TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

思い出せなくて

「おい、志水。こんなところで寝てると蹴っ飛ばされるぜ」
 そんな声に起こされて、僕はぼんやりと目を開けた。
 あれ、見たことある人だ。えっと…。
「おはようございます。…先輩」
 えっと、確かコンクール参加者の…。
「おはようって…。もう夕方だぜ」
 ピアノの…。うら、浦…。
 勝浦先輩?三浦先輩?
 どっちも違う気がする。
「えっと、先輩は何県でしたっけ?」
 深浦、でもないなぁ。
「はぁ?志水、お前ちゃんと起きてるか?」
 東浦…そんな名前でもなかった気がする。
「どうしても思い出せなくて。確か、どこかの地名と同じだったはずなんですけど」
 琴浦、でもないなぁ。
「もしかして、俺の名前?」
 それとも袖ヶ浦?
「はい。浦、は思い出したんですが、その前が思い出せなくて。何県か教えていただいてもいいですか」
 風間浦、粟島浦、那智勝浦、どれもちがう。
「あぁ、確か茨城だったと思うけど」
 茨城、茨城。
「あ!霞ヶ浦先輩」
「…。そっちを思い出すか、普通?」
 あれ?間違ってましたか。
「ま、とにかくこんなところに転がってないで早く帰ったほうがいいぞ」
 って、先輩、行っちゃった。
 名前、思い出してないのに。
 とりあえず、霞ヶ浦先輩でいいか。



思い出せなくて
2007.10.22
コルダ話3作目。
初の志水君話。
さら~っと読んでくださればいいなぁと。
すみません、くだらない話で^^;