを実感する。

■帰宅すると、「トーキョー・ボディ」パフォーマンス班の鈴木将一郎からPRIDEとタイソンが出たK1のビデオが届いていた。何ていい奴だ。ただ、惜しむべくはマンションにデッキが無いことだ。鈴木、デッキ送ってくれないかな。

■シャワーを浴びた後、皆でアジア料理屋で食事。何気なく鯨を注文して食べたら、シビアなムードに。鯨問題に関して、しっかりした情報が無いので反論しなかったが、気付けば日々「イエス」「ノー」をはっきりしなくてはならない生活になっている。まぁ、すぐに忘れて、「本番は全員、全裸でやろう」というわけの分からない話になった。大事なところはスモークやモザイクや靴下で隠してだと。


2003/09/13 (Sat) 43

.「9月12日(金)」.
■朝。逆立ちアクロバティシャン、バティストによるクラス。予想以上にフロアに寝て手を使ったものが多く、1時間以上足で立たなかった。逆立チストは床と手による重力確認の関係が重要なことを発見。逆立ち教室もあったが、僕は三点倒立さえ出来ない。身長右175cm、左175・5cmという歪んだ体型が問題なのか。

■その後、社交ダンス風の新しい振付。ワルツを踊ったよ、俺。

■午後から、ダンサー陣はミュージシャンのクレール&タオとスタジオでオリジナル曲の作業。僕は、昨日浮かんだ新「心臓の大使」をステファンと稽古。完璧なプランと思えたが、僕のプランだけではステファンも頷かず、通訳のIさんも交え、三人で作る。最近思うのは、ソロと集団作業はそれぞれ種類の異なる大変さがあるが、一人の頭の中で考えるより、良きにせよ悪きにせよ、「こと」は関わった人数分、頭の中を動いてるということ。当たり前のことなのだけど、一人の頭の中だけでは生まれない豊かな「こと」が、その先にはある。

■で、二人の考えをミックスした面白いものが出来たので、皆の前でプレゼン。僕もステファンと一緒だと安心して出来る。それは見てる側にも伝わるらしい。で、好評ではあったのだが、終わったあと、珍しくステファンとフィリップに意見の違いが出る。こんな興奮してるステファンは初めて。明日、僕も交えて話し合うことになった。

■その後、恒例の「一発芸大会」。今日のお題は「ミニマリズム」。僕は「ジャパニーズ・ゴースト・ダンス」という新ネタ。450キロバトルくらいは出せたと思う。

■山口地方、台風の影響で強風注意報が出ている。台風を知らないフランス人たちは「タイフーン!タイフーン!」と子供のように大はしゃぎしている。一方、朝、テレビで見た北朝鮮の式典。歌や踊りを披露していた作り笑顔の幼稚園児たち、からだは子供なのに顔は老人だった。


2003/09/12 (Fri) 42

.「9月11日(木)」.
■僕がフィリップに初めて会ったのは、2001年9月末に開かれた「ビデオダンス・ワークショップ」でだ。その、2週間前にはダンスのワークショップも開かれていたのだけど、ダンスそのものよりも、フィリップの作る映像マジック技法に興味があり、ビデオダンスWSのみ参加した。千枝やカオリはダンスWSの方にも参加していて、「9.11」をテーマにモチーフを作る日があったという。フィリップがそのことを今朝、話していた。「あれから、2年か」と。

■ちなみに、そのダンスWSでは、伊藤千枝、ニブロールの矢内原美邦、「水と油」のじゅんじゅんによるレアなトリオ作品もあったと聞く。

■PJから「アメリカに原爆を落とされた日本人として、あのテロを見て何か思うことはあるか?」と聞かれたことがある。そんな風にあの日のことを考えたことはなかった。

■今日の稽古。フィリップから「心臓の大使」ネタは液晶テレビを使ってはどうか、と提案される。で、「まだ、準備がととのってないが、今、やってることを一度、忘れて別のことをやりたいと考えてる」と答える。そしたら「準備なんて誰もととのってない。アイディアがあるのなら小さくてもいいから言ってくれ。マサのプランと、僕や皆のプランを合わせて作って行こう。集団作業とはそういうものだと思うけど」と言われる。

■というわけで、兄貴分のステフに新「心臓の大師」ネタをプレゼン。感触アリだが、二人での狂言回し的役割を指名されたので、改めて一緒に作ることになる。で、いろいろ試すがイマイチだ。ステフは別の作業に移る。僕はグルグルとひとり考えを巡らす。で、数時間後、「ダンスの神」が降りてきた。いい案が浮かぶ。ステフに相談、親指を出す。千枝やフィリップにも図で説明。行けそうだ。明日、本格的に実験予定。

