前田の算数

算 数 コ ラ ム
授業ってどうやって考えるの?
授業の作り方のホントのところ

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 1、は じ め に
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「授業って、どうやって考えるんですか?」
そう聞かれると、答えにつまる。
まず、何から考えて、何を、どうすれば、授業ができるのだろうか。
毎日授業をしているにもかかわらず、具体的にどうやっているか、案外、自分でもよく分からない。

よく言われるのは、
「まず、学習指導要領を読んで・・」といったことだろう。
しかし、ここで知りたいのは、そうした正攻法ではなく、日常の授業をどう作っているのかという本音のところある。

そこで、ある試みをしてみた。
授業を考える際に、頭の中に浮かんだことを、すべて文字に起こしてみたのである。
普段は頭の中だけで考えるところを、パソコンに向かって文字に起こしながら、授業を準備してみたのだ。

ここに公開するのは、普段着の授業準備において、教師用教科書を開いたところから、教師用教科書を閉じるところまで、思考のすべてを赤裸々に記録したデータである。
一応、ここに公開する。
ただし、頭の中に思い浮かんだ通りに文字に起こしたものであり、決して整理された文章ではない。
正直、とても読みづらく、読めたとしても、あまり参考にならないように思う。
そこの部分は、読み飛ばしていただき、その後に記した考察の部分を読んでいただければ幸いである。
先に、結論から言ってしまうと、
まずは、授業の大まかな形を、ゴールから考える。
次に、授業の流れに沿って、細かな部分を考える。
1番の肝は、学習課題
ということが見えてきた。




