バーティカル・リミット 原題:VERTICAL LIMIT
監督:マーティン・キャンベル
出演:クリス・オドネル(ピーター・ギャレット)
ビル・パクストン(エリオット・ヴォーン)
ロビン・タニー(アニー・ギャレット)
スコット・グレン(モンゴメリー・ウィック)
イザベラ・スコルプコ(モニク・オーバーティン)
山岳アクション映画ということで観ましたが、所々に「なんじゃそりゃ」的部分がありましたが、結構手に汗握る様なアクションがあり、楽しめました。
ストーリーは、兄ピーター、妹アニー、父ロイスとのビッグウォールクライミングから始まる。他人の事故に巻き込まれ、3人は宙吊りに。プロテクションは、
3人の体重を支えきれない。一番下の父は、上のピーターにロープを切れと命令する。切らないでと叫ぶアニー。結局、父は亡くなり、兄妹の仲に亀裂が入る。
3年後、アニーはK2登頂を目指し、ピーターは偶然、あくまでも偶然にベースキャンプを訪れる。しかし、アニーたちは遭難し、救助するためには、時間内に
ニトログリセリンを持って行かなければならない。危険な救助が開始される。
なんていっても、ビッグウォールクライミングのシーンが怖かった。クラックにナチュラルプロテクションで登るスタイルで、他人の巻き添えで、プロテクションが次々に
外れて落下していく。現実には、少ない事例だと思うが、やはり気持ちよくない。やっぱり、ロープクライミングは止めようと思った。ボルダリング一本。
野生動物の写真家になったピーターがアシスタントの都合の良い怪我で、偶然にベースキャンプを訪れる。物語上しょうがないかの設定。
一番驚いたのが、登頂目的。新しく就航する旅客機にK2から手を振るシーンを撮りたいが為のプロジェクト。その中にアニーが入っているのも、あれ?。
前夜祭的に、ベースキャンプでの大パーティ。アメリカ的演出。普通、ここまで派手にやらないだろうな。
アニー達が遭難するが、モールス信号で生存が確認されるが、クレバスを覆う岩、雪塊をどうするか。そこで、登場のニトログリセリン。ご丁寧にも、温度上昇で
爆発することが、後で判明。設定だけでも、スゴイです。ムチャです。でも、そこが面白い。ハラハラさせられます。
別ストーリーが織り交ぜられていて、遭難した妻を捜し続ける孤高の男、モンゴメリーです。スコット・グレンがいい味だしていて、この物語のキーになっています。
もう一人は、エリオットです。生き残るためには、手段を選ばない男です。
しかし、山岳シーンは本物の迫力があって、見ごたえ十分。これだけでも、見る価値あり。絶対、雪山には行かないと誓う私でした。
遠く離れた壁にダブルアックスで飛び移るシーンがあるのですが、先に何かでメイキングを見たせいで、興奮できませんでした。飛ぶコースが直線の等速運動、
普通なら、放物線の加速度運動。まあ、良しとしましょう。
最後の血を使った合図は、実際にできるのか。赤すぎるし、凍ってもいなく水性のまま。でも、いいアイデア。最後は、モンゴメリーとエリオットが締めてくれて、
ピータとアニー、ピーターとモニクがうまくいって、めでたしめでたし。
13デイズ 原題:THIRTEEN DAYS
監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:ケビン・コスナー(ケネス・オドネル)
ブルース・グリーンウッド(ジョン・F・ケネディ)
スティーブン・カルプ(ロバート・ケネディ)
ディラン・ベイカー(マクナマラ国防長官)
あまりにも有名なキューバ危機。でも、その詳細を知っていないので、わくわくしながら観ましたが、綱渡り的に今の平和があることを再認識。普通の人が知らない
政府の内幕を描いている政治劇でもある。
1962年ソ連のキューバミサイル基地建設発覚から始まるソ連とアメリカ、アメリカ政府内での駆け引き、最終的に戦争が回避されるまでの13日間を描く。
しかも、新たに公表された資料に基づいているため、ほとんどのシーンが歴史そのものを表している。凄いです。さすが、アメリカ。情報公開とそれを利用する才に
長けています。
過去の出来事ですが、その内情をこうして今、見られることを嬉しく思います。
中心はジョン・F・ケネディ大統領、弟のロバート・ケネディ司法長官、友人でもあるケネス・オドネル大統領特別補佐官の3人。やっぱり、ケビン・コスナーは
こういう役をやらせると存在感が違います。
いろんなタイプの人物が登場しますが、軍関係者は、やっぱりああなのでしょうか。実力を行使したくて、しょうがない人たち。偵察機のパイロットに生きて帰ってくれ
と頼むケネス。
ソ連のスパイさえ交渉の手段として活用、国連会議の場で役割を果たす大使、多くの人が絡んで運命の日を迎える。
ソ連の船団が引き返すか強行突破か。そして、危機はひとまず回避された。本当に息が詰まります。過去のことだけど、歴史にもしがあれば、ここでこうなったらと
想像しながら観ると緊張感が高まります。
良き決断をされたソ連のフルシチョフ首相も称えたい。交渉は片側だけの努力だけでは、成功しないから。
レッド・プラネット 原題:RED PLANET
監督:アントニー・ホフマン
出演:ヴァル・キルマー(ギャラガー)
キャリー=アン・モス(ボーマン)
トム・サイズモア(バーチナル)
サイモン・ベイカー(ペテンギル)
実は、ミッション・トゥ・マーズという作品は気に入っているんです。不評な意見もありますが。同じ火星ものということで観ましたが、やれやれでした。
ストーリーは、2057年地球環境は破壊され、人類は火星に移住するため、藻類を生育し酸素を生成していた。しかし、火星との交信が途絶えたため、
宇宙船「マーズ1」と乗組員、探査ロボットAMEEは、探査に向かった。航海は順調だったが、火星到着前に太陽フレアにより、打撃を受け脱出ポッドで火星に
着陸。船長のボーマンが、「マーズ1」に残る。頼みの基地は破壊されており、AMEEは攻撃してくる。脱出するためには、…。
ストーリーは、良さそうなのに、何故かもう一つ。最初のつまずきは、脱出ポッドが崖から転がり落ちるシーン。確かに凄いし、実際にああいう装置は考えられて
いるのだろうが、何かやりすぎ。あの状態で無事というのも。AMEEが攻撃してくるのも、お約束。目に見えている設定。AMEE自体はいいのだが。
破壊された基地もチープ。酸素があって、ヘルメットが脱げるのも、緊張感がなくなる。火星脱出のため長距離を移動するのも、ムチャ。酸素の謎を解く昆虫の
出現も唸るばかり。何で、こうなったんだろう。不満は私だけなのか?
