前田の算数

算 数 コ ラ ム
デジタル時計の方が便利?

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1、 時刻を読むのって難しい
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新指導要領では、時刻を読む学習が1年生に降りてきた。
クラスの中には、時刻を読むことに難しさを感じる子もいる。

例えば、同じ目盛りを使いながら、何時を見る時は1、2、3と読み、
何分を見る時は5、10、15と読むのが、子どもたちにとって混乱をまねく。
また、短い針が7時に近いのに、6時55分というのも、混乱をまねく。

そもそも1年生にとっては、内容が高度なのである。
算数の系統性や難易度だけを考えれば、
もっと上の学年の内容にしてもいいような気もする。
しかし、生活をおくる上で必要不可欠なものなので、
1年生に降りてきたのであろう。


× 7時55分
○ 6時55分
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2、 デジタルの方が便利?
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さて、そんなこんなで悪戦苦闘しながら、時刻の学習をしていると、
教科書の中に「デジタル時計」の絵が載っていた。
それを見た子どもたちから、
「デジタル時計なら簡単に時刻が分かるのに…」
という声があがった。
なるほど、言われてみれば確かにそうだ。
デジタル時計なら時刻が一目で分かる。
算数の勉強なんてしなくても分かる。
何も今の時代、アナログ時計なんてなくてもいいのでは…。
そんな気もしてくる。

しかし、よくよく考えてみると、アナログ時計にだって、
アナログ時計ならではのよさもあるのである。
「時刻」がぱっと分かるデジタル時計に対して、
アナログ時計は「時間」がぱっと分かるのである。
ある時刻からある時刻までの時間を考えるのに、
いちいち計算しなくても、角度で捉えられるのである。

実生活の中では、「時刻」よりも「時間」を知りたいことの方が多い。
時刻そのものだけを知りたいことは案外少なく、
大抵は、ある予定の時刻があって、その時刻までの時間を知るために
時刻を見ることが多いのである。
例えば、
「7時10分に家を出ないといけないんだけど、今何時かな」
そう思って時計を眺めながら、
無意識のうちに、7時10分までの時間を角度で捉えているのである。

また、
「短い針が7時に近いのに、6時55分というのも、混乱をまねく」
と先述したが、実生活の中では案外そうではない。
「6時55分」と時計を見ることよりも
「そろそろ7時だな」と見ることが断然多いのである。
そう考えると、短針が7に近いのにも頷ける。



7時10分まで後15分だな…



もうそろそろ7時だな…
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3、 時刻の学習には算数の要素が盛りだくさん
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勿論、実生活の場だけでなく、
時刻を読む学習は、今後の算数の学習にとっても、
大切な要素が沢山含まれている。

例えば、数直線を丸くしたのが時計だと考えると、
時刻の学習が数直線の読み方の学習につながっていくのが分かる。
また、開き具合で時間を捉える感覚は、角度の学習にもつながっていく。

ここは、ひとつ、時刻の読み方を授業するという意識ではなく、
時刻の読み方の学習を通して、
数直線や角度の学習の素地を養うというつもりで授業するもの
いいのかもしれない。

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