『音色のお茶会』
「好き」
そういえば。最近、聞いてないよな…。
「よぉ…」
なんて。
休日にわざわざ月森ん家まで逢いに行ったり。
「キッチン借りるぜ」
なんて。
昼飯の支度をするためになんでもなくキッチンに立ってみたり。
「味付けはこんなもんか」
なんて。
自分家より遥かに広いキッチンなのに調味料も皿もどこに何があるか覚えていたり。
「観たいって言ってたDVD持ってきたぜ」
なんて。
二人で並んで一緒に映画を観たり。
「……」
なんて。
なんとなく指が触れたり絡まってみたり。
「…っ…」
なんて。
そのままキスされてみたり。
「つき、も…りぃ…」
なんて。
名前さえもまともに呼べない状態になってみたり?
そんな。
俺たち“オツキアイ”してますみたいな状態なのに。
最近、聞いてないよなぁ…なんて思う。
いや別に。
聞きたいって訳でもないんだけど。
だからって。
聞きたくない訳でもなくて。
だけど。
口数が多いヤツじゃないことも知ってるし。
あぁでも。
言わなくていいことはよく口にするよな。
まぁなんだ。
俺も言ってはいないからお互い様だけど。
でも。
聞いてないって気付いて気になったんだから仕方ない。
それってやっぱり聞きたいってことか?
「どうした」
こんな風に。
考え込んでいる俺には気付くのに。
「辛かったか」
臆面なく。
真面目な顔でだいぶ的外れなこと言ってくるし。
いや。
確かにちょっと辛かったけどまぁそれだけじゃないし…ってそうじゃなくて!
「怒っているのか」
そう言って。
触れてくる手がくすぐったいくらいに優しく感じるのに。
「なんでもない…」
俺は。
そっけない返事しか返せなくて。
聞かなくても。
言わなくても。
月森の気持ちは知っているし。
俺の気持ちも知っているはずだし。
でも。
聞きたいと思ったのは何故だろう。
でも。
言えないのはどうしてだろう。
俺たちは。
そんなガラじゃないし。
俺たちは。
そんな甘い関係じゃないし。
俺たちは。
そんな言い訳を言ってみたって。
でも俺たちは。
やっぱり恋人同士なんだ。
だから。
その言葉を言うことも言われることも。
たぶんきっと。
普通のことだと思うのだけれど。
「月森…」
そっと。
その名を呼びかけて。
「土浦?」
そんな。
少し不思議そうな返事を聞きながら。
そっと。
腕を伸ばして。
そっと。
唇を寄せて。
「好きだ」
そっと。
小さくつぶやいてみた。
「好き」
2008.5.18
コルダ話14作目。
つっちーが乙女過ぎでくらくらします。(いろんな意味で)
甘いのかそうじゃないのか。いや、やっぱり甘いのでしょうか…。
朦朧とした中で思い付いた話なので許してやってください。
コルダ話14作目。
つっちーが乙女過ぎでくらくらします。(いろんな意味で)
甘いのかそうじゃないのか。いや、やっぱり甘いのでしょうか…。
朦朧とした中で思い付いた話なので許してやってください。