久し振りの辛口コメント。他人の意見が気になるなあ。テレビで観るくらいなら、いいかも。御免なさいでした。
映画決まり手48手の内、肩透かしで負けた感じ。電車道で一気に押し出されて負けたいのに。
追撃者 原題:GET CARTER
監督:スティーブン・ケイ
出演:シルベスタ・スタローン(ジャック・カーター)
レイチェル・リー・クック(ドリーン・カーター)
ミッキー・ローク(サイラス・ベイス)
マイケル・ケイン(クリフ・ブランビー)
久し振りのスタローンのアクション映画。しかも、ミッキー・ロークが出ているし、期待して観に行く。スタローンは何をやっても相変わらずという感じ。それはそれで
好きなんですけどね。欲を言えば、ミッキー・ロークともっと裸でガンガン戦って貰いたかった。そうすると、ありきたりのスタローン映画になってしまうけど。
実は、ミッキー・ロークって、好きなんですよね。「エンゼル・ハート」が好きで、「ダブル・チーム」で筋肉もりもりのミッキー・ロークを観た時は、驚きと拍手喝采
をしました。
ストーリーは、ラス・ベガスで金の取立て屋をやっているジャックが、縁の切れた弟の死を知りシアトルに戻ってくる。弟の死の真相を解明しようとするジャック。
弟とバーを共同経営していたクリフ。かつての仕事仲間サイラス。サイラスト手を組むプログラマー、キニア。ベガスからの追っ手。ドリーンをレイプしたエディ。
ジャックの怒りの追撃が始まる。
やはり、良いのはスタローンとミッキー・ロークの絡みでしょう。髭面のスタローンと爬虫類顔のミッキー・ローク、共に肉体派。いい組み合わせだ。
誰でも、サイラスがラスボスと思うが、実は、最後の最後に別のボスキャラが現れる。そうなんですか、と思う展開。
もはや、この時点では、どうでもよくなっていました。一番熱くなるのは、エディを血祭りに上げるところ。弟の復讐より、姪のドリーンの復讐の方が、感情移入できます。
ドリーン役のレイチェル・リー・クックがいい感じで、どことなく小悪魔的で参ってしまいました。
やっぱり、男くさいスタローンがいいですね。まだまだ、やれそうな予感。ミッキーもね。
クリムゾン・リバー 原題:LES RIVIERES POURPRES
監督:マチュー・カソビッツ
出演:ジャン・レノ(ピエール・ニーマンス)
ヴァンサン・カッセル(マックス・ケルケリアン)
ナディア・ファレス(ファニー・フェレイア)
ドミニク・サンダ(シスター・アンドレ)
フランス版セブンか、とにかくジャン・レノ、ヴァンサン・カッセル、猟奇殺人の組み合わせを楽しむため、観に行く。
ストーリーは、冒頭の死体発見とピエールが派遣されるところから始まる。死体は、胎児のように裸で縛られている。しかも、目は刳り貫かれ、手は切断されている。
被害者はゲルノン大学図書館の司書。ゲルノンで捜査を始め、死体発見者のファニーに話を聴く。マックスは昔に死んだ少女の墓の盗掘事件を捜査する内、事件の
鍵はゲルノンにあると感じた。
ゲルノンでピエールとマックスが捜査を始めるが、重要容疑者の眼科医が殺害され、犯人は二人を殺害しようと襲ってくる。犯人は?、ゲルノンの秘密とは。
そして、アルプスでの犯人との対決、そこで明かされた真実は?
確かに最初の死体から、氷河で発見された死体、眼科医の死体と猟奇殺人的シーンは見所でしょう。死体の捜査から、犯人のメッセージを解読して、捜査を
進めるのは、少し出来すぎかな。本当かよと思ってしまいました。
でも、その流れがテンポ良く感じましたが、原作を読んでないので、置き去りにされそう。しかも、犯人がピエールを殺せず、追跡シーンで犯人がわかってしまいました。
でも、その理由と設定はラストまで判らず。
やはり、ジャン・レノはこういう刑事役が合っている様に思えた。このストーリーと、ジャン・レノだけでも見る価値あり。しかも、ヴァンサン・カッセルもいい味出してます。
格闘ゲームの合図と共に実際の格闘になる見せ場も与えられ、コンビのやり取りもOKです。
格闘の最後にエクセレントのナレーションが。遊び心あり。
アルプスの山岳シーンがまた映像的に綺麗ですし、クレバスに下降するのも、雪崩のシーンもドキドキします。車を使ったシーンも結構頑張っています。
橋の上での車の側面を押されながらの銃撃は、ジャン・レノのかっこよさが出ています。
人間の優秀さはなんだろうと考えさせられます。ストーリーにあるような事が、果たして可能なのか。他者より優秀と思いたい感情は普遍なのか。
その感情自体、愚かなり。しかし、ラストの事実は唐突な気も…。
ザ・ウォッチャー 原題:THE WATCHER
監督:ジョー・シャーバニック
出演:キアヌ・リーブス(デビット・アレン・グリフィン)
ジェームズ・スペイダー(ジョエル・キャンベル)
マリサ・トメイ(ポリー)
何と言っても、二枚目キアヌ・リーブスが冷酷な連続殺人鬼を演じることに注目が行きます。今までのシリアル・キラーは画面に登場するが、顔をみせなかったり、
正体がわからない場合が多く、FBIや警察が犯人を追いかけるパターンが多いと思う。しかし、この作品は、デビットが主人公、最初から顔を見せ、逆にFBIのジョエルを
追いかけるパターン。
ストーリーは、ロサンゼルスで連続して女性を殺すデビットをジョエルが追いかけていたが、ジョエルの愛人が死亡したことをきっかけに、デビットの捜査を
放棄しシカゴに転任した。しかし、自分の存在を誇示するため、デビットはジョエルを追いかけシカゴで連続殺人を開始した。そして、ジョエルに殺人ゲームの挑戦状を
送りつけるのだった。
デビットが殺す前にダンスを踊るシーンが印象的です。きてます。ニヒルでナルシスト的犯罪者。対するジョエルは、愛人の死亡がこたえていて、ぼろぼろ状態。
それでも、新たな被害者候補を救おうと頑張る姿が、かっこよく見えてきます。
ジョエルの愛人の死について。デビットが殺す前にジョエルが駆けつけ、本当は助かっていたのです。彼女は椅子に縛られた状態。ジョエルは彼女を自由にする前に
デビットを追いかけます。この時点で、彼女よりFBIとしての任務を選んだわけです。結局、取り逃がしたわけですが、戻って見ると、部屋のろうそくが倒れて、
身動きできない彼女は、火事で亡くなるわけです。
これは、間接的にジョエルが殺したようなものですから、ショックは大きいわけです。あの時、彼女を一番に考えていれば、少なくとも死なずに済んだ。逆にそこまで
