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ざわっざわっ。
 ざわわっ。
   ざわっ。

ある日の昼下がり
学食で瑞穂さんとまりやさん
それに紫苑さんが学食で昼食を取っていました。

瑞穂
「ねぇ。まりや
 なんか私を見て下級生がざわめいてるように見えるんだけど……
 何か知ってる?」

まりや
「うん?
 知ってるけど内緒」

瑞穂
「え〜?
 何それ〜?
 また、何かたくらんでるの?」

まりや
「またとは何よ?
 どうせ午後の会合で解るわよ」

瑞穂
「会合でわかる?」

紫苑
「ええ、たぶん瑞穂さんにぴったりの役ですよ」

瑞穂
「紫苑さんまで
 紫苑さんも今は教えてはくれないんですよね?」

紫苑
「はい。
 申し訳ありませんが
 今、言うより
 きっと、はっきりとわかりますわ」

瑞穂
「『百聞は一見にしかず』ですか……」 
『百聞は一見にしかず
繰り返し他人の話を聞くよりも、
実際に自分の目でたしかめてみたほうがよくわかる』

紫苑
「はい。
 瑞穂さんは生徒会に呼ばれていますよね?」

瑞穂
「はい。今日は壇上でしゃべるようにと……
 エルダーの仕事?」

紫苑
「ふふ。
 さすがに察しが良いですわね。
 そう言う事です」

瑞穂
「なぁんだ。
 二人とも人が悪いですよ?
 そう言う事ならご飯もおいしく食べられます」

紫苑
「あらあら
 では、こちらのあえ物はいかがです?」

瑞穂
「あ、頂きます。
 紫苑さんはこっちの煮物ですか?」

紫苑
「はい、ありがとうございます」

まりや
「よくやるわね。二人とも」

紫苑
「楽しいですわよ?
 まりやさんもどうです?」

まりや
「あたしはもう食べちゃいましたから
 ま、がんばってね。瑞穂ちゃん
 うしししし」

そう言うと
まりやさんは席を立ってしまいました。

瑞穂
「……何か気になる」

紫苑
「察しが良いと言うのも良し悪しですね」






きーん
 こーん
  かーん
   こーん。
午後体育館。

貴子
「では、お姉さまは私と一緒に壇上にあがって頂きます
 よろしいですね?」

瑞穂
「それは良いんですが
 私は何をすれば?」

貴子
「ああ、すみません。
 年中行事なのでてっきり……
 お姉さまに伝え忘れていました」

瑞穂
「私はここに今年来ましたからね。
 お手数かけますが説明してもらえますか?」

貴子
「すみませんがお姉さま。
 今は時間がありませんので
 壇上の私の司会で紹介されましたら
 こちらの原稿を読んでもらえますか?」

瑞穂
「ええ。それは構いませんが……」

瑞穂さんの怪訝な表情に
貴子さんの表情は、ほころんだのです。

貴子
「ふふ、安心なさってください。
 代々のエルダーの仕事ですので
 変なことではありませんから」

瑞穂
「それを聞いて安心しました」

瑞穂・貴子
「ふふっ
 ふふふふふ」

二人の微笑みが壇上の下でかわされる頃
全生徒が入場しましたと二人に伝えられます。

貴子
「では、お姉さま。
 よろしくお願いします」

瑞穂
「はい」


貴子さんの話は滞りなく進む。

貴子
「次の議題に入りたいと思いますがその前に
 お姉さまよろしくお願いします」

しずしずと瑞穂さんが舞台に上がってくると
皆さんの視線がうっとりと集まります。

瑞穂
「在校生の方々はご存知の通り
 今年も来るべき妹達のために
 入学案内のパンフレットのモデル投票を開催いたします。
 我が校の顔として恥かしくない方々は誰か?
 皆さんの頭の中にある方を是非投票してください。
 投票は各クラス委員のほうに回ってますので
 期日までによき一票をお待ちしています」

