2001年 劇場映画 鑑賞記2



リトル・ダンサー   原題:BILLY ELLIOT
監督:スティーヴン・ダルトリー
 出演:ジェイミー・ベル(ビリー)
     ジュリー・ウォルターズ(ウィルキンソン先生)
     ゲアリー・ルイス(ビリーの父)
     ジーン・ヘイウッド(ビリーの祖母)
     ジェイミー・ドラヴェン(ビリーの兄)

  公開は以前にされたのだが、立川で上映されていたので観に行く。さすがに、各方面で絶賛されただけあって、感動しました。隣の女性も泣いているし、 こちらも泣けてきました。
  ストーリーは、イングランドの北東部の炭鉱町に住む11歳のビリーが主人公。母を亡くし、父と兄、祖母と暮らしている。いつもの様にボクシングの 練習をするのだが、全く見込みがない。居残って練習するが、隣のバレエが気になって止めてしまう。練習場の鍵をバレエの先生に渡しに行って、レッスン に参加してしまう。
  女の子の中に入って踊る姿が、最初は異常に思えましたね。どう考えても、浮いています。でも、ビリーの情熱で、気にならなくなりました。 それからは、ボクシングそっちのけでバレエに打ち込みます。良かったのは、ターンの練習ですね。レッスンと自宅練習が交錯し、やっと出来た時の ビリーの表情が素敵でした。観ているこちらも、うれしくなりました。
  でも、練習風景を父に見られて、バレエのレッスンを禁止されます。おばあさんの対応が妙にいいんです。それでも、踊りたい気持ちは抑えきれない。 ウィルキンソン先生はビリーの才能に気付き、ロイヤル・バレエ学校のオーディションのための練習を始める。
  そのオーディションも、兄が炭鉱ストの抗争で逮捕され行けなくなってしまった。クリスマスの日、ビリーとマイケルがホールで踊るのを父が目撃する。 ビリーは父の前で必死に踊るのだった。父は息子の才能にようやく気付く。
  ビリーとオカマの気があるマイケルのダンスシ−ンは、面白く悲しい。父もちゃんと判ってくれる所がいいですね。オーディションの費用を稼ぐため、 仲間を裏切り、スト破りの労働に行こうとする。兄と仲間によって、食い止められるが、息子の夢をかなえさせたい感情に感動してしまいました。 あの子はまだ11歳なんだ。俺達と違って、未来がある…。良い父親だ。
  亡き妻の貴金属を売ったり、仲間がお金を集めて、オーディションを受けるビリー。しかし、自分の踊りを駄目だと感じたビリーは、些細なことから、 他の受験生を殴ってしまう。父と一緒に面接を受ける。最後に「踊っている時は、どんな気持ち?」と質問される。ビリーは、踊り出すと何もかも忘れ、 全てが消える。無我の境地を答えます。そして、宙を飛んでいる気分、鳥のように、電気のように、と言います。
  そして、オーディションの結果が通知される。結果は合格。そして、ビリーは家を去っていった。15年後、ロンドンの劇場で踊ることに。 客席には、父と兄、そして友人のマイケルがいた。そして、出番の時が来る。少年は青年になり、美しく飛翔する。
  最後の飛翔シーンのストップモーションが美しく、ため息をつくしかない。完成度が高く、胸を打つ作品です。観ておいて良かった。 しかも、最後に変身したのは、ビリーだけでなく、マイケルも変身していました。思わず、ニヤリ。最後も「白鳥の湖」で締めてくれました。 本編の最初に流れるシーンも良かったですが、最後もドキドキで良かったです。この音楽が流れたら、全てのシーンが良く見えてしまう魔法の曲みたい。 男性バレエ・ダンサーに対する見方が変わる気がします。



猿の惑星   原題:PLANET OF THE APES
監督:ティム・バートン
 出演:マーク・ウォルバーグ(レオ・デイビッドソン大尉)
     ティム・ロス(セード)
     ヘレナ・ボナム=カーター(アリ)
     マイケル・クラーク・ダンカン(アター)
     エステラ・ウォーレン(デイナ)

  名作「猿の惑星」のリ・イマジネーション版らしいです。これほど感想を述べるのが難しい作品も無いのではないか。弱っています。 どこに感動したか、圧倒されたか、見所は?。何と説明すればよいのでしょうか?。
  ストーリーは、2029年のスペース・ステーション「オベロン号」が磁気嵐に遭遇する。以前送信した電波も反射する磁気嵐である。調査の為、 チンパンジーの訓練パイロット ペリクリーズを偵察ポッドで向かわせる。しかし、消息を断ってしまった為、レオ・デイビッドソン大尉は上官の命令を 無視して宇宙に飛び出していった。
  彼もまた磁気嵐に巻き込まれ、宇宙の彼方に弾き飛ばされてしまった。気付いた時には、惑星に落下している最中だった。何とか脱出したレオは、 逃げ惑う人間と人間を捕獲しようとする猿たちに遭遇するのだった。
  この導入部分はいいですね。ワクワクして、緊張感がありました。この先が楽しみになったのですが…。結局、レオはペリクリーズを助けたい気持ちと 自分が人間であり宇宙飛行士である事の証明の為に飛び出したのでしょう。そういう意味では、自業自得、人間の証明と云う事でしょうか。
  この後、猿の捕虜となり、猿の村に連れていかれます。そこでアリに買われて、彼女の屋敷で働くことに。その後脱出して、アリ、アリの執事クラルら と共に禁断の地への逃亡が始まります。
  しかし、猿の村での話で集中出来なくなってしまいました。人間を摸した猿の生活は楽しいのですが、こういうのは残念ながら、私の趣味では無かった。 スター・ウォーズシリーズでも、変なエイリアンが出てくると醒めてしまうので、しょうがありません。
  禁断の地にあったのは、聖家族教会ではなくて、…だった。予想とは違っていました。やがて、この惑星のルーツに関しての謎が解明される。 しかし、本当かよ的な話。そうすると、先に…した奴がいずれ現れるかと思っていたら、案の上、やって来ました。
  これに前後する猿の師団との戦いは良かったのですが、終わらせ方が何ともあっさりしています。そして、レオは…。
  結局、デイナは何の為のキャラだったのでしょうか?。お色気専門キャラ?。少し、残念。見所は猿のメーキャップと動きであろうか。まさに、 猿キャラを観るための映画か。でも、セードは凄い。面白い。影の主役。
  残酷なシーンを極力減らしているので、安心して観られるが、反面、猿達に対する憎しみが薄くなって、人間の応援が出来ない。唯、観ていただけ。 セードの最後もどうなったんだ的で、すっきりしない。
  最後の最後のオチは、デジャビュー状態。どこかで観た様な読める最後。果たして、続編が出来るのか?。そのストーリーは?に関心がいって しまいました。



A.I.   原題:A.I. ARTIFICIAL INTELLIGENCE
監督:スティーブン・スピルバーグ
 出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント(デイビッド)
     ジュード・ロウ(ジゴロ・ジョー)
     フランシス・オーコナー(モニカ・スウィントン)
     サム・ロバーズ(ヘンリー・スウィントン)
     ウィリアム・ハート(ホビー教授)