の犠牲を払って、デビットを追い詰めるなら、逃げずにとことん追い詰める強さが欲しいところです。
まあ、人間は弱いですから。特に男は…。
デビットも凄いです。自分がいなければ、自分がいたから、ジョエルの存在があるのだと思っている。勝手な、迷惑な思い込み。ほとんど、ストーカーの考え方。
自分の存在理由や価値を他人の上にのせてしまう。
残念なのは、デビットがなぜ連続殺人を行うようになったかの理由が明確ではない事です。幼児期の虐待なのでしょうか。最初から殺人鬼として、存在している。
もっと怖いのは、同時期にまだ多くの連続殺人鬼が存在していることでしょう。
被害者候補を必死に探すプロセスは、非常に緊迫感があって面白いです。都会の無関心さが良く出ています。
悪役も結構いけるかも、キアヌ・リーブス。でも、出来たら、スピード3で会いたいなあ。マトリクス2を期待。
アンブレイカブル 原題:UNBREKABLE
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ブルース・ウィリス(デビット・ダン)
サミュエル・L・ジャクソン(イライジャ・プライス)
ロビン・ライト・ペン(オードリー・ダン)
スペンサー・トリート・クラーク(ジョセフ・ダン)
あの「シックス・センス」のM・ナイト・シャマランとブルース・ウィリスが組んだ作品とあって期待大である。
ところが、途中まで何だか淡々と物語は進行する。意図的かどうかはわからないが、映像も音楽も、演出も淡々している様に私は感じました。
これは、まずったかと思いましたが、途中からあれよという感じで面白くなり、そして衝撃のラスト。やられました。注意力の欠如。
出来たら、もう一度、見返したいですね。伏線に気づかなかった。
映画の冒頭に、コミックに関する説明がある。最初は、なんのことか、わからなかった。
ストーリーは、イライジャの出産に関するシーンから。列車事故で奇跡的にかすり傷さえ無く生き残ったデビット、そのデビットに謎のメッセージを送るイライジャ。
イライジャは漫画コレクターであり漫画ギャラリーのオーナー、しかし骨形成不全症で硝子の肉体を持ち、「ミスター・グラス」と呼ばれた。
二人が会った時、イライジャは自分と正反対の肉体「アンブレイカブル」(不滅の肉体)は、デビットだと説明する。最初は否定する彼だが、段々と自分に対する
疑惑が芽生えてくる。自分は本当に普通の人間なのだろうか?。息子のジョセフは、いち早く父親の正体に気づき、それを証明しようとする。父の拳銃を使って。
イライジャも、デビットの正体が確信と変わっていく。デビットが自分の能力を開花しはじめると、イライジャはデビットに握手を求める。その時、全てが明らかに
なった。なぜ、イライジャとデビットが出会ったのか。
イライジャの母親のセリフ「この話、最後に驚くそうよ」、もちろん映画でなく、コミックに対してだが。やはり、最後に驚きました。事故はどうして起こるのか?。
故意か過失か。最後まで、注意を払っていませんでした。
ジョセフがデビットに銃を突きつけるシーンも、静かな中で進行し、本当に撃つのかと思ってしまいました。ベンチプレスも凄すぎ。ラストを観て、少し納得。
触れた者の悪意がわかると言うのも、本人にとっては、幽霊が見えるより辛いかも。
ポンチョ姿が無気味。しかし、悪人を退治するのは、盛り上がります。このまま自分の能力で、正義の味方、ヒーローになるのか。この後のデビットが気になる。
それにしても、またまたイライジャの母親のセリフ「悪者は2種類いるそうです。肉体で戦うのは、下っ端。頭脳で戦うタイプこそ、真の強敵」
まさに、そうだったんですね。真の主人公は、イライジャ・プライス、「ミスター・グラス」でした。
イライジャ・プライス役のサミュエル・L・ジャクソンがそのヘアースタイルから、目をギョロつかせながら存在感を出していて、はまり役です。
劇場では、解読マニュアルが配布されていて、逆の世界がキーになっているらしい。次回は、注意して観ようと思った。
アクション・アクションの連続で楽しむ感じではなく、静かに、真綿で首を締める様に、じわじわきます。作品的には、やっぱり「シックス・センス」の方が好きですね。
ハンニバル 原題:HANNIBAL
監督:リドリー・スコット
出演:アンソニー・ホプキンス(ハンニバル・レクター)
ジュリアン・ムーア(クラリス・スターリング)
レイ・リオッタ(ポール・クレンドラー)
ジャンカルロ・ジャンニーニ(リナルド・パッツィ)
G.O(メイスン・ヴァージャー)
現段階では、原作は読んでいません。映画で一度見ただけで、これを書いてます。
ものすごく期待して見に行ったのですが、”羊たちの沈黙”の続編というのなら、もう少し。別の作品としたなら、まあまあということでしょうか。
ストーリーは、強暴な麻薬売人の逮捕をリードするクラリスと、手違いによる銃撃戦が繰り広げられ、赤ん坊を抱いた相手を射殺することから始まります。
この銃撃戦で仲間が死亡し、自らも赤ん坊を抱いた相手を射殺したことから、非難の的になってしまう。この時点で、クラリスに対する感情移入が切れてしまい、
強引にレクターと結びつける糸口を設定している様に感じてしまいました。でも、結び付けないと話しは始まらないし。結局、ジュリアン・ムーアのクラリスに馴染めない
ことが原因でしょか。ジョディー・フォスターでないといけないとは言っていませんが、続編の悲しさでイメージが漂うのです。
物語のキーマン、レクターによって顔を失った大富豪のメイスンが登場することで、ようやく物語が始まってきました。彼は、司法省のポールを操り、クラリスをレクター
捜査に当たらせます。要するにクラリスを餌にレクターを始末しようと考えますが、それとは、別の思惑でレクター自身もクラリスにそれとなく接触を図ります。
でも、特別な香水を染み込ませた手紙をわざわざ送るというのも、凄い感性です。逃亡生活も暇だから、追跡ゲームを楽しみたくなったのか。手紙の中身も、今でも
羊たちの悲鳴が聞こえるか?ですから、あくまでも続編で、羊話を捨てきれない。いいから、卒業してくれ。
ここでまた重要な人物、フィレンツェの刑事リナルドの登場で、ストーリーは盛り上がる。フィレンツェのカッポーニの司書フェル博士をレクター博士と知り、賞金のために
メイスンに情報を売ろうとする。指紋を入手するためにスリを利用しますが、スリは殺されるが、指紋を手に入れたことで、賞金を獲得。それでも、レクターに接触したため、
