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  北麻鞍博士の憂鬱     (偃月さんのレビュー)     評価: 5.5 
▼ タイトル 北麻鞍博士の憂鬱
▼ ブランド Project-?(ミュー)
▼ ジャンル コミカルAVG
▼ 対応OS Windows95/98/NT4.0/2000
▼ メディア CD-ROM4倍速
▼ 定価 \8,800
▼ 発売日 2000/05/26
▼ 必須CPU / 推奨 Pentium120 MHz / Pentium233 MHz
▼ 必要メモリ容量 / 推奨 32 MB / 64 MB
▼ 解像度 / 色数 640*480・ハイカラー(65536色)
▼ 音源 MIDIwave



Soft Information - ソフト情報 -

OP曲
:
月下の胡蝶
     
ED曲
:
月へ還る
     
総プレイ時間
:
1.5時間
 
原画
:
間優月 [ Site ]
     
シナリオ
:
越智 自由
     
音楽
:
有阪 千尋
     
CG回想
:
     
シーン回想
:
×
     
音楽回想
:



Outline - あらすじ -

世界が劣等遺伝子の脅威にさらされ、人類は堕ちていった。

世界に蔓延する劣等遺伝子の存在に気付いた天才科学者、北麻鞍。

彼は、刻一刻と迫る劣等遺伝子による汚染、人類の滅亡に歯止めをかける為に立ち上がる。

北麻鞍博士は、数少ない優良遺伝子を守るため一人の女の子に目をつける。

そして北麻鞍博士は、助手兼世話係メルクリウスと共に彼女を付けまわす事に・・・



Scenario - シナリオ -

宇宙意識と呼ばれる存在が、遺伝子レベルで地球へと侵略を開始。
宇宙意識がばら撒いた劣等遺伝子の影響から優良遺伝子を残すため、
北麻鞍博士は一人の女の子に目をつけるという設定。

物語は、終始ギャグ系の雰囲気を保ち続けています。
しかし、そのギャグに理解できない部分が多かったという印象。

純粋に楽しめるギャグも多々あるのですが、あまりにも高度なギャグ過ぎて笑えない、
そういった場面が多かった気がします。

北麻鞍博士のギャグは、人を選ぶような気がします。
上手く、そのギャグの感性と自分の感性が合った人には、とても楽しめる作品ではないでしょうか?

上手く「北麻鞍博士の憂鬱」のギャグ、突拍子も無い展開に付いていく事が大切。
色々な意味で勢いのある流れに付いていけない場合は、物語を楽しむ事が難しくなってきます。

それと、シナリオ面で注目しなければならない点はテキストのボリュームについて。

ゲーム内の期間は約一日です。

自分がプレイした速さでは、ワンプレイが約30分。
総プレイ時間が約1.5時間と、物足りなさを感じます。

このソフトの場合は、普通のゲームとしてストーリーが表示される他に、特殊な機能があります。
それが「内面心理を読む」機能と「用語説明」の二つの機能があります。

この二つの機能の総文章量を加えると、それなりのテキスト量になりそうです。
しかも、この機能で表示される文章、「内面心理」「用語説明」の文章が意外に面白いんです。

案外、こういったちょっとしたプラスの機能って、おまけテイストを感じさせられたりして、
物足りなさを感じたりする場合が多いですが、

北麻鞍博士の場合は、かなり文章に凝っている様に感じられて、ストーリーのギャグよりも面白かったりもします。

その「内面心理」「用語説明」の数自体も、一つの場面で何度も出てきます。
こういった、他のADVとは違った楽しみ方の出来るソフトといえるでしょう。

そして、テキスト量が少ないにも関わらず光っていたのがキャラクター陣。
サブキャラクターも含めると相当な数になってしまいますが、どのキャラクターも光っています。

他のソフトとはテキストの量も少ないのに、圧倒的に魅せる、それ以上のキャラクターの魅力。

メルクリウス、まろん、さりあ。
どのキャラクターとも、一癖も二癖もあってインパクトがあります。

キャラクターが立っていただけに、もっとゲーム本編のシナリオのボリュームが欲しかったです。

エンディングについてですが、確認した数は6つ。
どのエンディングについてもいえる事ですが、
どのエンディングが誰のエンディングかハッキリしないという事が言えると思います。

しかし、ギャグストーリーなので、たとえエンディングが何であれ、一応全て形にはなっていたと思うので良し。
ただ、強引なこじつけで持っていっているという所はありますけどね・・・それでもギャグシナリオなので良し。

