ついにドコモからもデジカメ内蔵機種が登場。
それに伴って発表された「iショット」とは?
当初、単に端末の機能でしかなかったデジカメ内蔵携帯電話は、
その後J-PHONEが大々的なキャンペーンを展開し、
「写メール」というキャンペーンネームを用いることで飛躍的に知名度が上がりました。
もともと消費者は、あまり難しいこと(技術的なこと)を求めない傾向にあり、
auの「GPS」よりも、「写メール」と言う方が認知度が高かったようです。
で、その後auからもデジカメ内蔵機種(A3012CA)が発売され、
さらにドコモからもSH251iが発売されることになりました。
これで、TU-KAを含めた全社でデジカメ内蔵端末が供給されることになります。
ところが、ドコモのiモードメールではデジカメのデータを添付することはできません。
そのために今回特別に用意されたサービスが「iショット」なわけです。
では、その「iショット」について説明する前に、まずは各社のメールシステムを比較してみましょう。
このように、J-PHONE・auのメールシステムが基本的に添付ファイルを許容しているのに対し、
iモードメールはそもそも添付ファイルを許容していません。
そこでドコモとしては、デジカメ内蔵端末を供給するにしても、
何らかの手段で画像のやり取りを可能にしなければならなかったわけです。
この場合、ドコモとしてはいくつかの手段をとることができたと思います。
1)思い切ってiモードメールのシステムを変える
2)iモードメールの上位互換として、FOMAのようなメールシステムを251用に開発する
3)専用サーバを用意し、そこから画像を送信する
結果として3)のような方法をとることになったのですが、なぜ1や2の方法は採られなかったのでしょうか?
その一つとしては、コストが上げられると思います。
ドコモは当初、デジカメなどの先進機能はFOMAに搭載し、FOMAとPDCの差別化を図っていくつもりでした。
しかし、FOMAは契約数が伸び悩み、J-PHONEやauへの対抗上、PDCにデジカメ機能などを搭載する必要が出てきました。
とは言っても、ドコモとしてはやはりデジカメ内蔵機種を一過性のものと見ている節があり、
サービスとして持続性を有するのかには懐疑的なようです。
かつてのドッチーモに対するような態度が、おそらくあるわけです。
そうすると、そのようなデジカメ内蔵機種のために、わざわざ莫大なコストをかけるのは無駄なわけで、
その結果一番コストのかからない手段になったのではないかと推測します。
また、1のようにiモードメールシステム自体の変更は、実は過去にも企図されながら実現しなかった経緯があります。
メールの受信文字数が2000文字になる予定で、案内までされたのに、廃止された件です。
この理由は明らかにはなっていませんが、おそらくはサーバの負荷といったことが理由として考えられます。
従来からiモードメールのサーバは飽和気味で、これ以上文字数を増やしたり、
添付ファイルを可能にしたりする余裕がないわけです。
このようなコスト的な要因の他に、画像の送受信にパケット通信が向かない、という点も上げられます。
前のコラムでパケット通信と回線交換方式の違い(こちら)について書きましたが、
パケット通信は文字データなどの少量のデータを持続的に利用するのには向きますが、
大量のデータを一括に送受信するのには不向きです(コスト的に)。
特にPDCのiモードにはパケット割引などがなく、一律0.3円/パケットですから、
送受信に14円もの金額がかかってしまうわけです。
というような理由で、回線交換方式の「iショット」というサービスになったものと思われます。
それではそろそろ、肝心の「iショット」について説明したいと思います。
上記のイメージ図はドコモのリリースから拝借したものですが、
図のように、iショットセンタなるものに、画像と文章をメールとして送信します。
その際に、パケット通信ではなくて、回線交換方式が利用されます。
サービスのイメージとしては、ショートメールを想像して頂ければいいかと思います。
回線交換方式は通常のデータ通信と同じ料金が適用されますので、1通10円(Aプランの場合)から送信できることになります。
(Aプラン以外の場合、それぞれのプランに応じて料金が倍掛けとなります。例Bプラン・1.4倍など)
iショットメールを受信したセンタは、相手先がiモードメールかそれ以外かで分類し、
iモードメールの場合には画像を置いてあるURL(アドレス)を通知し、
それ以外のメールアドレスの場合には、メッセージとともに画像を添付ファイルとして直接送信します。
この際、相手先には「photo-server@docomo-camera.ne.jp」(iモードメールへの送信の場合)
あるいは電話番号(それ以外のメールアドレスへの送信の場合)で通知され、これに対して返信することはできません。
(というより、返信してもデーモンが返ってくるだけです)
上記に、「サービスのイメージとしてはショートメール」と書きましたがまさにその通りで、
センタとしては発信者番号通知を利用しての送信元の特定と、メッセージ及び画像の配信しかしないわけで、
相手方にメールアドレスを通知することはできません。
(メッセージ本文に署名を付ければいいのですが)
このようにメールサービスとしては不便なものになってしまったわけは、
iショットメールがEメールサービスではないからです。
ショートメールでも同様の問題がありますが、ショートメールはEメールに接続しているわけではなく、
ショートメールセンタ宛に来たメールをiモードメールに転送しているに過ぎません。
これと同様に、iショットセンタもEメールを送受信しているわけではなく、
ユーザから送信されてきたメッセージ・画像(iショットメール)を、Eメールに変換して、
センタが自分でEメールとして改めて送信しているに過ぎないわけです。
もちろん、システムとしてはFrom欄を自分で入力させ、From欄を送信元のアドレスにして送信するという手段も考えられますが、
その場合、Fom詐称メールいわゆる「なりすましメール」になってしまうため、
相手側がドメイン指定受信を利用している場合、iショットからのメールを受け付けなくなってしまうおそれがあります。
というのも、どうやらiショットのインターネットへの接続はmoperaを利用していますので、
メールサーバは「mopera.ne.jp」、From欄のアドレスは「docomo.ne.jp」と、一致しなくなってしまうのです。
ですから結局、前述の3)という選択肢を採った以上、こういうシステムにするしかなかったのではないかと思います。
(実際、J-PHONEの「@sha-mail」というサービスは、From欄を詐称しています。詐称って言うと響きが悪いですが…。)
以上を踏まえた上でiショットのサービスを評価すると、
制限が多い中では頑張ったのではないかな、と考えます。
たしかに、
・プランによって送信料金が異なる
・受信したメールに直接返信できない
・相手に電話番号が知られてしまう
といった短所がありますが、
・料金は少なくともパケット通信を利用した場合より確実に安い(どのプランでも)
・将来の値下げの可能性もある
・相手先によって自動的に振り分けてくれる
といった長所もあります。
長所2番目の将来の値下げの可能性については、期待の意味も含みますが(笑)、
パケット通信ではシステム的に画像の送受信だけを割り引くのは困難ですので、
ショートメールのように一律料金に値下げされる可能性もないとは言えません(びみょーな表現ですが)。
(ちなみにショートメールは、1通Aプランの半額、つまり5円〜となっています)
使い勝手は「こういうもんだ」と割り切るしかないにしても、
料金については値下げが可能なだけに、検討してもらいたいですね。