『峠のお茶会』
「あした晴れたら」
「明日は良い天気」
つけっぱなしのテレビから、そんな言葉だけが聞こえた。
「明日は休みだなぁ」と思ったのは拓海。
「明日も実験だな」と思ったのは涼介。
「逢いたいな・・」と思ったのは離れていたって二人同時。
この前逢ったのはいつだろう。電話で話したのすら、いつだっただろう。
そのくらい逢っても話してもいないのは淋し過ぎる。
忙しいのはお互い様だけど。だけどやっぱり逢いたいし。
結構近い所にいるはずなのに。遠距離って程、離れてもいないのに。
なんで、こんなに逢えないんだろう。
あした晴れたら、二人で出掛けたいな。
あした晴れたら、二人でのんびり過ごしたいな。
あした晴れたら・・。
明日、晴れなくっても逢いたいよ・・。
*-*-*
「明日は休講」
涼介にそんな知らせが入ったのは帰り間際。
「明日は何して過ごそうか」特に予定が浮かばないのは拓海。
「明日は・・ふっ」何かいいことが思い浮かんだのは涼介。
「逢えたら、いいな」やっぱり願いは二人一緒。
「明日の予定は?」
拓海がそう聞かれたのは日付が変わるほんの少し前。
「明日は仕事、休みです」そう答えたのは拓海。
「明日、休講になったんだ」そう告げたのは涼介。
「逢いたいよ・・」二人の想いが、やっと叶った。
あした晴れたら、どこに行こうか。
あした晴れたら、二人で一緒に。
たとえ雨でも曇りでも、二人でのんびり、デートしよう。
明日、晴れますように・・。
あした晴れたら
2001.3.3