TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

秘めたる望み *

 いつだって変わらない表情。
 それを崩したくて。

 にらむように誘うように。
 見つめた瞳。

 「なんだよ」

 言葉に返事はなく。
 見つめ返されるだけ。

 何か言いたげな瞳。
 それでも変わらない表情。

 悔しくて近付ける唇。
 違う表情を引き出したくて。

 煽るつもりが煽られる。
 あっけなく火のつく身体。

 それでも素直になれなくて。
 掠めた指先が熱い。

 誘われたように回される腕。
 深くなる口付け。

 「っはぁ…」

 耐え切れず漏れる吐息。
 離れて熱を失う唇。

 「梁太郎…」

 いつもより少し低い声。
 こんな時だけ呼ばれる名前。

 「月、森…」

 まだ堕ちるわけにはいかない。
 堕ちるときは一緒だろ。

 ゆっくりとじらされる。
 囚われて逃げられなくなる。

 「いい、加減、にっ」

 見つめて見つめられて。
 耐えられなくなる。

 体中を駆け巡る快感。
 繋ぎ止める意識。

 触れられた身体が熱い。
 吐息ですらその熱が伝わる。

 「…っん、ぁ…」

 わざと引き結んだ唇。
 聞きたいならもっと煽ってみろよ。

 立っていることもままならなくて。
 腕を回す代わりに服に縋りつく。

 触れるだけの口付け。
 それは誘うような口付け。

 冷ややかとさえ思わせるその表情。
 それでもその瞳に映っているのは。

 俺だけだろ。
 だったら煽ってやるよ。

 「…っ、蓮…もっと…」

 だから。
 いつもと違う表情を見せてくれ。




秘めたる望み
2007.12.7
コルダ話6作目。
またやってしまいました。嘘つき~のつっちー編。
確かにテーマは誘い受けなつっちーですが…。
思いっきり誘っていたんですね、土浦さん…。