月姫〜GR計画〜第7話『弓塚さつき』 バラバラバラ……
音を立ててヘリが落ちてくる。
都合二度ほど乗り換えてやって来たのは
遠野の屋敷。

「やっと着きましたね〜」

乗り換え時に割烹着に着替えた琥珀が言う。

「ヨーロッパからですからね……
志貴さま着きましたが?」

後部座席で寝ていた志貴に言葉を書けるのは翡翠
何故かメイド服を着用して居る。

「志貴さま?」

翡翠がすこし強めに声をかけても志貴の目は覚めない。

「無駄よ。志貴って寝ちゃうと
他に何があっても目が覚めないの」

志貴の変わりに答えたのはアルクエィド・ブリュンスタッド
志貴が連れて来た人ではない何か……
吸血鬼と言われるモノらしいが……

「では、お部屋をお連れする事にしましょう」

翡翠がそう言うと何時の間にか何処かの部屋の中に居る。

「あれれ?」

アルクエィドが目をまんまるにして驚く。

「ふふ、驚きましたね。
これが翡翠ちゃんが洗脳探偵って言われる所以の1つなんですよ♪」

手を口に当てるように琥珀は笑い出すのを

「姉さん!」

翡翠のその言葉がさえぎった。
見るとすでに志貴がベッドに寝かされて居る。

キー
鈍い音ともに部屋のドアが開く。

「帰って来たのですか?
琥珀、翡翠」

部屋に入ってきたのは長い黒髪の女性。

「はい。ご報告が遅れて申し訳ありません」

その女性に翡翠は深くおじぎをした。

「志貴さまがお休みですので
先に部屋に着たんですよ〜
ごめんなさいね。秋葉さま」

琥珀も頭を下げる。

「そう言う事情なら仕方ありませんね。
ところでそちらの方は?」

黒い髪の女性はアルクエィドの方を見た。

「あ、始めました
アルクエィド・ブリュンスタッドって言うんだ♪」

アルクエィドは笑顔で答えた。

「あなたが……
申し遅れました。
私の名は遠野秋葉。いちおうここの責任者です」

「ほらほら、秋葉さまもそんなに侮蔑なお顔では失礼ですよ。
なんたって、志貴さまをここまで護衛してくれたんですから」

琥珀は二人の間に入るように言葉を出す。

「そうでしたね……
兄さんが大変お世話になったようで……
長旅でお疲れでしょう?
こちらでお休みください。
翡翠!」

「はい。秋葉さま」

翡翠が命じられたまま
部屋をアルクエィドに連れて行った。





――明けて朝
――――遠野家玄関――――

「ここに志貴くんが居るんだね」

髪の毛を左右で束ねた女性が巨大な門を見つめてそう言った……

月姫GR計画





第7話『弓塚さつき』








「おはようございます。
志貴さま」

志貴の目覚めそうそうに頭をさげる翡翠。

「え?!
あ……おはよう、翡翠
何時からそこに?」

不思議そうに志貴は翡翠に疑問を言う。

「15分ほど前からです。
ついでに申し上げますと志貴さまをこのお部屋で寝かせたのも私です」

志貴はその言葉で自分の着てるものを確認する。

「オレ……パジャマなんだけど……」

少し赤みがさした顔をして志貴が翡翠に聞く。

「それは、姉さんが着替えさせました」

「姉さんって……琥珀さん?」

「はい」

「そう……」

「何か問題でも?」

「いや、ありがとう。
でも、今度から着がえさすくらいなら起して欲しいな」

志貴としてはそう言うしかなかった。

「ですが、志貴さまは起きられなかったので……」

「そ、そうですか……」

赤い顔で志貴はポリポリと頭を掻いていると


「志貴さまから
いらっしゃいますか〜?」

琥珀の声らしきモノがドアをノックしながら声を出す。

「は、はい、なんでしょう?」

志貴は上ずった声を出しながらその声に答える。

「朝食のご用意が出来ましたー
それて、お客様ですけど……
どうします? 一緒に朝食になさいますか?」

「それで良いなら……
でも誰なんです?」

「弓塚さつき様と名乗ってらっしゃいます」

「弓塚……うん、知ってる人だ。
あ、琥珀さん部屋に入ってきても良いよ」

「いえいえ〜
私は朝食の仕度に入りますね〜
では、10分ほどしたら食堂に来て下さい」



――そして10分……



「ゆ、弓塚……」

志貴は出合う。

「うん、来ちゃった」

その髪の毛を左右で束ねた女性と……

「良くここが解ったね」

志貴は普通に会話してても……

「うん、埋葬機間では遠野は有名だからね」

何時も笑顔で……

「兄さん、そいつから離れて!」

何時の間にか入ってきた秋葉は知っている。

「あれ?
兄さんって事は……
秋葉?」

「そうです!
兄さん、そんな話よりそいつから離れて下さい!」

「そんな話は秋葉の方だろ?
良いか。弓塚は……」

志貴が言い切る前に

「七大天王が一人。
素晴らしきさつき
だよ♪
志貴くん」

「え?」

志貴が疑問に思い聞き返そうとさつきの方を向いた瞬間だった。
パチンとの音とともに首筋に痛みが走る
首筋をす―っとなぞられたような痛みを感じた
とたん

「兄さんに何するつもりです?」

秋葉がさつきを睨むようにそう言うと、

「う〜ん
なんだろうね? わかんないや」

さつきは苦笑いを浮かべてそう言った……





次回予告
懐かしい顔は敵なのか……
そこで志貴は自分の瞳が全てを殺せる事に気がつく……
次回、月姫〜GR計画
第8話
「直死の魔眼」

……ご覧……あれ



後書き 埋葬機間で合ったはずなんだから、気がつけよ 志貴!(笑)