  スタンリー・キューブリック製作、スティーブン・スピルバーグ監督の作品として、期待して観に行きました。結果は、それ程でも無く残念でした。 ラストはそうなってしまうのか?。夢が有るのか、無いのか的でしたが、随所に光るシーンもありました。
  ストーリーは、近未来、極寒の氷が溶けて人間の住める土地が水没、天然資源も少なくなった世界。テクノロジーだけが発達し、ロボットが日常生活 に入り込んでいるが、未だ感情を持つロボットは誕生していなかった。初めての感情(愛すること)を持つロボットとして、デイビッドが作られ、試験的 にスウィントン家の養子になる。実子は、病気で治療方法が見つかるまで冷凍保存されていた。最初は反対していた妻のモニカも、次第にデイビッドと 接しているうちに息子として側に置いておく決意をし、キーワードをインプットするのだった。
  デイビッドは初めてモニカのことをママと呼び、モニカは固く抱きしめる。いいシーンです。いいシーンが故にその後の心変わりと行動が何て身勝手 なんだろうと思わずにはいられません。モニカはスーパートイのテディをデイビッドにプレゼントします。そんな平和な生活も、実子のマーティンが 元気を取り戻して、家に帰ってからおかしくなって来ました。マーティンはデイビッドが両親から嫌われる様に画策し、モニカの髪を切って持ってくる 様に言います。持っていれば愛が得られる、幸せになると吹き込みます。
  ある晩、髪を切りましたが、見つかって問いただされます。そして、その髪はテディの…。このシーンで髪の役割がもしかしたらと言う感じで 予想したのですが、その通りになってしまいました。
  とうとう、ヘンリーが勧めるように、デイビッドを処分するため、製造会社に連れていくことにしました。でも、モニカはそれが出来ず、近くの林 に置き去りにします。それから、デイビッドは人間になりたい、そしてモニカの愛を求める旅が始まります。テディと一緒に。
  現代版ピノキオの物語が展開されます。救われたのは、デイビッドとジゴロ・ジョーがロボットとして解体されようとした時、群集が救ってくれた シーンでしょうか。いくらか、人間性が見られました。たとえロボットでも、自己都合で破壊するなんて、狂っています。
  自分を人間にしてくれるブルー・フェアリーを求めて、マン=ハッタンに向かいます。海中に佇むブルー・フェアリーの像、一生懸命祈りますが、 とうとう力尽き長い眠りにつきます。その眠りを覚ましたのは…。そして、無事モニカの愛を得られるのか…。
  最後は、ぶっ飛んでいました。なんで?。「未知との遭遇」から抜け切れていない?。宇宙時間って何?。1日しかいられない?。etc.
  でも、良いんです。デイビッドとモニカの幸せそうな姿が見られて。最後は静かに終わって、少しだけ幸せになりました。やはり、ハーレイ・ ジョエル・オスメント君のお陰でしょうか?。女性には受けそうですね。母性をくすぐられるのでしょうか?。
  エンドロールの最後に「スタンリー・キューブリックにささぐ」とあります。近くの若い女性が「スタンリー・キューブリックって誰?」と大声で 彼氏に訊いていました。自分は馬鹿といっている様なもの。気分がげんなりしてしまいました。



ジュラシック・パークV   原題:JURASSIC PARK V
監督:ジョー・ジョンストン
 出演:サム・ニール(アラン・グラント博士)
     ウィリアム・H・メイシー(ポール・カービー)
     ティア・レオーニ(アマンダ・カービー)
     トレヴァー・モーガン(エリック・カービー)
     ローラ・ダーン(エリー)

  夏の大作の中にあって、少し影の薄い感じのジュラシック・パークV。それでも、一応観に行きました。前作、ロスト・ワールドの最後で恐竜を 島に閉じ込めることにしましたが、翼竜が映っていたので翼竜が都市に飛来して大パニックという予想もしていました。しかし、ストーリーは、全く 違っていて、イスラ・ソルテ島(ジュラシック・パークの舞台)で展開されました。
  物語のきっかけは、12歳の少年ポールが母親の友人と恐竜を見たいがために、パラセイリングをして、行方不明になってしまう事であった。 ちょっと、作り過ぎの感もあるが、息子の捜索の為にアラン・グラント博士を騙して島に上陸する。後は、恐竜が襲ってくるお約束の展開。
  でも、サム・ニールが登場することによって、やっとジュラシック・パークらしくなり、恐竜が襲ってくるのも、十分楽しめます。襲われる ウィリアム・H・メイシーやティア・レオーニも良いです。特に、ウィリアム・H・メイシーは味があって面白いかな。 行方不明の息子ポールも生きていて、逞しいのはしょうがないことでしょうか?。
  愉快なのは、衛星電話という小道具が上手く使われていた事でしょうか。ラプトルが襲って来て声を上げて仲間を呼ぶシーンは、ドキドキします。 この展開は今までに無いパターンで、この作品の売りでしょう。またもう一つの売りであるスピノサウルスの巨大な姿も見物でしょう。
  助手がラプトルの卵を盗んだことにより、ラプトルに追われる羽目になるのは判っていましたが、返した事で何も危害を加えず去って行ったのには、 人間より賢いのではと思ってしまいました。危機に陥った時にグラント博士がラプトルの発声器官の模型で声を発しますが、実際どういう言葉として、 発声されたのでしょうか?。グラント博士も判らずにやっていましたが、逆に自分を危うくする場合もあると思うのだが。
  衛星電話でエリーに電話して助けを求めて、最後に軍隊が救助にくるなんて、エリーの力は一体何なのか?。実は、影の実力者なのか?。 最後に軍隊とスピノサウルスの大激戦とならないで終了。まあ、最後にグラント博士のトレードマークの帽子も戻ってきて、めでたしめでたし。
  マディソン・スクエア・ガーデンで恐竜が孵化して大騒ぎする前作より良かったと思います。あれ?、これはゴ○ラでしたか?。まあ、私的には ジュラシック・パーク2.5ですから。また、サム・ニール出演で続編を作って欲しいですね。駄目なら、ゴ○ラ2に出演を。



千と千尋の神隠し
監督:宮崎 駿
 出演:千尋(柊 瑠美)
     ハク(入野自由)
     湯婆婆・銭婆(夏木マリ)
     リン(玉井夕海)
     釜爺(菅原文太)

  久し振りの「宮崎 駿」監督作品に世間的にも評判が良く、劇場でも並ぶ列が見られた。で、本当に凄い作品かと言うと、感想としては「確かに 面白い作品だが、寄せ集め的作品で何か物足りない」というのが私の感想だ。
  引越しをして、新しい家に向かう途中で父親の気紛れからトンネルの向こうの不思議な世界に紛れ込んでしまう千尋。父と母は豚にされて、生き延びる には、「油屋」という湯屋で働くしかない。懸命に願ってようやく働けるようになったが、名前は千となってしまった。父と母を人間に戻し、自分の世界に 戻ろうとするのだが、…。
  やっぱり、主人公が10才の女の子という設定が私にとって、惹き付ける要因で無かったという点があります。じゃあ、男の子が主人公でヒロインが かわいいと良いのかというと、定番的ですが入り込みやすいです。キキの様な魔女でも良いのですが。
  所々にユーモアがあって面白いのですが、一体何をやりたいのかが、良く判りませんでした。変な登場人物がワイワイやって、ハクの為に頑張る千尋 の姿には拍手もしますが、最後は何だったんでしょうか?
  最後に可愛く思えるとか、髪留め用リングに意味があるとか、ほのぼのするとかあれば良かったのですが、何となく終わってしまいました。内容も 「平成狸合戦ぽんぽこ」「となりのトトロ」「銀河鉄道の夜」「ネバーエンディング・ストーリー」等を思わせる寄せ集めに思ってしまいました。
  環境保護を訴えているのかとも思いましたが、そうでもなさそう?。働く事の意義?。釜爺のいう所の愛?。結局、難しく考えないで、楽しめば良い のでしょう。悪い言い方ですと、宮崎アニメも煮詰まったという事でしょうか。それとも、私の感性が煮詰まったのでしょうか?。
  キャラとしては、やっぱり「カオナシ」でしょうか。せつなくなります。最後に銭婆の所に居場所が出来て、救われました。
  気になるのは「生あります」って、何があるんでしょうか?



ドリヴン   原題:DRIVEN
監督:レニー・ハーリン
 出演:シルベスター・スタローン(ジョー・タント)
     キップ・パルデュー(ジミー・ブライ)
     ティル・シュワイガー(ボー・ブランデンバーグ)
     エステラ・ウォーレン(ソフィア・サイモン)
     バート・レイノルズ(カール・ヘンリー)

