20cmF5 トラス鏡筒製作(1)

→望遠鏡


1 計画

ここ数年、望遠鏡を作っていない。
15cmと31cmのドブソニアンが有るので、あとは赤道儀に載せられる望遠鏡が有ればと思ってはいたが
13cm鏡筒の製作も中断している。13cmは鏡を磨くまとまった時間が取れないからです(言い訳っぽいけど・笑)。

解体した20cmF5 ドブソニアンの鏡が有るので、これを使えば鏡は磨かずに済みます。
20cmなら赤道儀(90S)にも何とか載せられそうなのでこれで望遠鏡を作ることにしました。

 

2 鏡筒の形

車での移動と家での収納場所のことを考え、鏡筒は分割式にすることにします。
軽量にしたいのでFRPを使いたいところなのですが、FRP作業も今はできる状況にないので今回はトラス構造で、
分割(又は分解)出来る鏡筒にします。

赤道儀に乗せることを考えると、やはり鏡筒回転を出来る様にしたいのですが、トラス式鏡筒に回転装置を付けるのは
厄介です。鏡筒中間部を鏡筒バンドが使える円筒にすれば良いですが、バンドと円筒の入手やデザイン上の理由で
却下しました。

トラス鏡筒なら作ってみたいと思っていた形があります。それはドーナツ状の円板をトラス棒で繋ぐと言うものです。

2004年5月 Yさんの30cm電動ドブ

富士宮口新五合目で行なわれた某オフ会で見かけた30cm電動ドブを見てこの形が気になっていました。

鏡筒バンドをどうするかは後で考えるとにしますが、バンドの部分は円板一枚では赤道儀に載せるのは厳しそうなので
鏡筒中間部は円板を2枚配置し、筒先と主鏡側に円板に各1枚、計4枚の円板をトラス棒で繋ぐ形にします。

トラス棒の取り付けをどうするかですが、いろいろ考えましたが結構難いです。

四角い箱と丸い筒を繋ぐ形であれば、トラス棒の取り付けは筒や箱に平行にできるので良いのですが、同径の円板に
トラス棒を繋ぐことにしたため、トラス棒と円板の取り付けが直角にならずに数度の傾きが出てしまいます(下図の例で
は5.2度)。

8本トラスの取り付け角度比較の例 丸筒−丸筒(上)、丸筒−角筒(下)

この角度のついた取り付け金具の加工が私には出来そうに有りません。
そこで全てのトラス棒の両端にボールを使って取り付けることにしました。

 

3 ボールをどうしましょう。

これが準備できないと製作の目処が立ちません。
パチンコの玉くらいが良いのですが、良いのか見つかりません。

M6のキャップボルト(六角穴付ボルト)の頭が約φ10mmなので、これを丸く加工することにしました。

 

4 トラス棒をどうするか。

ホームセンターでアルミパイプを見て、φ12mm、t1mmのパイプを使うことにしました。
20cm用であればφ10mmでも行けそうなのですが、φ12mmの方が安心感があります。
あと、両端にM6のボルトを取り付けるのでφ10mmの内径約φ8mmにM6と言うのは無理だろうと判断した
からです。

パイプの両端にはφ10mmアルミ棒にM6ネジを切ったものを埋めます。

 

5 完成予想図です。

20cmF5トラス鏡筒完成予想図

  

6 材料の準備

@光学系 : 主鏡は20cmドブに使っていた20cmF5自作鏡を使います。
        斜鏡は15cmに使っていた48mm(足立光学製)を使います。

A接眼部・ファインダー : 中古で購入したNFG−3と手持ちのビクセン3cmをファインダーを使います。

B鏡筒本体 : アルミ板やアルミ棒は手持ちのものやオークションで入手。
          アルミパイプとアングルはホームセンターで購入します。

Cネジ :M3〜M6、M8のステンレスボルトをネットやホームセンターで購入します。

 

製作の様子に入りますが、工作機械(といっても卓上ボール盤、ジグソー、グラインダー等ですが)を使用していますので、
機械や工具、切り子等で怪我をする恐れがあります。

私は[機械加工は素人]ですから、プロの方から見れば危険と思うこともしているかもしれません。
もしこちらの画像を参考に加工をされる場合は安全には十分注意して[自己責任]でお願いします。

ボール盤作業では、ドリルや切り子に巻き込まれる恐れがあるので、私は素手でしています(特に軍手は危険と思います)。
そのため細かい切り子で無数の棘が刺さりますしバリで切ることもあり大変ですが、巻き込まれるよりは良いと思います。

袖や髪の毛、掃除用の布なども近くに置くと巻き込まれる恐れがあるので注意しましょう。
(実際に怖い思いは過去にしていますので)。。
作業中は保護めがねは絶対にしましょう(私は眼科に行く破目になりました)。
粉塵の出る場合は防塵マスクもしましょう。

7 鏡筒ドーナツ板の製作

手元に500X500X4のアルミ板2枚があるので、これからφ290の円板を2枚ずつ切り出します。
材質は5052あたりが工作には一般的なのかも知れませんが、これは3003か3004だったので少し柔らかめの
ようです。

鏡筒先端から「トップリング」、「センターリング1」、「センターリング2」、「ボトムリング」の計4枚です。

@ 簡易ジグソー盤(作業台に12mm合板を取り付け、裏面にジグソーを上向きに固定したもの)で、大雑把に
切り出しています。トラス棒取り付け金具などの穴位置はすでにけがいてあります。

写真はセンターリング2

 

A 外形φ290mmに切り終えたところです。 

写真はボトムリング

 

B 回転ヤスリをボール盤に取り付け、外周を綺麗に仕上げています。 

写真はボトムリング

 

C 外周を仕上げたら内側を切ります。

写真はトップリング

 

D トラス棒取り付け用L金具のねじ穴を物合わせであけます。
  ボルトはM4 ですが、L金具側はガタを少なくするためφ3.9で、リング側がM4です。
  左の写真はM4タップの下穴(φ3.3ドリル)をあけているところです。  

M4タップの下穴(φ3.3)を物合わせであけています。

トップリングにL金具を組んだところ

 

8 トラス棒取り付け金具の製作(ボール受け)

8−1 鏡筒リングにトラス棒を取り付ける金具の加工です。

@ げがき作業

材料はアルミチャンネル(コ形)にしました。アングル(L形)より材料費を安くできたからです。

アルミチャンネルにけがいたところ

穴位置はポンチで打った後、ピンバイスでもみつけしました

 

A 穴あけ

ねじ穴は後で物合わせで仕上げるため、少し小さい穴にしています。

穴あけ

 

B 外形を削ります

アルミチャンネルを2分割にし、切断面を回転ヤスリで仕上げています。
後ろの板を固定し、回転ヤスリとの間にアルミを通して削っています。

回転ヤスリの回転方向とアルミの挿入方向を間違えると危険です

前面を削っています

 

C 外形を仕上げます。

バイスにくわえてけ削っています

 

D 球面座ぐりをします。

トラス棒のボールを受けるために、球φ10mmの座ぐりをします。
計画ではC0.8〜1.0の予定でしたが、たまたま10mm位の回転ヤスリがあったので球座ぐりにしました。

ボール受けの座ぐり

 

8−2 トラス棒取り付け金具の製作2(ボール押さえ)

鏡筒リングにトラス棒を取り付ける金具の相手です。加工は8のボール受けと似ていますので省略します。

ボール押さえ金具

 

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