TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

恋人以上友達未満

「俺たちって、どんな関係だと思う?」

 絡み合う指とか、分け合う体温とか、掠めていく唇とか…。
 そんなくすぐったい余韻を漂わせたベッドの中で、放たれた土浦のその一言。

「何を急に…」

 最高潮まで上がった熱は未だ冷めやらず、お互いの身体の中でまだくすぶっている。
 この雰囲気でその台詞はないだろうと、月森が思わず驚き顔で凝視してしまうのも無理はない。

「今日、音楽科の生徒に、月森君とどんな関係なんですかって聞かれた」

 そんな月森の表情も視線も気に留めるでもなく、土浦はあっさりと言葉を続けていく。

「仲が悪いのかと思っていたら、いつの間に仲良くなったんですか、だとさ」

 絡めただけの指では物足りないと言わんばかりに、土浦は身体を密着させる。
 最初の質問に他意はないのだとわかった月森は、土浦の身体を抱き締め、肌へと指を滑らせていく。

「学院内での君は、視線すら合わせてくれないがな」

 触れるだけのキスをして土浦を見つめれば、ゆっくりと開いた目が真っ直ぐに月森を捉える。

「お前だってそうだろう。いつでも澄ました顔しやがって」

 見つめ合って、二人は小さく笑う。
 そしてどちらともなく唇が触れ、何度も何度もキスを交わす。

「もしもお前なら、なんて答えるんだ?」

 キスの合間に、土浦の言葉が交ざる。
 名残惜しげに離れた唇から、月森は言葉を紡ぐ。

「無駄な喧嘩はしなくなったただの同級生だと、そう答えるのだろうな」

 一緒に演奏するならば、喧嘩ばかりはしていられない。
 友達でも友人でも、ましてや親友でもないからそれ以外には言いようがない。

「模範解答だな…。そんなお前に聞くが、俺たちってどんな関係だと思う?」

 どこか悪戯っ子のような瞳で、土浦は月森をみつめる。
 その瞳を受けた月森は、土浦の頬を包み込むように手を伸ばす。

「やっぱりただの同級生か?」

 土浦の言葉が、月森の唇を掠める。
 月森の唇が、土浦の耳元へと寄せられる。

「恋人同士に、決まっているだろう」



恋人以上友達未満
2009.10.12
コルダ話51作目。
甘さ控えめの甘い話に挑戦。
+ちょっぴり大人な雰囲気も醸し出しつつ。