  スタローン出演のフォミュラーカー(CART)映画ということで、観に行きました。夏の大作より、面白かった様な気がします。O君が冗談で言っていた スタローンがレーシングスーツを脱ぎ、裸で戦うシーンはもちろんありません。それはそれで、面白そうなのですが。
  ストーリーは、昨年度のチャンピオンであるボー・ブランデンバーグ、快進撃を続けるルーキーのジミー・ブライ。しかし、ジミーはプレッシャーの ため実力が出し切れない。チーム・オーナーのカール・ヘンリーは、かつての相棒ジョー・タントを呼び、ジミーのサポートに当たらせる。
  この作品の欠点は、チャンピオンであるボーがいい奴である事、ボー以外でも悪い奴がいないことかも知れない。ボーが恋人のソフィアに「レースが 人生なんだ」「君はレースに集中するのに気の散る存在だ」とソフィアに言っても、全然悪いという気になりませんでした。ストイックにトレーニング する姿がかっこよく、本当はソフィアが去って戻って来て欲しくても、言い出せない不器用なボー、逆にジミーの弱さに苛立ちます。
  見所は何と言っても、迫力あるレース・シーンでしょう。本物とCGの融合で、今までにない迫力。特にソフィアが自分の元からボーの元に戻った 後に自棄になって市街をCARTで走るシーンがまた良いです。
  レース・シーンだけでなく、ジョーとカール、ジミーと兄の心のぶつかり合いも何気に良かったですが、女性ジャーナリストのルクレシアとジョーの 元恋人のキャシーの闘いがインパクトあり。キャシー役のジーナ・ガーションがはまり過ぎ。
  いよいよ、チャンピオンを決める最終戦。チームメイトを救助する為に怪我をしたジミーは、直前になって出場を決心。最後尾からの追撃を始めた。 ラストラップ、ジョー、ジミー、ボーの3台が激しく争う。
  結果は、落ち着く所に落ち着いた感じ。ボーを応援していたのだが…。まあ、しょうがないでしょう。日本でのレース・シーンは笑えます。 焼きソバが食べたくなりました。でも、観客の馬鹿面はカットして欲しいです。
  ストーリーはスタローンなので、普通といえば普通。でも、映画としては、楽しめました。実在のレーサーも見られて、うれしいの一言。 レース前のそれぞれの過ごし方がかっこいいです。闘い前の戦士の休息みたい。実際もそうなんでしょうか?。絵になっていました。



キス・オブ・ザ・ドラゴン   原題:KISS OF THE DRAGON
監督:クリス・ナオン
 出演:ジェット・リー(リュウ)
     ブリジット・フォンダ(ジェシカ)
     チェッキー・カリョ(リチャード)

  何と言ってもジェット・リー主演でリュック・ベッソンが絡んでいる事が最大の売りでしょう。そういう事では、かなりの成功と面白さを供えている と思いました。カンフーアクションが好きで、必殺シリーズが好きな方には、最大級で推薦します。でも、「レオン」クラスを期待していると、不満に 思うかもしれません。私は好きです。
  ストーリーは、麻薬密売に絡む中国人ギャングの逮捕の為に派遣されたリュウは、フランス警察と協力して逮捕に参加する。しかし、リチャード警部 の罠にはまり殺人者として追われる身となる。リチャード警部に利用された娼婦のジェシカと出会い、ジェシカと彼女の娘を助けることを決意する。 しかし、ジェシカはリチャード警部の仲間の銃弾に倒れる。リュウは、最後の闘いのため単身、警察署に乗り込むのだった。
  何と言っても、ジェット・リーの魅力でしょう。アクションは、もう凄い事は判っていますが、女性に弱い不器用な男、それでいて、やる時はやると いうかっこよさ。その上、笑顔が素敵とくれば、いう事なしでしょう。面倒を見てくれていた老人の死に際し、魂を奉るため供養する姿は、中国人って かっこいいかもと思わせる。(別に中国人に対して、偏見はありません)
  ブリジット・フォンダも好きな女優で、厚化粧の娼婦からメイクを落として娘を思う母親の姿がとても良いです。難を言えば、リュウとジェシカの 身長差から来るデコボコ感があったことでしょうか。
  チェッキー・カリョも悪役としての存在感があり、渋い。しかも、亀を可愛がっているなんて。それでいて、非情。リュウが警察に乗り込んできた時の 慌て方は滑稽でさえあるが、それも良し。
  船上の闘い、本当にパリでやっている。(当たり前か?)リチャードの執拗さあって、結構お気に入り。孤児院からの脱出もかっこいい。
  警察署に乗り込むシーンなんて、ゾクゾクします。乗り込んだ後の闘いも最高です。お約束的な事もありますが。フランス人との格闘技による闘い。 西洋の格闘家が強くなった現代において、ありえないシーンでは無い。でも、ジェット・リーの方が一枚上手。 その上、針という必殺技を持っている。最後のシーンは思わず、お前は藤枝梅安かケンシロウかと言いたくなるほど。タイトルの「キス・オブ・ザ・ ドラゴン」が実は、○○○…の名前からきているなんて、いやー凄かった。チェッキー・カリョの最後の演技もいいです。
  シリーズ化しても、十分いけそうな気がします。必殺シリーズ無き今、リュウの活躍をもっと見たいです。ちょっと、勘違いしている気もしますが。



パール・ハーバー   原題:PEARL HARBOR
監督:マイケル・ベイ
 出演:ベン・アフレック(レイフ・マコーレー)
     ジョシュ・ハートネット(ダニー・ウォーカー)
     ケイト・ベッキンセール(イヴリン・ジョンソン)
     アレック・ボールドウィン(ドゥーリトル中佐)
     キューバ・グッディング・Jr.(ドリー・ミラー)
     ジョン・ボイト(ルーズベルト大統領)

  アメリカじゃコケタと言う話も聞きました。でも、日本人として、真珠湾攻撃に対するアメリカ人の考え方に興味があって、やっぱり観てしまいます。 アメリカでヒットしなくて良かったと思いましたし、テロ後に観たくない感じもしました。
  ストーリーは、陸軍航空隊のパイロットのレイフとダニーは竹馬の友であった。レイフは看護婦のイヴリンと出会い愛し合うが、イギリスのイーグル 飛行隊に志願し、旅立っていった。一方、ダニーとイヴリンはハワイに転属になり、イヴリンはレイフが無事戻ってくるのを待っていた。やがて、レイフ の戦闘機が撃墜されたの報が伝えられる。悲しみにくれるイヴリンをダニーは優しく包み込むのであった。やがて、二人は愛し合うようになり、イヴリンが 妊娠した時、死んだと思われたレイフが戻ってくる。そして、イヴリンとダニーの関係を知ってしまう。そして、運命の1941年12月7日、日曜日が やってくる。
  恋愛ストーリーでは、戦争を題材にした場合にありがちな平凡なメロドラマ。でも、ケイト・ベッキンセールが非常に良いので合格にしよう。一遍で 好きになってしまいました。今年観た映画のヒロインで最高かも知れない。もっと、観たいよう。
  でも、レイフとダニーを険悪にさせたのは、結局イヴリンのせい。彼女がもっとしっかりしていれば、こじれなかったのに、というのは男の考え方か?。 女性に言わせれば、女は孤独に耐えられない生き物という事になり、近くに包み込んでくれる男がいれば、傾くという事でしょうか。
  でも、レイフに「心はダニーに捧げるけど、あなたを愛し続ける」というのは何なんだ。誰だよ、脚本は。世の中の人がこのセリフに感動しても、私は 拒否反応。それでレイフが喜ぶおめでたい男なのか?。ダニーはピエロなのか?。
  最後は、お決まり的な親子のシーン。本来なら感動的なんですが…。
  戦闘シーンは迫力がありました。真珠湾攻撃は延々と凄いシーンが続きます。でも日本人として、やはりすっきりしません。別の題材だったら、それなり に感動したかもしれません。アリゾナは沈んだままなのですね。ハワイに行ったことも、行く気もありませんが、今のお気楽日本人天国ハワイには行きたく ないし、行く人は過去を忘れて欲しくありません。原爆を落とされたことも。
  アレック・ボールドウィンは久し振りにカッコ良かった役でしたし、ジョン・ボイトのルーズベルト大統領には痺れました。日本人の描かれ方は、少し 難はありましたが、鬼畜的でなかったし、人間らしさも表現されていたので、救われました。



スコア   原題:THE SCORE
監督:フランク・オズ
 出演:ロバート・デ・ニーロ(ニック)
     エドワード・ノートン(ジャック)
     マーロン・ブランド(マックス)
     アンジェラ・バセット(ダイアン)

