パケット料金、百花繚乱

いよいよVodafoneからもパケット料金の割引が発表され、
これで携帯各社(除くTU-KA)ともパケット料金の割引が出そろいました。
では、実際のところどういう状況なのでしょうか?

まずパケット通信とは?


申し訳ありませんが、理系的な説明ではなくて、文系的な説明をします。ですので、厳密に言うと違うところもあると思いますが、その辺はご容赦ください。

で、パケット通信というのはデータ通信の方式の一つです。パケット通信以外にも回線交換方式というものがあり、以前はこちらが主流でした。今でも、ドコモPHSのデータ通信は回線交換方式ですし、Vodafoneのパケット通信対応機種以外(J-0xシリーズやV3/401シリーズ)のデータ通信は回線交換方式です。両者の何が違うのかというと、回線交換方式が一人で回線を専有するのに対し、パケット通信は何人かで共有し、必要に応じてデータをやり取りします。そのため、パケット通信では思ったより速度が出ないことがある(共有しているため)反面、料金的には受信したデータ量に応じて課金される方式が多いため、文字中心の携帯での通信に向いていると言われています。この辺はパケット通信とデータ通信というコラムを参照してみてください。

 

2Gでのパケット通信割引


日本ではPDC方式(ドコモのmovaやVodafoneのV1-601シリーズ)が2G(second generation)と位置づけられていて、auでは既に2Gのサービスは提供していません。この2Gでの割引をしているのは、実質的にVodafoneだけになります。2Gでは、通信速度が9.6kbps〜28.8kbpsで、回線を共有するため実際の速度はもう少し遅いことがあります。

※1パケットは128バイトで、文字に換算すると半角文字128文字分のデータに相当します。

ドコモ
パケット料金 0.3円/1パケット
(但し、毎月最初の400パケットは無料。および、10万パケットを超える分については0.2円/パケット。)
適用される機種:movaのほとんどの機種(505シリーズ、252シリーズなど)

Vodafone
パケット料金 0.3円/1パケット
 割引プラン
  ハッピーパケットレギュラー 定額料月額1200円 無料通信分1200円 パケット料金0.1円/パケット
  ハッピーパケットスーパー  定額料月額2950円 無料通信分2950円 パケット料金0.07円/パケット
  ※無料通信分は音声通話等にも適用される。無料通話分のうち最初に充当されるが、繰り越しはされない。
適用される機種:J-x51シリーズ(52・53も含む)、V5/601シリーズのみ

こう見ると、現在まだ主流の2Gでは、Vodafoneの料金が一番充実していることになります。ただ、対応機種が少ない点が難点といえるでしょう。また、今後は3Gへ各社ともシフトしていくと考えられますので、ドコモがVodafoneに対抗して割引を出してくることは考えにくいです。

 

3Gでのパケット通信割引


現在、TU-KAを除く3社が、3G(third generation)の本格サービスを提供しています。そして、パケット通信については各社割引プランを設けています。3Gでは、もともと通信速度が速い規格ですので、384kbps以上の速度が出ます。文字中心のサイトを見てもあまり速度の違いは感じませんが、アプリや動画をダウンロードしたりすると、その差は歴然としてきます。なお、2Gと同様、回線は共有するので、速度はあくまでも最大値です。

ドコモ(FOMA)
パケット料金 0.2円/1パケット
 割引プラン
  パケットパック20 定額料月額2000円 無料通信分2000円 パケット料金0.1円/パケット
  パケットパック40 定額料月額4000円 無料通信分4000円 パケット料金0.05円/パケット
  パケットパック80 定額料月額8000円 無料通信分8000円 パケット料金0.02円/パケット
  ※無料通信分は音声通話等にも適用される。
適用される機種:FOMAシリーズ