■稽古後、照明のAさんが持ってきたワインとチーズで盛り上がるフランスチーム。日本人が、外国で口にする漬物に近い感覚らしい。奇しくも、テレビでは井上康生とフランスのルメールが世界柔道の決勝を争っていた。

■そういえば、「フランス」というお題の一発芸大会は、かぶるネタが多かった。僕はフランソワーズ・モレシャンのものまねを披露。誰ともかぶれない。

■山口地方、台風が近づいてるらしい。ワタシノクニデハ〜タイフ〜ンガチカヅイエテルラシ〜イ。


2003/09/11 (Thu) 41

.「9月10日(水)」.
■山口入りして一ヶ月。磁場が完全に狂ってた日だった。満月が原因?

■今日は10時半クラス開始だったのが、起きたら10時45分だった。あわててペダルを漕ぐ。
■午後。「日本」をテーマにした「一発芸大会」。今日は「笑い」だけじゃなく、「なるへそ」と思うものが多かった。明日は「フランス」をテーマに行われる。
■「一発芸大会」は面白かったが、不調を訴えたダンサーが早退したり、弁当も1時間遅れて到着したり、予定通りに事が進行していない。フィリップもイライラしている。なので「このまま稽古を続けても、今日は皆に迷惑をかけることになりそうだ。午後の予定をキャンセルして、各自自主練習をしてほしい」と言い、帰宅した。こんなことは初めてだったが、各自まじめに自身の課題に取り組む。僕も技術スタッフのI君の助けを借りながら「心臓の大使」新案を試す。良いとこまで行ったが難しい。別の案が、ふと思いつき、帰りにホームセンターに寄る。明日、試す。

■何かがリセットされたムーンな気分ではある。


2003/09/11 (Thu) 40

.「9月9日(火)」.
■朝、フィリップ&ミュリエルによるクラス。そのまま、ダンスの練習に入ったので、僕&ステファン&ルーは廊下で別の練習。ステフの腰の調子が芳しくない。クリストフ、オリーブもリフトのしすぎか腰や腿に不調を来たしている。

■午後その1。フィリップが日本で見た不思議な光景をもとにしたシーンは「トーキョー・ライフ」という名前になった。これまでは即興で作ってきたが、改めてフィリップが動きや動線を作る。

■午後その2。メンバーの個性をもっと見たいという趣旨で「スペクタルな一発芸大会」が開かれる。僕はデカイものを背負いチャレンジ。仕掛けに失敗してはずした。またかよ。(僕がやるものはビックリさせたいがため、秘密裏に準備している。それが失敗を招く要因だ。)ただ、全体的には面白いものが多く、各自のキャラも出ていた。「日本」をテーマに明日も行われることになった。

■午後その3。フライングの練習をする人、ソロの練習をする人、いろいろ。僕は「心臓の大使」の思案。

■午後その4。快速三人組二組、快速四人組を合わせ、十人で一つのシーンにする。この演出のときのフィリップの手捌きは見事だと思った。ばらばらに作った動きが一つのシーンになる。(ほんとは自分のやること精一杯で全体見れてないけど。)


2003/09/10 (Wed) 39

.「9月8日(月)」.
■えーと、稽古。今日からフランス人女性ダンサー、アレックスが参加。初めて会うが、女王みたいな雰囲気の人だ。稽古は、「快速四人組」したり、「心臓の大使」の新案を試したり、細かいこといろいろ。なかなか想像通り、思うようにはいかない。

■出演者だけでなくスタッフの間にも、いろんな問題が生じてるらしい。全体的にピリピリしてる現場。

■「書くこと」が仕事である宮沢章夫さんに、この「世界の車窓へ」のことを誉めてもらい喜ぶ。あと、桜井圭介さんが『舞台芸術04』に執筆した「『コドモ』身体ということ」という論考でも、ボクデスの「河童次郎シリーズ」について触れてもらってます。冒頭しか読まないと、河童次郎は悲しいキャラで終わってしまうので最後までお読みください。

『舞台芸術04』
http://biblia.hp.infoseek.co.jp/getsuyosha/parts.htm


2003/09/10 (Wed) 38

.「9月7日(日)」.
■稽古は休み。
■自転車で20分。国宝・瑠璃光寺五重塔へ行く。日本三大名答の一つらしいが、塔そのものより周りの木々も含めて美しい。気分は観光。隣接する瑠璃光寺禅寺は商魂逞しく、飛行機型の「航空お守り」、ランドセル型の「学業お守り」を始め、「極楽パスポート」という老人向けの冗談グッズなどが売店に並ぶ。

