第2話 決戦はあくまで優雅に…
どっかの誰かさん's view:
唯子の破壊音波によって、地雷原を抜けた七瀬達であったが…
「なんで、また門があるのよ!」
再び門が彼女達の行く手を遮ったのであった。
そしてその門より流れる忍の声!!
『それは、それはそれ〜はぁ〜…』
「スーパー1…」
「懐かしいな……」
が、ボケを入れる約数名…突っ込み役は、哀れかな…忍嬢である。
『聞け、人の話!!』
「「「で?」」」
「待ってたわよ……おもに地雷原が。」
「そんなもの待たすなぁぁ!!!!」
『とにかく、待ってたの。』
そしてゴホンと一つだけ咳払いすると、忍はその音楽的な声を用いて、再度、同じ言葉を放つ。
『待ってたわよ♪』
その言葉に、今度はまともに答えを返す…その名は七瀬。
「しんいちろうを返して。」
『い・や♪ だって彼ったら……もう、何言わせる気よ♪』
「しんいちろう……殺す。」
忍の言葉に何を思ったか…七瀬の感想は素直である…
『ナナセサマ、ナニモアリマセンデシタノデ、オイカリをオシズメクダサイ。』
途端に聞こえるは真一郎の『カタイ』声。
「今から! 行くから! 首を洗って待ってなさい! しんいちろう!!」
『ほらぁ、あんな彼女ほっといてぇ、私とアガスティア(理想郷)に行きましょ(はぁと)』
『駄目だ。』
真一郎、即答。しかも、かなり真剣な表情を見せている…まぁ、七瀬達には見えないんだか。
『え……そんなに七瀬さんが……』
『違う!』
うろたえた様な忍の声に、真一郎またしても即答。
「しんいちろう絶対殺す。」
『イイエ、ナナセサマ、コトバノアヤデス。オイカリをオシズメクダサイ。』
「嫌よ……」
ちなみに…七瀬嬢、忍と真一郎が違う場所にいる事には全然気付いていない。
「と、とにかく……乗りこむわよ!」
「お〜!」
嫌な会話を打ち切るように、アリサがみんなにそう号令すると、一同はようやく進むことができた。
「やっと奨んだ……」
「アリサちゃん、進んだ。よ♪」
「あんがと… 」
「では、開門〜♪」
もはやお約束のやり取りとなった会話を交わしながら進む一行の前に現われた次なる刺客、それは!!
「こ、これはぁ!」
「何このテーブル?」
怪しげなセットと一人の少女…その少女はこんな事をのたまった。
「では、ただ今より、月村邸入室クイズを行います。」
「って、那美! おまえ何しとる?」
その薫の声の通り、その少女は、メイドさんの格好をしている神咲那美嬢である。
そして那美嬢、薫の質問にたいしてはこう答えた。
「アルバイトです。」
「そ、そう……」
実に簡潔だったため、誰も反論出来なかった…
ナレーター:
あくまでにこにこしている那美さんに、戸惑いの表情を隠せない皆さん。
ですが、那美さんはそんな雰囲気を無視して言葉を続けます。
高い職業意識の表れ、ともとれますね。…たぶん違うんでしょうけど…
「では、皆さんはお席の方へ♪」
「行かないと言ったら……?」
手に入れた木刀…聖剣を肩に担ぎながら低い声で真雪さんがそう言いました。
結構きてるみたいです。ですが、那美さんの表情は変わりません。
「そんな選択肢は無いですよ♪」
口調もそのまま。楽しくて仕方がない、という感じです。
そしてそんな那美さん言葉に続いたのは、スピーカー越しでの忍の声。
『そう、こんな事もあろうかと……』
…………えっと……
………その…
……どこで育て方を間違えちゃったのかしら…
…忍は、そのままうっとりした感じを漂わせながら沈黙しました。
当然、皆さんはこう言うわけです。
「「「「「「「「「「「そのセリフで止まるなぁぁぁぁぁ!」」」」」」」」」」」
『おっといけねぇ。』
…どうして江戸っ子言葉なの、忍?
『こんな事もあろうかと……』
…………
………
……
…忍…なんでこんな風に育っちゃったのかしら…
またしてもうっとりとした感じの沈黙を発生させた忍に、当然皆さんは更に突っ込みます。
「「「「「「「「「「「それをやめぇぇぇい!!」」」」」」」」」」」
『邪魔するなぁぁぁ!』
「「「「「「「「「「「逆ギレんなぁぁぁ!!!」」」」」」」」」」」
…はぁ…もう、なにがなにやら…です。
「もういい…あたしは行く!!」
しびれを切らした真雪さん、全てを無視して前に進もうとしました。が……
がんッ!
