敦賀松本零士ロード:ヤマト編→999編はこちら。
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 アナライザー
 時には看護夫の役目もする、万能旧式ロボット。地球に帰ってからは、佐渡先生の経営する犬猫病院で働いている。
駅から氣比神宮に向かう道に沿って話が展開する「999」に対して、「ヤマト」の方は氣比神宮から駅に向かう道に沿って話が展開する。だから神宮への往路は「999」を、復路は「ヤマト」を見てくれということなのだろう。右側歩行をすれば自然とそうなるが。
 で、何故かこの話が1作目や2作目でなく映画3作目の「ヤマトよ永遠に」なのである。ヤマト最大の好敵手であるデスラー総統が唯一出ない作品をよりによって選んだ理由が何なのかよく分からない。「999」と違って著作権問題がいろいろ面倒な「ヤマト」であるためなのかどうか。
 で、出発点にあるのは何故かアナライザー。アナライザーの隣にあるロゴの入った物体はヤマトの錨(ロケットアンカー)を模している。

 英雄の丘
 西暦2202年、暗黒星団帝国による地球侵略に対し、旧ヤマトの乗組員は英雄の丘に集結した。
立っている方が島大介、腰を落としている方が古代進。島はTVシリーズ「ヤマト2」ではテレサと愛し合い物語の大きな軸となった。テレサは瀕死の重傷を負った島に自らの血を輸血して蘇生させ、彗星帝国の超巨大戦艦に体当たりをかけようとしていたヤマトのかわりに自分を犠牲にしてヤマトと地球を救って死んでいく。だから島の体にはテレサの血が流れているのだが、生き長らえることなく完結編で死んでしまった。「永遠に」における古代守・サーシャ父娘の運命を見ても、どうも異星人と愛し合った人間とその子供は生き永らえさせてもらえないらしい。ヤマトを徹底的右傾作品と批判的にみなしている方々にとっては、これも「純血主義・混血排斥」思想の現れ、らしいんだが(苦笑)

 スターシャ
 イスカンダル星の女王スターシャは、暗黒星団帝国の侵略により、イスカンダル星共々滅ぼされてしまう。しかし、古代進の実兄、守との間に授かった娘、サーシャをやさしく、時には厳しく見守り続ける。
スターシャの顔が出てくると反射的に「あーぁーあぁぁぁー」とスキャットの曲を思い出してしまう(笑)。しかしこの生首状態はちょっと怖いな(^^;) 松本女性キャラ特有のあの長い睫毛が立体化されていることに注目。
 スターシャは松本御大にとってメーテル・エメラルダスとともに相当に思い入れのある女性像らしい。ところが、「999」映画版制作で多忙になり「ヤマト」にほとんど関われなかった時期に「ヤマト 新たなる旅立ち」(話の展開的にはこの銅像群のネタとなっている「永遠に」の直前に相当)が制作され、そこでスターシャが死んでしまったために松本御大はたいそう激怒されたそうな。

 別れ−出会い
 古代ら一行は、ヤマトのある小惑星イカルスへ向かうが、途中、森雪は帝国軍の銃弾に倒れ、取り残されてしまう。彼女は敵の将校アルフォンに保護される。
古代と雪の愛情については前作までにほぼ描き切っているために「永遠に」ではどうするかスタッフは相当に悩んだらしい。その結果、今回は二人を強引に離ればなれにすることになったんだそうな。
 話が変わるが「踊る大捜査線 THE MOVIE 2」で亀山プロデューサーが「青島くんと室井さんはTVシリーズの最初は対立していたのが、やがて共鳴するようになって、それをスペシャル2本でもう一度別れさせたんだけど、前回の映画(THE MOVIE 1)であの二人はもう完全にラブラブ状態になっているわけですよ(笑) だから今回はどうやって二人が一緒に動けないようにするか考えた結果、ああなった」と語っていた(この話はDVDの副音声で聞くことができる)のを聞いた時に「ヤマトよ永遠に」の古代を雪を思い出した(笑)

 サーシャ
 一行は、小惑星イカルスで新旧乗組員達と合流する。古代は、その中の一人の女性が名のサーシャだと知る。
左からサーシャ・真田さん・沖田艦長。
 サーシャは前作「新たなる旅立ち」では生まれたばかりの赤ん坊だったが、それから1年後の設定で登場させるために青いキャンディー…じゃなくて「イスカンダル人は地球時間の1年で大人に成長する」という強引きわまりない設定で17歳にまで成長させられた。基本形は松本零士キャラの美女なのだが、作画監督の功なのか17歳という設定のためか瞳など他の女性キャラとは異なる雰囲気を持つ。声を担当したのは潘恵子で、このサーシャ役とちょうど同じ頃に再放送でブレイクした「ガンダム」のララァ役もあって一気に人気声優になっていったとか。なんと今は占い師もやっていて「ガンダムエース」で連載を持っている(笑)
 その1年間、小惑星に設置された小惑星で極秘裏にヤマトを預かりつつサーシャを育てていたのが真田さんという事になった。真田さんが既婚で子持ちという話を聞いたことがないので、未婚独身の身で地球の運命を背負うヤマトを極秘に預かり強化改装の監督を行いつつ、子育て経験もないのに1年で大人にまで成長する異星人の子育てまでこなしていたということになる。さすがは真田さんである。まさか「こんなこともあろうかと」異星人子育てマニュアルまで事前に作ってあったのだろうか?(^^;;;)
 沖田艦長は1作目で死亡(実は死んでおらず完結編に再登場、今度こそ本当に死んだ)ということになっていて「永遠に」には出ていないので山南艦長かと思ったのだが、山南なら顎髭がないからやはりこれは沖田艦長ということになる。となると、恐らくこの像は「英雄の丘に建てられた"沖田艦長の銅像"を模して造られた銅像」であると思われる。ややこしい。