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 2、記 録
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令和3年12月1日(水) 5年算数 平行四辺形の面積(高さが中にない場合)
 明日の授業のゴールは、平行四辺形の面積の公式が使える場面の拡張である。高さが平行四辺形の中にない場合でも、向かい合う底辺の幅を高さと捉えることで、平行四辺形の面積の公式が使えることを理解する。それが今日のゴールとなる。
 だとすると、学習課題は、「高さが中にない場合でも、平行四辺形の面積の公式が使えるだろうか」となるだろう。ただし、それでは答えが「使える」「使えない」の2択になってしまい、多様な考えが保障されない。学習課題を「高さが中にない場合の平行四辺形の求め方を考えよう」として、サブタイトルに「面積の公式は使えるかな」と入れる方法もあるだろう。どちらがよいか迷うところだが、後者の方が児童の実態には合っていると思う。いきなり公式が使えるかどうかの議論をするよりも、まずは面積の求め方を考えようとした方が取り組みやすいからである。面積を求めた上で、その考えを公式に当てはめられるか考えていった方が、苦手な子にとっては考えやすいことだろう。
 それでは、高さが中にない場合の「面積の求め方」を考えたくなり、「公式が使えないか」と考えたくなるには、どうすればよいだろうか。そのためには比較が必要になるであろう。高さが中にある平行四辺形を提示し、公式を使って求めた後で、高さが中にない平行四辺形を提示する。そうすることで、「中にあったらできたけど、中になくても求められるの?」「中にあったら公式が使えたけど、中になくても使えるの?」という問いが生まれるだろう。2つだけの提示ではなく、底辺と高さが等しい平行四辺形を複数提示する方が効果的かもしれない。高さが中にある平行四辺形を3個ほど提示した後で、高さが中にない平行四辺形を提示するのである。角度を少しずつずれしていくのもよいだろう。全部答えは一緒になる。「なんだ、同じじゃん」となったところで、高さが中にない平行四辺形と出会わせるのである。低学年では、課題提示において「できた」「できた」「できた」「あれっ」という技を使うことが多い。今回は高学年ではあるが、擦れてない素直な子供たちなので、きっとこの技が効果的に働くであろう。角度を少しずつずらしていくのであれば、長方形からスタートする方法も考えられるが、混乱を招きそうなので、今回は見合わせたい。
 よくよく考えてみると、さっきから「高さが中にある」「高さが中にない」という言い方をしてきたが、そもそもそれは「高さがある」という前提の基での言葉である。子供の中には、「高さがない」と考える子だっていることだろう。学習課題の文言は「高さが中にない平行四辺形…」という言葉でよいのだろうか。とはいうものの、よい代案が浮かばない。ここは、実際の授業の中で、子供の言葉を拾い上げて、学習課題を使ってみることにしよう。
 言葉はともかく、「高さがない」という子がいたら、その思いは十分に引き出す必要があるだろう。「だって、高さを書こうとしても、途中で途切れている」「底辺のどこから垂直にひいても上の底辺にぶつからない」そうした素朴概念があることだろう。導入においてそうした素朴概念を出しておくことで、「底辺の長さを伸ばした直線」という言葉が子供の中から生まれるかもしれない。
 もしかすると、「高さがない」と考える子供たちの中には、そのことをうまく説明することを苦手な子も多いかもしれない。「高さがないとつぶやいた人がいましたが、どういうことか説明できる人はいますか」といったように、別の子に説明させるのもよいであろう。
いろいろ考えていると、導入で引き出したい考えがどんどん膨らんできた。しかし、話し合いの時間の確保には気をつけたい。長くなりすぎないように注意したい。
