TeaParty ~紅茶のお茶会~

『世紀末のお茶会』

「My Birthday」1616Hit 美里さまへ♪

誕生日は休日だから、早起きの必要はないんだ。



「耕作」
聞き慣れた優しい声とそのぬくもりに呼ばれ、俺はゆっくりと目を覚ました。
あれ、もう朝かな?
俺はその声とぬくもりの方に身体を向けた。
「起きた?」
ゆっくりと髪を梳かれ、また優しい声が届く。
「ん…」
その顔を見たくて眠い目をこする。なのに瞼は重たくて、なかなか目を開けられない。
「ん~」
俺は顔を見る事をあきらめ、そのぬくもりの中に身体を埋めるようにしがみついた。
あったかい…。
「まだ眠い?」
優しい問いかけとともに、おでこに暖かな感触を感じる。
「…ん…」
その感触が気持ちよくて、俺は無意識にうなずきながらさらにしがみついた。
「耕作?」
訊ねるようなその呼び声に、俺は顔を上げた。
今度こそ、目を開けないと…。
「よーいちろーさん?」
ゆっくりと、一生懸命目を開けてみると、優しい笑顔が俺のことを見ている。
「ごめん、起こしてしまって」
その優しい笑顔のまま、俺の髪をなでてくれるその手が心地よい。
俺は首を振ってその言葉に答えた。
「どうしても今言いたかったんだ」
言葉とともに、そっと触れられた唇。
「おめでとう」
離れてしまったその唇から、ささやくようにそう告げられる。
俺は分からなくて、じっと見つめてしまう。
「Happy Birthday、耕作」
次に言われた言葉に、俺はしばらく考えを巡らせた。
「…あっ」
薄ぼんやりとした部屋の中で目に入った時計は、真夜中のちょうど12時を指している。
「俺の、誕生日…」
今まさに9月15日になったばかり。
「誰よりも一番に、君に言いたかったんだ」
優しい笑顔が、目の前にある。
優しい声が、直に耳に届く。
幸せの瞬間というのは、こういう時を言うのではないだろうか。
「ありがとうございます」
俺は言葉とともにそっと唇に触れた。
さっきと同じ、触れるだけの、キス。
「耕作」
名前を呼ばれ、次に触れてきた唇は優しくて…。
俺の意識がどこかに行ってしまいそうな気がした。


それは一番早起きな、誕生日の話。




My Birthday
2000.September