TeaParty ~紅茶のお茶会~

『音色のお茶会』

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 土浦からメールが届く。
 タイトルはなく、本文には「誕生日おめでとう」とそれだけが書いてあった。

 世間一般に盛り上がりを見せるイベント事に俺たちはあまり興味を持ってない。
 特別な日、何かしなくてはいけない日という、押しつけがましい決まり事に囚われることは嫌だからだ。

 独占欲がないわけではないが、いつでも一緒にいたいと束縛するのはお互いのためにならない。
 二人で過ごせるときに、二人で過ごしたいときに、一緒にいられればそれでいい。

 それが自分の誕生日だからといってその気持ちは変わらない。
 誕生日だからといって何が欲しいわけでもないし、盛大に祝ってほしいわけでもない。

 だが、土浦から届いたメールを、俺は素直に嬉しいと思った。
 今日だからこそのその言葉を、土浦から伝えてもらえたことが本当に嬉しい。

 今日だけは少し、世間一般に踊らされるのも悪くない。
 1年に1度くらい、そんな日があるのもいいだろう。

 たった1通のメールが、いつもと変わらない今日をほんの少しだけ違うものに変える。
 ものすごく豪華なプレゼントでもなく、甘い囁きでも称賛の言葉でもないその一言が俺を幸せにする。

 土浦にメールを返信する。
 タイトルには触れず、本文に「ありがとう」と書き込んだ。



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2014.4.24
コルダ話83作目。
つっきーお誕生日おめでとう~♪
当日アップですが、ものすごく短いものになってしまいました…。
そして全然甘くない…。