 サーシャの最期
 雪は爆弾の起爆装置解体に成功する。だが、弱点究明に侵入したサーシャが居るため、母星に波動砲を撃てない古代。しかし彼女は聖総統に撃たれてしまう。古代は波動砲の引き金を引いた。
このあたりから順序が話の展開に沿っていなくてぐちゃぐちゃ(苦笑)。本来ならこの話は「雪とアルフォン」と「帰還」の間に入るのだが、こういう順序になっているのは銅像が置かれている歩道に面した商店の意向なども汲まれたんでしょうか?
 サーシャが操作して開けた入口から母星中心部にヤマトは進入するが、反撃を受けて山南艦長が戦死、その怒りで古代は波動砲を準備するが、発射シークエンスのカウントダウン中もサーシャが頭から離れず遂に引き金が引けない。そこで真田さんが「俺が撃つ!! どけっ古代!!」と迫るが古代は席も引き金を譲らず泣く。そこへサーシャから通信が入り、パネルに写る映像でサーシャが聖総統に撃たれ息絶える様子を観て古代が「サーシャぁぁぁあ!!!」と絶叫しつつ引き金を引いて波動砲発射→母星爆発→周囲の白色銀河と暗黒銀河の二重銀河まで巻き込み崩壊、という展開になるのだが、いろいろとツッコミどころが満載でもある。
 まず、侵入者(サーシャ)をつかまえて殺すのに聖総統自ら出向かねばならないほど人不足らしいというデザリアムの事情(笑)。それから、古代が波動砲を撃てずに真田と話す時にいちど対閃光防御ゴーグルを外しているのだが、サーシャが死んだ時に外したまま波動砲を撃っているのである。…目、大丈夫だったのか?

 スカルダードの罠
 帝国軍と戦い、辿り着いた敵母星。総統スカルダートは「ここは200年後の地球」という。そしてヤマトの悲劇を予言する。
立体の銅像とレリーフの折衷。どうせならヤマトの派手な爆破を立体化してくれれば面白かったのに(笑)。なおヤマト爆発のシーンは「永遠に」予告でも使われショックな映像だったが、これは200年後の地球を偽装した敵母星で見せられた「ヤマトの歴史」の映像として登場した、いわば劇中劇で実際にはこんな爆発してません。実際にヤマトが爆破したのは「完結編」だが、あれもラストシーンを見る限り大破した訳じゃなさそうだったもんなぁ。

 惑星デザリアム
 スカルダードの罠に気づき、反撃に出るヤマト。波動砲によって敵母星は炎に包まれ、その中から、超金属の惑星デザリアムが姿を現した。
まさかこれが立体化されて置かれているとは思わなかった(笑)。他の人物像はともかく、映画の筋を知らなかったらこんなの単なるヘンな球形のオブジェにしか見えないだろ(^^;) 逆に芸術っぽくて良かったのか? しかも、この近辺では最大と思われるショッピングセンターの真ん前に置かれているのだ。シュールだなぁ。

 雪とアルフォン
 パルチザンに加わった雪は、戦場でアルフォンと再会する。しかし彼は銃弾に倒れてしまう。彼は爆弾の起爆装置解体法と、地球侵略の目的を告げ息を引取った。

 帰還
 波動エネルギーは敵母星のエネルギーと融合反応し、大爆発をおこした。敵母星を粉砕したヤマトは地球へ帰還していく。
そしてサーシャは、母スターシャのもとへ・・・
これも立体とレリーフの折衷。死んだ後も宇宙空間に亡霊として登場し生存人物と会話できるのはイスカンダル人の特徴なのでしょうか(笑)。
 ところで、この銅像群、なんと宇宙戦艦ヤマト自体を立体化したものがひとつもないのである。「999」の方ではアルカディア号やクイーンエメラルダス号が立体化されているのに、何故だろう。

 信じ合う愛
 互いの無事を信じ、愛を信じあった二人「古代進と森雪」
ここに来ると完全にフィギュア(笑)。「永遠に」劇中では2人がこうして並ぶシーンはない。地球に帰った古代と待っていた雪が駆け寄って抱き合うシーンがあるが、あれは妄想なのか帰還後のシーンなのか(ヤマトの地球帰還で物語は終わるから時間軸を入れ替えているのかもしれないが)。そのシーンで流れていたのが布施明の歌だったなぁ。他にも「永遠に」では挿入歌やエンディングクレジットが流れた後に流れる曲(DVDでも再現されている)が岩崎宏美だったり「新たなる旅立ち」では島倉千代子が歌っていたし、この時代のアニメ作品には珍しくアニソン歌手以外の起用がけっこう多かった印象がある(ささきいさおや堀江美都子も歌っているけど)。「さらば」の時は当時ピークだった沢田研二が歌ってたしなぁ。このあたりは西崎プロデューサーの意向と故・宮川泰さんの人脈や力がうまく作用したんだろう。

 佐渡酒造
 宇宙戦艦ヤマトの名鑑医。普段は一升瓶を片手に酪酊情態にあるが、医者としての腕前は超一流である。愛ネコのミーくんとの晩酌が楽しみ。故沖田艦長の親友であった。
トリを飾るのが佐渡先生…ってなんでやねん(笑)。
 いろいろ突っ込みどころが多いが、なぜ「永遠に」がモチーフだったのか謎は解けないまま松本ロードは終わった…。

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