先祖と同じ死に方をさせられます。ここでも、やっぱりレクターの異常性が強調されます。クラリスを停職処分に陥れたポールに復讐しようとするレクター、クラリスに
プレゼントを送るレクター、ますますレクターが判らなくなりました。
メイスンの手下に誘拐されて、殺されそうになったレクターを救出したクラリス、傷ついたクラリスを助けるレクター。豚に襲わせるするシーンは凄惨ですが、
何だか実感もないのでした。ピラニアとか、ワニならありそうですが。そして場面は、メイスンに復讐する凄惨な晩餐会へと
移っていく。結局、レクターはクラリスを愛していたのか。ここのシーンでも、やっぱり馴染めません。いまさら、あのレクターの愛情あるシーンを見せられても、
感動はないです。逆にクラリスがキスされて、噛み付くくらいがあっても良かったと思います。
感想としては、前作では脇役であったレクターは、肉も食らうが、主役も喰った存在感があったのですが、主役となった今、一体何をしたくて、何を考えているのか、
判りません。いまさら、愛だといわれても、戸惑うばかりです。周りの人間も悪人ですが、レクターに殺されるほどとは思いません。もとを正せば、レクターの異常性
からきているのですから。壮絶なレクターの最期があってもいいくらいでした。しかも、続編が出来そうなラストだし。
メイスン役がG.Oだったのは、DVD等で確認したい。結構、好きな役者なのに、全然気づきませんでした。DVDでは、カットされたシーンが入っているとか。
購入は検討します。”羊たちの沈黙”は速攻買いだったのに。
ザ・セル 原題:THE CELL
監督:ターセム
出演:ジェニファー・ロペス(キャサリーン・ディーン)
ヴィンス・ヴォーン(FBI捜査官ピーター・ノバック)
ヴィンセント・ドノフリオ(カール・スターガー)
映像重視の人には、堪らない映画、しかも、サイコ・スリラー要素があって、新たな融合を見せてくれる。
ストーリーは、美しき女性が、幻想的な砂漠に登場するシーンからはじまる。この砂漠はナミビアの砂漠であるが、砂漠好きの私にとって、これだけでも映画に
引き込むには、十分である。砂漠の中の窪地に少年はいる。少年との接触を図るが、拒絶されてしまう。舞台は人間が宙に吊られた異様な部屋に移る。分裂症の少年
を治療するため、心理学者のキャサリーンが少年の脳に入り込んでいたのであった。それにしても、脳のマッピング技術と神経のシナプス転移システムを組み合わせる
技術なんて、想像出来ません。エヴァの様にA10神経がどうとか、言っているのでしょうか?エヴァと同じ様に、特殊スーツ着用(本作品ではマッスル・スーツと呼ばれる)
に類似点がある。マッスル・スーツのほうが、気持ち悪い。
次にある男の奇妙な行動が展開される。最初、何を行うのか、わかりませんでした。殺人をしたことだけは、わかりましたが。結局、この男は、女性を水死させ、
漂白し、台に寝かせる。台の前には、女性が溺死しようとする様子がビデオで流れている。自分は背中等に埋め込んだリングを使って、宙吊りになる。
そして、その状態で、自慰行為をするのであった。ここまでするサイコ野郎は、前例がないくらいで、ショッキングなシーンである。でも、実際の連続殺人犯は、
殺人や、死体、遺留品で性的興奮を覚えるらしいから、現実にないとは言い切れないのが、怖い。こんな男は、エヴァの碇シンジのように、終わったあとに
最低だーとは、言わないのであった。当たり前だ。
この連続殺人犯のスターガーは、また一人女性を誘拐し、セルと呼ばれるガラス張りの独房に閉じ込めるのだった。FBIの捜査により、スターガーの自宅に突入するが
すでに意識不明になったスターガーを発見するだけであった。地下で発見したビデオから、被害者の女性の救出リミットは40時間であることがわかる。
最後の手段は、キャサリーンがスターガーの潜在意識に入って、女性の監禁場所を調べることであった。スターガーの世界に入って見たのは、少年スターガーと
精神世界の王スターガー・キングであった。まず、驚かされたのは、馬の輪切りシーンであった。輪切りになっても動いている内臓は、勘弁してほしい。
そして、スターガー・キングと出会うが、彼女は脱出するしかなかった。
ファースト・コンタクトで失敗した彼女は、次のコンタクトを拒否するのだが、説得されて、またスターガーの精神世界に向かい、スターガー・キングの虜となって
しまうのであった。この状況を打開するために、ピーターもまた、スターガーの精神世界に入っていく。精神世界は何でもありの世界だから、過去の出来事から、
自分の欲求を満たす世界まで様々である。この世界を表現した映像は、凄いですが、許容できない人もいるかも。何とか脱出したキャサリーンとピーター、
ピーターは精神世界で見たヒントをもとに、女性の救出に向かい、キャサリーンは少年スターガーを救出するために、自らの精神にスターガーを引き入れること
にする。自分の世界で少年スターガーを安楽死させることで、スターガーを苦しみから解放する。誘拐された女性も無事救出される。
最後の極めつけは、再度、砂漠で少年と出会うシーンです。桜が咲いて、桜吹雪、バックには砂漠、ジェニファー・ロペスが女神の様に微笑んでいます。
その組み合わせは、もっとも印象に残るラストでしょう。参りました。それにしても、ジェニファー・ロペスは、アウト・オブ・サイド以上に素敵でした。
着せ替え人形の様にいろんな彼女が見られて、楽しかったです。
スターリングラード 原題:ENEMY AT THE GATES
監督:ジャン=ジャック・ルノー
出演:ジュード・ロウ(ヴァシリ・ザイツェフ)
ジョセフ・ファインズ(ダニロフ政治将校)
レイチェル・ワイズ(ターニャ)
エド・ハリス(ケーニッヒ少佐)
実在した伝説のスナイパー ” ヴァシリ・ザイツェフ ”の物語である。
ストーリーは、1942年のスターリングラード攻防戦を舞台に、若きヒーローに祭り上げられた
ヴァシリと祭り上げる工作をしたダニロフとの友情、美しき兵士ターニャを交えた愛情、ドイツの名スナイパー ケーニッヒ少佐との壮絶な戦いを描いている。
最初の軍用列車と思われる車内で、民間人のターニャをヴァシリが見つめるシーンがあるが、なぜ民間人が乗っているのだろうと思ったのもつかの間、
民間人は途中で降ろされ、兵士が補充され物語は壮絶なシーンに突入する。ボルガ河を渡るのも命がけだが、ドイツ軍に突入するのも、銃は二人に一丁、