『はぁ〜い!』

生徒達の黄色の声に見送られ
瑞穂さんと生徒会の方々が退出します。
そのさなか……

貴子
「お疲れ様でした。お姉さま。
 しかし、この反応では投票するまでも無さそうですね」

瑞穂
「あはは……
 去年もエルダーの方……紫苑さんがこうやって?」

貴子
「いえ……紫苑さまには申し訳ありませんが
 お休みでしたので」

瑞穂
「なるほど……
 では、去年のパンフレットは誰がモデルだったのかしら?」

貴子
「あの……それが……」

一瞬の逡巡。

瑞穂
「うん?」

貴子
「………………私です。
 上級生と下級生の圧倒的支持で……生徒会の役員でもありましたし」

瑞穂
「ふふっ。
 貴子さんがモデルさんなら
 さぞ、カメラマンさんも楽しかったことでしょうね」

貴子
「お姉さま、それはどういう……」

瑞穂
「貴子さんがお綺麗だって事ですよ」

貴子
「あ、あのっ、そっ、私っ! 失礼します!」

瑞穂
「あらあら
 真っ赤になっちゃって可愛いわね。
 って……ボクはいったい何を言ってたんだろう……」



紫苑
「あの……瑞穂さん?
 しゃがみこんでませんでそろそろ教室に戻ってほしいんですけど」

瑞穂
「あは、あはは
 はい、戻ります」

紫苑
「ふふ、瑞穂さんは貴子さんが大変お気に入りのようで」

瑞穂
「紫苑さん?!」

紫苑
「驚かなくてもよろしいですよ?
 先ほど貴子さんが、ゆでだこのように赤々としてましたから」

瑞穂
「紫苑さんまでそうやって僕をいじめる」

紫苑
「あらあら
 瑞穂さんがすねてしまいました。
 とっても可愛らしいので私、
 嬉しくなってしまいます♪」

瑞穂
「紫苑さんの……ばか」

紫苑
「あらあら?」



投票後。
ある日の生徒会室。

貴子
「ま、開票は見るまでもな……って
 これは!」

まりや
「ふふ、貴子
 今回はあたしの好きにさせて貰うわ!」

貴子
「まりやさん。これはいったいどう言う事かしら?」

まりや
「あらあら
 生徒会長さんは目がお悪いようで
 見えないのならはっきりおっしゃってさしあげますわ!」

貴子
「目は見えてます!
 このファッションデザインってのはなんなのかと聞いているんです!」

まりや
「あんたも投票用紙くらい確認しときなさいよ
 今更でしょ? そんなのは」

貴子
「むむむむむ」

まりや
「瑞穂ちゃんの手前
 いがみ合う訳にもいかないでしょ?
 私もあんたが美人ってのは認めるところだし」

貴子
「ですがっ」

まりや
「はいはい。
 もう決まったことだし
 期日すぎるほーが問題じゃないの?」

貴子
「解りました。
 しかし、倫理に反するような事は!」

まりや
「あたしをなんだと思ってるのかっ!
 そんな事しないわよ!
 まぁ、制服だけって訳にもいかないでしょう?
 寮の中で見栄えがする服
 ちゃんと選んだげるわよ」