 話し合いの時間を確保して、考えの背景を十分に引き出す。今回、予想される児童の考えは、大きく分けて2種類ある。1つ目は、三角形ACDを等積変形させて高さが中にある平行四辺形にする方法である。2つ目は、高さが届くところまでで半分に切って二つの平行四辺形にして、足し算する方法である。前者の方が公式化しやすい方法である。後者の方が自然な発想である。どちらを先に扱うべきだろうか。
 前者を先に扱えば、そこで公式が使えることを確認でき、後者の方法で適用を図ることができる。子供が理解しやすいという利点がある。一方、後者を先に扱えば、子供の自然な考えの流れで進めることができる。また、前者の方法が後から出た場合、高さを中にもってこられるというよさに気付かせることもできる。
迷うところだが、後者の半分に切る方法を先に提示し、前者の等積変形の考えを後から提示する方法をとりたい。理解のしやすさには難があるものの、考えの背景をより引き出せそうな気がするからである。
 先に扱う高さを二つに切って考える方法では、どうしてそんな考えを思いついたのか、着眼点を尋ねてみたい。きっと高さがとれるところまでとって、それ以上は無理だから、半分に分けたのであろう。
 半分に分けた後の処理にも、いろいろな方法がある。1つ目は分けた2つを横に足して1つの平行四辺形にする方法である。これまでの等積変形の考えを使っているというよさがあるが、公式化が難しいという難点もある。2つ目は、同じ平行四辺形が2つあるから2をかけるという方法である。倍積変形の逆の発送であり、これまでにない考え方であるというよさがある。3つ目は、高さを2つ足す方法である。きっと足そうとした背景には、「公式に適用させるために高さを6㎝にしたい」という思いが秘められていることだろう。
 そうした思いを発表させた後で、三角形ACDを等積変形させた考えを提示する。そうすることで、すっきりと公式化できるというよさが浮き彫りになるであろう。この方法を基に、平行四辺形の面積の公式が適用できることを確認し、「だったら、半分に分ける方法でも適用できないだろうか」と考えていきたい。なかなか難しい課題だとは思うが、ここは是非、子供の言葉で語らせたい。説明が難しいようであれば、「もとの図形でいうところのどこを高さとみたのか」「どう見れば、そのように見られるのか」という視点を与えるのもよいだろう。
 さて、話し合いにおいては最悪の場合も想定しておく必要がある。2つの考えの扱い方を考えたが、その考えが出なかった場合はどうするか。そうなった場合は、教科書にはこんなやり方が載っていると紹介し、どうしてそんな考えをする子がいるのだろうかと考えていくことにしよう。逆に、扱いきれないくらいたくさんの方法が出てきた場合はどうするか。上記の2つの方法を全体で扱い、その他の方法については、図だけを黒板に貼り、気になる考えについて自由に聞きにいく時間を設けてもよいだろう。
 そのような形で何とか話し合いを授業終了の10分前までにまとめたい。今回は練習問題が多いし、振り返りの時間も確保したいからである。時間が限られた中でも、できれば子供の言葉でまとめを行いたい。その際、学習課題に立ち返ることは、以前指導を受けた。今回は、「高さが中にない平行四辺形の面積の求め方を考えよう」という学習課題である。であるから、「高さが中にない平行四辺形はどのようにすると求まりましたか」というのがまとめるための問いになる。「底辺を伸ばした直線から、上の辺までの幅を高さとすれば求まる」ということが課題に正対したまとめであろう。或いは、サブタイトルも考慮して、「底辺を伸ばした直線から、上の辺までの幅を高さとすれば、平行四辺形の公式を使って求めることができる」となってほしい。短い時間でここまでまとめるとなると「底辺を伸ばした直線」という言葉は、話し合いの中で出しておく必要があるだろう。
 最後に板書計画だが、基本はいつも通りの配置でよいだろう。ただし、子供の考えについては、子供が書いた図と式を貼るという形にしたい。自力解決で早くできた子に、かいてもらっておくことにしよう。黒板のスペースを考えると、導入で「できた」「できた」「できた」「あれっ」と「できた」を3回繰り返そうと思ったが、2回までが限界か。そろそろ疲れてきたので、詳しい板書計画は、明日の車の中で考えることにしよう。


