EWIを基準に書いてありますが、WX系でもリリコン系でもバイアス、スティングでも応用できるように書きますので、参考にして下さい。EWI専用の項目には(EWIのみ)の表記があります。
それから、ウィンドシンセはシンセと名の付く管楽器です。腹式呼吸での息の入れ方等基本は一緒です。
サックス講座の方も参考にして下さい。
■ブレスセンサーの感度
ブレスセンサーには2つの感度ツマミがありますよね?その説明から。
・ADJUST
これはどれだけ「小さい音が出るか」の設定。
ウィンドシンセはダイナミクスレンジ(一番小さい音〜一番大きい音)をなるべく広く取ってあげると表現に幅が出ます。よって、ここはブレスセンサーのLEDが点灯するほんの少し手前まで右に回してあげます。
・SENSE(EWV2000ならSENS)
ここの設定は重要です。ADJUSTと違い、個人差によって「どの位置がいい」という基準がありません。
このセンサー設定をきちんと行うことが上達の第一歩です。
どれ位の強さで吹けばどれ位の大きさの音が出るかの設定をここで行います。
つまり、
センサーの感度(ツマミの数字)を下げる=強く吹かないと吹けないがダイナミクスレンジは広がる。
センサーの感度(ツマミの数字)を上げる=弱い力で吹いても吹けるがダイナミクスレンジが狭い。
となるわけです。
あまり感度を低くすると表現に幅が出なくなるので、「ちょっとツラいかな?」という少し前に設定するのが良いと思います。目安としては、10分〜20分位連続で吹くと口が少し痛くなる位が良い設定位置だと思います。
ちなみに伊東さんを目指すのであれば、この感度を0〜2にして吹かなければなりません。\(*o*)/
伊東さんへの道は遠く険しいのです。(笑)
(実際にこれを一度は体験してみて下さいね。ハンパじゃないです。)
ちなみにEWV2000の場合、慣れたら感度を0にしてもそんなにツラくないです。ツラくないなら当然ダイナミクスレンジの広い0にするのが一番です。
■ベンダーの改造(EWIのみ)
改造と言っても何も難しいことはありません。用意するのはスコッチテープとハサミ(カッターでも可)。
通常ベンドアップ、ダウンすると感度が良すぎるせいか、うまく「プァ〜」っと上がり下がりしてくれません。(これも個人差があり。後に記述)
そこで、ベンダーのプレートの位置にスコッチテープを貼りましょう。
全面にベタっと貼る(Bend*1)、三角形に貼る(Bend*2)、変形三角形に貼る(Bend*3)等の貼り方があります。また、三角形を逆にしても良いでしょう。
Bend*1 Bend*2 Bend*3
(3000系の下側のベンダーです)
これも個人差があり、スコッチテープを二重にしている方もいれば、何も貼らずにいる方もいます。
スコッチテープだけではなく、ビニールテープやメンディングテープ等素材によって感度が変わるので、色々試すと良いでしょう。
伊東さんの場合は上を三角形にしたスコッチテープを貼って使用。下は何も貼らずに使用。ベンド幅は全音で使用しているそうです。
■音色について
伊東さんの良く使用する音色は口で言うのは難しいのですが、大体3つに分けられると思います。
・「これぞアナログ」というアナログ音源特有の音(SQUARE時代に使っていたリリコンの音色)
・ブラス系の音色(MorningStar等の音色)
・パルス系の音色(クラリネット系の音。THE SQUARE LIVEのJapaniseSoulBrosの音色)
EWI系の音源でいうと、Jadd系、Clarinet系と言ったところでしょう。
もちろん、その曲風に合わせて音色をチョイスしていますが、「プァっ〜」とのびる音色が好みのようです。また、前述したブレスセンサー感度の低さから、音量の低い時と音量の大きい時とで音色が違うようにすることもあります。
この辺は音源によって違いがあるので、よく音を聞いてそれに似た音を使って下さい。
・エフェクター
エフェクターはリバーブを少しかける程度で、良いでしょう。
もしディレイをかけたい場合は、音の厚みを増すのを目的とし、残響の幅を短く、時間も短くするようにします。ディレイはレコーディング時にはたっぷりかかっている場合がありますが、基本的にはかけてもなるべく後を追う音がわからないようにするのがベストのようです。
・デジタル音源
WT11等のデジタル音源の場合、音色のチョイスは難しくなります。
特にWX系の場合は単なるMIDI コントローラなので、あまりアタック感の強い音(エンベローブで言うアタックタイムの強い音)を使ってしまうと、ウィンドシンセの「旨味」が出ない場合がありますので注意しましょう。
また、レガートで音がうまくつながるような音色を選ぶのもポイントです。
音をある程度設定出来るデジタル音源を使用する場合、昔からよく使われる基本パターンがあります。参考にして下さい。(表1)
