さだまさしを語る2001 (京大さだ研会誌2001年8月号掲載)
 対談:RYOKAN×ANDY (後編)

  →前編に戻る

               
「セイヤング」について
R:さて、最近は小説執筆がテレビ番組で取り上げられたりしていますが、この秋からの「セイヤング21」開始も最近の話題のひとつでしょう。
 「セイヤング」が終わったのが1994年でしたっけ? そのあと「大世界社」が何年かあって、久々の復活となるワケですが。
 僕自身は中学生の頃「セイヤング」でさだまさしにハマっていったクチなので、さだまさしのラジオ番組に対してはそれなりに思い入れがあるけど…、
A:わたしも同じ入りかたです。ただ、「恋愛症候群」がヒットしたころは、水曜の24:30からだったかにやってて、聴くのを諦めた記憶があります。あのころはタイマー録音できる環境もなくって。
 中学に入ったころに土曜24:00からになって、喜んで毎週聴くようになって。
R:そうね、名古屋は録音で30分ぐらいにまとめたものを放送していたよね、これがけっこう放送時間が変わっていたような記憶がある。
 で、文化放送の生の放送時間を人から教えてもらって、土曜の深夜に文化放送にラジオを合わせて雑音や中国語や韓国語と戦いながら聞いていたんだよな。「恋愛症候群」の発売直前に、スタジオで生で演った放送は今でも覚えているなぁ。
 その後、名古屋でも「アネックス」が始まり、やがて時間延長されたのよね。
A:わたしが聴き始めたころは、東京では90分でやってるなんてこと、考えもしてませんでした。
 しばらくして深夜放送好きの友達ができて、「ラジオパラダイス」って雑誌を読むようになってから、東京では23時からやってるって知って、それからですね。韓国語には、わたしも苦しみましたよ(笑)。
R:ただ、京都に住み始めた頃は電波出力の関係もあって「セイヤング」は聞きづらかったので、実はセイヤングの最後の方はほとんど聞いていないです。
A:これもいっしょですね。ただ、わたしが京都に行ったのはりょーかんさんの2年あとだから、その2年間は聴いてるんですけどね。
 
京都って、大阪のAM局の電波、弱くてぜんぜん入らないのに驚きましたよ。夜でも、名古屋で聴いたほうがよく聞こえるくらいでしたもの(苦笑)。
R:ほんとに。だから、全国的に「さだ研」ってセイヤングの影響をかなり受けていたし、セイヤングを媒介に設立されたさだ研も幾つかあったと記憶しているけど、京大さだ研はほぼ同じ時期に設立されたけど、ほとんど全くといっていいほどセイヤングの影響を受けなかったね。
 だから、セイヤング終了と前後して各地のさだ研が消えていった中、なんとか生き残っているのかもしれない(笑)
A:ああ、なるほど。たしかに、わたしが京大さだ研に入ったころ、ラジオの話なんてほとんどしてませんでしたね。
R:まったく(笑)。今みたいにインターネットもないし、セイヤングが聴けないからさだ情報を入手する手段は隔月刊の「まさしんぐWORLD」くらいしかなかったわけで、会として京大さだ研が盛り上がるためには、「さだまさし」をほっといて別のことで盛り上がるしかなかった、という見方もできるな(笑)。
A:だから「さだはぼくらのおもちゃです」になってしまうわけですね(笑)。オフィシャルは二の次にして、いじりたいようにいじるという。
 