  ロバート・デ・ニーロとエドワード・ノートン、マーロン・ブランド出演の泥棒映画という事で、期待して観に行きました。ストーリー的には、斬新 さはないものの、役者で魅せる映画でしょう。
  ストーリーは、超一流の泥棒ニックのモットーは、「地元では仕事をしない」「危ない橋は渡らない」「仲間は持たない」であった。しかし、仕事から 足を洗って、恋人のダイアンと安定した暮らしをする為に、地元モントリオールで最後の大きな仕事をする事にした。それは、自分のモットーに反する仕事 であった。長年のパートナーであり、売人との交渉のマックス、内部情報はジャック、金庫破りはニックという役割で計画が練られた。そして、実行の時が 来る。最後に笑うのは、…。
  ニックがジャズ・クラブを経営しているため、前半はジャズの音楽に合わせたゆったりした展開、しかし実際の金庫破りからは緊迫した展開となる。 そして最後の逃走へとスピード良く展開し、テンポ良く見せてくれる。メリハリのある展開と言ってよいだろう。
  何と言っても、ロバート・デ・ニーロとエドワード・ノートンの演技が見ものだろう。ロバート・デ・ニーロは少し抑えた感じに思えた。対して、 エドワード・ノートンは、かなり魅せてくれます。
  随所に伏線が張られていて、金庫破り実行から逃走までは、本当にドキドキしていました。最後のオチもやっぱりと思いつつ、楽しめます。 金庫室でニックとジャックが向き合った時、「ジャックよ、お前は何処から来たんだ」と突っ込みを入れたくなったのは、私だけで無い筈だ。
  ジャックが拳銃を持っていたから、誰かを殺してしまうのかと思ったが、殺しは無しで、痛快な泥棒映画になっていて安心して楽しめると思う。 残念なのは、ニックとダイアンという組み合わせが私的に今一つ。警備員が少しお間抜けかな。でも、そうしないと話が成立しないか。
  教訓は、「物は自分で見て確認しましょう」という事でしょうか。最後のニュース画面に大笑い。



コレリ大尉のマンドリン   原題:CAPTAIN CORELLI'S MANDOLIN
監督:ジョン・マッデン
 出演:ニコラス・ケイジ(アントニオ・コレリ)
     ペネロペ・クルス(ペラギア)
     ジョン・ハート(イアンニス)
     クリスチャン・ベール(マンドラス)
     デビッド・モリシー(ウェーバー)
     イレーネ・パパス(ドロスーラ)

  おすぎと黒柳徹子が推薦しているのが癪だけど、ニコラス・ケイジが出演していて、面白そうなストーリーだったので観に行きました。 やっぱり、いい映画です。音楽も素晴らしいし、ストーリーも胸に来る物があります。
  ストーリーは、第二次世界大戦でイタリア、ドイツに占領されてしまうギリシャのケファロニア島を舞台に繰り広げられる。ヒロインは島の医師 イアンニスの娘ペラギア。彼女には、婚約者のマンドラスが居たが、彼はイタリア軍と戦う為、島を後にする。島はイタリア、ドイツに占領され、イタリア 兵には、マンドリンを背負ったコレリ大尉がいた。彼の明るく、人生を楽しむ態度に、いつしかペラギアも惹かれていくのだった。
  しかし、以前とは違ったマンドラスが島に帰って来る。イタリアは連合国に降伏し、ドイツ軍との間に緊張が走る。そして、イタリア軍、ドイツ軍、 島のパルチザンの間で闘いが始まる。そして、イタリア軍兵士は、ドイツ兵によって、虐殺されてしまう。そして、コレリ大尉は、…。
  もう何と言っても、ペラギア役のペネロペ・クルスの魅力爆発でしょうか。ダンス・シーンはもう最高でした。コレリ大尉の「永遠に見ていたかった」 というセリフに賛成してしまいます。自分が踊れないので、踊れる女性は憧れでもあります。
  ニコラス・ケイジ演じるコレリ大尉も、余り見かけないタイプの兵士。オペラ合唱隊を編成し、自らもマンドリン演奏を行なう愛すべき男だ。 対するマンドラスも馬鹿だけど、本当はいい奴。情熱が国の為、島の為という闘いに向けられてしまった。ウェーバーも本当はいい奴なんだけど、ドイツ軍 兵士、戦争という事である意味かわいそうな人間。イアンニスもいい味を出していて、物語を引き締めていました。
  マンドリンも一つの主役でしょう。改めて、いい楽器だったんだと再認識させられました。でも、よくある大学のマンドリン・クラブの演奏なんて 聴きたくないけど、ソロでしみじみした演奏が聴きたい。「ペラギアの歌」が最高に良かった。
  しかし、戦争とは人を狂気に走らせるものなのか?。同じ島の女性をドイツ兵と親しくしたから、裏切り者として殺害するなんて、同盟国だった イタリア兵士を虐殺するなんて。それゆえ、ラスト・シーンは本当に良かったと思えました。原作とは違うらしいのですが、映画としてはこれで良かった と思う。
  音楽も良かったのですが、島の風景、海の美しさにも惹かれました。一度は訪れてみたい島ですね。うーん、サントラを買おうかと思ってしまいました。 また、ペネロペ・クルス目当てで「ブロウ」を観たくなりました。



ヤマカシ   原題:YAMAKASI   LES SAMOURAIS DES TEMPS MODERNES
監督:アリエル・ゼトゥン
 出演:YAMAKASHI
     マエル・カモウン(ヴァンサン刑事)
     アメル・ディアメル(アイラ)
     ジェラルド・モラレス(ル・トゥロン医師)
     ジャック・アンセン(参事官)
     ペルカンス(ニコラ)

  リュック・ベッソンが脚本に絡んでいて、ネーミングと内容が面白そうだったので、観に行きました。土曜の夜ということもあったのか、観客層が 若くいつもと違う感じでした。私的には、大外しで残念でした。
  ストーリーは、実在するYAMAKASIというパフォーマンス集団が活躍する物語。警察はYAMAKASIの取り締まりを強化しようとしていた時、心臓疾患の 少年ジャメルは、YAMAKASIに憧れるあまり、仲間の挑発で木登りを行い転落してしまう。少年を救うには、心臓移植手術が必要であり、その費用は40万 フランであった。YAMAKASIメンバーは、ジャメルの為、大きな決断をする…。
  「YAMAKASI」、コンゴ(旧ザイール)の言葉で「超人」を意味し、実在するパフォーマンス集団。ここから、感覚のズレが生じている。ストーリーの 為に特殊なメンバー、役者を集めた訳でなく、実在集団があって、ストーリーを組み上げた。アイドル映画の亜流?。
  確かに、凄いと思う点もあるのだが、私的には、カッコ良く思えない。若い人やリュック・ベッソンは良いと思っているのだろうが。年齢、感性の ギャップがあるのか?。ヒップホップ音楽も好きでないからなあ。しょうがないか。
  最大の見所は、厚生参事官の屋敷で繰り広げられる捕り物だろうか。こういうのは、楽しめます。もっと厚生参事官をギャフンといわせる場面が欲しい と思ってしまった。典型的、政治家の2枚舌を持つ嫌な奴。
  ブツを捌くのだが、買った奴らは大もうけなの?。ドンデン返しが欲しいのは、贅沢か。いくらリュック・ベッソンでも、「TAXi」みたいには、 いかないという例か。「YAMAKASI」は、「YAKAMASHII」と思ってしまった。(お約束?)



ブロウ   原題:BLOW
監督:デッド・デミ
 出演:ジョニー・デップ(ジョージ・ユング)
     ペネロペ・クルス(マーサ)
     レイ・リオッタ(フレッド・ユング)
     レイチェル・グリフィス(アーニン・ユング)
     ポール・ルーベンス(デレック・フォーリール)
     フランカ・ポテンテ(バーバラ・バックリー)
     ジョルディ・モリャ(ディエゴ・デルガド)

