月姫〜GR計画〜外伝(21話)『政府』
「遠野には死んで貰う」
月姫〜GR計画〜
――第2部――
化物――第5話(21話)政府
「この度の汚職疑惑 村山先生はなんとお考えですか?」
「国民にたいして一言お願いします」
「先生!」
靴音が響く議事堂の一室。
ここ村山の事務室は朝からの報道にてんやわんやしていた。
「やはり……信さんでしょうか?」
「ほかにおるまい……
あやつめ……裏切りおって……
きゃつへの権限を全て戻せ!
このままじゃ危険だ!」
――神楽 信 事務室――
「先生……
やつでは無理だったか……」
「ですが、村山先生の権限をこちらに回していただければ……」
「無駄だ あの方にその器は無い」
「ですが悔しいです……」
「相手が悪すぎた……」
「相手?
いったい誰です?」
「考えても見ろ。全部 大懐球と手を組んでからだからさ……」
「そんな……1富豪がここまで……」
「潰すと言われて あの嬢ちゃんは黙ってないさ」
とたんに外に叫び声が響く……
「マスコミでしょうか?」
「いや、我々との繋がりを嗅ぎ付けるには早すぎる……
遠野だろうな……」
「まさか……」
「ほら 悲鳴か……」
「遠野……秋葉……」
「違うな。
あの嬢ちゃんに悪役はできんよ……
そして、翡翠でもありえない……
琥珀が汚すのを嫌うからだ」
「全部 独断ですか?」
「おそらくな」
「使用人風情が?」
「立場で相手を軽く見るのが君の欠点だ……
まぁ、私は自身が無いのが今回の敗因だな……」
ふっと……懐かしむように信は瞳を細める……
「先生?」
「……来る」
静かにドアが開かれた。
「こんにちは〜」
にこやかに微笑んで琥珀は銃を構える。
「ひさしいな」
「はい♪」
銃声が響いた……
翌日。
――議会室――
「巫条霧絵さま
浅上藤乃さま
両義式さま
ご到着いたしました」
長い髪をした美人が二人。
短髪の美人が一人。
「お……んな?」
「君 やめたまえ
対 遠野一門との我々の切り札なのだから」
「先手を打たれた まぬけはお前か?」
短髪……式が言う。
「申し訳無い……村山がしくじった」
「まぁ、いいさ……」
「それで 私達のような若輩者にどんなご用件でしょう?」
霧絵と呼ばれた少女の方が呟く。
「遠野一門……化物を退治していただきたい」
「後 一人の方は?」
藤乃と呼ばれた少女が部屋を見まわす。
「七夜とは――連絡が取れなかった……」
「殺られた?」
嬉しそうに式が呟き 霧絵と藤乃を目を伏せる。
「おそらく……」
その時ドアが開いた。
「七夜……さん?」
「いえ、琥珀と申します♪」
「何!」
三人の少女はその場から飛びのく。
が!
議員室にいた官僚は琥珀の手にしたマシンガンに打ち抜かれる。
「ぱぱぱぱぱぱぱぁ〜♪」
子供が見た事の無いおもちゃを喜ぶような笑顔で琥珀が銃わ乱射する。
「ちっ!」
藤乃の瞳が円を描く
「螺旋切れろ!」
きらーん☆
琥珀の瞳輝いて その方向に布状のものを広げる。
「な?」
布のむこうから銃弾が飛んでくる。
それを見えない何かが弾丸を落とす。
「危のうございます」
「ありがとう 巫条さん」
「いいえ」
「だぁ! 近づけねぇ!」
ちらちらと式を気にしてるのか近づくたびに銃口がむけられる。
「その瞳のことくらい聞いてますよー
それでは、私は目的を終えたので帰ります♪
お邪魔しましたー♪〜」
「姉さん……こちらへ」
翡翠がドアの前に立つ。
「おむかえありがとう 翡翠ちゃん♪」
「それでは……お帰りくださいました」
その場に二人はいなかった……
「あは……あははは
っなろ」
「大変な……お仕事をいただきました……」
「本当……」
式・霧絵・藤乃は二人が帰るのをそれぞれの感想で見送った……
次回予告
それぞれがそれぞれの思惑を孕むころ……
真実は凡庸な姿をさらす。
日の出とともに日の出に向かう!
その言葉に明日を見るのか!
次回、月姫〜GR計画〜
第22話
『東の果てに日は昇る』
後書き 時間かかった上に予告と違います(苦笑)