「薫……」
心配そうな瞳で見つめる。
一人の金髪碧眼
彼女の名を十六夜と言う……




ことの起りは師走。
だれもが忙しくなる時期
対魔師である神咲薫も例外では無く……

「ふぅ……
今日は多かったとね」

「そうですね
薫……
今夜はゆくり休むんですよ」

「言われなくてもわかっちょる」

少し
十六夜の言葉が鬱陶しくなった頃……
それは……
起った。

「薫!」

「ああ」

一瞬にして起る緊張

(ここで今
何があった!)

考えるのはそんな事
しかし
必要なのはそんな事じゃない!

[それ]が一瞬で薫の間合に入る。

「神気…発勝……」

十六夜を抜きかかって……
薫は弾き飛ばされた……

………
……


目が覚めれば
そこは病院。
薫は当たりを見まわして
状況を知ろうとする。

「薫……」

「十六夜……」

そこに見るのは
良く知った十六夜。

「うち……は……?」

「先ほどの霊症にやられました……
そして、霊の方は治安科の護符で一応の決着がつきました」

十六夜の表情は
何所か怒ってるようにも見える……

「薫!
どうして、私を使おうとしたのです?
そんな余裕は無い
と、
私には思えましたが?」

「読み違えた……
それだけじゃ」

「読み違えたって
一歩間違えば
死んでたんですよ!」

「わかっとる!」

薫の
その
怒声に……
しばし……
沈黙した。

「十六夜……
うちは……
修行をする」

「薫?」

その真剣な薫の表情に
十六夜は
嫌な予感を覚える。

「強くなる
そうじゃなかと……
うちは死ぬ」

「薫!
簡単に死ぬとか口にするものじゃ…」

十六夜の言葉は薫にさえぎられる。

「間合の取り方を徹底しないと
こんな事が幾つも起る……

十六夜……
行って来る」

「昔から……
どうして、自分で決めて
すぐに行動してしまうんです……
祟り神の時だって……
禄に私も振れないのに……」

「十六夜……
行って来る」

その力強い表情に十六夜は
ただ
ただ
うなづいた。




(不破……士郎……か……)
茜屋さんの絵 何時もありがとうございますm(_ _)m
修行に一時
田舎に帰ろうとした
矢先
陣内啓吾が進めてくれたのが
そんな名前だった。
どうも
今は東北に居るらしい。
そこで不破士郎は一人の男の子と対戦させた。

(手も足も出なかったな……)

そう、士郎の息子でもある不破恭也に薫は惨敗した。

(幾等 十六夜じゃなかったと言っても……
いい訳にもならんね……)

薫は思いだして
微笑む……

(うちより、強い子供も居る……
うん!
うちはまだ伸びる)

そこで薫はしばらく不破の親子と旅を事にしたのだった……



続く

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