貴子
「大層な自信ですこと」

まりや
「ま、あんたよりセンスはあるつもりだけどね」

貴子
「言いますわね」

まりや
「あんたもね」

貴子・まりや
「ふふふふふふふふふ」


ここで
投票結果発表
以下の通りとなりました。

1位 宮小路瑞穂
2位 十条 紫苑
3位 厳島 貴子





「撮影会。当日なのですよ〜♪」

由香里
「はい、晴天にも恵まれました♪」

寮の入り口。

まりや
「あー、そこのちびっ子二人。
 モデルさんの準備は出来てるかね?」

由香里
「はい。そりゃ、もうバッチリ♪」


「お姉さまの可憐さに会長さんも失神なのですよ〜」

まりや
「あいつは何しに来たのか?」

紫苑
「まぁ、良いじゃありませんか
 今日は皆で楽しく撮影会。
 なんですから」

まりや
「おぉ〜
 これはまた。
 お綺麗ですよ。紫苑さま」

紫苑
「ありがとうございます。
 まりやさんもとっても綺麗ですよ」

まりや
「いや、今回
 あたしはどうでも良いんですがね」

紫苑
「いえいえ
 聞きましたよ。陸上部を主とした体育系の部活紹介のモデル。
 まりやさんだって」

まりや
「はい?
 聞いてませんよ? それ」

由香里
「あ、ごめんなさい……
 言ってませんでした」

まりや
「最初から言ってよね
 別に逃げやしないから
 まぁ、お化粧とか瑞穂ちゃんでも無ければ
 普通はそれなりにしてるものだけどね」

由香里
「お姉さまって何時も素っピンなんですか……」


「奏はそっちの方がびっくりなのですよ〜」

紫苑
「そうですね。
 瑞穂さんは何時も自然に美しいですから」

瑞穂
「紫苑さぁ〜ん。
 そう言う事言わないでくださいよ〜」

まりや
「ほほぉ♪
 うまくなったわねぇ。みっずっほっちゃんっ♪」

瑞穂
「まりやに言われた通りにしただけだい」

まりや
「すねないすねない
 それで貴子は?」

瑞穂
「まだ、部屋で」

まりや
「あいつ化粧できるって言ってたのに
 瑞穂ちゃんより遅いだなんて!」


「あの〜
 それが」

紫苑
「貴子さんったら
 私と瑞穂さんに劣ると気にしてらしたので」

瑞穂
「貴子さんは十分にお綺麗ですよ
 と、言ったら倒れちゃって……」

まりや
「まだおきて来ないと……」

瑞穂
「今は一子ちゃんが見てる」

由香里
「それは別の意味で起き上がれないんじゃないかな
 と……思うんですが」

まりや
「由香里〜
 あんた何考えたの?
 別に貴子の上に乗ってる訳じゃないのよ〜?」

由香里
「なっ?!
 何も考えてませんっ!」

瑞穂
「赤くなった由香里ちゃんも可愛いわよ」

由香里
「おっ、お姉さままで!?」


「奏から見ても由香里ちゃんは可愛いのですよ〜」

由香里
「ふあ〜ん」

紫苑
「あらあら
 由香里さんがしゃがみこんでしまいましたね」

一子
「隊長!
 鬼の生徒会長が目覚めました」

まりや
「うむ。ご苦労
 下がってて良いぞ」

一子
「はぁ〜い♪」

瑞穂
「まりや……貴子さんをなんて紹介したのよ?」

まりや
「鬼で生徒会長って言っただけよ。
 間違ってないでしょ?」

瑞穂
「間違ってる
 凄く間違ってる……」

まりや
「ああ、もううるさい!
 撮影始めるわよっ!」

貴子
「一番うるさいのは、あなただと思いますけどね。
 まりやさん」

まりや
「あたしがうるさいなら
 あんたは偉そうだ」

貴子
「なんですって?!」

まりや
「今回はあたしのプロデュースなんだからね!」

由香里
「お姉さまったら役職が上がってるし……」


「部長さんがもぎ取られたと嘆いていたのですよ〜」

由香里
「あの、演劇部長さんに……勝ったの?」


「奏もびっくりしたのですよ……」

まりや
「うら!
 野郎ども、とっとと取って生徒を気絶の渦に叩き込むわよっ!」

貴子
「なんですか
 その口調はっ!
 だいたい野郎なんて居ないんですから
 その口調だけは直しなさい!」

まりや
「あぁーうるさいっ!」

瑞穂
(ボク……野郎なんだけどなぁ……トホホ)

紫苑
「あらあら
 瑞穂さんが落ち込んでしまわれましたわ
 まりやさんカメラカメラ」

まりや
「シャッターチャーンス!」

瑞穂
「ええ?!
 なんでこんな所を取るの?!」

まりや
「名物だから」

紫苑
「名物ですものね」

貴子
「あの……お姉さま
 わりと有名に」


「奏もクラスメイトに聞いたのですよ〜」

由香里
「部で流行ってたり……」

瑞穂
「がぁ〜ん!」

まりや
「瑞穂ちゃん
 2枚はいらないから
 ありがと」

瑞穂
「ちっ、違う……」



一子
「そして、その後撮影は熾烈を極め!
 阿鼻叫喚の嵐嵐嵐っ! おもにまりやさんと鬼の生徒会長が。
 まぁ、撮影自体は学校の施設案内
 もう卒業するお姉さま達がこの学校で何を学んだのか
 何を残したのか
 そんな事を説明するように写真に収めていきます。
 ってか、まりやさんが何時の間にかビデオカメラを持ってるのに驚きました……
 30分ほどのでぃーぶいでーだそうです。
 今は8ミリじゃないんですね〜」




きーん
 こーん
  かーん
   こーん。

数日後。

由香里
「まりやお姉さま聞きましたっ?!」

寮の談話室。

まりや
「聞いた聞いた。
 予想してしかるべきだったわ」


「演劇部でも話題の的なのですよ〜」

まりや
「しっかし、恵泉の治安はどうなってるのかね。
 闇取引だなんて
 麻薬かっちゅうの」

由香里
「ある意味麻薬ですけどね……」


「見た生徒さんが失神してるって聞いたのですよ〜」

まりや
「二人とも何を聞いたか言いたまへ」

奏・由香里
「……」

まりや
「見詰め合わないの
 じゃ、由香里から」

由香里
「あ、はい。
 えっと……私が聞いたのは
 視聴覚室に集まった1年生役30人が気絶したまま発見された。
 午後の授業に出なかった事からお昼休みに見ていたんではないかと」

