病気の時、家庭での対処

下 痢 の 時
1.下痢って?

下痢とは食べたものが腸で十分吸収されず便に水分が多いものをいいます。
便の回数が増えることもあります。
便の色や状態からいろいろなことがわかります。
例えば冬場に流行するロタウイルスによる嘔吐下痢症では、白い便で、酸っぱい臭いが特徴です。
細菌性腸炎では、血液がまじることがあります。
また母乳栄養児では軟便が頻回にあっても、下痢ではありません。個人差もかなりあります。



2.下痢の時教えていただきたいことこと

@便の性状は?
便に含まれる水分の量で少しゆるい(軟便)、びちょびちょ(泥状)、水様に分けられます。
また血液混じり?粘液混じり?
A便の回数は?
B症状はいつから?
C発熱、嘔吐はありますか?
D腹痛はありますか?(鋭い痛み、鈍痛、排便前後)
E食事との関係(下痢の前に変わった食べ物、生ものを食べていないか?など)
F家族など他の人に下痢をしている人がいないか?


3.下痢の時の注意点

@水分補給が一番大切です。
下痢で水分が失われるので脱水症にならないように水分を補う必要があります。
1回量を多くすると、その刺激で下痢がひどくなります。
"少しずつ頻回に"が水分補給のコツです。

A栄養のことは気にしないで

下痢の時、お腹を安静することが大切です。下痢の時食欲がなくなりますが
これはお腹が休みたいと訴えているのです。
つまりお腹の負担にならないように食事をとる必要があります。
下痢がひどい時は水分以外は口にしなくても構いません。
でも下痢が続くと、栄養が足りなくなってしまうのではないかと心配になりますね。
1,2週間栄養の取り方がすくなったからといって、赤ちゃんの成長にそれほど影響はありません。
それに少しでも栄養をとらせたいと思っても、下痢の時は、腸が傷ついていて
消化吸収しにくくなっています。栄養価の高いものを食べさせても消化吸収されず、
あまり意味がありません。
ですから下痢の間は、栄養には目をつぶって、水分を十分とればよいと、考えてください。
下痢の時は「消化の良いものを、少なめに」が原則です。
早く下痢を治して、それからしっかり栄養をとりもどしましょう。

B何を食べるかは、便をみて決めましょう

便が水のような時は水分を中心に
便がどろどろならどろどろの食べ物を
便が軟らかい程度なら軟らかい食べ物を


4.下痢の時の食事:乳児編

母乳の場合
 @下痢がひどい時・・・母乳はそのまま続けてかまいません。授乳を短時間で切り上げて
              回数を多くして下さい。1回量が多いと吐いてしまいます。
 A下痢がよくなってきたら・・・いつものとおり、欲しがるだけ飲ませてください。

ミルクの場合
 @下痢がひどい時・・・ミルクを飲ませて、下痢がひどくなった時は、ミルクを少し(半分程度)
               に薄めて少量ずつ、回数を多くして飲ませてください。
               あまり薄くしすぎると味が変わり、飲んでくれないことがあります。
               1回量が多いと吐いてしまいます。
              下痢が長引いて、便が酸っぱい臭いがする時は、ミルクに含まれている
               乳糖がうまく分解できない状態(乳糖不耐症)の可能性があります。
               消化を助ける薬が必要なことがあります。一度御相談下さい。
 A下痢がよくなってきたら・・・便の状態をみながら、ミルクの濃さを1/2→2/3→ふつうと
              だんだん濃くしていって下さい。

離乳食を食べている場合
 @下痢がひどい時・・・無理に離乳食を食べる必要はありません。
               食べてもおなかの負担になるだけです。
               母乳、うすめたミルク、アクアライトなどのイオン飲料水、番茶、
               味噌汁や野菜スープの上澄み、りんごのすりおろし汁などを与えてください。
               今までに与えたことの無いものは避け、離乳を1段階戻すのが無難です。
 A下痢がよくなってきたら・・・豆腐、パン粥、おかゆ、煮込みうどん、人参やかぼちゃの煮つぶし、
               白身魚、ウエハースなどを便の様子をみながら与えてください。


5.下痢の時の食事:幼児編

 @水のような下痢の時・・・アクアライト、アクアサーチ、番茶、野菜スープ、コンソメスープ、味噌汁、
                  おもゆ、みかんやりんごのしぼり汁、うすめたミルク、あめゆなど
 Aどろどろの便の時・・・・・とうふ、パンがゆ、ベビーせんべい、ウエハース、バナナの裏ごし、
                 にんじんやかぼちゃの煮つぶしなど
 Bやわらかい便の時・・・・おかゆ、うどん、白身魚の煮付け、卵、とりささみ、野菜の煮付けなど

*食べてはいけないもの
 @冷たいもの・・・・・・・・・・清涼飲料水、アイスクリーム、氷
 A乳製品・・・・・・・・・・・・・牛乳、ヨーグルト、コーヒー牛乳
 B脂肪の多いもの・・・・・・油であげたもの、バター、肉、卵、脂肪の多い魚
 C繊維の多いもの・・・・・・いも、ごぼう、わらび、ぜんまい、生野菜、豆類、ニンジン
 D糖分の多いもの(便が少し良くなれば与えてもよいです)
    カステラ、プリン、ジュース、菓子、まんじゅう、果実(あんず、プルーン、いちごなど)


Q&A
お腹は温めたほうがいいですか?
小さいお子さんの下痢の原因の多くは、ウイルスによるものです。
寒いところに長時間いた、冷たいものを食べ過ぎたなどということが、はっきりしなければ
特にお腹を温める必要はありません。
ただお腹を痛がっているときは、温めてあげると、痛みがやわらぐことがあります。

下痢の時の入浴や外遊びは?
下痢だけで、機嫌もよく、熱が高くなければ入浴しても構いません。
むしろ下痢の時は、お尻がただれやすいので、清潔にしてあげたほうが良いでしょう。
下痢をしていても、機嫌がよくて水分が十分にとれているなら、短時間、お散歩などして
気分を変えてあげてもいいでしょう。
でも他の赤ちゃんと遊ぶのは控えめに。

お尻がすぐ赤くなってしまいます
下痢の時は、すぐにお尻が赤くなってしまう赤ちゃんが多いです。
お尻を清潔な状態に保つことが大切です。
ですからオムツを品回に変えて、そのたびにお尻をきれいに拭く。
そしてできるなら、洗面器にぬるま湯を入れて、お尻だけを洗って上げてください。
そして洗った後、お尻をよく乾かしてからオムツをつけてください。
またそれでもひどくなる時は、お薬をぬったほうがよいので
医療機関に御相談下さい。


次のような時は早目に小児科に相談しましょう。
@腹痛が強い時
A粘血便がひどい時
B嘔吐を繰り返す時
C高熱がでている時

Dお腹が張っている時
E顔色が悪い時