Q 身体検査で肥満気味と言われましたが、
肥満だと体にどのような影響がありますか?
A

現代の日本は欧米型の豊かな生活を送っています。
しかし豊かさの反面過食、運動不足、夜型の生活,
ストレスの増加といった
生活のひずみがおこり、それが原因で肥満、高血圧、高脂血症が起こります。
この状態が生活習慣病で、

最近おとなだけでなく子供たちにも急速に増加
しています。
小児の生活習慣病の中でもっとも心配されているのが肥満です。


小児の肥満はこの30年間で2〜3倍に増加し、
10人に1人は肥満傾向がある状態です。
おとなと同様にこどもも
肥満の状態が続くと、
肝機能障害が起き、血圧が高くなり、血液中のコレステロールが多くなり、
糖尿病が誘発され、動脈硬化が促進します。

そして何十年か経って、突然心筋梗塞や脳梗塞を起こす可能性が高くなります。
このように
肥満の状態だと健康障害が進んでしまいます。

ここで問題になるのは肥満であっても、
本人はなんの自覚症状もなく、
知らず知らずのうちに進行し全身蝕まれている

ということがあるということです。
従って
肥満の度合いを評価し、肥満があれば
合併症および全身状態をチェックする必要があります。


肥満の評価方法はいろいろありますが
こどもの肥満を判定する方法として
性別・年齢別・身長別の標準体重を求め、実際の体重がこの標準体重より
何%多いかであらわす「肥満度」がよく使われます。

肥満度20%以上なら、肥満による合併症の有無をチェックする必要があります。

合併症があったり、高度肥満や肥満が進行している場合
には
食事療法や運動療法による治療が必要です。
また身長の増加に比べ体重の増加が著明であれば、
内分泌疾患や
腫瘍などによる肥満の可能性もあります。
生まれてからの身長、体重の増加状態をチェックすることも必要です。


生活習慣病では予防が重要で、まずは肥満しないように努力することが大切です。
そして肥満傾向があった
場合、ぜひお願いしたいことは、
こどもの肥満でも健康障害につながる場合があることを、
保護者の方がよく
認識して、
肥満のための健康障害があるのかないのかを
よくかかりつけの小児科医と相談してください。


また
こどもの生活習慣病は、
おとなの悪い生活習慣がこどもに影響したものです。
ですからできれば
ご家族も一緒に生活習慣病のチェックを受けるのがよいでしょう。
そして病気になる前に家族みんなで食生活を含めた生活全体を
見直しましょう。