公衆無線LANとPHS

 

まず無線LANとは?

LANとは、LocalAreaNetworkの略で、簡単に言えば、
パソコン同士をつないだり、パソコンとサーバをつないだりする技術である。
無線LANは文字通りそれを無線で行うもので、家庭内の利用では急速に普及しつつある。


無線LANのイメージ
図でいうと、ノートPCからでもインターネットにアクセスできる

この無線LANには、現在大きく言って2つの方式があり、それぞれ以下のような特徴がある。

  利用する帯域 通信速度 実際のスループット 遮蔽物 距離による速度劣化
802.11a 5.0GHz帯 54Mbps 20Mbps前後 弱い 大きい
802.11b 2.4GHz帯 11Mbps 4Mbps前後 普通 普通

先に普及したのは11bタイプだったのだが、通信速度が4M程度しか出ず、
現在ではADSLですら実力を発揮できないことから、より高速な11aが注目を浴びている。
ただし、11aにも遮蔽物・距離による速度低下が大きいという問題もあり、
また11bの方が価格もこなれていることから、しばらくは両方が併存していくものと考えられる。

で公衆無線LANとは?

以上のような無線LANを、街中や喫茶店、ホテルなどに設置し、
契約した者が自由にインターネットにアクセスできるようにしたものが無線LANである。

アクセスポイント(基地局)を設置して無線でデータを送受信できる仕組みは、携帯やPHSとほとんど同じと言える。

このような無線LANサービスは2001年頃から試験サービスが始められ、
2002年には既に本サービスを開始しているプロバイダもある。
代表的なところでは、NTTコミュニケーションズの「ホットスポット(HotSpot)」やNTT東のMフレッツなどがある。

公衆無線LANのライバル

公衆無線LANの特徴は、高速通信そして定額制である。
とすると、公衆無線LANのライバルは、高速通信を売りにするPHSやFOMAということになるだろう。
では、それぞれどのような長短があるだろうか。

公衆無線LAN
○定額制(1000円台〜2000円前後が主流)
○高速データ通信(802.11bを利用しているので4M前後)
×エリアが極めて限定
×いくら定額制でも決まった場所でしか使えないなら割高

FOMA
○携帯では高速(384kbps)
○エリアも全国に広がりつつあり
×回線交換は64kが最大でしかも高い
×パケット通信はダウンロードやウェブサイトの閲覧には向かない

PHS
○エリアは全国規模で主要都市ではほぼ使える
○定額制のプランもあり(AirH"等)
×64kは既に高速とは言えない

3つの中でも通信料が桁違いに高いFOMAを除外すれば、
主として公衆無線LANとPHSが競合することになると思われる。

とは言っても、現時点では「まったく勝負にならない」というのが結論だろう。
公衆無線LANは、本格サービスとは言い難い程エリアが狭く、
エリアというよりもポイントといった方が適切なほど。
YahooBBのようにマクドナルド・ドトールなどチェーン店と提携するところもあるが、
それでも対象は一部店舗にとどまる。

そもそも、モバイルの用途は「移動しても使える」なので、
欲を言えば(都市部なら)どこでも利用できることが望ましい。
ということは、公衆無線LANは当面、モバイルの対象とはなり得ないと考える。

今のところ公衆無線LANは、
対象となる場所で毎日のように利用する限られた人、
またはその手のサービスが好きな人向けのサービスにとどまるのではないだろうか。

結論

当面の間、公衆無線LANはPHSのライバルではない、ということに尽きる。
メディアが大騒ぎするほど、公衆無線LANは本格化したものではないと思う。

(※)あくまで2002年9月現在での話なので、今後推移する可能性もあり。

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