まりや
「お昼抜きで瑞穂ちゃん観賞か
 ものを食べないで見るって神様か瑞穂ちゃんは!」

由香里
「ここでその例えはどうかと……」

まりや
「良いのよ。例えなんだから
 次、奏ちゃん」


「はいなのですよ〜。
 奏が聞いたのもだいたい同じなのですよ。
 ただ、部活毎に集まって観賞
 こちらは朝練の時間みたいですけど」

まりや
「そういや登校してる生徒が少なかったわね……
 って、あの減ってるの全員が見て倒れたの?!」

由香里
「ありそうな話ですよ。
 私達は一緒の寮ですから
 まだ大勢がありますけど
 他の子と同じ立場と思うと……」


「奏もそう思うのですよ〜」

一子
「お姉さまは、まるで大量破壊兵器ですね〜
 ところでそのお姉さまは?」

まりや
「なんか理事長室に行くとか聞いた」

由香里
「まさか今回の件で?」

まりや
「まさか……瑞穂ちゃんのせいじゃないし」


「でも、タイミングが良すぎるのですよ〜」

一子
「考えすぎですよ
 考えすぎ……

 その時の私達はそう思ってました。
でも、一日過ぎても帰ってこないお姉さまに
私達は不安をつのらせ
3日たった頃にはこんな事件になってしまいました」




朝、教室。


「大変な事になったわ」

美智子
「あらあら
 圭さんが驚くなんてよほどの事ですね」


「あれを見てもそう言えるのかしら?」

美智子
「あれ……
 えっと、校庭で集会でしたか?
 きょうの一限目」


「あれ、学生運動よ」

美智子
「は?」


「宮小路瑞穂を帰せって言う」

美智子
「瑞穂さんは家の都合でのお休みと聞いてますが……」


「他の子はそう思わなかったみたいね
 噂では大量破壊兵器瑞穂は退学」

美智子
「あらあら
 大変ですわね」


「余裕ね」

美智子
「ええ。私達は普通にしてられますから」


「やっぱりあんたは大物だわ」



理事長室

まりや
「で、なんであたしらはここに押し込まれてる訳?」

緋紗子
「一応、安全のためって言ったら信じてくれる?」

貴子
「私はまりやさんが理事長に直談判したって噂のほーが気になりますけどね」

まりや
「あたしも用事があっただけよ……
 ここの理事長は……親戚だから」

貴子
「今の間なんです?」

まりや
「眉を吊り上げちゃってまぁ……怖い怖い」

貴子
「ちゃかしてる場合ですかっ!」

紫苑
「ともあれ
 撮影会の皆が集まったってのは
 少し楽しいですわね」

緋紗子
「紫苑さんは余裕あるわね。
 先生助かっちゃう」

まりや
「まぁ、端的に言うわ
 瑞穂ちゃんが家の用事ってのは本当。
 私の親戚って言うのは
 まぁ、関係として近いってのが本当で嘘なんだけどさ」

貴子
「まりやさん……!」

まりや
「良いじゃない
 説明はぶいたって大事なのはそこじゃないでしょ!」

貴子
「わかりました。
 説明を続けてください」

まりや
「まぁ、そんなにたいした話じゃないのよ。
 瑞穂ちゃんの実家がお金持ちってのはなんとなく察しがついてるでしょ?
 貿易だかなんだか詳しくは知らないけど
 そのお父さまが珍しく帰ってきて
 ここの理事長と親しいとかであのDVD見たって程度
 私がいなかったのは
 瑞穂ちゃんと一緒にあってきたから
 まぁ、瑞穂ちゃんはそのまま拉致られたけど」

貴子
「えっと、つまりお姉さまがいないのは……」

まりや
「ただの親孝行
 今頃親子水入らずで過ごしてるんじゃないの?
 (あんまり女の子っぽくなってる息子に心配してキャバレー周りしてるって話だけど
 その辺はだまっておこう)」

紫苑
(まりやさん、瑞穂さんの女装がもしや?)