逃亡すれば味方に撃たれる始末。一息ついたところで、ヴァシリとダニロフの出会いとヴァシリの驚くべきスナイパーとしての能力発揮。
ララァを見出したシャアのように、彼の能力は戦場において、有効に使えると確信する。ダニロフの思惑通り、着実に成果を上げるヴァシリの前にドイツ軍が誇る
スナイパー ケーニッヒ少佐が現れる。このエド・ハリスのケーニッヒ少佐が現れることで、物語は俄然面白さが増してくる。エド・ハリスは渋くてかっこいい。
私の好きな俳優の一人である。
今まで、狙っていた者が狙われる側になる。スナイパー同士の虚々実々の駆け引きと執念が、最高である。
見てるこちらも、一緒に狙っている感じで身動きが出来ない。圧巻は少年サーシャの報告でケーニッヒ少佐を誘き出し、その裏をかこうとしたが、逆に裏をかかれ、
追い詰められるシーンである。銃は数メートル先なのだが、取りにいけば狙撃される。ちょうど爆撃が開始され、脱出のチャンスかと思うと、割れたガラス片が降ってくる
始末。そのガラスの反射によって、ケーニッヒからヴァシリの顔まで把握される。本来、闇に潜むスナイパーが敵に間接とはいえ、姿をさらすのは死んだも同然
である。そこに、ターニャが救出にやってくる。ある方法で無事ヴァシリを救出するのだが、これは本編を見て下さい。伏線はすでに、記述してあります。
その手があったか、という感じです。この一連の流れはうまいと感じました。
避難所でのヴァシリとターニャのラブシーンはリアルだけど、ターニャの方から迫るとは。
それでも、ターニャはキュートで好きです。レイチェル・ワイズで良かったと思いました。ターニャを好きだったダニロフは、偶然ヴァシリとターニャのキスシーンを目撃、
嫉妬する彼は、ヴァシリ糾弾の報告書を書かせるのである。
薬品工場の攻防でサーシャの裏切りを知ったケーニッヒは、少年を殺害、それを知ったターニャをヴァシリ
は引止め、最後の戦いを決意する。サーシャの母親を避難させるターニャとダニロフ、無情にも避難途中に爆撃にあい、ターニャは死んだと思われた。
そして、物語はいよいよラストへ。ダニロフはターニャの死をヴァシリに報告、羨望は人間の業だと話す。羨望は人間の業。その通り。
ケーニッヒの所在を知るため、自己を犠牲にするダニロフ。そうなるとは思いましたが、脇役の自己犠牲には感動。でも、ダニロフの人生にとって、主人公は
ダニロフ自身なんですけどね。そして、敵を仕留めたと思ったケーニッヒにも、最期の時が。
ドイツ軍降伏後、ヴァシリは死んだと思われたターニャと再会。
唯一の救いは、ヴァシリとターニャが再会出来たことで、物語が終わったことだろう。
スターリングラードの歴史博物館には、ヴァシリの銃が展示されているらしい。機会があったら、行ってみたいと思わせる映画であった。
”リプリー”とは違って、落ち着いたジュード・ロウが良かったし、かっこよく思えた。また、新たな戦争を舞台にした名作が登場した。原作を読みたいと思う。
ショコラ 原題:CHOCOLAT
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ジュリエット・ビノシュ(ヴィアンヌ・ロシュ)
ヴィクトワール・ティヴィソル(アヌーク・ロシュ)
ジョニー・デップ(ルー)
ジュディ・デンチ(アルマンド・ヴォワザン)
レナ・オリン(ジョセフィーヌ・ミュスカ)
アルフレッド・モリーナ(レノ伯爵)
キャリー・アン・モス(カロリーヌ・クレルモン)
いやー、とても気持ちよく映画館を出れました。一言で言うとハートウォーミングなファンタジーという感じで、泣き笑いできる映画です。
出ている人が良いので、出演者紹介も多くなりました。監督はギルバート・クレイプ、サイダーハウス・ルール等で有名らしいです。私的には、サイダーハウス・ルール
のストーリーが今ひとつだったので、少し、心配しました。でも、さすがという感じでした。
ストーリーは、伝統と規律を重んじるフランスの小さな村によそ者の母娘がやってきます。そして、チョコレートショップを開店、規律を守ろうとする村長のレノ伯爵の
妨害にもかかわらず、次第に村人はチョコレートの甘さとともに、頑な心を開いていくのであった。
ストーリーの展開は、あまり複雑でなく先の読める展開ですが、観ているだけですがチョコレートの魅力が伝わり、登場人物の魅力が前面に出てきます。
この映画には、絶対的悪は存在せず、人間的魅力に溢れています。こういう映画は好きです。
面白いのは、この母娘が放浪の旅を続ける理由が、ヴィアンヌの父と母の話しで説明されます。だから、最後はまた旅立つのではないか?と思わせますが、
この地に定住を決意して、母の遺灰を空に投げるシーンは素敵です。
母親役のジュリエット・ビノシュがチャーミングで光っています。娘役のヴィクトワール・ティヴィソルもかわいくて、思わずにんまり。「ポネット」のあの子なんですね。
よしよしと頷いてしまいました。ジョニー・デップもいかしてますが、錚々たる女優陣に在っては、少し影薄いかも。
キャリー・アン・モスも、「マトリクス」よりこちらの方が美人で、息子のために自転車を磨くシーンとレノ伯爵をそれとなく諭すシーンは、非常によいです。
牧師の自分の言葉による説教も、最高でした。牧師の説教で最も感動したのは、「俺たちは天使じゃない」です。まあ、偽牧師でしたが。
最も、印象深いのは、レノ伯爵がチョコレートショップに押し入り、破壊しながらチョコレートの美味しさに我を忘れて食べまくり、泣いてしまうシーンです。
観た人は笑えたかもしれません。悲しくもあったと思います。私の場合、これと少し似た経験があり、切なかったです。
話は脱線します。私の場合は、酒を飲んで帰り、吐くためにトイレに行って、西洋便器を抱きながら、声を出して泣いてしまいました。吐くまで飲んだことではなく、
意地を張り続けた自分を後悔して、自分の愚かさに耐えられなかったためです。しかも、そのまま、寝てしまいました。
そういう意味で、その後の伯爵の少し晴れ晴れした顔がわかるのです。でも、カロリーヌを食事に誘うのに、半年かかるのには、笑えます。
それにしても、チョコレートというものは、人を虜にし本当に悪魔の食べ物かも知れない。自由に色々なチョコレートを食べられる現代は、幸せなのだろう。
でも、本当のチョコレートの規定から言うと、日本のそれは別物らしいと聞きましたが。本当?
