先に普及したのは11bタイプだったのだが、通信速度が4M程度しか出ず、
現在ではADSLですら実力を発揮できないことから、より高速な11aが注目を浴びている。
ただし、11aにも遮蔽物・距離による速度低下が大きいという問題もあり、
また11bの方が価格もこなれていることから、しばらくは両方が併存していくものと考えられる。
■で公衆無線LANとは?
以上のような無線LANを、街中や喫茶店、ホテルなどに設置し、
契約した者が自由にインターネットにアクセスできるようにしたものが無線LANである。
アクセスポイント(基地局)を設置して無線でデータを送受信できる仕組みは、携帯やPHSとほとんど同じと言える。
このような無線LANサービスは2001年頃から試験サービスが始められ、
2002年には既に本サービスを開始しているプロバイダもある。
代表的なところでは、NTTコミュニケーションズの「ホットスポット(HotSpot)」やNTT東のMフレッツなどがある。
■公衆無線LANのライバル
公衆無線LANの特徴は、高速通信そして定額制である。
とすると、公衆無線LANのライバルは、高速通信を売りにするPHSやFOMAということになるだろう。
では、それぞれどのような長短があるだろうか。
公衆無線LAN
○定額制(1000円台〜2000円前後が主流)
○高速データ通信(802.11bを利用しているので4M前後)
×エリアが極めて限定
×いくら定額制でも決まった場所でしか使えないなら割高
FOMA
○携帯では高速(384kbps)
○エリアも全国に広がりつつあり
×回線交換は64kが最大でしかも高い
×パケット通信はダウンロードやウェブサイトの閲覧には向かない
PHS
○エリアは全国規模で主要都市ではほぼ使える
○定額制のプランもあり(AirH"等)
×64kは既に高速とは言えない
3つの中でも通信料が桁違いに高いFOMAを除外すれば、
主として公衆無線LANとPHSが競合することになると思われる。
とは言っても、現時点では「まったく勝負にならない」というのが結論だろう。
公衆無線LANは、本格サービスとは言い難い程エリアが狭く、
エリアというよりもポイントといった方が適切なほど。
YahooBBのようにマクドナルド・ドトールなどチェーン店と提携するところもあるが、
それでも対象は一部店舗にとどまる。
そもそも、モバイルの用途は「移動しても使える」なので、
欲を言えば(都市部なら)どこでも利用できることが望ましい。
ということは、公衆無線LANは当面、モバイルの対象とはなり得ないと考える。
今のところ公衆無線LANは、
対象となる場所で毎日のように利用する限られた人、
またはその手のサービスが好きな人向けのサービスにとどまるのではないだろうか。
■結論
当面の間、公衆無線LANはPHSのライバルではない、ということに尽きる。
メディアが大騒ぎするほど、公衆無線LANは本格化したものではないと思う。
(※)あくまで2002年9月現在での話なので、今後推移する可能性もあり。