まりや
(ああ、大丈夫ですよ。紫苑さま。
 瑞穂ちゃんが女装してここに居るのは瑞穂ちゃんの家が主犯ですから)

紫苑
(安心しました)

貴子
「なんで二人で密談してるんですか?」

紫苑
「瑞穂さんのお家に心当たりがあったもので
 ちょっと聞いてみたんです」

まりや
「紫苑さんの予想は外れましたけどね。
 人の家の事、あんただって内緒話みたいになるでしょ?」

貴子
「まぁ、たしかに広言する事ではありませんが……」

まりや
「で、あんたら二人は何してるのよ?」

由香里
「いえ、なんか皆さんぴりぴりしてて」


「奏はお話が良くわからなかっただけなのですよ〜」

まりや
「しっかし、うちの生徒も意外にも根性あったのね。
 学生運動だなんて」

貴子
「時代錯誤な……」

紫苑
「それだけ、瑞穂さんが愛されてるって事ですよね」

緋紗子
「だからやっかいなんだけどね〜
 まりやさん瑞穂さんが何時頃お帰りか聞いてる?」

まりや
「聞いてないんですよね。
 って、瑞穂ちゃんが帰ってくるまでひょっとしたらこのまま?!」

貴子
「ありうる話ですわね。
 あの子達がこのまま取り囲み続けたら……」

まりや
「うえ……あたしが事情知ってるって思ってるんだろうなぁ……」

紫苑
「それは間違いないかと……」


「奏たちもここに居て良いのでしょうか〜?」

貴子
「むしろ、あなたたちが危ないわ。
 お姉さまと同じ寮なんですから」

由香里
「なんか大事ですね……」

緋紗子
「こんな事、恵泉始まって以来で
 先生たちもどうした良いものか困ってるのよ」

まりや
「ま、瑞穂ちゃんのお父様には悪いけど
 直接連絡しちゃいましょう」





数時間後
恵泉正面玄関。

瑞穂
「まりやに聞いてきたけど……
 なんか大変な事になってる……」

生徒達
「お姉さまー!
 お帰りなさいませ〜」

瑞穂
「えっと……
 ふぅ……すーーーーーっ
 皆、良く聞いて!
 事情は聞きました。
 私のためというならこんな事はもうやめてください!
 私は別に退学になったりしません!
 ちょっとお父様にあってきただけです!
 心配をおかけした事については誤りますから
 どうか皆さん!
 教室に戻ってください」





再び理事室

まりや
「おお、帰って来た帰って来た」

紫苑
「ふふ、瑞穂さんって結構声が大きいんですね」

貴子
「びっくりしましたわ
 あんなに大きな声だなんて」


「さすがお姉さまなのですよ〜
 一声で皆さんが納得したのですよ〜」

由香里
「でも、あんな所で土下座までしなくても」

まりや
「瑞穂ちゃんらしいけどね
 しかし、お父様にあってきたってのは不味くない?」

由香里
「へ?
 なんでですか」

まりや
「今にわかる」




一子
「こうして、モデル瑞穂退学事件は幕を閉じました。
 しかし!
 これはあらたな事件の幕開けだったのです!
 お姉さまのプール授業まで完全に納めたDVD!
 闇ルートでなんと100万円!
 これを見た男が財力に物を言わせて
 お姉さまとの結婚をせまってる!
 なんて噂が流れたからさぁ大変!
 お姉さまを金を持ってるだけの助平親父に渡すな!
 ここに、第二次恵泉学生運動の火蓋が切って落とされたのでしたぁ!」


瑞穂
「なんでこんな事になっちゃうのかなぁ……」

まりや
「いや、それだけ愛されてるって事で」

瑞穂
「って、
 結局、まりやのせいじゃない
 春夏秋冬の授業風景入れようなんて言うから
 一子ちゃんに頼んで水着まで着たのに」

まりや
「いや、それは直接的な理由じゃないじゃない?
 瑞穂ちゃんがお父様にあったなんて言うから
 お見合いなんて噂が流れただし
 ああ、いっそ瑞穂ちゃんが男装してお兄さんが結婚するとか言ったらどう?」

瑞穂
「ボク……男の子だもん」


一子
「しかし
 まりやさんの策はあらたな波紋を呼ぶのでした!
 次回、処女はお姉さまに恋してる
 お姉さまはお兄さまに恋してる?
 ご期待ください!」

瑞穂
「もうやだ……」






後書き
今年初更新ー!
そして、私の最長のSSー(笑)
んで、もって二日に分けて書いたのも初ー!
おとボク書いたのも初ー!
と、初めてづくしのSSとなりました。
何処で一旦力つきたかわかった人
わからなかった人
良い出来悪い出来
書き手として気になるので
一言で良いのでお気軽に掲示板にでも書き込んでくださいませ
よろしくお願いしますm(_ _)m

追伸
ちゃんと、おとボクになってるよね?(笑)

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