綾羅氏インタビュー

1998/12/03 23:44〜25:52 IRCにて収録


---------- それでは綾羅さんのインタビューを始めさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。(^^)

---------- それでは、最初にプロフィールの方を頂けるでしょうか?

はい。綾羅というのは高校のころから文章を書くときに使っているペンネームなんですが、最近ではパロディに限ってこの名前を使っています。本名を浅野雄作と申します。朝草夕乃という名前で細々とオリジナルの作品も書いています。
現在は東海大学の文学部日本文学科に所属する6セメスター(3年後期)生です。専攻は近代文学なんですが、正直「文学」部の学生としてはダメな部類ですね(苦笑)。不勉強です。

---------- ご自身の主宰しておられるエヴァ系HPについてお聞かせ願えますか?

『エヴァLC』というページを主宰しています。LCはラブ&コメディの略で、同題のパロディ小説をメインに扱っているページです。今年半ばにやっと完結しました。

---------- HPを立ち上げられたのは、いつ頃なんでしょう?

1996年の5月の終わり頃です。当時の認識としては、「エヴァページとしてはかなり後発になるだろう。なんたって本編終わってるんだし」と踏んでいたのですが…

---------- 今となっては古株の部類ですね(^^;

みたいですね(笑)。これほど長くエヴァページのブーム(?)が続くとは思ってませんでした。

---------- そもそも、立ち上げられたきっかけってなんだったんでしょう?

エヴァの本放送の時期、ぼくはまだ高校生(それも受験生)でした。当時地元の名古屋ではTV愛知が1週間(2週間?)遅れでエヴァを放映していたんですが、件の25話、26話が名古屋で放映されていたのが、運悪く受験で東京に滞在していた時期だったんです。24話までは欠かさずに毎週ビデオ録画していたのですが、これまたナイスなタイミングで家のビデオが壊れてしまい、録画もできず。結局大学に入るまでにラスト2話を見ることはできなかったんです。大学に入っても4月は家にビデオデッキが無く、また借りるあてもなくて悶々としてすごしていました。それでもなんとかビデオデッキを買い、録画したテープを貸してくれるという友達もできました。そうしてやっと衝撃(笑)の25,26話をみることができたのが5月の半ば頃だったわけです。3日くらい呆然としましたね。
当時やっと学校でブラウジングができるようになったので、当然のようにエヴァページをサーフィンしていました。そして「カヅィゲリオン」というギャグパロディページに出会ったんです。これもかなり衝撃的でしたね(笑)。 それで、「こういうページがアリならこっちにも考えがある」という感じで、26話のラブコメパートをみたときから膨らんでいた妄想をHPで小説という形にしようと思ったんです。
思い立った3日後くらいに
「Genesis;Q」を見つけたときは、「しまった先を越された!」と思いました。でもよく読んでみると、そのころすでにQは独自路線を走りはじめていたので(笑)、なんとか同系統の作品にならずに済みそうだと思ってぼくもLCを始めたんです。

---------- 受験生だったとは、不運ですね(^^; やっぱり影響ありましたか?

受験への影響でしょうか。(^^;

---------- ええ(^^;

なかったとは言い切れないですね(苦笑)。僕、6校受験して上から4つ落ちましたから。もちろんエヴァだけが原因じゃないですが。

---------- そういう人はたくさんいたんでしょうねえ(^^;

いましたねえ(笑)。
ぼくの知り合いでエヴァにハマってて現役で合格できたのは、落ちたやつの半分くらいだったと思います。まあ、中にはハマりつつも現役で東大に受かったツワモノもいますが。(^^;

---------- 当時、高校生の眼から見て、どうだったんでしょう?

高校生といってもおたくですから(笑)。「おおっ、メカが凄い。動くっ!」とか、「緒方恵美が絶叫…」とか、「これが噂のみやむー?」とか、他のアニメと同じように素直な(笑)感想を抱きました。エヴァ観の変わる、問題の最終回をみたときはにはもう大学生でしたしね。

---------- 当時、他にどんなアニメ見てましたか?

時期が前後して記憶が定かではないんですが、「ジーンダイバー」とか「ふしぎ遊戯」とか、そのくらいでしょうか。受験もあってアニメからは少しだけ(笑)遠ざかっていたんです。エヴァで引き戻されてしまいましたが。(^^;

---------- 当時と今でアニメに対する接し方に変化ってありますか?