トランペットA | 同一音色にデチューンをかけて音に厚みを出す |
トランペットB | |
トロンボーンA | 同一音色にデチューンをかけて音に厚みを出す |
トロンボーンB | |
トランペットC | ベロシティをかけて強く吹いた時だけ1オクターブ上の音を出す。 音色は上のトランペットと同一音色。 |
ブレスノイズ(効果音) | 強烈に吹いた時にノイズ的なSEが出るようベロシティを最大に上げておく。 |
ストリングスA | 同一音色にデチューンをかけて音に厚みを出す |
ストリングスB |
■ポルタメント
音をつなげたまま音階を上げる機能ですが、使いません。切ってください。
理由は簡単です。ここには「伊東さんになりたい」人が来てらっしゃるハズです。
だったら四の五の言わずに切って下さい。
例えばどんなに使いやすい機能だろうが、自分には必要だろうがです。
こんな機能は、
「手が大きくてすぐ触っちゃって「ぴゅーんぴゅーん」言っちゃうからいらなぁ〜い」
と突っぱねましょう。(笑)
また、誰が言ったか等という無意味な詮索は言語道断です。自分の責任で(例え手が小さかろうが)言いましょうね。(=_=)
ここまで言っても、もし仮に「雨が降ろうと槍が降ろうと、何があってもどうしても使いたい」という聞き分けの悪い人は以下の通りです。(笑)
初心者の方は最初センサーを切って使用した方が良いと思います。
タッチセンサーであるEWIのキーはちょっと触っただけで過敏に反応してしまいますので、まずはEWIのキーと演奏に慣れてからトライするのが無難です。(ベンダーも同様)
ところが、ある程度慣れた方でもそんなに使えるというものではないんです。
こう書いてしまうといかにも始末に困る機能のように思えますが、ツボの得た使い方をすることによって効果音的に使えます。
例を挙げるなら、伊東さんの場合「THE SQUARE LIVE」の「OMENS OF LOVE」のラストでドの音を1オクターブ上に上げています。
T-SQUAREの「GRAVITY」の「THE SEVENS WONDER」で宮崎さんの吹いているEWIではアドリブの始めと終わりに使用されています。
また、SQUAREのライブでは本田さんが「TRUTH」のメインテーマの最後に上から下まで速いタイムで音を下げていくのを聴いた方もいると思います。
かく言う私も、ALL ABOUT YOU(ADVENTURE)の頭から5小節頃から最低音のミからオクターブローラーの上から3つめまでの間をポルタメントを使って上げて使っていました。
以前、なんとか使えないものかとポルタメントのタイムを最小にし、曲の中でレガートで上がる等の部分部分でスイッチを切ったり入れたりして吹いたことがありますが、結局忙しくなるだけで効果的な使用には至りませんでした。(EWI3000系の場合、プレートに当たる面積によってタイムが変わるので、この技は使えなくなりました)
腕のせいもあるのでしょうが、とどのつまりポルタメントは一種の「効果音」として認識し、曲のポイントを決めて効果的に演出する程度に考えておいたほうが無難のようです。
うまい使い方を知ってらっしゃる方がいらっしゃたら教えて下さいね。
※と言っていた矢先に、Back Bay GANGのライブにて宮崎さんが非常に上手い使い方をやっておられました。アドリブの中で自由にオンオフしながら吹く様はまさに自由自在といった感でした。うかつな事は言えませんね。この辺、考えがまとまったらまた取り上げたいと思います。
■イトタケ・フレーズ その1
というわけで、そろそろ実践編を。
まずはサックス編でやったオルタネイト・フィンガリングのようなフレーズを取り上げましょう。
Ex.1
このフレーズはThruthやJapanese Soul Bros.等でよく見られるパターンです。他にもTravelers等の(コードで)DやDmがらみの曲で使うとカッコ良いです。
このフレーズにEx.2のフレーズを連続して吹くと...
Ex.2
いままで「ラ→レ」だったフレーズが、「ド→レ、ラ→レ」の2パターンになっただけです。
フィンガリングに自信のある方は、Ex.1、Ex.2共に1拍目最後のレから2拍目最初のラ(Ex.2の場合はド)までの間を「レミファソラ」と繋げても良いでしょう。(曲のスピードによってはクドくなる場合があります)
また、Ex.2の「ド→レ」は譜面どおりでなく、実際にリズムに乗せて吹いた場合Ex.3のような感じになると思います。
Ex.3
コツとしては、「ラ→レ」のフレーズをゆっくり練習し、素早く出来るようになったら「ラ」の部分だけドの指づかいに替えるのが良いでしょう。
とにかく指を上から下まで回すだけなので、あせらずリズムに乗せることがこのフレーズのキモになります。ゆっくりとしたリズムの練習を充分にやりましょう。
〜続く〜