ラジオ番組が面白くなくなる理由
R「セイヤング」は生放送が減っていろいろな部分でつまらなくなったという話は聞いたけど。
A:「諸般事情によりスタジオ観覧はできません」というやつですね。のちには「諸般事情」って略して呼ぶだけになってましたけど、あくまで「録音」とは言わなかった。  なんか、そんな表面的なことに意地になってどうするの、って思ってましたね。意地になるんならちゃんと生でやってほしかったし、無理なら正直に録音って言ってほしかったなあ。
 で、
録音の回のほうがつまらなかったのも事実です。録音のときは、通常放送のときの各コーナーを休んで、90分間ただはがきを読むだけにしてることが多かったからかもしれないんですが。しかも、アシスタントの廣田マネージャーとの雑談が長いとかあって。
 考えてみれば、
マネージャーがレギュラーで喋ってる番組っていうのも、珍しいですね。わたしが聴き始めたころにはもう廣田さん出てたから、出るようになった経緯はわからないんですが。
R:たしかに廣田氏が出るようになってから変わったような気はする。
 山下氏も金山氏も「深夜の句会」だけだったでしょ。それが、廣田氏の場合はずっと出ているケースが多くて、まぁこれはその後の「大世界社」もそうだったみたいだけど、さださんが番組を基本的に一人で進めていく形から、目の前に気楽な話し相手がいる形式に変化していったワケで、まぁその方がさださん自身は楽だろうけど、その分イイ意味での緊張感までもなくなってしまったのかなぁ。
A:そうか、以前はさださんのひとり喋りがメインだったんですね。そうすると、ゲストがそこそこ入ってた理由もわかります。
 いや、わたしが聴くようになる前のセイヤングの放送記録を見たときの第一印象が、ゲスト多いなあってことだったもので。番組末期の、いつも同じメンバーで淡々と放送してたのと比べるとえらい違いだ、って。
 当時は月1回レギュラーのおすぎさんなんてひともいたわけだし、番組終了のころと比べると、構成が変化に富んでたのは確かでしょう。
 で、
レギュラーでアシスタントが出てる形だと、何よりもリスナーとの向きあいかたが変わりますよね。ひとり喋りだとはがきと対話をしなくちゃならないけど、ふたりいるとはがきが雑談のダシになってしまう。スタジオ内での喋りが第一で、電波の向こうにいるリスナーへの意識が二の次になるというか。
 ふたり喋りはふたり喋りで、意見のぶつかり合いっていう面白さがあるはずなんですけど、廣田さんではさださんに斬りつけることなんてできないし。廣田さんのほうがどうしても目下になっちゃいますからね。
R:そうだね。たとえば、廣田氏でなく、金山氏とかが相手なら、また違うのかもしれないけど。
A:それはわたしも思いました。金山さんのほうがさださんより歳上なんでしたっけ。
Rアシスタントを付けるなら、プロのアナウンサーとかタレントの方がいいと思うのよ。面白いとはいっても所詮はマネージャーであって素人なんだから。
A:なんというか、アシスタントの人とは番組以外ではあまり付き合いがないくらいのほうが、やりとりに緊張感が出て面白いかもしれませんね。
 さっきの続きみたいになってしまうんですが、さださんと対等でやりあえる人がアシスタントだったら、って思いますね。さださんが尻込みするようでもいけませんし、アシスタントがさださんに変に気を遣いすぎてもいけない。
 ああ、でもそれだと、アシスタントとは言わないんでしょうか。
チンペイ・バンバンのセイヤングみたいになりますね。
R:もしくはデーモン閣下とルーク参謀(笑)
A:たしかにこの2人の掛け合いは絶妙でしたね。
 そういえば、さださん、「夢回帰線」っていうFMの番組やってたこともありました。関西では放送がありませんでしたけど、名古屋ではFM三重でやってるのが聴けたんで、ほんとにごくたまに聴いてました。
 これは、アシスタントなしで、全編さださんのひとり喋りでした。はがき紹介もあったかもしれませんけど、少なくともそれがメインではなかったはずです。あとは、FMだから、曲をかける時間が長めだったような。それで、毎週55分間。
 番組の内容はほとんど忘れてしまってるんですけど、落ち着いたトーンで、ツアー中のできごとなんかを喋っていたように憶えています。昼間に放送してる番組だったんで、割と上品な雰囲気だったような。
R:まぁFMでもAMと同じノリでやってたのは中島みゆきさん位かとは思うけど(笑)
 
