月姫〜GR計画〜第11話『黒いメダマ』 それは、まだ、ゆっくりと進んでいた。



 進む途中に町がある、たいして大きくは無いがきちんとした機能を持っている町。
ただ、今まで【それ】が通って来たところにあった町とは違いがあった……
それは……
埋葬期間と言う組織に敵対して居た事。

ビヴュン!

それは突然聞こえた
夜の町に浮び上がる一つの巨大な球体その後がその巨大な球体から出されたことはすぐにわかった。
何故なら、その巨大な球体には巨大な目玉が一つ……浮んでいたのだから……




月姫GR計画


第11話

黒いメダマ






「成っとく出来ません!」

そこは埋葬期間の一室。
部屋の主はナルバレック。
そして、怒気に近い大声を張り上げてルのはシエルだ。

「おやおや、またですか?
今度は一体何があったんです?」

ナルバレックの表情は何時もの笑みが浮んでる
そう、まるでいたずらっ子を見る教師のように……

「何があったか?
じゃ!!
ありません!」

ドン!
と、シエルは机を拳で叩き潰すように振り下ろす。

「それでは、解りませんよ。
順を追って説明してくれなくては答えようすらありません」

ナルバレックは眼鏡の曇りを胸ポケットのハンカチを取り出して拭く。

「では、言います!
ヨーロッパ南東にあるケルン都市
そのケルンが無くなりました……」

「無くなったとは?」

はぁー
と、息を眼鏡のレンズにかけながら、ナルバレックは言う。

「とぼけないで下さい!」

またも、シエルの拳が机を叩く。

「なんども机を叩かないで下さいね。
見てくださいよ……
ほら
ここ」

と、ナルバレックが指差した所を知得留は見る
そこは少しへこんでいた。

「シエルが事ある事に机を叩くからですよ……
へこんじゃったじゃないですかぁ。
どうして、書類書く時に机に板を載せないとならないんです?」

ナルバレックは恨めしそうにシエルを泣き声で言う。

「事を起すアナタが悪いんです!」

またも、快音を響かせてシエルが机を叩く。

「ですからぁ……」

ナルバレックはシエルを恨めしそうに見ながらレンズを一生懸命磨いていた。






 シエルがナルバレックをたずねた頃……遠野家

「ほら、言った通りだったでしょ?」

嬉しそうに声を弾ませて言うのは瀬尾晶。
遠野家では情報の処理と言う名目で今日もパソコンの前に座ってる。

「たしかに言った通りだけどな……」

対面に座って居るのは月姫蒼香。
遠野家には何か役目があるらしいがその役目事体は不明。
一説には晶のお守とも言われている。

「でも〜、凄いね〜
消〜失なんて〜」

間が伸び切った言い方をして居るのは三澤羽居、通称羽ピン。

「消失ってのは穏やかじゃねぇな」

「ええ。
ですが消失としか解らないんですよ……」

晶は申し訳なさそうに言う。

「晶ちゃんの〜
未〜来〜視〜は〜」

「いやに伸ばした口調をするな?!」

蒼香かが、羽ピンの言葉使いを指摘する。

「うん♪
だって、Myブームなんだ」

えへへ
と、笑い声で羽ピンは答える。
それが蒼香には気に要らなかったようだ。

「てめぇ……」

蒼香かが毒づくも

「晶ちゃん、どうなの〜?」

さして気にもせず、羽ピンは晶に問い掛ける。

「羽居!」

蒼香が立ちあがる。

「蒼香
悪いけど、私も気になるの
晶の話を優先してくけませんか?」

話に入ってきたのは遠野秋葉、現遠野の当主。

「あ、遠野先輩♪」

「話してくれますね?」

「はい♪
私が見た……っより聞いたのは【黒いメダマから光が来る】って事だけです」

「黒いメダマから光が来る?」

「なんだそりゃ?」

「メダマが光ったんじゃないの〜?
こうピカーって」

羽ピンは両手の親指と人差し指を使って自分の目を大きく見開く。

「羽居……」

さっきのを含めて蒼香かカンカンだ。

「いえ……たぶん羽居の言う通りだと思います」

秋葉の言葉に羽ピン
どうだ、と胸を貼る。
その胸を貼る仕草に秋葉を少し眉をしかめる。

「まだ小さいのを気にしてるのか?」

蒼香の言葉に秋葉は真っ赤になって否定する。

「な! 何故そのような話が出て来るのです!」

「いや、羽居の胸見てしかめっ面してたからな」

羽ピンの胸はこの中で一番大きい……
対して秋葉はこの中で晶と同じく最下位だった……

「そんな事はありません!」

「そうかぁ?」

結局大懐球の事はうやむやになっていった……




次回予告
何かが起きる時は何かが変わる時……
今……
大懐球によって、何が変わると言うのか……
次回、月姫〜GR計画
第12話
「変革者」





後書き 予告とまたも違う……でも予告のセリフはシエルが言ったんだよ。シーンとしては無いけど(爆)