エヴァはいろいろな意味で特別な作品になったので、終了後にも何度か繰り返しみたり、かなり考えさせられたりしました。おかげで、他のアニメに対しても前述のようなミーハーおたくな接し方だけでなく、深読みしたり裏方のことを考えたり、いわゆる「濃い」部分に触れるようになったと思います。あくまで以前と比較して、ですけどね。

---------- エヴァ以前にも書かれていたとお話がありましたが、どのようなものを書いておられたんですか?

中学の終わりごろから文章を書く楽しみを覚えて、以来高校時代にSF研究会と文芸部の会誌や部誌で、いくつか短、中編を書きました。
内容はまあ、ほとんどが三文恋愛小説です。(^^; 設定に凝ったファンタジーやSFなんかを書いたこともありますが、たいてい満足に書き切れずに中絶してました。本当はそんなことじゃダメなんですが、どうも世界観を自分で創造するのが苦手みたいですね。

---------- そういった意味でエヴァは書き易かったんでしょうか?

それまでパロディを書いたことがなかったんですが、やっぱり産みの苦しみがない分かなり楽でしたね。読者のイメージがすでに固まっているものを動かしたり変化させたりするのは、カラッポの読者の頭にイメージを投影するよりもはるかに簡単ですから。もちろん、LCのように原作のイメージをいびつに歪めるものはそれだけ読者を選んでしまうと思いますが。

---------- これから先、エヴァ以外で書いてみたいものなんかありますか?

パロディで、ということでしょうか?

---------- いえ、ジャンル問わずです。

一応ぼくも小説家を目指しているので、自分で書こうと思ってためているネタはいくつかあります。ラブコメが死ぬほど好きなので、傾向的にはいわゆる少女小説系ですね。
さしあたって、エヴァ小説を通じて知り合えた文章書きの集まりで発行している同人誌や、WWW上での発表、それから投稿なんかでオリジナル作品を精力的に書いていきたいと思っています。エヴァと同じくらいハマれる作品があれば、バロディもやってみたいと思います。体がもてば(笑)。

---------- 大学の文学部ってどんな事をやってるか想像もつかないんですが、簡単に紹介してもらえますか?

えー…(苦笑) ぼくもあまりよくわからないんですが…(^^;
文章や文字なんかのハード面で、数学のように文を組み立てたり分解したりする勉強をしたり、逆にソフト面で、執筆状況やおいたちなどを調べ上げることによってその作品や作者の内面を出歯亀根性で暴いてやろうという勉強をしてます(^-^;
文学部で何か作品を創作することはほとんどないですね。九割方は分析や批評の勉強です。

---------- これから書いてみようと思っている人にメッセージなんかありましたら。

エヴァ小説をですか?

---------- いえ、小説全般で結構です。

ぼく自身まだ小説家の卵にすらなれていない状況ですから、えらそうに言える立場じゃないんですが…。そうですね、謙虚な気持ちで文章を書くことが大切、じゃないかと思います。

---------- それでは最後になりますが、綾羅さんにとってエヴァってなんだったんでしょう?

最終回からLCを始めるまでがダイレクトに繋がっているせいもありますが、いまとなってはぼくにとってエヴァは「人生の転機のひとつ」でした。月並みですが。
まだインターネットがどういうものかも知らなかった高校の頃には漠然と「大学に入ったらインターネットをやろう」と思っていました。実際にネットに触れて、大事なのは「インターネットを使ってなにをするか」だということに気づいたとき、ぼくの目の前にはエヴァがありました。それによって、ぼくにとっての大学生活は予想していたものと大きく変わりました。良い方向に変わったのか悪い方向に変わったのかはまだわかりませんが、少なくともエヴァがなければ、自分の書いた文章が雑誌で紹介されたり、小さく見積もっても五百人以上もの人に読まれるなんてことはなかったはずです。エヴァに出会って確実に変わりましたね、人生が。

---------- 本日は寒い中、長時間にわたりありがとうございました。これから先の作品を楽しみにしています。

ありがとうございました。とりあえず卒業と就職が目先の課題です(笑)。


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