 

令和3年12月8日(水) 5年算数 台形の面積
 今回の授業は、5年算数、台形の面積の学習。公式化の一歩手前、面積を求めるところまでである。M先生よりICTを活用してみればと、アプリを紹介していただいた。ICTを苦手としてきた私にとっては、挑戦できるチャンスである。そこらへんのところも考えていきたいが、あくまでもICTは手段である。まずは、授業の概要を構想し、ICTについては後から考えることにしよう。
 まずは、授業のゴールであるが、台形の面積を求めるところまでがゴールで、公式化までは踏み込まない。台形の面積も、これまでの四角形と同じように、既習の形にすれば、面積が求められるということが分かればよい。知識というよりは、思考の方略を学習することになる。既習の形というのは、今回の場合、平方四辺形と三角形である。平行四辺形にするには、高さを半分にして等積変形する考えと倍積変形して2で割る考えがある。三角形にするには、2つに分けて後から足すという操作になる。これらの考えを子供の言葉でまとめるとどうなるだろうか。「台形の面積も習った形にすることで求めることができる」といったところだろうか。
 だとすると、そのまとめに正対した学習課題は、どうなるだろう。ここは、シンプルに「台形の面積の求め方を考えよう」でよい気がする。
 では、そのような学習課題を抱かせるためには、どのような課題提示をすればよいだろうか。ここでも凝った演出は必要ないように思う。なぜなら、単元も終盤である。平行四辺形、三角形と面積を求めていく中で、他の四角形の面積も求めたいという意欲は高まっているはずだからである。既に面積が求められる図形を確認し、台形も求められるかなと問いかけるようなシンプルな流れでよいだろう。
 今回の課題提示では、興味を抱かせるよりも、むしろ、解決の見通しをもたせることに時間を注ぎたい。解決の見通しとは、どんな既習を使って、何を考えていけばよいかが明確になることである。ここで使える既習とは、形でいえば、平行四辺形と三角形である。考え方でいえば、1つめに、高さを半分にする等積変形の考え方である。この考えは、高さが外にある平行四辺形の面積を求める際に出てきたはずである。2つめに、倍積変形の考え方である。この考えは三角形の面積を求める際に出てきたはずである。3つめに、2つの三角形に分ける考え方である。そういえば、この考えは、これまで出てきていないような気がしてきた。となると、子供から、この考え方は出てこないかもしれない。出てこなかったとして問題はあるだろうか。特にないような気もする。
話がそれてしまった。使える既習にも、既習の「形」と既習の「考え方」の2つの側面がある。ここで大切なのは、どちらだろうか。或いは、どちらも想起できるようにすべきだろうか。悩むところである。
 既習の形を想起させることは容易い。面積が求められる図形は何かと尋ねればよい。しかし、既習の考え方を想起させるとなると、どんな方法で求めてきたかまで振り返らなくてはならなくなり、話がくどくなりそうだ。大事なのは、むしろ、既習の「考え方」の想起のような気もするが、さらりと想起できるような方法が思い浮かばない。ここは、既習の形だけを想起させ、自力解決の際のヒントとして、既習の考え方を伝えていくのでもよいかもしれない。
 話を戻すと、解決の見通しとは、どんな既習を使って、何を考えていけばよいかが明確になることである。どんな既習が使えるかが想起できたら、今度は何を考えていけばよいかを明確にしてあげる必要がある。何を考えればよいかというと、簡単にいえば台形の面積の求め方である。では、それを求めるにあたっての、子供の困り感はどこにあるだろう。これまで学習してきた形との違うはどこにあるのだろう。ぱっと思いつくのは、これまで学習してきた形よりも、形が複雑なこと、均整がとれていないことだろうか。平行四辺形の面積を求めたときなら、はみ出た部分を引っ込んだ部分につければ長方形になるといったシンプルな操作で済んだ。しかし、台形の面積だと、操作が少し複雑になるような気がする。
 台形の面積も求められるかなと問いかけて、難しそうな顔をしている子がいたがら、どんなところが難しそうか尋ねてみるのもよいだろう。「はみ出た部分を引っ込んだ部分に付けようとしても、ぴったろはまらない」といった困り感が出てくるかもしれない。だったら、どこを合わせればよいかを考えていけばよい。そうやって、考えるべきことの焦点が絞られ、何を考えればよいかが明確になるだろう。
 自力解決においては、まずは、動き出せない子に支援をして回りたい。ICTの使い方については、特に説明の必要はないだろう。早く解けた児童には、他の方法もないか考えさせたい。余った時間の使い方については、考えを深める場合と、考えを広げる場合がある。今回の課題なら、広げる方が適しているだろう。多様な考えができる子供を目指したい。「○○さんは○個も考えているよ」と実況中継して回るのもよいだろう。他の子供のやる気に火をつける。
 話し合いにおいては、まずは、互いの方法を理解することである。
 その際、式に出てくる数と図を結びつけてあげることが大切だろう。「この9って図でいうと、どこのこと?」「÷2ってどういうこと?」と丁寧に確認していこう。ここでは、色を使うと理解しやすくなるだろう。これまで、平行四辺形や三角形の面積では、底辺を赤色、高さを青色で示してきた。同じく底辺は赤、底辺を示す数も赤、高さやその数は青とすれば理解しやすい。これまでと異なるのは、底辺が2種類あることだ。上底も下底も赤色にすべきか、それとも色を変えるべきか。ここは変えた方が分かりやすいだろう。とはいえ、似た色の方がよいだろう。桃色あたりが妥当か。
 それぞれの方法に「○○方式」とネーミングさせるのも、互いの方法を理解する上で効果的である。ネーミングするということは、その方法の特徴を端的に言葉で表すということである。その子の見方が問われることになる。「平行四辺形方式」「三角形方式」といったネーミングなら、どんな形にするために変形したのか、操作の目的に目を向けていることになる。「移動方式」「2つあると見て2で割る方式」といったネーミングなら、操作の方法に目を向けていることになる。子供たちがどんな見方をしているのか興味が沸いてくる。
 方法を理解し合えたなら、次は考えの背景を理解し合いたい。それこそが大切なところである。子供たちの考えには、どんな背景があるのだろうか。「何とか平行四辺形にできないかと考えた」「ぴったり合うところ同士を合わせた」「前の学習で使えた考え方を試してみた」といった背景があるだろう。ここで出てくる背景は、発想の着眼点といったところだろうか。
 では、そうした背景を引き出すには、どんな言葉かけがあればよいのだろうか。素直に問えば、「どうして、そんな考えを思いついたの?」しかし、これでは、ちょっと答えにくいか。かといって、よい代案も浮かばない。答えにくければ、同じ方法を思いついた子を何人かに発言させてみるのもよいかもしれない。あの子たちなら、きっと何とかやってくれそうだ。
 そういえば、今回はICTを使うのだった。大型テレビでやり方を紹介し合うとなると、板書はどうすればよいだろう。やっぱり板書にも、最低限、図と式は残しておきたい。となると二度手間ではあるが、大型テレビで説明した後、黒板にも書く必要がある。黒板に貼る図を準備しておかないといけない。多少時間はかかるが、教師が書き写している間、子供たちにもノートに写させれば、問題はないだろう。ここら辺については、私の苦手分野である。後から、M先生の助言を聞いてみるとしよう。