アヌークの空想のカンガルーが去っていくシーンは、憎いなーと感心。少し大人になったということでしょうか。
映像もストーリーも文句なしですが、音楽も最高です。うまく説明できませんが、この手の音楽は心にジーンときます。
原作者の作品には、同じ村を舞台にした、「ブラックべりー・ワイン」があるとのこと。観てみたい。
この村に来る前のストーリーも映画化してくれれば、私は見に行きます。
トラフィック 原題:TRAFFIC
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:マイケル・ダグラス(ロバート・ウェークフィールド)
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(ヘレーナ・アヤラ)
ベニチオ・デル・トロ(ハピエール・ロドリゲス)
ドン・チードル(モンテル・ゴードン)
エリカ・クリステンセン(キャロライン・ウェークフィールド)
うーん、これが今、薬物の浸透したアメリカを取り巻く現状なのでしょうか。発展途上の日本に居ては、あまりピンと来ない部分があるのでは。
ストーリーとしては、メキシコ州警察警官ハピエールが麻薬取締りを強行に進めるハビエール将軍(実は、別組織と手を結んでいる)に協力させられ、親友を
失ってしまう。オハイオ州最高判事のロバートは、麻薬取締連邦最高責任者に任命され、麻薬取締のために、ハビエール将軍と協力しようとするが、
実は娘が麻薬中毒になり、家を飛び出す有様。麻薬取締り局(DEA)の捜査官モンテルは、麻薬王カルロスを逮捕し、夫人のヘレーナを監視する。
夫を逮捕されたヘレーナは、元の生活、子供、夫のため、工作を始める。これらの登場人物が、絡んで物語は進行する。
キャロラインのような16歳の少女にまでドラッグが浸透する現実、立ち直りのためのプログラムが成立している現実、リアルな映像とともに、ドキュメンタリーの様に
映像が映し出される。場所、カットがかなり変化するので、理解するのに疲れてしまいました。
夫が逮捕され、悲嘆にくれるヘレーナが徐々に立ち直り、組織と交渉するまでになるのは、やはり母は強しということでしょうか。夫が逮捕されたままなら、麻薬女王
になりそうな感じがしました。実際、その後はビジネスに関係しそうな予感も。
強烈な個性を放ったハピエールは、麻薬取締り局(DEA)との交渉にプール内を指示するのは、笑えました。代償としての願いがナイターの照明であり、そうすること
によって、将来、麻薬と関わらずに済むかもしれないと言うくだりがあって、ラストのナイターで野球をする少年たちにつながる。
このテーマでやるからには、はっきりとした結論が出ないと思っていたので、ラストのナイターシーンには、救いがあって、ほっとしました。
また、キャロラインも麻薬中毒から立ち直ったのも、救いでした。ロバートのセリフも娘に対する接し方の変化が現れていました。今までは、多分上から命令するように
言うだけだったのでしょうが、これからは娘の言うことを聞いてやれるのでしょう。
結局、ロバートは麻薬取締連邦最高責任者を投げ捨てたんですよね。気になります。
ザ・メキシカン 原題:MEXICAN
監督:ゴア・ヴァービンスキー
出演:ブラッド・ピット(ジェリー・ウェルバック)
ジュリア・ロバーツ(サマンサ・バーゼル)
ジェームズ・ガンドルフィーニ(リロイ)
ボブ・バラバン(ネイマン)
G・H(マルゴリース)
ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツ共演で話題になった作品。ストーリーは、自動車事故をきっかけに組織で働くことになったジェリーとその恋人サマンサ。
二人の仲はあまり良くなく、最後の仕事もドジってしまう。本当の最後の仕事が、メキシカンという伝説の拳銃を持ち帰ること。しかし、伝説の拳銃を巡って、争奪戦が
開始される。ジェリーと別れたサマンサも巻き込まれる。
途中で、私の趣味じゃない映画だなと思ってしまった。見所はサマンサと殺し屋リロイとの絡みかなと思っていたのだが。観終わると、なかなかどうして、そこそこの
映画になっていました。女性には、受けるかな。
私の問題は、ジュリア・ロバーツがあまり好きではないというハンデがありましたので、映画への入り込みが浅かったです。
見所は、やはりサマンサと殺し屋リロイとの絡み、伝説の拳銃にまつわる劇中ストーリー、そしてラストのG・Hが演じるマルゴリースが登場してからでしょうか。
スパイシー・ラブストーリーといっていても、リロイが居たから成立した感があり、そのリロイを殺してしまう能天気なジェリー、やれやれと言う感じ。
心に残るセリフは、リロイの「うまくいっていない恋人はいつ別れるか」という質問とその答えでしょう。「ベッドでやさしい男は…」もいいかな。
結局、ジュリア・ロバーツも良かったですね。ブラッド・ピットには、こういう役を求めていないので、次回を期待。でも、決める時は決めて、かっこいいんですけどね。
エンドロールの最後に、サマンサのセリフあり。少し、得した気分。
15ミニッツ 原題:FIFTEEN MINUTES
監督:ジョン・ハーツフェルド
出演:ロバート・デ・ニーロ(エディ・フレミング)
エドワーズ・バーンズ(ジョーディ・ワーソー)
ケルシー・グラマー(ロバート・ホーキンス)
メリーナ・カナカレデス(ニコレット・カラス)
カレル・ローデン(エミル・スロバック)
オレッグ・タクタロフ(ウルグ・ラズグル)
マスコミ批判のストーリーは数々あるが、この作品も結構いけてます。主人公と思っていたエディもマスコミを利用し、ニュース番組のアンカーマン、ロバートも彼を
利用している。全ては、捜査のため、番組のため、でも結局は自分のためなんですが。
チェコ人エミルとロシア人ウルグは、昔の仲間を殺害し、目撃者のダフネを追い詰める。彼らは、アメリカで金を儲け、殺人をしても罪にならない方法を思いつきます。
テレビや街の声から、思いつくのですが、アメリカ自体もかなり病んでいます。日本も同様ですが。視聴率第一主義ですから。目立った者勝ち。
最初の殺人後、放火した為、消防局のジョーディと殺人課のエディが結びつき、奇妙な連帯感も生まれます。恋人にプロポーズしようとするエディをデ・ニーロが
うまく演じていて、いいなあと思っていたら、エミルとウルグに捕らえられ、格闘の末に亡くなります。
あれ、エディは主人公で助かると思っていたのは、ヒーロー映画の見過ぎでした。エディ殺害のテープをロバートに売りつけ、自分は精神異常を主張しようと企む
エミル。ロバートは、奇麗事を言いつつそのテープを放送。その放送を見ながら、仲間割れを起こすエミルとウルグ。テレビでは、他人の不幸を見るが、間近で事件が
起こりそうになると、我先に逃げるお客たち。
警察に逮捕されるが、弁護士と協力して、刑を逃れようとする。最後の最後に、ジョーディの拳銃が火を噴く。悪いですが、やっぱりスカッとしました。
かっこいい。しびれました。途中で殺すチャンスはあったのですが、出来なかった。最後まで引っ張りましたね。
ウルグの最後も画になってましたね。自由の女神をバックに息絶える芝居を自分のカメラで捕らえ、最後にそのまま息絶える。このウルグも光ってました。
カメラを盗んだのと、殺人を止めずに撮影していただけで、あまり悪さはしていないのに。
ロバートを殴るジョーディと、容認する周りの人々。ニコレットにエディのバッチを渡すシーンもいいなあ。この辺は、お約束。こうでなくちゃ。
それでも、しぶとく生き抜くのは、ロバートやあの弁護士のような人たちなんだろうな。ワイドショーなんて見たくもない私としては、マスコミをギャフンといわせる
映画が観たいです。
この映画も本編が終わって、エンドロールの途中で少し映像が流れます。最後まで見ましょう。
ザ・ダイバー 原題:MEN OF HONER
監督:ジョージ・ティルマンJr.