「なっ!!」
見えない壁に阻まれてしまいました。すかさず那美さんの解説が入ります。
「言い忘れてましたが…… 超合金『鈴木さんの茶碗』【注1】が張ってあるそうです。」
「超合金だろうがガンダニウムだろうが…鈴木さんの茶碗だろうが土瓶だろうが…たとえなんであろうが…とにかくぶち壊す!!」
真雪さんは、そう吼えると見えない壁の破壊活動をはじめました…
どっかの誰かさん's view:
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「本気で突破できねぇぞ。こりゃあ……」
真雪をはじめとする、破壊活動に従事していた数人が疲れたようにそう、呟いていた。
『解った? 世界最高の超合金……『鈴木さんの茶碗』の硬さを!』
忍の得意そうな声に、余計にイライラする一同。
つい、参加してないアリサに当たってしまうのは仕方のない事…
「アリサちゃんも手伝って〜… 」
「アリサ! お前どうして攻撃しない!」
「アリサの馬鹿力はこういう時に使うんじゃないの?!」
などなど、アリサに対する非難の嵐はなかなかに恐ろしい。
が、その的であるアリサはとっても冷静だった。
「だって……『鈴木さんの茶碗』を波会するなんて無理って知ってるからよ……少なくとも手持ちの魔法じゃ、ね……」
「アリサちゃん…波会ぢゃなくて破壊…」
…やっぱりいつも通りのようである…
「あの〜。お席に着いてもらえないと私のお仕事がぁ… 」
そんな一同を涙目で見ていた那美嬢、愚痴でも言うようにそう訴える…
「席についたらどうなる?」
「あ、クイズで一定点数を突破したら玄関のドアが開くそうです。」
「「「「「「「「「「「それを先に言え!」」」」」」」」」」」
そういうことを那美嬢に求めるのが無駄であるのは、言うまでもない…
ナレーター:
とにかく、そんな感じで皆さんが席に着いて、クイズ大会が始まったわけなんですが…
「えっとぉ…3のカントマイム!」
ぶぶー
「にゃー!」
なのはちゃんが答えた瞬間、不正解のブザーと共に爆撃【注2】が降り注ぎました。
なのはちゃん泣いて避けています。あっ、爆風で真っ黒です…
「4のお茶漬け!」
ぶぶー
「ちぃっ!!」
あっ、今度は薫さんが間違えたようです。
飛んできたナイフ【注3】を器用に叩き落している所は、流石は薫さんですね。
「1の緑。」
ぴんぽーん♪
「よし、っと♪ じゃ『ビームライフル』【注4】輦車ぁ!【注5】」
アリサちゃん、正解したと同時にビームライフルを放ちます。
なにか、間違っているような気がしますが…誰もそう思っていないようです。不思議ですね。
「あぁ、また当てられてしまいました……この娘強い…」
ちなみに、全員の対戦相手と問題セレクトは案内役の那美さんとなっています。
その那美さんの呟きとは裏腹に、アリサちゃんは心の中ではこんなことを呟いていました。
(まずいわ……私以外はダメージが大杉る。【注6】このままじゃ黒い翼には……)
このまま、難問揃いのクイズの前に、アリサちゃん以外は皆、敗北してしまうのでしょうか?
たしかにこれでは、御神の剣士の能力も関係ありませんね。くすっ。
それでは、次回『クイズ、それは紳士淑女の嗜み…なの?』でお会いしましょう。
第2話の注釈
【注1】透明な金属【注7】らしいです。
【注2】対戦方式はクイズです。
【注3】ですから…対戦方式はクイズです。
【注4】クドイようですが、対戦方式はクイズです。
【注5】正射、と言いたい様です…
【注6】多過ぎる、と言いたいらしいです。
【注7】透明な金属って……
間話
「でも、しんいちろうは何をあんなに嫌がってたのかしら? いつもと全然ちがうとっても凛々しい声で……」
「それはねぇ……しんいちろがジョキャニーニェ(理想郷)派だからぁ、アガスティア(理想郷)派が嫌いなんだよ。」
「そうゆー理由であんなに真剣だったの?」
「まちがいないね♪」
戻ることなく次へ行け