だぶる厄MAN 椎間板ヘルニアと深部静脈血栓症の闘病記+α
アドバイス

1. 術後の予防策
2. 女性の医学最前線
3. 利き足変更計画
女性の医学最前線

平成15年3月7日発売の「婦人公論」に、「女性の医学最前線」のコーナーに深部静脈血栓症についての記事が掲載されています。 「長時間、同じ姿勢をとり続けることが原因で起こるエコノミークラス症候群。しかし、血栓症の誘因として最も多いのは、整形外科手術、そして帝王切開など産婦人科手術だという・・・」と、ショッキングな見出しで、深部静脈血栓症が紹介されています。
話し手は、浜松医科大学産婦人科助教授の小林隆夫医師です。

「重い糖尿病や心臓や脳の慢性的な病気も特にない全く健康だった人が、骨折や膝の手術、或いはお産をして突然倒れて命を落とす。そういう不幸な出来事が起こりうるからこそ、深部静脈血栓症は怖いのです。それを防ぐ為に、医療従事者は勿論、一般の方にも深部静脈得血栓症がどういうものなのか、どういう症状があったら危険なのか、そのことを十分に知っておいていただきたいのです。」と、小林助教授は述べられています。

その為、現在、学会でも深部静脈血栓症予防のガイドライン(指針)を作成中だということなのですが、如何なものでしょうか。
要するに、学会というものは医師の専門部会のことを指し、当然、それに関わる方々は血管、血液専門の医師でしょう。この深部静脈血栓症の罹患率は、整形外科や産婦人科領域での手術等により高まっているのですから、該当するそれぞれの領域の医師を始めとする医療従事者にまずリスクマネージメントを植え付けなければなりません。医療機関全体にも同じことが言えますが、見聞きしてきた中では、果たして全てに浸透するのか否かは不明ですし、不可能ではないかとは思えます。
医局、派閥(学閥)による縦割り社会では、主導権が物を言うと思うからです。つまり、整形外科に罹れば整形外科医が主治医となり、産婦人科であればまた同様にという具合です。また、罹る医療機関が単科であれば、こうした血管、血液専門医は当然常駐しないのでしょうから、患者が被るリスクは果てしなく大きくなるとも思うのです。
従って、自らが執刀した患者が肺塞栓等の続発症で急死し、訴訟沙汰にならなければ身につまされるものではないのでしょう。そこには患者主体の医療というものからは、やはり余りにも懸け離れていると思うのです。
その点では、小林助教授のようなご意見には諸手を上げて賛同したく思うところです。

記事に掲載されている「産婦人科手術後の予防ガイドライン案」は、次の表の通りです。

リスクの程度 手術法または疾患名 予防法
高リスク 骨盤内悪性腫瘍根治術
高齢肥満妊婦の帝王切開術
血栓症素因、既往、合併
ヘパリン製剤(抗凝固剤)
及び(もしくは)
間欠的空気マッサージ、弾性ストッキング
中程度リスク 良性疾患手術
帝王切開術
ホルモン療法中患者
間欠的空気マッサージ
及び(もしくは)、弾性ストッキング
低リスク 正常分娩
30分以内の小手術
早期離床、ベッド上での運動

予防対策を行えば、100%とは言えないまでも、術後に起こる深部静脈血栓症や肺塞栓症はかなり防ぐことができると記事では謳ってあります。
その他には、「十分な水分の補給」が挙げられています。
つまり、脱水状態になると、血液が濃縮して血栓ができやすくなるので、手術後は1,500〜2,000ml/日の水分を輸液で補給するというものです。
ただ、あくまでも「婦人公論」誌掲載記事ですから、産科婦人科領域が中心に紹介されているのはいたしかたないところです。が、小林助教授によると、今では、日本も整形外科領域では、欧米と変わらない頻度で高率に血栓症が起きていると理解されているそうなのです。つまり、海外では、一般整形外科手術を受けた患者の約40%が、無症状の方を含め深部静脈血栓症が発症しているとの報告があるそうなのです。そして、日本では、この10年ほどの間に、肺塞栓症による死亡率が約3倍にも増加していると言われています。

さて、下肢に深部静脈血栓ができた時の症状について、小林助教授の説明は次の通りです。
下肢の浮腫み、腫れ、発赤、熱感、痛みが出ると言い、「手術や分娩などの後に、足が熱い、浮腫んだ、痛いとなったら、深部静脈血栓症の疑いがありますので、直ちに検査、治療が必要」と仰っておられます。

ああ、やっぱりそうじゃないの......。
某市立病院の我が主治医殿。
あなたは、「痛みなんかない!関係ない!(怒)」と大声を出して私を威嚇までしたじゃないですか。
私がショックで絶望を感じ、ひたすら落ち込んで言葉も少なかったというのに(涙)。
くやしー♪♪(悔泣)

そして、小林助教授は続けます。
「医療従事者は勿論、患者さんやその家族にも、手術の前後には血栓ができやすいことを十分に理解してもらい、予防処置を講じることが大切です。また、早期に発見すれば、治療で肺塞栓症を防ぐこともできるのです。」

ああ、そんな説明は整形外科の主治医からは聞けませんでした(泣)。
本当に、できることなら、徹底していただきたいものですね。
但し、血管外科の主治医によれば、「下半身を手術された患者さんに深部静脈血栓症を発症する人が増えているんで、主治医の先生には対策を講じて欲しいとは進言してるんですけどねー。」とは、かなり後になってからお話いただきましたが、だから、どうした!と詰め寄ることができないところに患者サイドの哀愁があるのです。
医師、医療機関に楯突くと、後が怖い......。

また、反面、納得できるものもあったり。
曰く、「術前術後に、深部静脈血栓症を予防する為に、ヘパリン製剤の輸液をやってるんですよね。でも、あんまり入れ過ぎると、今度は術後に血が止まらなくなったり、血管が破れたりすることもあるんで、難しい面は正直あるんですよ。」ともお話くださいましたが。
要するには、「そこまでやったけど、あなたは運が悪かったね......。」ということなのでしょう。

まだまだ書き足りないところはありますが、記事を全文引用掲載することは著作権違法となりますので、印象に残る部分だけを取り上げて参りましたが、「我慢しすぎないで、身体を動かす」ことが日常生活で深部静脈血栓症を防ぐ心得だということです。
特に、ご高齢の方々は、冠婚葬祭等での長時間の正座も危険と、小林助教授は仰っておられます。

あれもこれもと心配すれば神経質になりがちですが、気にし過ぎず、ほどほどに......と言うことなのでしょう。


何れにせよ、これから何らかの疾患等で手術をお受けになられる方々は、事前に十分に医師の説明を受けられることをお勧めいたします。

予防策についての説明も同時にお受けになられますように......。



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