仮想シュミレーション小説の部屋

気に入っている仮想シュミレーション小説を紹介します。

私の気に入る小説の基本は、戦闘がリアルで分かりやすく書かれていること、現実離れしていないことなどです。

覇者の戦塵シリーズ

2005年8月12日最終更新

著者:谷甲州   出版:中央公論新社

カバーイメージ シリーズのうちの1巻「撃滅北太平洋航空戦(上)」

 覇者の戦塵シリーズは、シリーズ名は小さく書かれていて、それぞれ別々の主題?が付けられています。シリーズとしては、「北満州油田占領」が最初の巻です。それぞれの巻(同じタイトルのシリーズ)には、ある一つの戦闘のことが書かれているのですが、時代設定として、前の巻の戦闘の影響が次の巻に続いているようになっています。1つの物語だけで内容は一応完結するようになっているのでまずは好きな物語を1つ選んで読んでみると良いかも知れません。

 ほとんどのシュミレーション小説が真珠湾攻撃から書き始めているのに対し、それより前の時代から書き始めてあるところがすごいと思います。場面設定もしっかりしているし、戦闘の様子などもうまく書き進められていると思います。 海軍だけでなく陸軍も多く登場し、海兵隊なる物も生まれます。戦闘も物語によって大陸での戦車戦、航空撃滅戦、艦隊戦、上陸戦など様々です。

 最近は1つの物語が2〜4巻で構成されていることが多いのですが、この1物語は連続して刊行されるものの、次の物語の刊行が始まるまでには1年近くかかってしまうこともあるのは楽しみにしている読者としてはつらいです。

 これを書いている時点での最新は「電子兵器奪取」です。はじめの6巻は角川書店から刊行されましたが、入手困難が続いていました。中央公論新社から2巻分を1冊にまとめた文庫版(北満州油田とオホーツク海戦、謀略熱河戦線の3冊)が発売され、やっとシリーズ全てが手にはいるようになりました。

 なお、谷恒生という著者がいますが、こちらは設定がむちゃくちゃ(言い方は悪いのですが良い表現が思いつかないので・・・)な小説を書く方ですので注意してください。

シリーズのつながりはサイト外へのリンク日本SF作家クラブの谷甲州ページをご覧ください。と書いておいたのですが随分前から更新されていないのでサイト外へのリンクWikipediaの谷甲州ページが参考になると思います。

紺碧の艦隊・旭日の艦隊

1999年6月頃最終更新

著者:荒巻義雄    出版:徳間書店(紺碧の艦隊)、中央公論社*1(旭日の艦隊) カバーイメージ 旭日の艦隊16 英国の栄光

仮想戦史シュミレーション小説の火付け役とも言われている(いた)大人気小説。ゲームにもなっています。紺碧の艦隊は、紺碧艦隊という潜水艦艦隊の活躍を主に描いたもので、旭日の艦隊は、旭日艦隊という(水上)艦隊を主に描いたものなのですが、両者は密接に関わり合っていて、ストーリー的にもこの2シリーズを同時に読んでいくように書かれているので、読まれるのでしたら両シリーズを読まれるようおすすめします。紺碧の艦隊が20巻、旭日の艦隊が16巻で第1部が完結しています。他に欧州何とか戦史(忘れた)、資料集等が出ています。また、コミックやビデオも出ています。第2部はすでに何巻か出ているのですが、読もうかどうしようか迷っています。

 読もうかどうしようか迷っているのは、第1部で、最初のうち(紺碧7巻あたりまで?)は戦闘を主にして書かれていておもしろかったのですが、だんだん敵国の指導者の考え方の特性だの何だのといった哲学的な話しが多くなってきて、戦闘シーンの全くない巻も出てくるという有様で、読んでいてもおもしろくないシーンばかりになってきたのです。だから第1部完結でもう読むのはやめようと思っていたのですが、ちらっと見たところ第2部はまた戦闘シーンが多くを占めているような感じなので、読もうかどうしようか悩んでいるところです。第1部のときは高校の図書館に入っていたのでただで読むことが出来たのですが、高校を卒業してしまったので自費で買わなければならないのが辛いところです。だからよけいに読もうかどうしようか悩むところです。また長編になりそうだし・・・

ラバウル烈風空戦録

2001年10月最終更新

著者:川又千秋   出版:中央公論社*1
カバーイメージ 第15巻 逆攻篇

 仮想の太平洋戦争を、一人の戦闘機乗りの立場から描いた小説です。太平洋戦争にある程度詳しい方は知っていると思いますが、ソロモン諸島にガダルカナル島という島があります。この島は太平洋戦争で日本軍に対して米軍が最初に反撃を開始した小さな島で、米軍が上陸した後、何とか島を確保しようと陸海空から日米が死闘を繰り広げたところです。結局日本軍は補給が続かず撤退し、以後次々に米軍に追いつめられていくことになります。そしてこの死闘で日本海軍航空隊の出撃の基地となったのがニューブリテン島ラバウルです。また、烈風というのは、零戦に続く主力艦上戦闘機として日本海軍が開発した機体で、実際には完成はしたものの時すでに遅く、量産されることなく終わっています。

 この小説は、この手の小説によく見かける現実離れした記述や、実際とは矛盾している記述が少なく、しっかりしたシュミレーションがされています。また、ほとんどのシュミレーション小説が、キーポイントとなる海戦を主にして、司令官の立場で書かれているのに対し、この小説はどちらかというと航空戦を中心に、一戦闘機乗りの立場で書かれています。

 現在15巻(プラス外伝3巻と資料集)まで出ていて、あと2・3巻で完結するようですが、このところ次の巻が全く出ません。もうこの15巻が出てから3年近くたっていると思います。もう続きは出ない可能性が高いと半ばあきらめていますが、予想を裏切って出してもらいたいと強く希望しています。またこの小説、それほど読者がいないのか巻数が多いからなのかは知りませんが、書店に行っても全巻揃っていることはまずないと思います。WEBで検索するといくつかファンのサイトがヒットするので、熱心なファンはそれなりにいるはずです。オンラインショッピングなどを利用して是非読んでみてください。なお、古本屋に置いてあることが多いような気がします。


*1中央公論社 - 現在は中央公論新社