気 管 支 喘 息

気管支喘息とはどんな病気

1.喘息は肺の中にある気管支の病気です。


気管支は肺に空気を運ぶ管で先に進むにつれて、枝分かれして細くなります。
気管支喘息では気管支が普通の人より過敏な状態です。
気管支が刺激を受けると気管支が収縮したり、粘膜がむくんだりして狭くなり、
分泌物が増えて、気管支の中を空気が通りにくくなります。
(図)
この気管支の過敏性にはアレルギーが関与していることがわかっています。


喘息発作の時は細くなった気管支を無理に空気が通るため
ゼーゼー、ヒューヒュー音がするのです。

2.気管支喘息は発作を繰り返す病気です。

喘息では刺激を受けると、発作をおこします。
そして刺激がなくなると気管支は元の状態にもどります。
気管支喘息は気管支が過敏な状態である限り繰り返す病気
つまり慢性の病気です。

発作がない時や軽い発作の時には、日常生活も普通にできますが、
発作が強くなるにつれて呼吸困難がひどくなり会話も困難になってきます。

また発作を繰り返すと、だんだん気管支が変形してきて、薬の反応も悪くなり
発作が長引くようになります。
ですから発作を起こさないように、気管支の過敏性を改善し、
刺激を避けることが重要
になります。


 気管支喘息は増えています

気管支喘息では、重症の発作をおこして死亡することがあります。
最近では年間に6000人前後が死亡しています。全体の死亡数は減っていますが
15から29歳の若年層の死亡数が増えてきています。

小児の気管支喘息は増加しています。
30年前は全小児の1%程度でしたが、最近では6%程度、
一番新しいデーターでは6.4%(西日本アレルギー研究会まとめ)という結果が
報告されています。

また最近では以前は比較的稀であった1歳前後の乳幼児の気管支喘息が著しく増加
しているのも特徴です。


 気管支喘息の原因

気管支喘息の患者さんは、アレルギーを起こしやすい遺伝的素因をもつ場合が多く、
発作時には気管支の周りに多くのアレルギー反応を起こす細胞がみられ、
アレルギー反応が発作の原因であることがわかっています。

アレルギー反応をおこしてしまう原因(喘息の誘発因子)は以下のものがあります。
@ホコリ、ダニ、動物の毛、花粉
Aタバコ、花火、たき火、線香などの煙
B雨の日などの天気の変化
C季節の変わり目などの気候の変化(寒暖の差)
Dカゼなどの感染症
E激しいスポーツや疲労
Fその他(ストレス、飲酒、妊娠など)

気管支喘息では発作の誘発している原因をまず知り、
その原因を取り除く環境整備が重要です。


 気管支喘息の症状


1. 咳
2. 喘鳴(ぜんめい):ゼーゼー、ヒューヒュー
3. 呼吸困難   など


軽い発作のときは、喘鳴のみで生活も普通にできます。
発作が強くなると、呼吸困難を伴うようになり、呼吸が苦しくなると
のどの下の部分やろっ骨の間、みぞおちなどが息を吸う時にへこむ呼吸(陥没呼吸)
肩を上下させて息をする
(肩呼吸)   といった身体を使って呼吸するようになります。
ひどくなると、会話も困難になり、くちびるが紫になったりします。
そして横になると呼吸が苦しくなるので、すわって前かがみになって過ごすようになります。

また喘息発作の特徴として、発作は夜間から朝方にかけておこることが多く、
昼間は発作が一時的に落ち着いているように見えます。

夜咳が多くなるようであれば、昼間咳がなくても
一度小児科を受診していたほうがよいでしょう。



■ 発作の時自宅での対処方法

@まずは気持ちを落ち着かせましょう。

発作がでているときは、周りが慌てると本人も慌てて、ますます呼吸が苦しくなります。
まず周りの方が落ち着いて、気持ちを落ち着かせ、
笑顔で「大丈夫だよ」と背中をさすってあげ、不安にならないようにしてあげて下さい。


A水分をとるようにこころがけましょう。

水分をとると痰がやわらかくなって、痰をだしやすくなります。
少しずつでいいので、何度も繰り返して飲ませましょう。


B楽な姿勢で腹式呼吸をしましょう。

発作の時は横になるより、座って前かがみの姿勢の方が楽です。
衣服をゆるめて、息を大きく吸って口をすぼめて充分に息を吐いてください。


C痰を出せるように咳を促しましょう

咳が出ている時、背中を下から上にトントンと叩いてあげると、
咳と一緒に痰がきりやすくなります。
痰が切れると咳がおさまりやすくなります。

D以上のことをしても発作がおさまらず、呼吸が苦しそうだ、
一旦おさまったが、しばらくするとまた発作がでたなどの時は
病院を受診しましょう。