 まとめにおいては、学習課題に立ち返る必要がある。学習課題は、「台形の面積の求め方を考えよう」だった。だとすると、「どうすれば、台形の面積が求まりましたか」と問うのが自然だ。平行四辺形と三角形をまとめていえば、これまでに習った形となる。等積変形や倍積変形をまとめていえば、形を変えるといったところだろうか。これについては、子供から出てきた言葉を使えばいい。まとめると、「これまで習った形に変えると、台形の面積が求まる」となる。あれ、何だか、日本語が分かりにくい。そうか、聞き方が逆だったのだ。「どうすれば、台形の面積が求まりましたか」ではなく「台形の面積は、どうすれば求まりましたか」と聞けばよい。そうすると「台形の面積は、これまで習った形に変えると求めることができる」というまとめになる。
 このまとめを、もっと大きな視点から捉えていきたい。台形という具体ではなく一般化すれば、「習っていない形の面積は、習った形に変えると求めることができる」となる。これは、単元を通していろいろな面積を学習してのまとめである。台形は、単元の中で最後に習う図形なので、こうしたことに触れるのもよいだろう。さらに一般化すれば「未習のことも、既習のことを使えば解決できる」となる。ここまでいくと、やり過ぎだろうか。




令和3年12月15日(水) 5年算数 面積と比例
 明日の授業は「三角形と四角形の面積」の10時間目。三角形の底辺の長さを一定にして高さを変えたとき、面積と高さが比例することを学習する時間である。正直にいえば、教科書を見て思ったのは、「たったこれだけのことに1時間もかけるの」という思いだ。高さと面積を調べて比例の関係に気付かせるだけなら、1時間もかからないようなすごく簡単な内容のような気がする。面積=底辺×高さ÷2なのだから、比例して当然である。しかし、教科書会社が、あえてここに1時間をかけているということには、何らかの意味があるはずである。それが、子供のつまずきなのか、或いは、いずれの学習への布石なのか、まずは、ここに1時間をかける意味について考えてみたい。
 布石という意味でいえば、面積と高さが比例するという知識は、今後、難しい面積を考える問題を解く際には必ず必要になるだろう。例えば、中学なんかで相似比を用いて面積を求める際には必要になる。だとすると、練習問題において、比を使って面積を求める問題を解かせておくのもいいかもしれない。
 つまずきという意味でいえば、面積と高さが比例するということは、案外、子供にとってはイメージしづらいことなのかもしれない。長方形ならイメージするのが簡単である。横の長さが同じで高さが2倍3倍になると、面積も2倍3倍になる。同じ形の2個分3個分になるのでイメージしやすい。しかし、三角形になって、角度もばらばらとなると、途端にイメージしづらくなるのだろう。そう考えると、今回の授業は、ただ単に表から比例の関係を見出すだけでなく、面積が底辺に比例することを、イメージを伴って理解することが大切なのだろう。今回のまとめそのものは、「底辺の長さが同じとき、面積は高さに比例する」となるだろうが、そのことをイメージを伴って理解することがねらいとなるだろう。
 学習課題はどうしようか。ねらいに正対すれば、「面積と高さの関係を調べよう」になるだろう。では、その問いをもたせるには、どうすればよいだろうか。まずは、底辺が同じで高さが1㎝、2㎝・・の三角形を提示し、面積を求めなければ話は始らない。あえて、丁寧に1つずつ公式に入れて考え、「1回1回公式を使わなくても・・」「きまりを使えば・・・」という声があがるのを待つとしよう。
 では、高さが1㎝、2㎝・・の三角形を求めたいという思いは、どうやって抱かせようか。ここに切実感を抱かせるのようなアイディアが浮かばない。どうしたらよいものか。底辺が同じで高さが異なる三角形を提示して、面積を求めましょうと指示を出す。ここまでは、教師主導でいくしかないのかもしれない。苦肉の策ではあるが、せめて、興味をひきづけるような演出を入れてみるのもよいか。例えば、三角形に顔をかいて可愛くしておくとか。あの子たちなら案外、興味を引くかもしれない。でも、ちょっと本質とずれるような気もする。
 或いは、向きをばらばらにして提示してみるのはどうだろう。最初は全くばらばらの三角形にみえた三角形が、実は底辺の長さが同じだったという展開である。これならいけるかもしれない。「今日はいろんな三角形の面積を求めるよ」と言い、底辺が4㎝で高さが1㎝、2㎝・・の三角形を提示する。その際、あえて底辺を下にせず、ばらばらの向きでおいておく。まずは、見た目で順位を予想させても面白い。予想した上で、底辺同士を重ねて提示し、底辺の長さが同じで高さが異なっていることを確認する。高さの順も確認しておこう。その際、底辺が同じだから高さが大きい方が大きいという意見が出て来れば、後々のヒントになる。小さい方から順に面積を求めていくが、その際、黒板には、高さが○㎝。面積が○㎠と黄色で大きく板書していこう。数に着目し、そのうち、きまりに気づき始める子が出てくるだろう。数名が気づき始めたところで、表にまとめ、「底辺が決まっているじ三角形の、面積と高さの関係を調べよう」と全体に学習課題を投げかけよう。
 話し合いにおいて、比例の関係があることには、ほとんどの子が気づくことだろう。しかし、ここでは数だけみて理解するのではなく、イメージを伴って理解させる必要がある。そこであえて「角度はばらばらなのに、すっきりと比例の関係になっているなんて不思議だね」と揺さぶってみてもいい。「どうして、そうなるのだろう」そう尋ねると、子供たちは説明できるだろうか。ちょっと答えにくいかもしれない。
 ここは、教師からも説明するのがよいだろう。横が4㎝で縦が1㎝、2㎝・・の長方形を提示する。これなら、面積が2倍、3倍になっていることは容易にイメージできる。次にその長方形を対角線で切って、直角三角形にする。ここくらいまでは、2倍、3倍になっているのは、イメージできるだろうか。さらに、その直角三角形を等積変形させたのが、今日の問題だと伝える。こうして、2つのステップを踏むことで、少しは理解しやすくなるのではないだろうか。




