あしたの雪之丞

   elfの学園恋愛モノのと言えば、かつて無いほど大ブレイクし恋愛ゲーの基礎を築いたと言っても過言ではない同級生シリーズ、そして下級生シリーズがあるわけですが。
   2001年夏、そのelfから新作が出ると聞けばどんなゲームであろうと条件反射的に期待してしまうところなのに!しかもそれが学園モノだというんだから!その期待度は最高潮に達するわけですよ!かつてのx級生の勢いをリアルタイムで知ってるのならなおさら!そんな期待に満ちあふれる中で登場したのがこの「あしたの雪之丞」。


   ……あしたのユキノジョー?


   いやね、elfの学園恋愛モノをこよなく愛する俺としては速攻で飛びつくところですよ?が…やっぱりね、タイトルからしてこれはどうなの?って思ったんですよね。物語のテーマもボクシングだし。これって、もしかしてパクリ?もしかしなくてもパクリ?みたいな感じで。今までのelfのイメージが崩れてしまいそうで、なかなか決心が付かなかったんですよ。これが駄作だったらelfer(elfのゲームを愛する人)としてはやっぱショックだし。
   そして、発売から約半年。雑誌やネットでの評判から判断して買ってきたわけであります!


   このゲームのゲームシステムは今までの同級生シリーズとは違い、ごく一般的な普通のAVGタイプになってまして。つまりフィールド移動があったり時間の概念があったりするわけじゃなく、本当に普通のAVG。なので自由度は下がったもののその分シナリオに集中して楽しめるわけです。

   シナリオは、なにやら意味深なオープニングから始まり、主人公の雪之丞がある出来事を境に全てから逃げるように涼月町から転校してくるというちょっとインパクトのある始まり方をしていまして。
   そのシナリオの泣き所と言えば、やはり物語の鍵を握っているヒロインの一人、晶子の存在じゃないかなと。主人公の幼なじみで、かつての恋人(?)だったにも関わらず最初に登場したときの憎悪に満ちた視線、そして冷淡な口調。本当の晶子はそれとは全くの正反対なんだけど、その辺は物語が進むにつれて理由が少しずつ解ってくるわけですよ。
   そんな晶子との中盤から終盤にかけての各ヒロインとのストーリーの絡みがうおおおおおおおおおおおおおおおおお!切ねえ!晶子の気持ちが!せりなの気持ちが!由希の気持ちが!怜於奈の気持ちが!早苗の気持ちが!妙子の気持ちが!詩織先生の気持ちが!うおおおおおおおおおおおおおお!切ないって!だって晶子が!晶子がっ!
   しかし!間違えちゃいかん!真のヒロインはせりなだってことに!俺は晶子だと思ってた!<いや、それはない

   登場人物の賑やかさと主人公の背負ってきた苦しみとの重さのギャップ。そして主人公が立ち直っていく中で描かれる幼なじみの絶妙なバランス、青春臭さ、切ないさ、はかなさ、そんなドラマがにじみ出てくるあたりは、老舗のelfだけあってなかなか良かったなと。ちょっと賑やかすぎる展開かな?とも思ったけど、泣き所ではしっかりとツボにはまるあたりとか。もちろん音楽やCGもクオリティが高いんじゃないかなと。プレイしてみると購入前にあんなに躊躇することなんかなかったなーなんて思うほどの良作だったわけですよ。

   ただ、このゲームの問題点を挙げるとするならば、それはエンディングの多さ。トゥルーエンドはヒロイン1人につき1つなんだけど、それの派生エンドが多すぎ。攻略できるヒロインは7人なのに対して、トゥルーエンドを含めた全エンディングの数は35個ってそりゃあいくらなんでも多すぎだろ!

   あ、あと「アソコアップモード」ってどうなんですか?あんまり役に立ちそうも無いんですけど。