TeaParty ~紅茶のお茶会~

『世紀末のお茶会』

「all day*holiday」2400Hit 凌さまへ♪

 目を覚ませば、今日はすごくいいお天気。
 雲一つない、でも暑いわけでもない、そんなお休みの日…。

 その天気の良さからか、昨日寝るのが早かったからか、いつもより少し早く起きた二人はちょうど朝食をとっているところ。
「今日はいい天気だね」
 なんて高杉さんが言えば、
「いい天気っスよね」
 なんて緒方君も答える。
 のんびりと、ゆっくりと、そんなお休みの朝。
 窓から差し込む日差しとコーヒーの香りがふんわりと部屋を包み、自然と二人に笑顔がこぼれる。

 こんな日は、一体何して過ごそうか。高杉さんの頭の中はフル回転。
 だけどそんな気配は絶対見せないで、優しい笑顔を緒方君に向けている。
 緒方君はコーヒー片手に何とな~くお日様を満喫。
 そのぬくぬくとした光の中で、一日中お家でのんびりもいいけれど。
 たまにはちょっと遠出もいいかもしれない。
「今日はピクニックなんてどうかな?」
 思い付いて、高杉さんはゆっくりと緒方君に誘いをかける。
「いいっスね!そうだ、せっかくだからドライブもしましょう!」
 高杉さんの思い付きと、緒方君の思い付きで、今日はピクニックドライブに決定。

 そうと決まればすぐに支度。
 お弁当を作って、レジャーシートと水筒も忘れずに。
 今日一日頑張ってと、車もちょっと洗ってみて。
 さあ、出発!

 運転席には緒方君、助手席には高杉さん。
 急ぎのお出掛けではないから、ゆっくりと、風を感じながら走ろう。
「窓開けて走るのなんて久し振りですね~」
 冬は暖房、夏は冷房。車の中もいつだって快適温度。
 だけど窓を開けて走るのも、自然をいっぱい感じるのも、それはそれで快適だ。
「走ってるって感じが、すごくするなぁ」
 無造作に流れる前髪が、二人の間をすり抜けていく風が、なんて気持ちいいのだろう。
 風の中に溶け込んで、まるで空を飛んでいるような、そんな気分。
「すごく、自然ですよね」
 いつだって全開の緒方君の笑顔が、いつも以上にあふれてくる。
 そんな横顔を見つめる高杉さんにも、抑えきれない笑顔があふれ出す。
「緒方君の笑顔もね」
 風に乗せて、届けた言葉。
 風に乗って、届いた言葉。

 優しく降り注ぐお日様の下、何をして遊ぼうか。
 走って、追いかけて、追いかけられて。
 どこまでも、お休みを満喫しよう。
 いつまでも、お互いを満喫しよう。
 風を感じるのも、光を感じるのも、全ての自然を感じるのも。
 今日は一日ずっと一緒だから、だから一緒に満喫しよう。
 いっぱい遊んで、いっぱいはしゃいで。
 楽しい一日を過ごそうよ。

 広げたレジャーシートと、その上に広げられたお弁当と。
 そしてお互いの目の前には、満開の笑顔。
「何かついてます??」
 高杉さんのじっと見つめる視線に気付いて緒方君が問えば、
「かわいい耕作の顔がね」
 なんて極上の笑顔で高杉さんは答えるから、緒方君は一瞬のうちに真っ赤になってしまう。
「何、言ってるんっスか」
 言ったって仕方ない言葉を、分かっているからこそ言ってしまうのは。
 それが幸せだと分かっているからかもしれない。
「何って、本当のことだからね」
 緩やかに、穏やかに、二人の休日は流れてゆく。

 そして夕焼けが辺りを包み、帰りの時間を告げている。
 いっぱい遊んだから、今日一日を思いっきり満喫したから。
「楽しかったですよね~。なんか遊び倒した気分っスよ」
 だから心に残るのは満足感。
「本当にいっぱい遊んだね。本当に楽しかったよ」
 帰りたくないとか、もっと遊んでいたいとか。
 そんな気分はまったくなくて、満足感しか残らない。
「また、来ましょうね」
 また、一緒に。
 いつかまた、きっと。

 運転席には高杉さん、助手席には緒方君。
 エンジン音に混ざって聞こえてくるのは、小さな小さな彼の寝息。
「はしゃぎ疲れちゃったかな…」
 ちらりと視線を動かせば、その目に映るのは幸せそうな寝顔。
 その表情は楽しそうで、満足そうで、そして安心しきっている。
 そんな緒方君を見つめる高杉さんの瞳は優しくて、幸せそうに微笑んでいる。
「でも、休日はまだ終わってないよ、緒方君」
 それは、緒方君には届かない高杉さんの独り言。

 二人の部屋までもう少し。
 ドライブはあともう少しで終わってしまうけど。
 休日は、まだ終わらない。



all day*holiday
2001.9.2