 
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 3、考 察
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(1)考える順番の分析

どうやら、私は、
①ねらい」
②学習課題
③課題提示
④話し合い
⑤まとめ」
⑥板書
という順序で授業を考えているようだ。

まずは、ゴールから順に、「①ねらい」「②学習課題」と、
ねらいに向かうように授業の大まかな形を考える。
次に、「③課題提示」「④話し合い」「⑤まとめ」と、
児童の思考の流れに沿って細かい部分を考えていく。
そういう順番で授業をつくっているようだ。



(2)内容の分析

 「①ねらい」「②学習課題」「③課題提示」「④話し合い」「⑤まとめ」それぞれについて、どのようなことを考えているのか、その内容をもう少し詳しく調べてみた。

①ねらい
 「①ねらい」においては、前後の学習のつながりから、その授業で大切にすべきことについて、考えている。これが、研究授業等になれば、前後の範囲を広げ、他の単元との系統性も調べていくことになるのだろう。
 ねらいを考える際には、ついでに「まとめ」も考えてしまっている。やはり、授業は、ゴール(まとめ)から考えるというのが、定石だと思う。

②学習課題
 「②学習課題」を考える際には、「まとめに正対」することを意識している。
具体的にいえば、次のように考えている。
「平行四辺形の面積(高さが中にない)」の場合
 平行四辺形の中にない場合でも、向かい合う底辺の幅を高さと捉えることで、平行四辺形の面積の公式が使えることを理解する。それが今日のゴールとなる。だとすると、学習課題は、「高さが中にない場合でも、平行四辺形の面積の公式が使えるだろうか」となるだろう。
「台形の面積」の場合
 これらの考えを子供の言葉でまとめるとどうなるだろうか。「台形の面積も習った形にすることで求めることができる」といったところだろうか。だとすると、そのまとめに正対した学習課題は、どうなるだろう。ここは、シンプルに「台形の面積の求め方を考えよう」でよい気がする。
「面積と比例」の場合
 今回のまとめそのものは、「底辺の長さが同じとき、面積は高さに比例する」となるだろうが、そのことをイメージを伴って理解することがねらいとなるだろう。学習課題はどうしようか。ねらいに正対すれば、「面積と高さの関係を調べよう」になるだろう。
つまり、「まとめ」から逆算したものが、学習課題という考え方である。

③課題提示
 学習課題が決まったら、「そうした問いをもたせるにはどうすればよいか」と、課題の提示の仕方を考えている。
「平行四辺形の面積(高さが中にない)」の場合
 それでは、高さが中にない場合の「面積の求め方」を考えたくなり、「公式が使えないか」と考えたくなるには、どうすればよいだろうか。そのためには比較が必要になるであろう。
「台形の面積」の場合
 ここでも凝った演出は必要ないように思う。(中略)既に面積が求められる図形を確認し、台形も求められるかなと問いかけるようなシンプルな流れでよいだろう。
「面積と比例」の場合
 では、その問いをもたせるには、どうすればよいだろうか。まずは、底辺が同じで高さが1㎝、2㎝・・の三角形を提示し、面積を求めなければ話は始らない。あえて、丁寧に1つずつ公式に入れて考え、「1回1回公式を使わなくても・・」「きまりを使えば・・・」という声があがるのを待つとしよう。
問いを抱かせるために、
「平行四辺形の面積」では、比較を用いている。
「台形の面積」では、こった演出はせず、シンプルに問いかけている。
「面積と比例」では、あえて面倒な体験をさせ、簡単にできないかという問いを抱かせている。
問いの抱かせ方は、授業によって様々で、法則性はない
学習課題を、子供が本当に考えたい問いにすることは難しいが、法則性がないことにこに、難しさの理由があるのかもしれない。