Hシーンに関して。

Hシーンの数自体は、そこそこあるのですが、やはりテキストのボリュームが少ないと言えます。

内容に関してですが、ギャグシナリオなので軽め。
表現自体も、それ程エッチな感じはしません。

Hシーンはあっさりとした感じがしました。

シナリオ面での総合的な感想は、人を選ぶお笑い物語。
しかし、そのお笑いが見事に自分の感性と一致する人には良いのではないでしょうか。

それと他のADVとはちょっと違った機能は新鮮。
ADVを違った観点から見る事も出来た気がします。

読み応えのあるシナリオを求める方にはあまりお薦めできませんが、
サクサクっと一つの物語を読みたい方にはお薦め。



Sound - 音楽・効果音・音声 -

曲数は、全部で曲。
BGMはMIDIで再生されます。

曲数は曲と少なめに感じますが、ストーリーの長さから考えると、丁度良いくらいではないでしょうか。

曲の雰囲気に関しては、明るめで面白い曲が多いです。
ストーリーの雰囲気にも合っていて、なかなか良かったと思います。

● PickUp
月下の胡蝶
月へ還る

以上2曲が印象に残っています。
オープニング曲とエンディング曲です。

うちのサウンドカードのせいでしょうか、BGMのMIDIの曲が全体的に軽く感じました。

効果音に関してですが、種類は色々と多いですね。
数も多いし、印象に残り楽しませてくれる効果音。

Hシーンの時、フィニッシュに近付くにつれて、ベルのような音が鳴り出します。
効果としては面白いかもしれませんが、個人的には無くても良かったように感じました。

音声は入っていません。



Character - キャラクター -

原画は間優月さん。

テキストのボリュームの割りには、キャラクター全体が立っていて良かったと思います。
どのキャラクターも特徴的。

▼ 主要キャラクター
● メルクリウス
北麻鞍博士が開発した少女の形をしたアンドロイド。
様々な形に変形するロボットアームが付いている。
性格は少し惚けた所もあるが、北麻鞍博士へは一途に愛情を尽くしている。
博士に意地悪されたりする事もあるが、一人ぼっちの博士の良い話し相手でもある。

● 木桐さりあ
偶然にも北麻鞍博士に気に入られてしまった彼女は、人類で唯一優良遺伝子を持つ人間と決められてしまう。
性格に関しては、少し常人とはずれた性格。
彼女の傍には、いつも親友の凪瓜まろんが一緒。

● 凪瓜まろん
木桐さりあの親友で、彼女の同級生。
常日頃から、木桐さりあの傍にいて、彼女のボディーガードをしています。
そんな彼女は数年前に帰国した帰国子女で、武術好きでレズ気味な女の子。
一番のお気に入りキャラクター。

● A子
木桐さりあ、凪瓜まろんと同じ学校の生徒だが、それ以上の事は良く分からない。
ただ、偶然にも北麻鞍博士と良く遭遇してしまい博士に弄ばれる。
しかし、彼女が北麻鞍博士の前に出現するのは、ただの偶然ではないようだ。

● 主人公(北麻鞍博士)
地下に生活し、街の様子を覗き見ている天才博士。
そんな彼の最高傑作では少女型アンドロイド「メルクリウス」。
助手であり、暇つぶしの相手である彼女と共に、優良遺伝子を残すため、木桐さりあを狙い始める。



