月姫〜GR計画〜外伝(20話)『豪腕』
――大聖堂――
「上空に人影があります」
一人のシスターがそう継げる。
「ふむ……
暇な事だし
わしが見に行こう」
「そんな豪腕さま……」
「いや、こんな時くらい役にたたんとな」
豪腕は場に居たものの静止をさえぎって出て行った……
月姫――
――GR計画――
――外伝の3(20話)話『豪腕』――
「箒(ほうき)か……」
豪腕は空を見上げるとタンデム(二人乗り)の箒(ほうき)が1つ。
「………………むん!」
「な?!
ちゃんと飛べ!
馬鹿 姉!」
「違う!
衝撃だ!」
二人が下を見た時……
豪腕は真横に
居た。
「落ちろ!」
「い・や・だね!」
豪腕の拳を青子がさえぎる。
「なぁらっ!」
「おおおお!」
二人の気迫で箒(ほうき)が曲がる。
「青子!
このままじゃ、箒(ほうき)が折れる!」
「やわなの
使ってるんじゃない!」
そう言いつつも
豪腕を叩き落す。
「我(わ)が拳に勝る物無し……
我が拳こそ破壊なり
我が拳は……破壊なり!」
「我(われ)の腕は豪なり
我の腕こそ神罰なり……
我の拳は……神腕なり!」
青子と豪腕の言葉(武具言語)がぶつかる!
衝撃の余波は受けて
橙子が吹っ飛ぶ。
「なにようだ……
ブルー」
「私の仕事は破壊なんでね……
壊させてもらう!」
「拳でこの豪腕に立ち向かうは愚かなり!」
めりりっっっっ
嫌な音と共に青子がうめきを上げる。
「……ぁ……ぁぁ……」
落下中の攻防は豪腕の勝利で終わったかに見えた……
(くそ……何本か逝った……か?
このままですまさんぞ……)
「豪腕!」
「むう!」
豪腕が上を向いたその時!
「我が色は過去たる青。
我が力は破壊たる青。
我が破壊は一撃……
我が破壊は全てなり!」
空気が……
地面が……
揺れた。
「それがどうしたぁ!」
豪腕が再び空に舞う。
目標は……
青子だ。
「潰れろ!」
豪腕の手が大きく広がる。
そのまま青子をはさみ潰そうとする。
「じゃ、てめぇは食われな!」
後には橙子。
トランクを開けて出てきたのは巨大な犬科の口。
バグン
それは豪腕を飲みこむ。
「青子!」
「ああ!」
青子は巨大な口に向い。
【M79グレネードランチャー】を構える。
「今度は武具言語付きだ……
くたばれ七大天王」
青子が砲撃したそこには……
煙草を咥えた豪腕……
「やれやれお嬢様がた
煙草の火にしては大き過ぎるぞ」
「ば、化物め」
橙子は冷汗で気を失いそうになる。
「それを君が言えた義理ではあるまい?」
一瞥して青子を見て
「そっちの娘もな……」
一点して、橙子は箒(ほうき)の速度を上げる。
下に落ちた青子をトランクから伸びた手が掴む。
「姉?!」
「手持ちじゃ豪腕には勝てん!
引くぞ」
「それは姉の話だ、降ろせ!」
「戦いはこの1戦だけじゃない
どっちにしろ、味方のが少ないんだ
協力しろ」
「……………………………………解った」
「逃がさん!」
「破壊たるは無限なり
破壊たるは真実なり
向かうたるは時間なり
過ぎ去る時こそ破壊なり!」
空気を押し出すように青子が手を叩き出す。
ぱぁん!
音が豪腕に襲いかかる。
(これは……無理か?)
豪腕は体をひねり
空間に手をついて(!)それを避ける。
橙子が豪腕に向いトランクを投げると
豪腕に向かって無数の拳が降りかかる。
「小ざかしい!」
豪腕は気合一閃、全ての腕を叩き出す。
「な、なんたる……」
「姉!」
青子の叫びに橙子は頷く
「爆炎よ……
青き咆哮となれ!」
青子の武具言語で呼び出された炎で箒は加速をつけて東に消えた。
「煙草は二本目か……
助かったぞ。残影」
「あの炎はいけません……
毒があります」
「炎に毒か……流石はブルーに痛んだ赤と言った所か……」
――東――
「豪腕……
お前は言っちゃいけないセリフを吐いた……
このまま生きてられると思うな」
次回予告
「あの犬猿(青崎姉妹)が手を組むとは、な……」
「やつらめ、それほどカレーが嫌いか!」
「しょせん 異文化にカレーの持つ素晴らしき香りと味は解りませんよ……」
政治が邪魔するはなんの為か
「ふふっ……
私と知恵比べですって♪
お馬鹿ですね。政府の方って」
琥珀の知恵と政府の知恵。
大壊球戦は舞台を拡大するのだった……
次回、月姫〜GR計画〜
第21話
『政府』
後書き やっと本編に戻れますが まだ外伝が残ってます(苦笑)