■五重塔の近くにある「うぐいす貼りの石畳」は、石畳から石の階段に向かって手を叩くと反響して、京都の二条城みたいに「キュッ、キュッ」と音が鳴る。偶然出来たらしいが屋外にあるので、より不思議だ。訪れる人、皆、手を叩いたり、足を鳴らしたり。いちいち音響さんも大変だ。いないけど。

■観光の後、一週間ぶりに温泉へ。今日は別の浴場。日曜の昼、先週の浴場よりも安価ということもあって混んでる。子供が多い。聞くところによると、女風呂では子供がもらした茶色い物が浮いていて、おばあちゃんが洗面器ですくってたらしい。ぎょえ。
■サウナの中にあるテレビで「座頭市」ベネチア銀獅子賞受賞を知る。下駄タップを見ながら、オリエンタル・ジャパンの有効性などを自身の問題として、ぼんやり考える。

■その後、活魚料理を食べる。ふぐはまだ時期じゃなかった。

■食事のあと、無料の足湯で休んでいると、フランス人チーム全員と偶然会う。「足湯」を知らなかったのか皆、突っ込んでくる。美術のPJは全身にタトゥーが彫ってあるので、いつも浴場に入れてもらえない。そのPJも足湯なら誰にも文句言われない。ステファンの腹にもドラゴンのタトゥーがあるが、彼はTシャツで隠して入場し、何か言われたら「アイム・ノット・ヤクザ。アイム・フレンチ」と言ってるらしい。

■あっという間に最後の二連休は終わった。まだ「心臓の大使」問題はクリアしてない。現段階で通用はしている「脚立バレエ」、「アニメ映像とのシンクロネタ」、フィリップが最初に喜んだボクデスの小作品を思い浮かべながら、新しい案を練る。デザイン、という言葉が浮かぶ。うーん。


2003/09/09 (Tue) 37

.「9月6日(土)」.
■スタッフは舞台作りがあったが、出演者は休み。今週、僕は4日しか働いてないが休む。

■「スタジオ・ボイス」の前パブ原稿の下書きを書く。アウトラインは出来た。あとは、この文章に、今回の公演のテーマでもある「時間の歪み」を入れたものにしたいところ。うまく書けるかなあ。

■夜、気晴らしに本屋へ行く。この地域のテレビ情報誌やイベント情報誌は「九州版」。九州なのかよ、ここ、と驚く。あと、「中国合唱コンクール」というポスターが貼ってあったので、「ルーとか出ればいいのにい」と思ったが、中国地方合唱コンクールのことだった。やっぱ、中国かよ、ここ。
■あと、「ダンスマガジン10月号」に6月のシャトーバロン公開リハーサルのレポートが載ってた。今となっちゃあ懐かしい。

http://www.shinshokan.co.jp/dance/dance200310-12.html




2003/09/09 (Tue) 36

.「9月5日(金)」.
■前述したように、今日はフィリップのいない稽古場。

■午前中はミュリエルのクラス。実は最近、遅刻したり、勝手に部屋を出ていったりする人がいて「クラスの時間はセルフサービスの時間ではありません」と昨日、注意があった。ので、今日は皆、遅刻せずにまじめに参加。

■午後。演出補の伊藤千枝が、フィリップからの各自への課題を告げる。僕とクリストフ、ルー、千枝でやった通称「スピードのカルテット」(中国語だと快速四人組)の作業を、千枝とフェイ・ボー、メンバーチェンジして続ける。ことば、バックグラウンドの違いが浮き彫りに出て作業に時間がかかる。まとめ上手のクリストフもやや困り気味。

■その後、僕&ステファン&ルーで昨日の通しのビデオを見直し、3人のシーンの稽古。ある意味、唯一僕がテクニックを使わなきゃいけないシーン。ステファンは4月にくしゃみして以来のギックリ腰で体調は万全ではない。僕とルーの動きを見てもらう。

■昨日の通しの記録が編集用のマックに入っていて誰もが見れる状態になっている。で、夕方見た。問題の「心臓の大使」。部屋に誰も居ず、一人なのに誰かの冷たい視線を感じる。千枝からは「たとえば、今、やってること全部忘れてやってみれば?」とアドバイスをもらう。そうなのかもしれない、と思った。ビッグチェンジとは言ってもそこまで考えてはいなかったから。リセットしよう。で、ちょっと考えたことを試してたら「天の邪鬼か!」と言われた。でも、そう言われた意味が分からなかった。テンパッテル。


