「夢杯……」

 木箱を手に士郎が呟く。

「誰だ?」

「さぁな?
ともかく、これを届けるのが任務って訳だ」

「そっか……で、何時出発する?」

「うん、今だ!」

「「今ぁ?」」


神咲 薫
修行黙示録
目標への努力




ボー
ボー

 汽笛が鳴る事三日。
一向が中国に来て居た……
そこから更に一周間。
山の奥……

「ぜぇぜぇ……
つ、疲れた」

「だらしないな」

「そやかて……
うちでも、辛いですよ……
これ」

「いや、
恭也は男だし」

「そ、そう言う……も、問題――ですか?」

 最早 ろれつも回らないほどに
薫は消耗していた。

「む?」

 士郎が眉をしかめる。

「ん? どうした? 親父」

 その事に恭也が反応する。

「薫さん……」

「はい……?
え? え? え?」

 士郎はいきなり薫を抱きしめる。
頬を真っ赤にして戸惑う薫。
恭也は、しきりにきょろきょろしだした。

「恭也!」

「解ってる!」

 地面にいきなり降りてくる1つの物体!
それを核心すると士郎と恭也は木に足をかけ跳ねる。

「人?」

「だな……それも恭也よか小さい」

 良く言う白い人民服に身を包んだ短髪の子が
片手に短刀を持って地面に座りこむ。
それが……
こちらを……
見た。

 ぞくり。
ただ、ふるえる感触。
薫はそれを見て居たくなかった。
ただ、瞳をそらした……
でも、それだけでは、震えは止まらない……
そんな……薫を士郎はぎゅっと 抱きしめた……
薫は恐怖よりも頬を染めて その状況に酔った……

しかし!

士郎と恭也はそうはいかない!
相手の早さは完全に別格だった。
士郎の剣の振りよりも完全に早く胴体をひねる。
体の切り返しが
早い
そう言うしか無いほど……早かった……

「これこれ、狛
そのヘンにせんか」

 わずか1分ほどの戦闘……

「……ほっ……」

 恭也は、完全にへたりこんだ……



………………
…………
……

 その人が夢杯さんだった……
日本人と息子が結婚したとかで
日本語の堪能な人……
薫と恭也の為か 終始日本語で話てくれる。
 狛
どうも その息子さんの子供でただいま里帰りらしい。



 薫の事は夢杯は陣内に聞いて居たらしく
突然 平坦な場所に呼び出された。

「お若いの……強さは求めるものじゃ無し」

「それはその通りだと思います」

「なら、話は終りじゃな……」

「待って下さい!」

「何ゆえ求める」

「必要だから」

「何に求める」

「ただ、強さにのみ」

 二人はどちらとも無く構えた……
薫の手には木刀。
夢杯老人は徒手。

「ならば 見るが良い……
強さの欠片を……
それで悟れねば……
終りと知れぃ!!!」

 だっ!
早さ。
ただ、早さ。
それが来る。
薫にはそれしか解らない。

「くっ!」

 身をひねって避けるも、
目視出来ないほどに早い。

「爺ちゃん ご飯だよー」

「ほい」

 動きがピタリと止まる。

「薫さんや。ご飯だそうです。
この続きは朝にしましょう」

「……いえ……うちには無理なようです」

「さようですか……
では、後日にしましょう」


――ご飯中――

「恭也……
狛くんどうだった?」

「ん?
……早い」

「恭也が遅いんだよ」

「そんな事無い……」

 良く笑う子と寡黙な子
なにやら微笑ましくて薫と夢杯は終始にこやか。
そんな 夕食……。


…………
……

――夜――

 闇が支配する……

「……こう言う事か……陣内」

 屋根の上で士郎が人影を見つめてそう言った。




後書き 何故 突然これを書くんでしょう?(笑)

    しかも続くし(ぉ)


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