au(CDMA 1X)
パケット料金 0.2円(EZインターネット:1:00〜17:00、100パケットまでの部分)
        0.1円(EZインターネット:1:00〜17:00、100パケットを超える分)
        0.27円(上記以外、メール・アプリなど含む)
 割引プラン
  パケット割 定額料1200円 無料通信分800円 パケット料金0.1円/パケット
  ※パケット割に申し込むと、無料通話分にパケット通信料が含まれなくなるので注意。
  ※他にも、データ通信割引サービスとしてPacketOneミドルパック・スーパーパックがあるが省略。
適用される機種:パケット通信に対応したほぼ全機種
  ※auはうじゃうじゃプランがあってややこしいのですが、一応上記はEZweb multiに対応した機種の料金を前提にしています。

au(CDMA 1X WIN)
パケット料金 0.2円(但し、パソコン等外部機器に接続して行なう通信を除く)
 割引プラン
  EZフラット    定額料4200円 携帯電話単体で行なうEメール・EZwebが使い放題
  パケット割WIN 定額料1200円 無料通信分1200円 パケット料金0.1円/パケット
  パケット割WIN ミドル   定額料4000円 無料通信分4000円 パケット料金0.025円/パケット
  パケット割WIN スーパー 定額料7500円 無料通信分7500円 パケット料金0.015円/パケット
  ※パケット割に申し込むと、無料通話分にパケット通信料が含まれなくなる。
適用される機種:CDMA 1x WINサービス対応の機種(Wで始まる型番の機種)

Vodafone(VGS)
パケット料金 0.2円/1パケット
 割引プラン
  ハッピーパケットレギュラー 定額料月額1200円 無料通信分1200円 パケット料金0.07円/パケット
  ハッピーパケットスーパー  定額料月額2950円 無料通信分2950円 パケット料金0.04円/パケット
  ※無料通信分は音声通話等にも適用される。無料通話分のうち最初に充当されるが、繰り越しはされない。
適用される機種:V801/901シリーズ

3Gについては、auが方式の違いから2つのサービスを提供しているのが特徴です。WINは、データ通信だけ2GHzの電波を用いる方式で、音声通話は従来と同じ通信方式を利用しています。通信速度の面だけ言えば、WINが最も速く、下り最大2.4Mbpsにもなります。ただ、今後2つのラインナップを併売していくとのことで、これは必ずしもユーザーにわかりやすいとはいえません。ドコモのように、movaとFOMAとでは全然サービスが違うわけではなく、単にデータ通信の部分だけ別方式を使っているというならなおさらです(にもかかわらず、料金体系が違うのですから)。

料金について比較すると、使い勝手の良さからいうとVodafoneのハッピーパケットが光ります。1200円と3000円という、申し込みやすい価格帯にぴったりマッチしているように思います。他方で、ドコモは最も安いパケットパック20でも2000円で、これは申し込むのに少し躊躇してしまう金額です。4000円の価格帯になると、よほどの利用頻度の人でないと申し込まないのではないでしょうか。その意味では、Vodafoneは最後発だけあって良く検討されているように思います。ただ、ヘビーユーザーはドコモやauの方が得ということになりますが。

それから、WINの定額制については、携帯のウェブ閲覧をすごい利用する人にはかなり魅力的なプランだとは思いますが、これまでのEZウェブのコンテンツを全て見られるわけではないので、その辺に注意が必要です。携帯で使い放題を提供することはかなり画期的だとは思いますが、すぐには他社には波及しないと思います。ほとんどの利用者はパケット料金に月額4000円以上も使うユーザーではないからです。にもかかわらず使い放題を提供すると、一部のヘビーユーザーに回線を占拠されるという不都合が生じる可能性もあります(現にADSLやFTTHではファイル交換を利用する人とそうでない人に利用効率の面から不平等が起きているともいえます)。仮に携帯での通信が使い放題の方向に向かうとしても、こういった問題について解決・対策の兆しがないと、他社が乗り出してくることはないのではないかと予想してます。(ちなみに、auが定額制の対象を携帯電話からの通信に限定しているのは、前述のような問題に対する対策だそうです。)

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