課題提示においては、「問い」を抱かせることと併せて、「見通しをもたせること」についても考えている。
 解決の見通しとは、どんな既習を使って、何を考えていけばよいかが明確になることである。ここで使える既習とは、・・(後略)
解決の見通しとは、どんな既習を使って何を考えていけばよいのかを明確になることである。「使える既習は?」と考えていくことで、子供への手立てが見えてくる。

④話し合い
「③話し合い」について考えていることは、授業によってばらばらであった。
しかし、おおよそ、次の2つの節で考えている。

まずは、予想される子供の反応について考えている。
 今回、予想される児童の考えは、大きく分けて2種類ある。1つ目は、・・(中略)どちらを先に扱うべきだろうか。
子供の反応を予想したら、それらを扱う順番を考えている。
また、次のように「互いの考えを理解し合えるための手立て」についても考えている。
まずは、互いの方法を理解することである。その際、式に出てくる数と図を結びつけてあげることが大切だろう。(中略)それぞれの方法に「○○方式」とネーミングさせるのも、互いの方法を理解する上で効果的である。

次に、子供が考えに至った背景を想像し、そうした背景を引き出すための手立てについて考えている。
子供たちの考えには、どんな背景があるのだろうか。「何とか平行四辺形にできないかと考えた」「ぴったり合うところ同士を合わせた」「前の学習で使えた考え方を試してみた」といった背景があるだろう。ここで出てくる背景は、発想の着眼点といったところだろうか。では、そうした背景を引き出すには、どんな言葉かけがあればよいのだろうか。素直に問えば・・・(後略)

⑤まとめ
最後に、まとめについて、考えている。
「まとめ」は、最初に考えておいたにも関わらず、もう一度考えているのだ。
まとめると、「これまで習った形に変えると、台形の面積が求まる」となる。あれ、何だか、日本語が分かりにくい。そうか、聞き方が逆だったのだ。「どうすれば、台形の面積が求まりましたか」ではなく「台形の面積は、どうすれば求まりましたか」と聞けばよい。そうすると「台形の面積は、これまで習った形に変えると求めることができる」というまとめになる。
こんなふうに、もう1度見直してみると、おかしな点に気付くこともある。
ここでは、「まとめ」に応じて、「学習課題」の問い方も修正している。

また、次のように、まとめの言葉を見直すことで、「話し合いで引き出しておくべき言葉」が見えてくることもある。
短い時間でここまでまとめるとなると「底辺を伸ばした直線」という言葉は、話し合いの中で出しておく必要があるだろう。
そう考えると、ここは、まとめについて考えているというよりは、授業案の総点検をしているということになるだろうか。


(3)考えに要した時間の分析

それぞれの文字数も調べてみた。
頭の中に浮かんだことを、そのまま文字に起こしたので、「文字数=考えた時間」と捉えたい。

結果は、
「①ねらい」と「⑤まとめ」を合わせて、約17%
「②学習課題」と「③課題提示」を合わせて、約39%
「④話し合い」に約37%
「⑥板書」に約6%の時間を割いている。

こうして調べてみると、学習課題に多くの時間を割いているのが分かる。
どんな問いを、どうやってもたせるのか、そこが授業の肝なのかもしれない。

一方、自力解決については、ほとんど考えていなかった。
思い返してみると、確かに、いつも出たとこ勝負である。


 
 
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 4、おわりに
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ちょっとした好奇心でやってみたのだが、案外、面白い試みだったと自画自賛している。
というのも、「授業作りはこうしたらいい」というポイントについては、書籍やネットで数多く紹介されているものの、それはあくまでも正論だからである。

「本当にそれだけでうまくいくの?」「本当にいつもそんなことしてるの?」
これは、そんな問いに答えられる試みになったのではないだろうか。

ただし、これは、あくまでも私自身の思考の流れを分析したものである。
「こうすればよい」というお手本ではない。
「授業の達人」といわれるような先生方の、実際の思考過程も、是非、知りたいなと思っている。

 
   
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