Graphics - グラフィック -

立ち絵の種類は数種類。
ゲームの雰囲気とあった感じがしました。

立ち絵の塗りに関しては、なかなか良いと感じました。

イベントCGの枚数は、約60枚弱。
シナリオの長さから考慮すると、なかなか枚数も多くて良いと思います。

ワンプレイが約30分弱。
総プレイ1.5時間でCG60枚。
だいたい3分に2枚のペースなので、なかなか充実していますね。

全体的な塗りの感じは、こちらもなかなか良かったと思います。

背景に関してですが、こちらはあまり良いとは感じませんでした。
精細で綺麗かと言われると、素直にイエスとは言えません。

ただ、ゲームの雰囲気、なんとなくボケたシナリオのゲームにはあっているCGかも知れません。
あまりハッキリ写真のような背景でもおかしい気がしますし。

それと、画面効果についても書かなければならないでしょう。

とにかく、ゲーム中のキャラクターは良く動きます。

イベントCGの登場のし方もそうですが、立ち絵の表示のときでも、とにかく動き回ります。
個人的には、凝った表現に思えて、なかなか感触は良かったです。

全体的な評価は、並の上ぐらいでしょうか。



System - システム -

基本的に動作は安定しているように感じます。
それと、動作は非常に軽くなかなか良い印象を受けました。

修正ファイルは無いようです。

セーブ出来る個所は5個所。
シナリオが極端に短い作品ですし、ゲームの難易度も問題のない作品ですので、
これぐらいでも十分だと思います。

スキップは強制スキップのみ。
スキップの速度はかなり早く、目で追いつく事は出来ません。

その他に出来る機能は、BGM、効果音の切り替え。それとメッセージ表示の高速化。

画面モードはフルスクリーンのみの様です。

あと、二つほど「北麻鞍博士の憂鬱」には特徴的な機能があります。
それは「キャラクターの内面心理を読める機能」と「キーワード説明」という二つの機能。

キャラクターの内面心理を読める機能とは、会話途中にそれぞれのキャラクターが思っている事、
考えている事を覗ける機能です。

テキストに表示されるメッセージの他に、キャラクターの内面心理を読める。
そういうちょっと違った観点からゲームを見る事も出来るという機能は面白いと思います。

次に、キーワード説明。
この機能は、そのままなのですが、キーワードの説明です。

ストーリーの設定は科学者が主人公なので、それなりの専門的な単語などが登場します。
ですから、多少専門的な知識がない方にでも、優しく説明してくれる機能は良いと思いました。

また、専門的な単語の他にも、キーワードの説明を見る事が可能です。
意外にも、このキーワード説明の文章が面白かったりします。

ゲームに付属のおまけはCG回想のみ。

おまけとは別に、システム設定画面において、BGMテストが可能。
そこで全てのBGMを鑑賞する事が可能です。

このゲームは普通のADV形式。
特徴的なのはシナリオの薄さなので、結果的に難易度が非常に低い結果になっています。

攻略上で特に問題になる事はありません。
ゲーム性はほぼ皆無ですね。

システム全体の感想は、軽くて快適、プレイ上には特に問題は無いものの、ちょっと物足りない機能の少なさ。
フルスクリーン、ウィンドウモード切り替え、そしてHシーンの回想は欲しい所です。

軽くてシンプルな面を評価しました。



Total - 総評 -

Project-μの処女作。

自分は、Project-μさんの作品は、第2作目の「忘れな草」の方を先にプレイしました。
その「忘れな草」の出来が大変印象的だったので、第1作目もプレイしてみたくなり、こうしてプレイしてみた訳です。

やはり特徴的なのはシナリオのボリューム。
ストーリーの長さは短く、大抵の方には不満の残る作品だったのではないでしょうか。

しかし、色々と面白い点も見出す事が出来ました。

それは、個性的で魅力的なキャラクター陣。
そして、二つの特殊な機能。

これらがあるだけで、多少シナリオのボリュームの薄さをカバーする事が出来ていたと思います。

何しろ、二つの特徴的な機能に関してですが、
ここに「忘れな草」へと繋がる元を見た気がします。

とにかくProject-μさんの作品では、様々な画面効果が見られますね。

普通のADVには見られない表現方法。
個人的にはそれが好きですし、プレイする側も飽きにくい作品になっていると思います。

個人的に不満が残ったのは、音楽の所でしょうか。
ちょっと曲数が物足りなかった気がしますね・・・

それでも話の長さから言えば当然なんでしょうけど。
それに効果音も色々種類があって良かったので満足。

やっぱりキャラクターが本当に個性的。

メルクリウス、まろん。
この二人のキャラクターは良かったです。

いやぁ・・・・・・メルクリウスは、とにかく面白いキャラでした。
もっとメルクリウスの話とかエピソードが見たかったなぁ・・・と思ったり。

路上放置されたままのまろんはどうなってしまったのだろうかとか気にしてみたり。

続編は本当に出るのだろうかとか気にしてみたり・・・^_^;

何はともあれ、随分とあっさりおわってしまうのね〜と思った割りには、
なかなか中身では魅せられる要素はあったかな?

ってな感じで色々と同じ事を書いている気がして気ましたので終了。

Project-μさんの前衛的な表現技法、他とは違ったADVにはどんどんチャレンジして欲しいと思いました。




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Scenario
:
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45
Sound
:
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45
Character
:
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60
Grapchics
:
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60
System
:
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65
H
:
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40
Main3
:
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50
Total
:
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55