出演:ロバート・デ・ニーロ(ビリー・サンデー)
キューバ・グッディング・Jr.(カール・ブラシア)
シャリーズ・セロン(グウェン・サンデー)
アーンジャニュー・エリス(ジョー)
デビッド・コンラッド(ハンクス大佐)
ハル・ホルブリック(ミスター・パピー)
2週連続でロバート・デ・ニーロ出演の作品を観る。作品として、はっきり言って、鳥肌ものの感動作です。泣けます。しかも、実話をベースにしている。
打ちのめされてしまいました。
ストーリーは、泳ぎの好きだった黒人少年ブラシアは、海軍に入隊するがコックの仕事に携わるしかなかった。しかし、泳ぎの才能を認められ、甲板兵になる。
やがて彼は、ダイバーへの夢を持ち、何とかダイバー養成所に入学する。最初の黒人訓練生になったブラシアに回りは冷たく、かつての憧れだったサンデーからも
徹底したいじめに遭う。
それでも必死に訓練するブラシアは、卒業試験を体力の限界を超えながらも、やり抜き、晴れてダイバーになるのだった。しかし、事故が原因で引退を余儀なくされる。
しかし、ダイバーへの夢は捨てがたく、サンデーの起死回生の策に希望を見つけた。
事故で怪我したぼろぼろの脚を切断し、義足でダイバーに復帰する為に懸命のリハビリを続ける。しかし、彼をクビにしようとするハンクス大佐。ダイバーへの道は
聴聞会でダイバーたる資質を証明することだった。ブラシアとサンデーの自らの誇りと夢を賭けた聴聞会での戦いがはじまる。
ブラシアが黒人初のマスター・ダイバーになるまで話を映画化したものだが、見所一杯で息がつけない感じ。親子の愛情、男女の愛情、男の戦いと友情、挫折と苦悩、
誇りとは、夢とは。
カールを見送る父親のセリフでもうこの作品に入り込みました。「ここに戻ってくるな」「けっして、あきらめるな」と息子に語りかける父親が良いです。そして、
”ASNF”が彫ってあるラジオを手渡す。
サンデーの最初の見せ場は、仲間を無理に救出した彼は、空気塞栓症でダイバーを引退せざるを得なくなる。病室で暴れるシーンをデ・ニーロは喜んでやっている様
に思える。
また、訓練生のブラシアを徹底的にいじめます。酒場でのブラシアとサンデーの無呼吸時間の戦いも意地のぶつかり合いです。普通、4分も耐えられない。
人一倍、無呼吸時間の短い私にとっては、理解を超えた戦いです。
卒業試験も凄いです。絶対に卒業させたくない司令官。ブラシアは、妨害工作で9時間以上、冷たい水中作業を続ける。彼の身を案じて、引き上げようとするサンデー、
制止する司令官。しかし、ブラシアは卒業試験の課題を完成させたのであった。水中にばら撒かれた部品を見つけ出しての、懸命の作業だった。
このあきらめの悪さと努力、そして、合格の結果にただ感動するのみ。
”ASNF”が、A SON NEVER FORGETS(生涯忘れない息子)を示していることが、いいポイントになっています。
命令に逆らったサンデーは降格、数年後、ハンクス大佐を殴り降格、アルコール依存症になる始末。アルコール依存症をまたもや、デ・ニーロが演技。この辺の
ストーリーと演出はデ・ニーロのためにある気もする。
事故で脚に大怪我を負ったブラシアは、英雄になったがダイバーからは引退させられる。脚を切断して、ダイバーにカムバックしようとするブラシアと手助けをする
サンデーが良いのです。
それ以上に胸を熱くさせるのは、ハンクス大佐が無理に押し付けた聴聞会での試練。最新式潜水服130キロを着て、12歩を歩かなければならない。
義足の強度が足りないことを知りつつも、止めようとはしないブラシアとサンデー。
歩行の限界で、間接的に叱咤激励するサンデー。カッコよすぎる。鳥肌ものです。涙が流れてくる最大の見せ場。参りました。
その後、ダイバーに戻ったブラシア。これが、実話に基づいている事実。こんな男が実在した衝撃。到底、日本で育った軟弱野郎には真似の出来ない生き様。
あえて、自分に当てはめても、絶対に途中で挫折しています。
やっぱり、ロバート・デ・ニーロは凄いと再認識。デ・ニーロがカメレオンなら、シャリーズ・セロンも負けないくらいのカメレオンと思いました。一つとして、同じような
イメージを残さない。化ける化ける。
キューバ・グッディングJr.も熱演。キャストもストーリーも最高でした。
ギフト 原題:THE GIFT
監督:サム・ライミ
出演:ケイト・ブランシェット(アニー)
キアヌ・リーブス(ドニー)
ヒラリー・スワンク(ヴァレリー)
グレッグ・キニア(ウェイン)
ジョヴァンニ・リビシー(バディ)
ケイティ・ホームズ(ジェシカ)
ギフト、天より授かりし超感覚。何か面白そうなので、観に行きましたが、面白そうで終わりました。役者は良い、映像も良い。
所々、確かに怖いし、ドキッとします。
ストーリーは、アニーは、夫を事故で亡くし3人の子どもと暮らしているが、霊感を使った占いで生活している。夫の暴力に悩む妻のヴァレリー、
精神を病んでいる修理工のバディ等に占いで助言を与えていた。
長男の学校の教師ウェインの婚約者で金持ちの娘ジェシカが失踪する事件が発生。心配した父がアニーに占いを依頼し、その場でのESPカードを
使った占いでは、明確な答えが出せなかった。しかし、その夜ジェシカが殺された姿を幻影?として見る。
それを手がかりとして、ヴァレリーの夫のドニーの土地にある池を捜索、ジェシカの遺体を発見する。ドニーは逮捕され、裁判が開かれる。
裁判で参ってしまったアニーは、バディの相談に乗ることが出来なかった。
