丸山直之氏インタビュー

1998/11/28 23:29〜25:21 IRCにて収録


---------- それでは丸山さんのインタビューを始めたいと思います。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。えと、まず自分の職業についてでしたっけ。一応私はコンピュータ関係の仕事に就いていて、SEなんていうやくざな肩書きを持っていたりなんかします。まあその実体はどうだか知ったものではないですけど(笑) 就職したのは昨年の春で、今年で2年目って事になりますね。ですからエヴァを見たのはまあ大学3年の頃、ということになります。その後、就職活動を終えた後、いろいろと事情がありましてインターネット活動を始めました。ですから本放送の頃は、ネットはもとよりこういった活動をしようとも思わなかったわけです。そもそもインターネットってなに?って感じでしたから、あのころは(笑)

---------- 立ち上げられたHPについてお話頂けますか?

私がHPを立ち上げたのがちょうど今から2年前ですね。ただ、私自身は最初はHPを作るつもりは全くなかったんですよ。当時契約していたプロバイダの問題もありましたけど、投稿のみでやっていこうと思っていたので。

---------- それが投稿を受け付ける側になってしまったわけですね。

ええ。最初はページの管理も面倒くさいし、そもそも連載を書けるわけがない、と思っていたのでやらなかったんですが、当時のチャット仲間が次々とHPを開設していくのを見てうらやましく思っていたところに、不意に長編のネタを思いついて(笑) そこからはもう一気に、プロバイダまで契約し直してHPをはじめたんです。そうそう、そのころの自分と同じくエヴァ小説の投稿をしている人に、もっと発表の場所を提供したいとも思ったのもありますね。

---------- ご自身がInet上での投稿活動をはじめられた動機ってなんだったんでしょう?

そうですね…… そもそも私はインターネットを始める前にもいくつか小説を書いていまして、雑誌の投稿募集に送っていたこともありました。それが就職活動やらなんやらでしばらくできなくなっていて、就職が決まって、ふっとスポットのように時間があいたんです。そのときにちょうどメールが必要になってインターネットを始めて、メール以外に何かできることはないか、ってことでエヴァ小説を見て回ったんですよ。「そう言えばこんなアニメやっていたな」って。そのときにちょうど最初に書いた小説の題材になったCDを聞いていて、「あ、これで書けるかも」ってふと思ったんです。それが動機と言えば動機ですね。

---------- それで書いたものを投稿していらっしゃったわけですね。

ええ、そうです。でも、始めたらこれが病みつきになってしまって。当時やることが卒論だけしかなかったので(笑)時間が余っていたと言うこともありますし、またエヴァという話が、設定を作ろうと思えばどこまででも読めそうな内容だったのもあって、もうぼろぼろと(笑) 気づいたら、投稿だけで10本以上いってしまいました。

---------- それでHPを持たれるようになって、意識が変わった部分とかってありますか?

HPを持ってからは、今までと違って気分が向いたときに向いた内容だけ書いているっていうわけにはいかないと思うようになったんですよ。どうせ書き始めたからには絶対完結!ということで、今まで以上にエヴァ小説を書くこと、また読むことにのめり込んでいきました。他の人はどう書いているんだろう、自分の展開と重なっている部分はないか、などと。ある意味、あのころはまさにエヴァ小説漬けでしたね。

---------- エヴァ以前から書かれているとお話がありましたが、エヴァ以前の活動はどのような事をなさっていたんでしょう?

活動といえるのかどうか(^^; エヴァ以前は、個人的な趣味で短編小説の投稿募集に小説を書いて送っていたんですよ。それも細々と、1年に1本送るかどうか、というレベルで。そもそもあのころは自分の書いたものを誰かに見せようと言う意識はあまりなかったので、その程度だったんですね。今から考えると、嘘みたいですけれども(^^;

---------- Inet上に発表するようになってから意識が変わっていったんでしょうね。

インターネットという方法が非常に気軽に自分の書いたものを発信できるということで、この活動を初めて本当に意識が変わったと思います。

---------- エヴァ以外、Inet以外で書いてみようとかいう意識も出てきたんじゃないでしょうか?

ええ。その意識はかなりでてきています。今はまだエヴァ小説の連載が続いていますが、これが終わったらオリジナルで新しいものを書こうかなぁなんて考えていますね。

---------- 具体的に何か書きたいものなんてありますか?

書くんだったら飛行船ものか中国ファンタジー(力説)(笑) 私は大学が史学科出身で中国史を専攻していたので、中国ものは是非書きたいと思っています。それと飛行船は個人的趣味ですね(笑) 一応飛行船は去年〜今年の「Progressive」っていうオリジナル小説の短編企画で書かせてもらいまして、今回の冬には中国ものに挑戦です。この二つの系統を、できれば拡大発展させたいと。

---------- 始皇帝暗殺ってどうなんでしょう(^^;

「始皇帝暗殺」は、コミック版(皇なつきさん著)のものは読みました。小説版と映画はまだ見ていないんですが、コミック版の内容を見るに、かなり楽しめるものにはなっているようです。歴史書って事実の一端しか書いていないので、その裏を読むといろいろ話を作れるんですよね。「始皇帝暗殺」はその部分をかなりうまく作っているようなので、話としてはおすすめではないかと。

---------- 歴史上のキャラクタを使って話を作るって、ある意味パロディですよね。

確かに、実在の人物とはいえ勝手に自分のイメージで動かしているわけですからね。アニメを元に小説を書けばパロディで。歴史上の人物を元に扱えば歴史小説というのは、もしかしたらおかしいのかもしれません。ただ、三国志のように立派にパロディ分野になってるところもありますけど(笑)

---------- 中国ものはどの辺りの時代が面白いですかね?