  ペネロペ・クルス目当てで「ブロウ」を観たのだが、作品としてもまずまずの面白さだった。でも、全米8週連続TOP10入りというのは、疑問に 思ってしまった。多分、アメリカン・ドリームを実現した主人公の生涯を観てみたかったのだろう。また、その後の没落振りも観客としては、興味が あったのだろうか。それでいて、親子の愛情が描かれていて、胸に来る物がある。
  ストーリーは、70年代のアメリカの裏社会に君臨し莫大な富を得た伝説の男ジョージ・ユングの半生を描いている。少年時代、父の事業が倒産し、 貧乏な生活を送ったジョージ。カリフォルニアに移ってから、マリファナの小売からスタート、東部アメリカでの販売で大きく成長する。
  その後、マリファナの不法所持で逮捕、コロンビアのコカインを支配するボスの信任を得て、アメリカにおけるコカインの一大マーケットの支配者と なっていく。しかし、その影には、恋人バーバラの死、マーサとの結婚と娘の誕生、友人の裏切り、逮捕があった。そして今、彼はまだ服役中なのである。
  ジョージの生涯が一言で言えば、凄いの一言。こんなに成功するものなのか?。札束が部屋中に溢れ、もう置き場所が無いのには、笑えました。 殆んど、お金の有り難味の無い感覚なんだろうか?。でも、父が言った「お金は幻」の言葉通り、幻と化していく。ジョージも思い知ったのでは。 その幻が無いと生きていけないのも、また事実。
  父親のレイ・リオッタがいい味出していました。見せ場は、ジョージが刑務所に入る前に吹き込んだテープを聞くシーンでしょうか。思わず感動。 ジョージは両親の様な家庭は作らないと決心していたのに、結局同じ境遇になってしまうのは、滑稽なんですが、辛いものがあります。
  最後に娘が面会に来て、救われた気がしたのに、それさえも…だったとは。現実はそんなものでしょうか。でも、娘のクリスティーナがかわいそうだ。 潮時を間違わなければ、幸せに暮らせたのかもしれない。最後にジョージ本人の顔がアップになったのには、ビビった。それが現実。
  ペネロペ・クルスも良かったが、「コレリ大尉のマンドリン」程でもなかった。でも、厭な母親が似合っていたのには、驚いた。綺麗なだけじゃない。 最初にこの作品を観ていたら、「コレリ大尉のマンドリン」のイメージも変わっていたかも知れない。



トゥームレイダー   原題:LARA CROFT:TOMB RAIDER
監督:サイモン・ウエスト
 出演:アンジェリーナ・ジョリー(ララ・クロフト)
     ダニエル・クレイブ(アレックス・マーズ)
     イアン・グレン(マンフレッド・パウエル)
     ノア・テイラー(ブライス)
     クリス・バリー(ヒラリー)
     ジョン・ボイド(クロフト卿)

  トゥームレイダーと言うゲームはやった事は無いけど存在は知っている。主人公のララ・クロフトというキャラは好きじゃないけど、見たら判る。 その程度の人間だけど、アンジェリーナ・ジョリーがあまりにもララ・クロフトにぴったりなので興味がありました。
  いやあー、あまりにも嵌まり過ぎの役に、この後の出演作が心配になるほど。もう、普通の男じゃ歯が立ちません。いかしてます。
  ストーリーは、美しきトレジャー・ハンター、ララ・クロフト。イルミナーティ=光の人々という秘密結社は、5000年に一度のグランド・クロス =惑星直列によって世界を変えることの出来る古代の秘宝を手に入れようとしていた。その鍵は、ララの父親が隠していた時計にあった。彼女は謎を解き 明かし、世界を救えるのか?。宿敵マンフレッド・パウエルとの闘いの行方は…。
  一言で言えば、ゲーム原作的荒唐無稽大笑い映画という事でしょうか。アクションシーンも凄いですが、笑える仕掛けの数々、元はゲームですから、 もう何でも有りの世界が繰り広げられます。真面目に観るより、その世界を楽しむ方がいい感じ。
  何と言っても、アンジェリーナ・ジョリーの成りきりララ・クロフトのアクションとその色っぽさ、この役は彼女しか居ない。第2弾もあるようです から、楽しみです。もう、どんどんシリーズ化して下さい。アンジェリーナ・ジョリーは他の役が出来なくなるのでは?。やっても、常にララ・クロフトが ダブって見えそうで怖い。ついでに、女性版ロボコップもやってください。口元ですぐに判断できますから。
  バンジーアクションが凄いです。ある意味、ワイヤーアクションを越えています。首を少し傾げる動作がグッド。スタイルも良いし、新たなヒーロー じゃなくてヒロイン誕生、ターミネータ−2のサラも凄かったけど、ララはそれ以上か。
  ある意味アンジェリーナ・ジョリーは怖いよー、世にも稀なる怪作映画かもしれない。劇場で観るのも良いけど、みんなでビデオで観て盛り上がるのも 良いのではないだろうか?。こんなのを大掛かりで作るなんて、やっぱりハリウッドか?。
  対比の意味で、「ファイナル・ファンタジー」を観ておけば良かった。日米、お馬鹿対決が出来たのに。ちょっと言い過ぎ。



ワイルド・スピード   原題:THE FAST AND THE FURIOUS
監督:ロブ・コーエン
 出演:ポール・ウォーカー(ブライアン)
     ヴィン・ディーゼル(ドミニク)
     ジョーダナ・ブリュースター(ミア)
     リック・ユーン(ジョニー・トラン)
     チャド・リンドバーグ(ジェシー)
     マット・シュルツ(ヴィンセント)

  暇があったので、期待せずに観に行きましたが、期待ハズレというか、とにかく全面的に面白い。やられたという感じで、掘り出し物を発見したと 言っておいた方がいいかもしれない。
  ストーリーは、ブライアンはミア目当てで彼女の店に通うが、彼女の兄ドミニクの仲間と揉めてしまう。ドミニクはストリート・ゼロヨンの猛者で カリスマでもあった。ブライアンはECLIPSEでドミニクRX-7に挑戦する。そして、ブライアンはドミニクと次第に親しくなっていく…。
  でも実は、ブライアンはおとり捜査の警官、連続しているトラック・ハイジャック事件の捜査をしていた。犯人はストーリート・レーサーと 考えられていた。何時しかミアに惹かれ、ドミニクにも好感を抱くようになったブライアンは、…。
  犯行を食い止めるため襲撃現場に向かうブライアン、敵対するチームに殺害されるジェシー、そして最後の対決。ラストは…。
  私はてっきりタイトルからスピード狂の若者の物語と思っていました。登場する車もアメ車だろうと。でも、全然違っていました。半分は合って いたかも。おとり捜査に関係した物語。キアヌ・リーブス主演の「ハート・ブルー」ゼロヨン版と言った方が判りやすいかも。
  しかも登場する車は殆んどが日本車、でも唯の日本車じゃない。バリバリ(古い言い方)にチューンしたモンスターマシン、NOS搭載(昔風に言うと ニトロ搭載)でこの必殺アイテムが最高のスピード感をアシストしている。
  アメリカ映画でこれほどの日本車がかっこよく登場する映画が公開される日が来るとは!。車フリークでなくとも、楽しめます。パンフレットは 買っておいた方が更に登場車がよく判ります。
  たった400mを走る10秒超える位の時間でのスピード感の描写はCG効果ももちろん有りますが凄いです。最後の襲撃シーンも手に汗握り、ラスト のゼロヨン対決も息が詰まります。最後の対決が、SUPRA対アメ車CHARGERというのも、アメ車の見せ場ですね。
  最後の最後、エンドロールの最後がいかしている。やられた。ひと時の自由感を得る為に突っ走る、それは何物にも替えられないポリシーの映画。
  主な登場車、TOYOTA/SUPRA,MAZDA/RX-7,
        MITSUBISHI/ECLIPS,DODGE/CHARGER,
        HONDA/S2000,INTEGRA,CIVIC COUPE,
        NISSAN/MAXIMA,R33GT-R,240SX。



トレーニング・デイ   原題:TRAINING DAY
監督:アントニー・フュークワー
 出演:デンゼル・ワシントン(アロンゾ・ハリス)
     イーサン・ホーク(ジェイク・ホイト)
     スコット・グレン(ロジャー)
     Dr.ドレー(ポール)
     スヌープ・ドッグ(サミー)

