第一話

 七瀬と唯子がならんで帰ってる頃。
俺はさくらを探してる。

「図書室とか校舎裏だと思ったんだけどなぁ……」

「それは、さくらちゃんを探してるのかな?」

階段でもないただの廊下で
ずいぶん低い所から声がした。

「小鳥もまだ居たんだ」

「真くん、さくらちゃん探すには
 まだ、居たんだって時間は遅いんじゃないかな?」

「唯子と七瀬に捕まってた」

あぁ〜
と、このちびっ子は大げさにうなづいてた。

「でも、さくらちゃんも真くんを探していたよ」

探してあげてね。
と、小さいちびっこ……
心で思うのも小鳥にしといてやろう。
小鳥は俺達に気を使うかのように
帰路を急いでくれた。


 校舎をあらかた覗いて見たのに
さくらが居ないなぁ
なんて、思って帰ろうとすると
さくらと鉢合わせた。

「先輩……やって見つけました」

どうやら行き違いばかりだった……
と、言うより唯子と七瀬にひっぱられ過ぎたな。

「さくら」

やわらかい視線を感じる
じーっと見つめられてるって訳でもないのに
こっちを見てないって感じもしない
さくら独特の視線。

「一緒に帰ろうか」

「はい」

視線同様にさくらは柔らかく笑う
夏の暑さも
日の高さも
この時間では、夕焼けになる事もない

「一日が長い気がしますね」

「そうだね」

空を見上げて
感じる事が同じで口にするのも同じ
それって、凄く嬉しい。
心がつながってるって感じがする。

「連休の前に
 出かけちゃいませんか?」

「人が増える前に?」

「はい。増える前に」

こんな所も繋がってたのが嬉しくなる。

「さくらは何処に行きたい?」

「先輩となら何処でも
 って、言われても困っちゃいますよね。
 忍の別荘でもまた借りまちゃいましょうか」

「それも良いけど……
 二人で普通に旅行ってのも良いなあ」

「そうですね……
 普通に旅行しちゃいましょうか」

「じゃ、今夜はその相談って事で」

「はい。
 そんな楽しい相談なんですから
 今夜は帰ってあげませんよ?」

「帰したくないのは俺のほうだから」

「嬉しいです」

まだ夕焼けも見えないのに
影が長くなる帰り道わさくらと歩く
無言なのに誰よりも話こんでる感覚を覚えながら
家に入った。

 そして
これから……
俺の戦いが始まる。
さくらに水着を着せるためのっ!










後書き
今度は小鳥がなんか違う気がする〜(笑)
なんかいろいろと似た伽羅に引っ張られてないかなぁ?(苦笑)




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