TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

知音

真夜中に聴こえてきたその音色は
まだ覚醒していなくても誰が奏でているかわかる

何の前触れもなく触れてきた唇は
目をつぶっていてもそれが誰のものだかわかる

耳元で小さく囁くようなその声は
思い浮かべた人物に間違いないと教えてくれる

けれど

「Herzlichen Glueckwunsch zun Geburtstag」

そっと紡がれたその言葉の意味は
頭の中に思い当たるものが見つからない

目を開けて視界に映り込む月森は
真っ直ぐに俺を見つめたまま微笑んでいる

考えながら瞬きを繰り返した俺は
触れてくる月森の手にまた目をつぶってしまう

「誰よりも一番に、君に伝えたかった」

熱い吐息とともに届いたその声に
分からなかった言葉のその意味を俺は知る

奏でる音色も触れる唇も告げられた言葉も
その全てに込められた月森の気持ちが
今日というこの日のためだからこそだと気付き
俺は柄にもなく涙が出そうなほど嬉しくなる

たとえ聞き馴染みがない言葉でも
その言葉に込められた想いは心で感じることが出来る

音色で目覚めて最初に触れた唇と
誰よりも一番に告げられた言葉が最高の贈り物



知音
2008.7.25
コルダ話21作目。
HappyBirthdayつっちー♪
なのにこちらも当日に間に合わず…。
前後でお誕生日話アップになってしまいました…。