『世紀末のお茶会』
「雨音の誘惑」
目が覚めたら、雨が降っていた。 静かな部屋の中、その雨音と君の微かな寝息だけが全てのように、僕の耳に心地よく響いている。早朝のさわやかでキンとした空気と、そして君から伝わるやわらかなぬくもりが、僕をもう一度眠りへと誘う。
こんな日は君とふたり、まったりと過ごしたいと思う。
何をするわけでもなく、でも何もしないわけじゃない。
ただ君と一緒に過ごしたい。
そんな一日の過ごし方が、一番似合うように思う。
外では静かに雨が降っている。
僕は君をそっと抱きしめて、もう一度目をつぶった。
雨音の誘惑
2003.3.18