TeaParty ~紅茶のお茶会~

『世紀末のお茶会』

「Happy Happy Birthday」6666Hit miriさまへ♪

部屋の中はすごく暖かくて。
僕はソファーでうとうととしてしまった。

「・・・ぎさん」
 遠くから聞こえる優しい声に僕の意識はふわふわと浮上を始めた。
「・・すぎさん」
 ああ、耕作の声だなぁと思いあたって、僕は夢見心地にその声を聞いていた。
「・・・」
 そして、僕は優しいぬくもりを唇に感じた。
「え?」
 今まで漂っていた意識が、急に覚醒を始めた。
「洋一郎さん、起きて下さい」
 ぱっと、目を開ければ目の前に耕作の顔があって、優しい笑顔が僕のことを見つめている。
「あれ?」
 一瞬、ここがどこだかわからなくて僕は間抜けな声を出してしまった。
「ソファーで転寝なんてしてたら、風邪引いちゃいますよ」
 笑って、耕作は一歩引くように立ち上がった。
「ああ」
 答えて、僕はなんだか変なことに気が付いた。
 転寝を起こしてもらったはずなのに、僕にはきちんと毛布が掛けられている。
「?」
 寝起きのせいもあって頭がうまく働かない。
「洋一郎さん。起きました?」
 立ち上がったはずの耕作がもう一度僕の前に座ってそう尋ねてきた。
「気持ちよさそうに寝てたんで起こすのどうしようかと思ったんっスけど。俺にも一番に言わせて下さい」
 耕作らしいお日様のような笑顔が本当に目の前にあって、僕はなんだかとても嬉しくなりながらその言葉を聞いていた。
「何をだい?」
 だけど意味がわからなくて、僕は聞き返してしまった。
「お誕生日、おめでとうございます。洋一郎さん」
 言われて、あぁと思う。時計は真夜中の12時を指していて、それは僕の誕生日の始まりを告げている。
 確か去年の耕作の誕生日に、僕は同じ事をしたんだった。
「ありがとう」
 嬉しくて、本当に嬉しくて僕は耕作を抱きしめた。
「最高の、誕生日だよ」
 耕作がいるだけで。本当はそれだけで最高なのだけれど。
「洋一郎さん…」
 まだちょっとだけぎこちないその呼び方に、だけどこんな時だからこそ呼んでもらえてすごく嬉しくなった。
「本当にありがとう」
 僕は耕作の顔を見たくて抱きしめていた腕を少し緩めた。
 目の前に、ちょっと照れて顔を赤くした耕作がいて、僕は本当に幸せだった。
「あ、これ。誕生日プレゼントなんっスけど…」
 耕作はきれいにラッピングされたその包みを大事そうに抱えてそう言った。
「高杉さんの希望のものと、あとすっごく気に入ったものが見つかったんでそれも…」
 気に入ってくれるとうれしいんっスけど…と言って手渡されたその包みを、今度は僕が大事に抱えた。
「緒方君が選んでくれたものを、僕が気に入らないわけがないだろう?」
 そう言って、僕はもう一度耕作を抱きしめた。
「洋一郎さん」
 そう言った耕作の顔がそっと上がったと思った時に唇が触れた。
 ゆっくりと、僕は耕作を感じていた。
「耕作…」
 離れてしまったその唇が名残惜しくて、僕はその名を呼んだ。
「欲張って、もう一つもらってもいいかな?」
 僕は耕作の耳元で小さく囁いた。
 それに返事を返すかのように耕作の腕が回されたのを感じて僕はさらに抱きしめた。

抱きしめたぬくもりは本当に暖かくて。
その決して離す事の出来ないぬくもりの中、僕はゆっくりと目と閉じた。



Happy Happy Birthday
2001.February