日本ではまず中国史の見どころ=三国志、みたいにいいますけど、私は春秋戦国時代もしくは唐の末期から宋〜元にいたるまでとか、いくつもの国が興って、また消えていくといった時代の方がおもしろいと思います。特に唐末から宋の始めあたりなんかがいいですね。あとは唐・宋時代の都の長安や開封といった都市を題材にしたものなどですか。いろいろおもしろいものがあって、書ききれないくらいですよ。

---------- それこそ、一生書いてられる(^^;

中国史は、たとえば漢文の史書とか向こうの小説といったものの日本語訳がまだそれほどではないので、中国語に不自由な(笑)私にはちょっと難しいんですが、題材的には掘れば掘るほどでてくると思いますよ。なにしろあれだけ広い国土にあれだけの人口と歴史ですから(^^;

---------- これから何か書こうっていう人にメッセージなど頂けますか?

私がメッセージなどというのも何ですけど、大学入学から今までの6年間、オリジナル〜エヴァ〜そしてまたオリジナルへと移りながら小説を書いていて、思ったことはやはり「とにかくどんなものでも良いから文字にしよう」「そしてそれを完成させよう」ってことですね。最初のオリジナルの頃は頭の中で空想するだけ、もしくは出だしを書くだけでしたが、エヴァ小説でものを書くことを自分に習慣づけてからは、以前と比べてもやはり質があがってきましたし。書けば書くほど、表現技法も展開も良いものができると思いますね。そういう意味では、エヴァ小説を書いて良かった、というのが今の思いですし、またこれからか何か書こうと言う人へのメッセージですか。

---------- 丸山さんは、投稿を受ける側でもあるわけですが、投稿にまつわる面白い話なんてあります?

いろいろとありますが……そうですね。送られてきたメールと作品内容を見ると、ある程度投稿者の年齢層が分かる、というのは結構おもしろかったですね。特に中高生はかなりの確率で当たっていましたし。

---------- 中高生の投稿って結構あったんですか?

人数的にはそれほどというわけではなかったですが、連載の本数という意味では結構な割合を占めていました。やはり時間があるっていうのは強いですよね。で、そのメールとかを見ると、最初に「あ、これは高校生かな?」というのが分かるという。このあたりはメールの文章でわかってしまいますね。大学生や社会人の書き方とは明らかに違いますし。

---------- 中高生の人に気を付けて欲しいとこなんかありますか?

ネチケットって最近よく言われますけど、結局あれって、「他人に不快感を与えないこと」って意味では普通の生活と変わらないと思うんですよ。初対面の人にメールを出すときは丁寧に、とか、チャットで誰かが来たときには無視しない、とか。ですから、最低限のマナーさえ心がければ、何も言うことはないと思いますよ。

---------- 今の社会環境を考えると、Inetって彼らにとって1番身近な実社会かもしれませんね。

自分とはまったく違う生活環境の人と簡単に交流ができますからね。

---------- それでは最後になりますが、丸山さんにとってエヴァって何だったんでしょう?

今思えば、エヴァは放映当時はそれほど大きなウェイトを占めているものではなかったんです。本放送は途中の「アスカ、来日」まで見向きもせず、興味を持ったきっかけも、チャンネルをひねったら「お、なんか海戦やってるぞ」って。「なんだ、こんな時間に海戦やるアニメなんかやってたか?」って思いつつ翌週のビデオをセットして、あとは転がるように落ちましたけど(笑) で、放映終了、就職活動の始まりと共に、一度熱が冷めたんですよ。また燃え始めたのはインターネットを始めてからですね。あのころは他にすることもなくひたすらエヴァ系のサイトを見て回って、投稿をして、HPを持って…… 当時の私にとってのエヴァとは、激しくのめり込んだアニメであると同時に、インターネットと同義でもあったんです。で、そこからいろんな方と知り合いになって、エヴァ小説だけではなくオリジナルにも再び興味を持つようになって、企画にも参加するようになって…… 今の私にとってのエヴァとは何かと言えば、大学時代の自分とをつないでいる一本の階段でもあり、またこんな世界に自分を放り込んだ落とし穴でもあり(笑) エヴァを知らなければコミケに来る事なんて多分なかったでしょうからね。ああ、あの時チャンネルをひねってさえいなければ(笑)

---------- 本日は長時間にわたり有り難うございました。中国もの、楽しみにしています。

こちらこそ、ありがとうございました。


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