月姫〜GR計画〜第13話『混沌と誕生』 そこには、一人
ただ、一人……
黒い白衣にもにたコートを着こんだ男がただ立っていた。

ここにも一人
ただ、一人……
眼差しに狂喜を帯びた少年がナイフを片手に立っていた。





月姫GR計画


第13話『混沌誕生







少年は何時ものように横たわっていた。
隣には綺麗な顔が一人座って居る。

「凄いね。もう覚えたんだ」

綺麗な顔はそう少年に嬉しさを伝える。

「うん。【あれ】を覚えるのは楽しいし……
何より、君が喜んでくれるしね

少年は赤くなりながらそう答える。
ふふ、と笑みを浮かべて綺麗な顔は少年に覆い被さって来た。




――翌日――

黒い白衣と形容すべきコートを着こんだ男。
ネロ・カオスは少年を見る。

「はて……?」

その表情はこの男が見せるべきではない……驚きが浮んでいる。
何を思ったのか、ネロ・カオスは少年の跡をついて行った。



少年が人目を避けるような場所……洋館に足を踏み入れた時
ネロは気がつく。

「なるほど……あれか」

その言葉に満足したようにネロは洋館に少年に続くように入っていった。

「!」

足を踏み入れたネロは驚きあたりを見まわす。

「なんだ! ここは?!」

洋館に響く声に答えるように【それ】は現れた。

「何故だ!?」

【それ】は答えない。

「そうか……」

【それ】は黙って掌を広げて手を差し出す。

「ここが目的か」

その言葉が合図だった。

ネロはコートの前広げる。広げたコートの中は真っ黒で何かあるのかすら解らない。その黒がだんだんと波打ち不規則な動きから何かが出てくる。
その動きに【それ】は手で印を書く。

「手印か?! そんなもので私と対峙するとはな」

コートから出てくる無数の獣。その獣が一斉に【それ】に向かってくる。
ある獣は手を
ある獣は足を
首を
腹を
腰を
バリバリと食べる。



【それ】が食べ尽くされるまで数分とかからなかった……
ネロは満足したかの用にそこから立ち去った……



少年が歩みよる。
綺麗な顔……【それ】に

「見た?」

綺麗な顔は少年に言う。

「うん」

と、少年はうなづく。

「あれが君の相手……ただし、あんなまがい物ではなく本物の原初の海だけどね」

綺麗な顔は少年に寄りかかる。
それは……
血を伴って……

「どうして……絶対に無事だって言ってたのに……」

「無事だよ……大丈夫 君が会いたいと思ってくれるならまたすぐに会える」

「本当?」

「うん……私が嘘をついた事は無かったでしょ?」

「そうだね……」

二人は泣き顔に笑みを浮かべて寄り添って居た……
まるで……溶け合うように……



――埋葬期間 大聖堂――

「ふう……」

と、息を吐くのが一人。
全ての子 カレーパ○マン。

「準備は終りました……
ネロ。あなたも私に取っては計画通りなのです。
後は……時間ですか……
これが一番やっかいですね」



――数日後――

少年に変化が訪れる。

「何これ?」

目に見えるのは複数の線。
壁にも自分にも至る所に線が走る。
少年はその線に指で触れる。
そうすると……

「!」

音も無く触れた部分が切断された。

「もしかしてこれが……」

少年は意識する
それがバロールの瞳だと言う事を……
そして黙って目を閉じる。

「こうして目を閉じて見えるのが何時もの風景……」

少年は目を開ける。

「そして、これで見えるのがバロールの風景だ」

そのバロールが、劣化したレプリカである事を少年はまだ知らない……





次回予告
大壊球は1年ぶりに動き出す。
異端と埋葬期間が呼ぶもの達はついに作戦を展開する。
「一年も時間をくれた事を感謝します!」

次回、月姫〜GR計画
第14話
『発令! 電磁ネットワイヤー作戦!!』





後書き、やっと次でジャンアント・ロボネタが復活です(笑)