錯乱状態のバディは、幼年期に虐待を受けた父親に火を放ち、殺害してしまう。法廷では、アニーの占いに対し厳しい糾弾がなされる。
しかし、判決はドニーの有罪となり、事件は解決したかに思われた。
ある晩、浴槽にジェシカの幻影が現れ、アニーを非難する。犯人は、別にいるという気がしてきたアニーは、犯人を捜そうとする。自分の能力を
使っても、犯人像が掴めない。ジェシカの遺体が発見された池に行き、そこで犯人が誰かを突き止めるが、犯人に殺されそうになる。
その窮地を救ってくれたのが、…。しかし、実は彼は…。映画の性質上、これ以上は書けません。
ストーリーは、ビリー・ボブ・ソートンが書いた幻のシナリオの映画化らしいのだが、幻のままにしておいて欲しかった。超感覚と言う上手い
道具があるのに、それを除けば、良くあるスリラーの範疇から出ていない。勘のいい人なら、すぐ犯人が判るし、動機も単純。
救いは、登場する人物、ケイト・ブランシェット、キアヌ・リーブスも頑張っている。一番印象に残ったのは、ジョヴァンニ・リビシーでしょうか。
おいしい部分を持って行ってしまいましたね。
キーワードといっても、大した事はない。AM1:28には、少しゾクッとしましたけど。ESPカード、なぜESPカードなのでしょうか。
トランプやタロットだと、安っぽく見られるから?。ESPカード自体にも、疑念をもっている。超能力を調べるなら、もっと種類が多く、確率の余地
のないカードにすべきじゃないのか。本来、占いの道具には使わないと思うのだが。
最後に家族の絆が深まった感じでラストを迎える。町の人に必要とされるシーンがないのは、残念。せっかく、バディも言っていたのに。
この後が少し心配。ドニーも、放免されて戻ってくるはずだし。
こんな能力があったらいいなと思っていましたが、大変そうですね。贈り物は、贈る方も贈られる方も大変です。
あっ、そういう問題じゃなかったですね。
マレーナ 原題:MALENA
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:モニカ・ベルッチ(マレーナ・スコルディーア)
ジュゼッペ・スルファーロ(レナート・アモローソ)
ルチアーノ・フェデリコ(レナートの父)
マティルデ・ピアナ(レナートの母)
ガエタノ・アロニカ(マレーナの夫)
「マレーナ」の予告編を見たとき、「おもいでの夏」を思い出して、期待しました。ジェニファー・オニールが良かったですから、モニカ・ベルッチ
にも興味がありました。
ストーリーは、シチリア島の漁村カステルクトに住むまだ半ズボンの少年レナート。村で一番美しい女性マレーナをひと目見た時から、レナートは
彼女の虜になってしまった。日々、妄想、幻想を見、覗き見や下着を盗む始末。結婚後、2週間で夫は戦地に赴き、ナチに支配され、やがてアメリカ軍
に支配される。世界が目まぐるしく変わる中、夫の死が伝えられ、未亡人となったマレーナの生活も一変する。
弁護士、ナチ、米軍を相手に生きる道を選ぶ。そうしたマレーナを村人は心良く思っていなかった。終戦により、村の女性達のリンチを受け、
村を追われる。しかし、レナートは彼女を見つめるしか出来なかった。
そんなある日、死んだはずの夫が片腕を失って帰ってくる。村人の仕打ちは冷たく、マレーナを捜し求める彼にレナートは、最後に見た列車の行き先を
メモで渡す。夫もマレーナを追って村を出て行った。
月日が過ぎ、彼女と歩くレナートは、マレーナと夫が寄り添って、村に戻ってきた光景を目にする。そして、レナートは…。
はっきり言って、コメディとして観ていました。マレーナは、レナートの妄想の中で姿を替え、幾度も登場します。しかも、妄想だけでなく、ストーカー
的に追いかけます。友人、家族、村人との関わり方も結構笑えます。しかも、「あなたを守るのは僕だ」という思い込みの激しさ。
残念なのは、マレーナの顔が見えない。どういう人物かわからない点でしょう。結局はレナートの妄想と事実だけ、何を考えどう思ったかが判り難い。
自ら髪を切り、自分で生きる道を決心したシーンなどはありますが、とにかくセリフが少ないので判断できない。
リンチを受け村を出て行き、夫とまた帰ってきて、何となく救いのない映画に思えました。夫と帰って来たことに対して、また仲良く暮らすという見方
と、単に逃げたままが嫌であくまでも虚勢を張るとの見方があります。願わくば、前者の見方が出来る描写が欲しかったですね。
実は、夫が帰って来ない方が幸せだったかも知れない等とひねくれた見方もしてしまいますから。
「あ〜あ」と思っていたら、最後にレナートがマレーナに「幸せになって下さい、マレーナさん」と言ってマレーナの背中を見送らず、
自転車で一目散に、振り払う様に去っていくシーンでやっと救われました。やっぱり、ラストはこうでなくちゃいけません。
思い返してみると、やっぱりいい映画だったのでは、と思ってしまいます。大泣きも大感動も無いけれど、自分の中にレナート的部分が、かつては有った、
いや今でも有る?。答えは…。
それにしても、モニカ・ベルッチ、良いんじゃないでしょうか?。かなり、ミステリアス。私にとって、マレーナ役の…となってしまう可能性がある。
「ドーベルマン」を見返したい気分。
レナートが手紙を書き、レコードを投げ捨てたあの海岸の岩場、行ってみたいですね。
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