『世紀末のお茶会』
「幸せ時間」
天気が良くて、用事もなくて。のんびりと座って、なんとなく本を読んで。
隣には緒方君が居て、小さな寝息を立てている。
こんな小さな日常が、幸せ。
窓から差し込む日差しとか、聞こえる小鳥のさえずりとか。
ゆっくり流れる空気と、ゆっくりと流れる時間。
肩にかかるわずかな重みと、微かなぬくもり。
何にも替えることの出来ない、幸せ。
読みかけの本を閉じて、投げ出されたその手を握りしめて。
君の頭にもたれるように、僕は目をつぶる。
小さな小さな、幸せ。
そして目が覚めたとき、君はまだ夢の中なのだろうか。
その寝顔は、笑っているだろうか。
その夢の中に、僕は居るのだろうか。
君も今、幸せだろうか。
手から伝わるぬくもり、肩で感じる重み、そして頬に触れる君の髪。
愛しくて、恋しくて、狂おしい。
君を好きだと想う事が、君が好きだと言ってくれる事が。
その気持ちだけで、本当に幸せ。
ずっと傍に、いつまでも傍に。
ただひとつの願いは、ずっとずっと。
だけど今、こんな小さな幸せを感じる今。
今この時を、大切に思う。
君と過ごす全ての時間を、全て幸せな時間にしたいから。
愛しくて、愛しくて、愛おしくて。
君を幸せにしたいと思う。
心から、愛していると感じる。
頬をなぜる風と、頬をなぜる君の髪。
ふわりと覚醒する意識の中、君を膝で感じる。
一番最初に見えたものは、幸せそうな寝顔。
柔らかな髪に指を絡ませ、その寝顔を見つめて。
おでこと鼻の頭と、そして口唇と。
小さなキスとひとつずつ。
そんな僕の、幸せ時間。
幸せ時間
2001.7.5