  デンゼル・ワシントンが出てると言うだけで観た感じでしたが、はっきり言ってヤバイくらい凄い。デンゼル・ワシントンが怖すぎで、今までの イメージなんて吹っ飛んでしまいました。よくぞこんな作品を作った、出演したと思わせる問題作でしょうか。
  ストーリーは、とうとう麻薬捜査課に配属されたジェイク、今日の出来次第で運命が決まってしまう。しかも、パートナーは伝説の刑事アロンゾ、 彼の行動と言動に戸惑いながら、麻薬捜査について学んでいくのだった…。しかし、そこには大きな罠が待ち受けていたのだった。
  学生から押収したドラッグを勧め、暴行現場で逮捕した犯人は逃がし、昔馴染みの情報屋ロジャーの家では酒を飲ませ、密売人のボス宅の家宅捜査 で金を着服するアロンゾ。何かがおかしいと思いながらも、付いていくしかないジェイク、これがトレーニングなのか?。
  しかし、金で取った捜査令状を持って、ロジャー宅に向かう。そこでロジャーの隠し金を発見し、一部を山分けしようとするが拒否するジェイク、 ロジャーの射殺を命じるアロンゾ、アロンゾとジェイクは真っ向から対立する事になる。もはやトレーニングは終わった、二人の対決の結果は…
  最初は、アロンゾを凄腕の刑事という感じで見ていたし、最初はジェイクの様に理想を持っていたのだろうと思っていた。段々と真の凶悪さが 全面に出てきて、アロンゾが怖くなって来てしまった。笑っていても怖いアロンゾ。実はデンゼル・ワシントンは怖い人なんじゃないかと思わせてしまう。
  物語はロジャー宅に捜査に向かった後から、超ハードな展開になっていく。銃を突きつけての睨み合い、ギャングに囲まれての絶対絶命の状況、 逆ギレするジェイクはアロンゾの家に突入していく。
  でも、よくギャングに殺されそうになって助かったものだ、小さな事件でも対処しておく事が大事、巡り巡って自分を助ける事もあるのだろう。 少女が嘘をつき通していたら、殺されていたのか。ぞっとする。
  「狼にならなきゃ、ギャングの餌食だ。」「麻薬を売りまくったロジャーを殺して何が悪い。」と、アロンゾの言いたい事も判るのだが、それにして も悪すぎだよ。大物の逮捕の為には、こんな奴も必要なのだろうか?。「毒を以って毒を制す」「朱も交われば赤くなる」という事なのか?。
  ならば、ジェイクの今後はどうなるのだろうか?。やはりアロンゾのような道を歩むのか?。最後のシーンも読めたが、やっぱりそうなってしまうのか。 壮絶でした。
  どこからどこまでがトレーニングで、どこからが裏切り、罠なのか?。全てが罠なのだろう。もし、ジェイクが素直に仲間に入っていたら、どうなって いたのだろうか。本当に第二のアロンゾとして活躍したのかもしれない。でも、未だ一つの試練を越えたに過ぎない。まだ、落とし穴は一杯あるのだから。
  久し振りに背中がぞっとするような映画でした。やっぱり麻薬捜査課に配属されるもんじゃない。「ミイラ取りがミイラ」になってしまい、シャレに なんないよ、本当に。



クローン   原題:IMPOSTOR
監督:ゲイリー・フレダー
 出演:ゲイリー・シニーズ(スペンサー・オーラム)
     マデリーン・ストウ(マヤ・オーラム)
     ヴィンセント・ドノフリオ(ハサウェイ)
     トニー・シャルホウブ(ネルソン)
     メキー・ファイファー(ケール)

  ゲイリー・シニーズが主演する面白そうなSF作品として観に行きました。フィリップ・K・ディック原作というのは、パンフレットを見て知りました。 しかも、大好きなマデリーン・ストウも出ている。これで面白くない筈がない。結果としても、大満足で面白かったです。
  ストーリーは、西暦2079年、人類はケンタリウス星人との戦争により荒れ果てた地球で暮らしていた。主人公のスペンサーは、極秘の新型爆弾の 開発責任者であった。ある日、地球保安局のハサウェイ少佐が現れ、スペンサーはケンタリウス星人が作ったクローン人間で本物は既に死んでいる、 クローン人間は爆弾を抱えた兵器であると言い放つ。
  スペンサーは、捕らえられて爆弾除去の手術を受けることになる。しかし、スペンサーは自分は本物だ、人間なんだと主張するが聞き入れてくれない。 自分が本物である事を証明する為、妻マヤが勤める病院にあるDNA検査データとの比較が必要となる。
  仲間を間違って射殺しながら、脱出したスペンサーは病院を目指す。追跡するハサウェイ、誰の考えが真実なのか、全てが誤解なのか、そして驚きの ラスト…。
  精巧なクローン人間は、自らを本物と思い記憶も全て受け継いでいる。しかも、人間爆弾化している。ひたすら自分の無罪を証明しようと懸命になる スペンサーをゲイリー・シニーズが上手く表現しています。いかにもコピーされていそうで、それでいて妻を想う好人物が嵌まっています。
  対する追ってのハサウェイがまた良いですね。「ザ・セル」の殺人鬼が凄すぎたヴィンセント・ドノフリオ。体格が良いだけに、凄みと使命感、狂気 を含んだ存在感があります。
  で、大好きなマデリーン・ストウ。やっぱり良いなあ。いつものパターンで銃を握るかと思いましたが、今回はなし。それでも、スペンサーが本物か どうか悩みながらも、信じる姿が素敵でした。
  ストーリーも、追跡劇から徐々に核心に迫っていき、手に汗握ります。そして、私のラストの予想は半分当りました。ラストのオチは「そうくるか」 と思いましたが、それも有りと思えました。私がケンタリウス星人でも、その策は採用するでしょう。
  あそこまでやってくれると、逆にスッキリ、最後のケール達に救いがありました。こういうSF作品がもっと観たいと思ってしまいました。怪物や エイリアンが出る訳でなく、人間の心の葛藤、そして驚愕のラスト、やっぱりストーリーと俳優が良いからでしょう。



ソードフィッシュ   原題:SWORDFISH
監督:ドミニク・セナ
 出演:ジョン・トラボルタ(ガブリエル)
     ヒュー・ジャックマン(スタンリー)
     ハル・ベリー(ジンジャー)
     ドン・チードル(ロバーツ)
     サム・シェパード(ライズマン上院議員)

  「マトリクス」を越える映像と、ストーリーの面白さに興味が有りました。それ以上に俳優達の魅力爆発と言う感じでした。銀行前での人質ごとぶっ 飛ばす爆発シーンは見所一杯の凄いシーン。しかも、時間軸の演出から2回も見せてくれる大サービス。「ネェ、観て観て」と言う感じ。
  ストーリーは、以前は世界一のハッカーと言われたスタンリーは、妻とは離婚、一人娘とも逢えない。そんな彼にジンジャーという美女が近づき、 「話を聞くだけで10万ドル」という上手い話を持ってきた。裁判で娘を取り戻す為にお金が必要なスタンリーは、迷ったが話しを聞く事にする。
  待っていた男はガブリエル、政府の闇資金を強奪する為に、優秀なハッカーを探していた。身が危険となったスタンリーは、半ば強引に協力する 羽目になる。ガブリエルの仲間と思っていたジンジャーは、連邦麻薬捜査局の秘密捜査官と告白する。
  各人の思惑が絡みながら、計画は実行に移される。銀行に押し入り人質をとり、空港への逃走が始まったかに見えたが…。果たして、最後に笑うのは、 誰なのか?。闇資金の行方は…。
  やっぱりこういう悪役が嵌まってしまうジョン・トラボルタ、強烈な個性が爆発しています。クールで極まっている。かっこいい。彼がこの作品の柱 でイメージを確立していると思った。
  対するヒュー・ジャックマン、「Xメン」で観た時からファンになってしまった。「こいつ、凄い。かっこいい」と思ったのだが、前にも増して、 良い味を出して、かっこいいです。何だか、若いクリント・イーストウッドを思わせるナイスガイ。
  ハル・ベリー、ドン・チードルと個性豊かな登場人物がストーリー以上に面白かった。ストーリーも確かにドキドキ、ワクワク、予想が裏切られる 展開です。最後はやられたと思いました。
  残念なのは、結局ガブリエルは一体何者だったのだろうか?、疑問が解消されなかった事でしょうか。見方が悪かったのか、少し消化不良気味。 確かに「ミスディレクション」(誤った方向へ意識を誘導)が、タップリと盛られていました。
  気になるのは、最後にとったスタンリーの行動もガブリエルが計算していたのだろうか?。それとも別の仕掛けがあって、最終的には、計算通りに なったのだろうか?。
  実はガブリエルは、本編で言った様にお金を使った正義感もある奴だったのか、唯の泥棒だったのか?。複雑だな、本当に。
  劇中に出てくるTVRの「タスカン・スピードシックス」という車が超かっこいい。「狼たちの午後」「ヴァーナム暗号」等、色々な言葉も油断 できない。今のアメリカのPCは、DELLが主流なのかと思わず確認できてしまう。(実際、一人勝ち状態に近いらしい。)
  ネタをバラせないというのも、辛いな。こういうのは、自分で観て判断して、楽しんでもらいたい。



エボリューション   原題:EVOLUTION
監督:アイバン・ライトマン
 出演:デビッド・ドゥカブニー(アイラ・ケイン)
     オーランド・ジョーンズ(ハリー・ブロック)
     ジュリアン・ムーア(アリソン・リード)
     ショーン・ウィリアム・スコット(ウェイン)
     ダン・エイクロイド(ルイス州知事)