2003/09/06 (Sat) 35

.「9月4日(木)」.
■初めての通しリハーサル。前半後半合計して2時間30分はかかるだろうということで14時半開始。と、言うのもフィリップは翌日、横浜で記者会見があるので18時にYCAMを出て空港に向かわなくてはならない。通しを17時に終わらせ、そのあと「駄目だし」をする予定。

■一昨日の前半部分、昨日の後半部分の通しから、また演目の順番が変わった。シャトーバロンでも構成は通しリハ毎に変わったので、ある程度慣れたこと。最後の最後までチェンジし続けるでしょう。で、通しが終わったのは18時10分前。初通しの出来は、見てて退屈だったらしいが、細かい駄目だしも出来ずにフィリップは空港に向かった。明日はフィリップ抜きで稽古。演出補の千枝、ミュリエルが仕切る予定。

■今日の通しは、何人かの関係者を招いて行われた。僕の「心臓の大使」ネタは日本語でしゃべるので、始まる前、フィリップから「僕にはよく分からない部分もある。日本人の反応が見てみたい」と言われていたが、完敗でした。日本人にもよく分からないものになってた。ビッグチェンジしなきゃならない。


2003/09/06 (Sat) 34

.「9月3日(水)」.
■午前中はミヤによるクラス。ミュリエル、カオリとも異なる「身体演劇」のような、相手のカラダをはたいたりする妙なストレッチ風エクササイズが多い。ナビゲーター各人が普段、どういう風にからだを鍛えてるか、その差異が面白い。来週はクリストフ、フェイ・ボーのクラスも行われる予定。

■午後から、明日の通しリハ用にシーンを作りながら後半部分を通す。後半は、シャトーバロンでやったシーンも多いので、昨日のように7時間はかからなかった。トータルの時間はかからなかったが、朝まで仕込んだ「心臓の大使」という個人ネタは苦笑いの嵐。体内時計が長さを感じる。要改善。

■夕方から各自、明日の準備。僕は、フェイ・ボーと「脚立バレエ」の練習。いい具合に抜けてきたと思う。バカにしか見えない。

■先日書いた、あの長い名前のコンペにノミネートされたことについて、桜井さんからメール。「痛快な壮挙」という喩えが嬉しい。


2003/09/04 (Thu) 33

.「9月2日(火)」.
■今日からクラスでの会話は英会話のみになった。日本人同士もフランス人同士も英会話。皆で状況をシェアする。

■金曜日にとりあえずの通し稽古をやるので、今日+明日で舞台を使い、その準備。昨年の横浜、シャトーバロンで作ったものを入れると、細かいシーンが約50個ある。今日は前半部分。内容が未決定のものはその都度、フィリップが手を入れながら進行。午後2時から始まり、休憩を入れずに9時までかかった。7時間!帰宅してからは、少し仮眠して4時くらいまで明日の準備。昨日の温泉効果かあんまし疲れてない。


2003/09/03 (Wed) 32

.「9月1日(月)」.
■本来は休日だったが、ダンサーチームは午後からダンスの稽古があった。ステファンと僕は休み。ステファンはプールへ、僕は温泉へ。駅の近くの「足湯」だけでのぼせてしまったので、フランシスコ・ザビエル記念聖堂や山口駅の方まで自転車で向かう。その後、森の奥にある「翠山の湯」という(高級)温泉浴場へ行く。温泉の町なのに温泉に入るのは初めてのこと。硫黄の匂いを忘れてた。サウナ、ジェット噴流も完備されているが、自然に囲まれた露天風呂が気持ちいい。極楽。極楽。宿題がたくさんあるが、極楽過ぎて何も考えられない。露天風呂から一生出たくないとさえ思う。

■速報。作品タイトルが「イリス(IRIS)」に決まった。眼球の虹彩やカメラのシャッターの開閉する部分のことを意味する。ガメラ3にも出てくるが「虹の神」のこともこう呼ぶらしい。作品のイメージにあったいいタイトルだと思う。

■速報その2。2年に一度、横浜で開かれているあの長い名前のコンペジションにボクデスがノミネートされてしまった。今のうちに、ダンス関係者には謝っておきます。ゴメーンネ!



2003年10月 --+-- 2003年8月