『峠のお茶会』
「独り占めの休日」
二人だけで過ごす休日
それはとても贅沢な休日
妙な重さを肩に感じて、オレは不意に目を覚ました。
ぼんやりとした視界に映るのは、つきっぱなしのテレビ。
肩に感じた重みは、涼介さんの頭。
覚醒し切れていない頭は、この状況を理解していない。どうして、こんなことになったんだろう。
確かオレたちは、次の遠征先で撮ってきたビデオを見ていたはずだった。
コースの説明を聞いていたのは覚えている。もう一度観たいと、そう言ったことも覚えている。
けれど、観ていたはずの映像は、途中から記憶が曖昧だ。
オレ、途中で寝ちゃったんだ。
そう思って時計を見れば、ビデオを見始めてからそんなには経っていない。
うっかり熟睡してしまったわけではないとわかってちょっと安心する。
でもそれなら、涼介さんはいつ、寝てしまったのだろうか。
肩には相変わらず涼介さんの頭があって、だけどオレからはその顔を見ることが出来ない。
でも、少し長めの規則正しい息遣いは、涼介さんが寝ているのだと教えてくれる。
どうしようと思うけれど、オレが身じろいだらきっと涼介さんを起こしてしまうだろう。
涼介さんが社会人のオレよりも忙しい人なのだということはよくわかっている。
きっと、そんな忙しい時間を割いて、オレと逢うこの時間を作ってくれたんだと思う。
オレはいつも何かしてもらうばかりで、何も返すことが出来ない。
だからせめて、オレの肩でいいのなら枕代わりにして欲しい。今はゆっくり休んで欲しい。
オレの隣が、涼介さんにとって落ち着ける場所だったらとても嬉しい。
オレはこうやって、傍にいるだけで本当に幸せだから。
独り占めの休日
2010.2.10
サイト開設10年記念のお話です。
ちょっと久し振り過ぎて、拓海君じゃない人になっているかも^^;
サイト開設10年記念のお話です。
ちょっと久し振り過ぎて、拓海君じゃない人になっているかも^^;