  デビッド・ドゥカブニーが出演するが、またモンスターが暴れるコメディーに過ぎないと思っていましたが、実際には本当に面白かった。 悪ふざけが過ぎる訳でもなく、クリチャーが出過ぎる事もなく楽しめました。
  ストーリーは、アリゾナの砂漠にある夜、隕石が落下した。近くの大学で生物学を教えているアイラと地質学を教えているハリーは調査に赴く。そこで 採取した液体には単細胞生物が生息しており、DNAは全く地球の物とは異なっていた。驚くべきことに、その生物は急速に進化しているのだった。
  更に研究を続けようとするが、軍によって占拠、管理されてしまっていた。しかし、洞窟によって四方に繋がっているため、進化した生物は街に現れ パニックになってしまう。軍は知事の承認を得て、ナパームによる焼き尽くしを決行しようとする。
  しかし、炎はもっと生物の進化を加速する要素であることが判明する。それを知ったアイラ、ハリー、アリソン、ウェインの4人は阻止する行動に 出るのだが、軍の作戦は実行されてしまう…。
  最初にウェインが車から死体でなくマネキンを運び出し、火災からの救出を行なうシーンから既にこの作品に入り込めました。キャラクターもユニーク で面白いです。デビッド・ドゥカブニーは、モルダーじゃなくアイラも合ってます。と言っても、似たような役ではあるのですが。ジュリアン・ムーアも ハンニバルのクラリスよりこっちの方がいい感じです。
  虫とかクリチャー類が嫌いなんですが、そんなシーンばかりでないので、良かったかな。クリチャーばかりが出てくると、興醒めしてしまうんです。 でも、この作品では進化の過程としての生物だったので、それはそれで楽しめました。
  最後は意外な弱点が判るのですが、その物質を集める為にある日用品で代用します。エッ、本当に硫化セレンて入っているの?。しかも、効果の実験 をした形跡がないのに、それを武器にしてしまう。オイオイと突っ込みたくなりますが、OKにしてしまう雰囲気があります。
  ベースが科学的シナリオだったらしく、絶対に起こりえない話でない点が怖いです。こんな急速な進化じゃなくても、「アンドロメダ病原体」みたいな 恐怖は有りそうで嫌です。でも、こういうコメディーになったら、楽しめてしまいます。
  まあ、最後はゴースト・バスターズ的に闘いを決行しますが、監督が同一ですし手馴れた感じ、それも含めて楽しめる。ラストの日用品のCMみたい のは何だったのだろう。一瞬、実は全てがCMの為だったというオチかとビビってしまった。



ムーラン・ルージュ   原題:MOULIN ROUGE
監督:バズ・ラーマン
 出演:ニコール・キッドマン(サティーン)
     ユアン・マクレガー(クリスチャン)
     ジョン・レグイザム(トゥールーズ・ロートレック)
     ジム・ブロードベント(ジドラー)
     リチャード・ロクスボロウ(ウースター公爵)
     ジャセック・コマン(アルゼンチン人)

  ニコール・キッドマンが出ているだけで観に行った作品。彼女のファンなら堪らない作品と言えるでしょう。但し、私的趣味からすれば、惜しくも 傑作になり損ねた秀作でしょうか。残念。
  ストーリーは、1900年のパリを舞台に、実際にあったキャバレー「ムーラン・ルージュ」を舞台にしている。作家を目指している若者クリスチャン と女優を目指している高級娼婦サティーンとの誤解と仕組まれた出会いから始まる。恋に落ちた両者と、サティーンを独占したい公爵、公爵の投資が欲しい オーナーのジドラーとの駆け引きで物語は進む。
  インドを舞台にしたショーのリハーサルは進むが、最後の結末が気に入らない公爵は変更を要求する。そして、クリスチャンとサティーンの関係に 気付いた公爵は彼女に別れる事を強要する。拒絶するサティーン、嫉妬に狂った公爵はクリスチャンを殺すと脅す。
  サティーンは重い病を患っており、死期が近い事をジドラーから聞かされる。クリスチャンを救う為に彼に別れを告げて、ムーラン・ルージュに戻って 行く。そして、新作のショーの幕が上がる。
  クリスチャンがアブサンを飲んで、妖精が出てきた時から、作品に入り込めなくなってしまいました。しかも、ミュージカルが嫌いなので、前半の ミュージカル・シーンが続いた時は「しまった」と思いました。全然楽しめなかったし、自分が求めている映画じゃないと感じました。予想は、ムーラン・ ルージュを舞台にした悲恋、ショーはあっても背景に過ぎないと思っていました。ここまで、ミュージカルが全面に出てくるとは。
  でも、ようやく後半になってから、私好みのいい感じの映画になってきました。新作ショーのリハーサル以降でしょうか。秀逸は、タンゴのシーンに シンクロするように、サティーンと公爵が描かれていたシーンでしょう。
  新作のショー内でのクリスチャンとサティーンのやり取りも感動的です。結局、サティーンはクリスチャンの腕の中で亡くなるのですが、それは最初 から判っていた話で、判っていた上での物語ですからしょうがありません。
  嗚呼、何て魅力溢れるニコール・キッドマン、ユアン・マクレガーも意外と素敵でした。舞台は100年前でも、劇中の歌等は現代の物だったりして、 豪華な映像には、ため息が漏れます。不要なミュージカル・シーンやしょうもない演出を削除して、正攻法で描いてくれたら、私的には傑作だったかもしれ ません。未だに、典型的インド映画を観る気がしない私の感性がそうさせているのでしょう。



裏切り者   原題:THE YARDS
監督:ジェームズ・グレイ
 出演:マーク・ウォルバーグ(レオ・ハンドラ)
     ホアキン・フェニックス(ウィリー・グティエレス)
     シャーリーズ・セロン(エリカ・ストルツ)
     ジェ−ムズ・カーン(フランク・オルチン)
     フェイ・ダナウェイ(キティ・オルチン)

  私はもっとスピーディでスリリングな展開の映画と思って観に行きましたが、社会派ドラマだったのですね。先入観が有り過ぎでしたので、今一つと 思ってしまいました。キャストは良いのになあ。
  ストーリーは、刑期を終えて出所してきたレオは、真面目に働いて心臓が弱い母の面倒をみたいと思っていた。叔父の地下鉄修理を行なう会社に職を 求めるのだが、修理工より友人のフランクと同じ渉外の仕事をしたいと申し出る。
  表の入札の裏には、裏工作が存在し、ライバルを蹴落とす為の破壊工作もあった。ある晩、操車場で見張りに就いていたレオは、ウィリーが殺人を 犯す場面を目撃し、自身も警官を殴って重傷を負わせてしまった。
  殺人の濡れ衣をきせられ逃げるレオ、この事件が元で汚職事件に関する聴聞会が開かれる事になった。裏切り者は…。
  はっきり言って、淡々と物語が進んで行く感じで、これだけのキャストが出ているのに、勿体ない感じでした。マーク・ウォルバーグは「猿の惑星」を 引きずっている様に見えたし、ホアキン・フェニックスは「グラディエーター」を連想してしまった。自分が悪いのだろう。
  シャーリーズ・セロンは相変らずのカメレオンなのだが、この役はシャーリーズ・セロンでなくても良かった感じだし、事実に基づいている為か、 もっと脚色した緊迫感か盛り上がりが欲しかった。
  盗聴器を警戒して、全裸になって衣服を調べてから相談するのは、笑えるけど。自分が同じ立場だったら、やっぱり逃げるし裏切りもするなあ。だって、 小心者ですから。
  エリカが死んでしまうシーンと悲しむウィリーが切ないです。運命の歯車が狂ったとしか言いようがありません。幸せになれたのに。
  汚職に関わる登場人物が、喰えない奴らだったのがリアルなんでしょう。嫌な世界だ。きっと手を替え品を替えて、こういう事が行なわれているので しょうか?。そういう面では、評価される作品でしょうが、私的には物足りなさが残りました。



ポワゾン   原題:ORIGINAL SIN
監督:マイケル・クリストファー
 出演:アントニオ・バンデラス(ルイス・アントニオ・バーガス)
     アンジェリーナ・ジョリー(ジュリア・ラッセル)
     トーマス・ジェーン(ウォルター・ダウンズ)
     ジャック・トンプソン(アラン・ジョーダン)