「セイヤング21」
A:で、この秋にはセイヤングが復活するんですね。ただ、一部のパーソナリティーは発表されてますけど、放送時間はまだわかりませんね。
 これは勘ですけど、ここ数年のナイターオフの編成を考える限り、いちばん放送されそうな時間は、平日の18:00〜21:00ってところだろうなと思います。
 去年のナイターオフのこの時間帯、文化放送では70・80年代のちょっと懐かしい曲中心の電リク番組をやってました。このナイターオフ企画自体、もうここ数年続いてるんですが。
 で、同じ時間帯に、ニッポン放送では、吉田拓郎とか松山千春とか、往年の名パーソナリティーをメインに置いた番組をやってたわけで。
 そういう時間帯に、この秋文化放送がセイヤングをぶつけてくるっていうのは、ありそうな話だと思いますね。
R:かつてのライバル「オールナイトニッポン」が以前より早い時間帯から始まるようになっているし、NHKの「ラジオ深夜便」が中高年世代相手に好調というのがあって、「セイヤング21」はその間にある、むかし深夜放送を聞いていた30〜40代の人たちをターゲットにしているのかなぁ。
A:どうもそんな感じですね。「深夜便」じゃ落ち着きすぎてるけど、若い子向けの放送じゃやかましすぎるっていう人たちを取り込もうってふうに見えます。
 いっそのこと、「深夜便」に直撃する24:00〜26:00くらいの時間に放送とかだと面白いんですが。でもこの時間帯は、いまのところ数少ない文化放送発の全国ネット枠だから、企画変更するのはちょっと難しいでしょうね。
 で、ナイターオフ時間の放送だとすると、どういう内容でくるんでしょうね。往年のままのセイヤングをやるんでしょうか。
R:けっきょく生か録音か、でもかなり変わるでしょうね。
A:ただ、18:00からって時間だと、まだニュースとか交通情報とかがちょくちょく飛び込んでくるから、録音放送は難しいように思うんですけど、どうでしょうね。
 個人的には、やっぱり
生放送の緊張感がほしいところです。
R:そういえば今年、「長崎から」の前夜(8/5)にNHK-BSとNHK-FMでさだまさしがパーソナリティーを務める生番組「見るラジオ・聴くテレビ」を放送するんだけど、ここでも「ハガキ」募集なのね。NHKにWebのページまで作ってあったのにあくまでも番組紹介だけでメールや掲示板でネタ募集、ということはしていない。これはおそらく「セイヤング21」でも変わらないんじゃないか、という気がする。
 さだまさしが深夜放送にかける思いは伝わってくるし、ハガキに対する思い入れといったものも分かるような気もするけど、どうも昔ながらのスタイルに拘っている気がするのね。この時代にFAXやインターネットという手段を無視するような手法で番組をやるのはどうか、と思う。
 生放送であれば、FAXやネットで募集するのって効果が高いと思うしね。
Aリスナーとのリアルタイムのやりとりっていうのは、生ワイド番組の醍醐味のひとつですものね。むかしは電話でメッセージを送るっていうのが基本だったようにも思いますけど、電話応対の人件費もバカにならないし、最近の基本はFAXと電子メールでしょう。
 最近の番組だと、FAXと電子メールでしか意見を受け付けません、はがきはだめっていうのがけっこうあって、そういうのは首を傾げてしまうんですけど、その逆をわざわざやるのもなあって思いますね。
 でも、この「見るラジオ・聴くテレビ」って、前に毎日放送だけで夜中にやった「さだまさしの大疑問」に雰囲気が似てる気がするんですけど。やっぱりさださんっていうと、
テレビじゃなくてラジオのノリの人だって印象あるんですかね。
 
R:…ということで昨年に引き続き対談風にいろいろ語ってみたのですが、今年もまぁ見事なくらい にまとまりがないなぁ(苦笑)。まぁ、これもアリだと思ってるけど。
 もし来年があれば(?)、来年はさだ研自体について語ってみましょうかね(笑)
A:ファン気質とか、そういうお話になるんでしょうか。それはそれで危険かもしれません(汗)。
 では、次の機会もよろしくお願いします。

(2001.6.19-7.28)
 →前編に戻る

Copyright 2001 京都大学さだまさし研究会