月姫〜GR計画〜外伝(19話)『魔術師達の宴』


ここは青崎事務所。
ここに2人……
いや、3人居る。
一人は所長の青崎橙子
眼鏡とスーツの短髪美人。
一人は黒桐幹也
眼鏡の普通の子。
そしてもう一人が……

「式……いい加減離れてよ……」

「嫌だ。ずっと守ってくれるんだろ?」

「たしかに、私も聞いたな。
約束は守らないとな黒桐」

にやにやと笑いながら橙子は言う。

「だからってこんなべったりしなくても……」

「仕事の邪魔にならないように背中に張りついてるんだ。
良いじゃないか」

「そうだぞ。
黒桐、仕事に問題無いだろ?」

(絶対に楽しんでる……)

そうは思っても式がそばに居るのが嬉しくてしょうが無い。



――昨日――

事務所に顔を出した橙子が驚いたのは居た人物では無く
居た人物の表情だった……

「おい!
式! 何があった。
おい、聞こえて居るのか!」

蒼ざめた式に橙子の声は届かない……

「おいっ!
おいっ!」

橙子が何度か平手打ちを浴びせ……
やっと……
式は答えた……

「来る……あいつが……くる……」

「あいつ?」

「こ、黒桐は……?」

「ああ、黒桐なら、昼まで来ない……
用事を言いつけたから……」

橙子が言い終る前に式は頭を抱えてうずくまる。

「来る……くる……クル……
クル来るくる来るクルくるくるクル来るクル来るくる来るクルくるくるクル来るクル来るくる来るクルくるくるクル来るクル来るくる来るクルくるくるクル来るクル来るくる来るクルくるくるクル来る」

橙子の方が頭を抱えた……

…………
……

黒桐が帰還してから数時間。
式から聞き出したのはこうなる。
ちなみに式は隣りの部屋のソファーで泣きつかれて眠っている。

「両義式さま……
ナルバレックか……」

「所長の知ってる人ですか?」

「ああ。知ってるよ。
あった事も……な……」

「含みますね」

「言いたく無いからな」

「なら、聞きません。
調べます」

「まぁ、まて、式が寝こんだのはナルバレックでは無く。
中身の文面だろう」

「文面?」

「ああ、昨日の黒桐の証言とあわせると一人の人物が思い当たる。
よりよって七夜の嫡男と1悶着やるとは……」

橙子は頭を抱え始める……

「そんなに凄い人なんですか?」

「うむ。
天敵って言葉があるだろう?
私……まぁ、この場合は式もだが
七夜の家系は【それ】なんだよ。
これが相手となると……」

黒桐の顔がこんどは蒼ざめた。

「そう心配するな。
ここの事務所には結界があるし
文面を見る限りは式を狙ってる訳でも無さそうだ。
お前が【ここで】めんどうやれば良いさ」

橙子はとたんに【にやにや】と黒桐に笑いかける。

「ええ……
式が危ないならボクが守ります!」

「それは本当か?」

式が部屋に入ってきた。

「えっと……」

式がじっと黒桐を見つめる……
黒桐の顔が赤らむ。
橙子のニヤケ方は最高潮にたっした。

「うん。本当だよ」

「黒桐……」

まさにラブシーンと言った風に二人は抱き合った。


――再び今日――

一人の女性が青崎事務所の前に立つ。

「ここね」






次回予告
それは、青い魔術師
それは、傷んだ赤色の魔術師
二人は大壊球を見る……
次回、月姫〜GR計画
外伝の2
『魔術師達の宴(後編)』






後書き ごめん、二分割した(苦笑)