  アントニオ・バンデラスのファンとして、アントニオ・バンデラスとアンジェリーナ・ジョリーが繰り広げる愛憎劇に興味がありました。 トゥームレイダーのララ・クロフトの残像が頭に浮かびながらのアンジェリーナ・ジョリーも恐るべしでした。
  ストーリーは、19世紀後半のキューバでルイスは新聞の交際欄で知り合った女性と結婚しようとする。1枚の写真と文通だけが接点であった。迎えに 行き待っていたのは、写真とは別の美しい女性ジュリアであった。
  結婚相手に愛はいらないと思っていたルイスだったが、いつしかジュリアに心を奪われ彼女に溺れていくのであった。しかし、彼女は本物のジュリア ではないと言う疑惑が持たれ、彼女は姿を消した。彼の口座のお金と共に。
  愛情が憎悪に変わったルイスは、拳銃を手に彼女を追い求る旅に出るが…。
  ストーリーは言わない方が楽しめるかもしれないので、多くは書けません。アントニオ・バンデラスがジュリアにメロメロになってしまう情けない面 も出しつつやっぱりカッコいいんです。「愛情は全てを与え、欲望は全てを奪う。君の場合は?」友人のアランの問いかけに、「両方さ、全てを与え、 全てを奪いたい。」と答える。いいなあ、一度は言ってみたいセリフだ。
  魔性の女ジュリアを演じるアンジェリーナ・ジョリー、美人とは思えないが魔力を放出、かなり凄いです。時に魅せる弱さも魅力か。意気地のない私 なら怯えて去っていくだろう。怖すぎ!。
  ジュリアを探し出した時、私なら拳銃で殺してしまうか、警察に突き出すのだろう。でもルイスはやっぱり出来ない。一緒に逃げ、しかも邪魔する奴 を始末さえしようとする。
  瀕死のルイスが死ぬ時まで愛しているとジュリアに言い続けるシーンは、なんて馬鹿なんだろうと思いつつ、そんな馬鹿になりたいと思ってしまった。 しかし、どんでん返しのラストは一体何なのだ。それはそれで有りかなと思いつつ、裏切られた感じも有りました。でもある意味ハッピーエンドなの でしょう。
  「どんな代償を払おうとも、人には愛が必要だということ」。結局そういう事になってしまうのだろう。
  気になったのは、ナイフでつけられたジュリアの背中の傷、傷の数だけ騙して殺してきたのだろうか?。それも怖い話だ。冷たい風が吹く中帰宅する が、身体は熱かった。



スパイ・ゲーム   原題:SPY GAME
監督:トニー・スコット
 出演:ロバート・レッドフォード(ネイサン・ミュアー)
     ブラッド・ピット(トム・ビショップ)
     キャサリーン・マコーマック(エリザベス・ハドレー)
     スティーブン・ディレイン(チャールズ・ハーカー)
     ラリー・ブリッグマン(トロイ・フォルガー)
     マリアンヌ・ジャン=バティスタ(グラディス・ジェニップ)

  もう、ロバート・レッドフォードとブラッド・ピットの共演と聞いただけで観に行くミーハーでした。スパイ・ゲームという軽いタイトルに反し、 内容は盛り沢山で本当に面白く感動できる映画でした。二人とも最高!。
  ストーリーは、中国の蘇州刑務所でビショップはある人物を救出しようとするが、後一歩で失敗し逮捕されてしまう。その情報は、CIAを退職寸前 のネイサン・ミュアーに知らされる。
  しかし、CIA上層部は政治的事情から見殺しにするつもりでいた。自分が育て上げたCIAエージェントのビショップを救出する為の孤独な戦いが 始まる。相手はCIA上層部、ネイサンの不穏な行動に、CIA局員ハーカーは疑惑を持つのであった。
  タイムリミットまでに、無事救出できるのか?。ビショップが救出しようとした人物は?。
  ネイサンとビショップの出会いから、その決別までの過去を織り交ぜながら、現在の救出作戦の進行を描いていくのだが、どちらもハラハラ・ドキドキ でシビレまくった感じである。
  そもそも、冒頭の中国での救出劇から興奮してしまう。過去のスパイ劇、要人狙撃と暗殺、非情な行動を教え込もうとするネイサンと反発してしまう ビショップ、それでいて信頼関係を築く師弟関係を見事に体現しうるロバート・レッドフォードとブラッド・ピット。まさに黄金コンビと言えるだろう。
  また、ブラッド・ピットとロマンスを繰り広げるキャサリーン・マコーマックがまた良いんです。多分にバックで流れる女性の歌が効果的である。 まさに天使の歌声的で、場面を優雅にして、それでいて物悲しい。
  CIA局員ハーカーも、冷徹で切れる雰囲気であるが、時にコミカルで頑張っています。いいぞ!。
  「お前がヘマをしても、私は助けたりはしない。」と言っておきながら、ビショップの窮地を救おうとする姿に心打たれます。しかも、私財を投げ 捨ててですから。最後にポルシェに乗って去っていくのも、憎いですね。画になっています。かっこいい。
  逮捕されてから拷問でボコボコにされるブラッド・ピットも、過去ではかなりカッコ良く、時に純な部分を見せつつ活躍する。何より、救出されたヘリ から、エリザベスと見つめ合うシーンにジーンとしました。
  最高は、ヘリの中で作戦名を聞いて、誰が自分を救ってくれたかを知る姿。もう滅茶苦茶、感動しました。離れていても心通じ合う男達、こんな映画 を待っていたのだ。
  現在、過去、カットと回りこみ、スリルとロマンス、観て損の無い映画でしょう。こんな形でスパイ映画が表現されるとは。ここまで描いていいのか ?、逆に心配になってしまう。
  しかし、あれだけの裏工作をしてネイサンは無事なんだろうか?。ネイサンとビショップは再会出来るのか?、ビショップとエリザベスの今後の関係 は?、その後を想像する楽しみもあります。



バニラ・スカイ   原題:VANILLA SKY
監督:キャメロン・クロウ
 出演:トム・クルーズ(デヴィッド・エイムス)
     ペネロペ・クルス(ソフィア・セラノ)
     キャメロン・ディアス(ジュリー・ジアーニ)
     カート・ラッセル(カーティス・マッケイブ)
     ジェイソン・リー(ブライアン・シェルビー)

  全く以って、トム・クルーズ、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアスのキャストだけで観に行った映画であり、全然ストーリーを知らなかった事 が間違いの始まりであった。
  ストーリーは、ニューヨークの大手出版社の若きオーナーのデヴィッド・エイムスは、ハンサムで富豪であった。誕生日のパーティーで友人が連れて きたソフィアと出会い、惹かれてしまう。しかし、嫉妬に狂ったジュリーは、車にデヴィッドを乗せて猛スピードで疾走し事故が発生する。
  その事故をきっかけに、デヴィッドの生活は一変してしまうのだった。何かが変である、一体何が起きてしまったのだ。物語は意外な方向に進んで いくのだった…。
  いやあ、一言で言うと哲学的SF映画という方がいいのかも知れない。観ていて、何がどうなってどうなるのかが、段々判らなくなってしまった。 普通の現実社会のサスペンス映画かと思っていたので、戸惑うばかりであった。
  初めからSF映画として観ていたら、全く印象が違ったのかも知れない。私にとっては、結局キャストを楽しむ映画になってしまった。それでも、 楽しめたから良いだろう。
  やっぱり、ペネロペ・クルスはキュートで良いなあ。キャメロン・ディアスは、キュートだけど怖いよ、本当に。こういう悪女的役も結構面白いかも しれないと、再認識。
  トム・クルーズはかっこいいけど、こういう役には、ちょっと合わない感じもあった。マスク姿が怖いし、素顔がマスクに思えてきた。何となく、 「トータル・リコール」を思い出してしまったのであった。
  友人のブライアンがパッとしなかったけど、葬儀を取り仕切ってくれたのは、本当にベスト・フレンドだったのだとジーンとしてしまった。葬儀に 現れたソフィアの涙にもジーンときた。
  最後の謎は、4回する事はどういう表現になるんだろうか?。(観ていない人は判らないだろうなあ。スイマセン。)2回は楽勝、頑張れば3回、 かなり頑張れば4回は…と思った私は、不謹慎。ハッハッハ、笑って誤魔化す。




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