前田の算数

算 数 コ ラ ム
どうして×や÷を先に計算するの?

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どうして×や÷を先に計算するの?
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子どもって面白い。
子どもは「どうして〜なの?」と、いろんなハテナを生み出していく。
大人が「当たり前だ」と思い込んでいることにも、疑問をもつことができるのである。
子どもの素朴な疑問に寄り添って考えてみると、面白い発見がある。

4年生では、−や+よりも、×や÷を先に計算するという計算のきまりを学習する。
例えば、120+20×30なら、まず20×30をするというきまりである。


 120+20×30

 @20×30=600
 A120+600=720


こうしたきまりを学習していると、ある子が
「どうして、×や÷を先に計算するの?」とつぶやいた。
なるほど、言われてみれば、面白い疑問である。
きまりがあるからには、そうした方が便利な理由があるはずである。

私も私なりに、その理由を考えてみた。
その理由は、「単位」にあるのではないだろうか。

「たし算」や「ひき算」は、同じ単位のもの同士しか、足したり引いたりできない。
例えば、「20円」と「30円」を足して、「50円」にすることはできる。
しかし、「20円」と「30個」を足して「50」にすることはできない。
単位が揃っていないと使えないのが、「たし算」や「ひき算」である。

 20+30 
×  20+30 

それに対して、「かけ算」や「わり算」は違う単位のもの同士でも、掛けたり割ったりできる。
例えば「20円」の物が「30個」あるなら、20に30を掛けて、「600円」になる。
単位が揃っていなくても使えるのが、「かけ算」や「わり算」なのである。

 20×30 

こうした特徴を考えると、先に「かけ算」や「わり算」をしないといけない理由が分かる。先に「かけ算」や「わり算」して単位を揃えてやらないと、「たし算」や「ひき算」は使えないのである。
例えば、120のチョコを1と、20のガム30を買った場合を考えてみたい。
」と「」がまざった場合である。

 120+20×30

こんな場合、先に「20×30=600」と「かけ算」をしなければならない。
かけ算をすることで、単位が「円」に揃う。
単位が揃ってはじめて「120+600=720」と、たし算が使えるのである。

日常生活の中で、「たし算」や「ひき算」よりも、「かけ算」や「わり算」を先にすることの方が、圧倒的に多い。
もしも、「+や−よりも×や÷を先に計算する」というきまりがなかったら、いちいち、かけ算やわり算に括弧を付けなくてはならなくなる。
それでは面倒である。
そんな理由から、「+や−よりも×や÷を先に計算する」というきまりが生まれたのではないだろうか。

子どもの疑問って面白い。
「当たり前だ」と思い込んでいたことを真剣に考えてみると、思わぬ発見がある。


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